大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年12月25日(金) 10:32 ~ 10:49
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私から1点御報告があります。
本年4月から審議を頂きました「今後の物流政策の基本的な方向性等について」、本日、社会資本整備審議会と交通政策審議会からの答申を発表いたします。
今回の答申では、深刻化する労働力不足という危機を乗り越えるため、「物流生産性革命」や、人を惹きつける魅力的な「未来に輝く物流への進化」を実現することが必要である旨が指摘されております。
この物流の生産性の向上等については、大変重要な政策課題であると考えており、今後、答申の内容の実現に向け、取組みをしっかりと進めていきたいと考えております。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上でございます。
 

質疑応答

(問)23日に千葉県君津市の国道410号で大規模なモルタルの落下事故がありました。
通行車両がいれば大惨事にもなる可能性がある事故なのですが、国土交通省としての今後の対策、対応についてお聞かせください。
(答)今回発生した事故は、千葉県管理の国道410号の松丘隧道において、笹子トンネル天井板落下事故等を受け、千葉県が平成25年2月に実施した点検結果に基づき施工しているトンネル補修工事の中で、トンネル天井のモルタルが落下したものであります。
事故原因については、千葉県が中心に調査を行っておりまして、国土交通省といたしましては、千葉県からの要請を受け、昨日、トンネルの専門家を現地に派遣したところであります。
現地の調査団からの報告によりますと、吹き付けモルタルの自重を支える付着力の不足が原因と考えられます。
その要因については、設計図や施工の状況の更なる分析が必要との報告を受けております。
今後、千葉県において詳細調査を実施し、原因の明確化と対策を検討していくと聞いております。
併せて、今回の事案を受けまして国や県などの道路管理者に対しまして、トンネル補修における覆工工事に対する安全確認と事故防止対策の周知徹底を図ったところであります。

(問)昨日、政府の来年度予算が閣議決定されました。
補正と合わせてという面もあると思いますが、国土交通省が力を入れている、防災・減災の観点や、今後の未来に向けた施策もあると思いますが、その辺を絡めて御所見をお願いいたします。
(答)国土交通省関係の平成28年度予算案は、4つの分野、すなわち「東日本大震災からの復興加速」、「国民の安全・安心の確保」、「豊かで利便性の高い地域社会の実現」及び「日本経済の再生」。
この4分野に重点化し、国費総額として5兆7,767億円を計上したところであります。
このうち、公共事業関係費については、5兆1,787億円と、ほぼ横ばいの水準となっております。
内容としましては、「国民の安全・安心の確保」といたしまして、激甚化する気象災害や巨大地震等に備えるための防災・減災対策、インフラ老朽化対策や戦略的海上保安体制の構築に必要な予算を確保できました。
特に、鬼怒川を始めとする近年激甚な水害が発生しました河川におきまして、再度災害防止対策を緊急的・集中的に推進するため、河川激甚災害対策特別緊急事業を増額しております。
また、「豊かで利便性の高い地域社会の実現」については、「コンパクト+ネットワーク」の形成や三世代同居の推進など、子どもから高齢者まで豊かに暮らせる生活環境の整備に必要な経費も盛り込んでおります。
更に、「日本経済の再生」のためには、経済成長を支えるストック効果を重視した社会資本整備に取り組んでまいります。
また、訪日外国人旅行者2,000万人を目前に控え、「次の時代」に向けた質の高い観光立国の実現のため、観光関係予算を大幅に増額しております。
国土交通省といたしましては、厳しい財政状況ではありますが、優先的に取り組むべき課題に対応するため、必要な予算が確保できたものと考えております。
この予算が少しでも早く効果を発揮できるように、予算の早期成立をお願いしていくとともに、予算成立後は、効率的かつ円滑な事業の実施を図ってまいります。

(問)今年、最後の定例会見になりますので、大臣にこの1年を振り返っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(答)10月7日に国土交通大臣に就任いたしました。
国土交通行政は、国民生活から、我が国経済に関わる幅広い分野にまたがっております。
身の引き締まる思いで、その重責を受け止めました。
就任直後には、関東・東北豪雨の鬼怒川の被災現場を視察いたしまして、家屋が流出した状況をあらためて目の当たりにいたしました。
このような水害を繰り返さないために、ハード・ソフトが一体となった緊急的な治水対策「鬼怒川緊急対策プロジェクト」を実施いたしまして、これを今後の他の河川のモデルとし、「水防災意識社会」の再構築に向けた取組みを進めてまいります。
また、10月には基礎ぐい工事問題が発生いたしました。
有識者で構成する対策委員会におきまして、再発防止策の検討がなされ、本日、中間報告がとりまとめられる予定です。
これを着実に実行し、二度とこのような事態が起こらないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
このほか、東洋ゴムやフォルクスワーゲンの不正事案などもありましたが、我が国の経済発展に貢献する明るい話題もございました。
具体的には、北陸新幹線の金沢までの開業、MRJの初飛行、訪日外国人旅行者数1,900万人台達成、訪日クルーズ旅客数100万人達成、また、インド政府との間での高速鉄道への新幹線システム導入に関する覚書の署名などです。
こういったことが今年を振り返っての感想でございます。

(問)JR北海道のデータ改ざん事件で、22日に北海道警が本社の元幹部など20人を書類送検しました。
今回、本社工務部の元幹部らが改ざんを認識していたという疑いが出ていますが、これまでの国交省の調査では、本社側は改ざんを知らなかったという話になっていました。
これは膿を出し切って再出発したはずのJR北海道が、実はまだ隠し事をしていたのではないか、国交省の調査が不十分だったのではないかという疑いが強まっているわけですが、その状況をどのように御認識していますでしょうか。
(答)JR北海道につきましては、22日に、法人としてのJR北海道及び同社の関係職員が書類送検されております。
国土交通省としては、被疑事実については北海道警の発表以外は承知しておりません。
いずれにしても、今後の司法手続きを待ちたいと考えております。
JR北海道は、昨年4月に発足した新経営陣の下、昨年1月の事業改善命令・監督命令を実行するための計画を策定し、安全意識の確立、各種対策の実行等に取り組んでいるものと認識しております。
国土交通省としては、引き続き、輸送の安全の確保に向け、監査等を通じて徹底した指導、監督を行ってまいりたいと思います。
(問)報道等で報じられておりますけれども、元幹部が国交省の調査に嘘を突き通していたとすれば、会社ぐるみでそれをしていたのではないかとか、何で国交省はそれを見落としたんだといういろいろと疑念が広がってきますし、利用者としては、JR北海道はまだ腐った部分が残っているのではないかという不安も広がってくると思うのですけれども、容疑段階ですけれども、国交省が徹底的に調査したはずのことにケチが付きかねないという話になってます。どれくらいの関心をお持ちでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたとおり、いろいろな報道があることは承知しておりますけれども、被疑事実について、国土交通省としては北海道警の発表以外は承知していないということでございます。
(問)報道を受けて調査の再点検を始めるというお考えはないですか。
(答)いずれにしましても、今後の司法手続きを待ちたいと思います。

(問)千葉のモルタル事故について、対策の御説明はいただきましたけれども、そもそもこうした事故がまた起きたということに関する御感想、御所見があればお願いいたします。
(答)対策といいますか、対策はこれからよく検討すると、まだ要因について分析が必要、詳細な調査を実施して原因の明確化と対策を検討していくという状況でございます。
こういうトンネル補修の施工中に、こういったモルタルの大規模な落下があったということについては大変遺憾な事態だと思っております。

(問)昨日、北海道新幹線の特急料金についての認可がされました。
特急料金について、全国の新幹線に比べて非常に割高だという指摘もあって、今後、どのように大臣として、料金問題について指導というか、どのように受け止めていらっしゃるかお教えください。
(答)10月13日付けでJR北海道より申請のありました北海道新幹線の特急料金の上限設定については、12月22日に運輸審議会から「認可することを認める」との答申が行われたことを踏まえ、昨日24日、認可基準に照らして認可いたしました。
認可した特急料金の水準については、今回開業する区間が貨物共用走行であること、また、青函トンネルの維持に係る費用などによりまして、他の新幹線より割高となる一方、収支は厳しいものになると承知しています。
JR北海道においては、特急料金の水準が他の新幹線に比べて割高になっていることについて、利用者の理解が得られるようしっかりと説明を行っていただきたいと思いますし、安全の確保が大前提でありますが、上限の範囲内で、割引施策の展開を行うなど、利用者の拡大を図り、より地域の活性化に貢献するよう期待しております。

(問)辺野古の埋立承認の取消しに関して、昨日、国地方係争処理委員会で沖縄県の申出を委員会が却下したのですが、その受け止めと、沖縄は今後、昨日の却下を受けて高裁に不服申立てをするということも考えていると思いますが、不服申立てができるのかどうかについての見解もお伺いします。
(答)国地方係争処理委員会においては、法令の規定に基づき対応されたものと認識しております。
また今後、沖縄県が高裁に申立てをするのかといった点については、まだ仮定の話でございますので、コメントは控えさせていただきます。

(問)今年、残念ながら航空事故が非常に多い年で27件発生しました。
それぞれの状況は異なりますので、必ずしもひとくくりに言えないことは承知していますが、過去10年間で最も多く、調布の小型機事故なども目立ちます。
今年、日航機事故から30年という節目の年で、こうした数字が出てしまったのですが、国交大臣としての所感と、どのようなことを考えていらっしゃるのか、事故あるいは被害を減らすために何か強化できることはないのかをお願いします。
(答)航空事故につきましては、平成27年度に入ってから24件発生しております。
大型旅客機に係るものとしましては、4月に広島空港で発生しましたアシアナ航空機事故がございます。
それから小型航空機に係るものとしては、7月に調布で発生した小型機墜落事故などがございますが、24件中22件が小型航空機に係るものです。
航空局におきましては、事故の発生後直ちに、関係者から事実関係等を聴取し、必要な再発防止策の徹底を図っているところです。
いずれの航空事故も運輸安全委員会が調査中であり、それぞれの事案の態様・要因は異なると考えられますけれども、原因究明をしっかり行った上で、それぞれに必要な対策を更に進めて行きたいと思います。
公共交通におきます安全の確保は最も重要な課題であると認識しておりまして、国土交通省としましては、航空輸送の安全の確保に万全を期してまいりたいと思います。
 

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