大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年12月4日(金) 10:34 ~ 10:55
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私から1点御報告があります。
関東・東北豪雨を踏まえた、鬼怒川下流域での今後の新たな取組みについて御報告します。
鬼怒川については、関東・東北豪雨での被害を踏まえ、国の激特事業等を活用して、緊急的・集中的に河川改修に取り組むよう指示していたところですが、ハード対策とソフト対策を一体とした取組みを「鬼怒川緊急対策プロジェクト」として、今年度から実施することにいたしました。
具体的には、国、茨城県、常総市など沿川の7市町が主体となり、国の激特事業等による平成32年度完成を目指した鬼怒川下流域の整備や、茨城県による八間堀川の整備など、総額600億円のハード対策と、タイムラインの整備と訓練の実施や、関係機関参加による広域避難の仕組みづくりなどのソフト対策に取り組むものです。
このような国、県、沿川の市町が一体となった取組みは、今後の他の河川での取組みのモデルになるものと考えております。
詳細については、この後、事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)くい打ちデータの流用問題について、国交省が業界団体に対して、データ流用等が判明した集合住宅について仲介、売買等をする際に、重要事項として買い手に説明するよう指示したという報道がありましたが、これについての確認をお願いいたします。
(答)宅建業法では、宅建業者は、取引判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げず、又は、不実のことを告げてはならないこととされております。
くい工事のデータ流用等が判明した物件については、建築物の安全性の確認を要することから、宅建業者は、データ流用等があった事実を売主である居住者や管理組合等から確認した場合には、買主等にこれを説明する必要があります。
こうした考え方について、既に10月23日に旭化成建材に対して、くい工事に係るデータ流用等の調査を指示した際に、宅建業者の団体に対しても伝えているところです。

(問)今日、軌間可変技術評価委員会がありますけれども、今朝の報道で、フリーゲージトレインが関連します九州新幹線について、予定である34年度開業が困難だという考え方を国交省がまとめたとの報道がありました。
この件に対する御見解をお願いいたします。
(答)そのような報道があったことは承知をしておりますが、そういった考え方をまとめた事実はございません。
フリーゲージトレインにつきましては、不具合に関する調査について、技術的な内容を検討する軌間可変技術評価委員会を本日開催いたします。
不具合の原因やその対策などの調査内容等については、評価委員会の審議の後、公表することとしております。
国交省といたしましては、九州新幹線長崎ルートについて、今年1月の「平成34年度から可能な限り前倒しする」という政府・与党の申合せにしたがって、取り組んでまいりたいと考えております。
いずれにしましても、今後の進め方については、評価委員会の審議を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

(問)日米航空交渉についてお尋ねします。
現地時間2日から日米航空交渉が始まりましたが、現時点での進捗状況をお願いします。
また、1日延期になったということのようなので、合意も期待されますが、合意に向けた意気込みや期待感についてお願いいたします。
(答)日米航空当局間の協議は、12月2日から3日にかけまして、ワシントンDCで行っておりますが、予定を延長し4日も引き続き協議を行うことになったと報告を受けております。
詳細につきましては、まだ交渉が継続中でございますので、その内容については、お答えを差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、日米両国間の発展や利用者の利便のため、羽田の昼間の米国路線の実現に向けて、日米で協力して取り組んでまいりたいと考えております。

(問)くい打ちデータ改ざん問題について伺います。
先行して調査を進めている82件のうち、56件については、週内に調査の目途をつけるという話があったかと思いますが、現状どうなっているのかというのが一点と、もう一点は、旭化成建材以外の業界他社について、自主点検の調査を進めていて、まだその調査が終わっていないものもあったかと思いますが、あの扱いについてはどのようにされるのか教えてください。
(答)まず、データ流用のうち、先行して調査を進めている82件でありますが、先日も御説明しましたとおり、元のデータが見つかってくいの到達が確認できたのが1件、セメントミルク注入量のみのデータ流用のものが14件、これは確認の方法をこれから検討します。
82件のうち、この15件を除いた67件について、地方公共団体等により安全性の確認作業が進められてきました。
昨日時点での、地方公共団体等からの報告によりますと、施工記録の確認やボーリング調査により、くいが支持層に到達していると判断できるものが57件、これまでに56件と申し上げていましたけれども、ボーリング調査を終了したものが2件増えまして、一方で、確認作業に時間がかかるということで、今日は間に合わないというものが1件、2件増えて1件減ったということで56件から57件になっています。
それから今申し上げましたように、施工記録による安全性の確認作業を継続しているものが1件、今後ボーリング調査等を行う予定のものが9件となっておりまして、くいの支持層到達が判断できるとされた57件の確認状況については、今、住宅局において施設名も含めて、可能な限り公表するよう作業を進めておりまして、本日夕方、準備が整い次第、公表したいと思います。
それから、コンクリートパイル建設技術協会の残りの自主点検については、先月の27日には、約2,800件の自主点検について報告を受けたところですが、施主又は元請からの要請を受けて行っている残りの約600件の自主点検結果についても、来週11日までに報告するよう指示したところでございます。

(問)今年は、訪日観光についていろいろ話題になる年でしたが、新語・流行語大賞に「爆買い」という言葉が受賞されました。
大臣の感想があればということと、来年以降、観光立国というものをどういうふうに造っていくのか、大臣の思い描く観光立国の姿みたいなことがあれば併せて教えてください。
(答)これまで、政府一丸・官民一体となってインバウンドの拡大に向けて、全力を挙げて取り組んでまいりましたが、その結果、多くの外国人旅行者の方々が日本を訪れ、たくさん消費をしていただいていることは、大変喜ばしいと考えております。
「爆買い」という表現が流行語大賞を受賞いたしましたが、これは一過性の流行に留まらず、今後も是非、継続されるように期待したいと思っています。
いずれにいたしましても、今回の受賞により、今までにないほど多くの外国人旅行者の方が日本を訪れ、たくさんの消費をしていただいているという状況が日本の社会・経済に大きなインパクトを与えたからこそ流行語大賞をとったと思いますので、国民の関心を非常に集めていると改めて強く感じたところです。
昨年の訪日外国人による旅行消費は、通年で過去最高の2兆278億円でしたが、今年は既にそれを上回っておりまして、年間では3兆円半ばに達する見込みでございます。
国交省としては、今後とも、インバウンド消費の拡大をより一層加速するとともに、その効果をいわゆるゴールデンルートだけでなく、全国津々浦々へ波及させるべく、地方にお客様を誘っていく誘客や消費の拡大に向けた取組みを強力に進めてまいりたいと思っております。
今後の観光のあり方ですが、11月9日に総理を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を作りまして、この中であるべき姿、新たな目標やそれに取り組む際の課題、受入れ環境の整備等々を議論していくことになりますけれども、たくさんの外国人の方が日本を訪れるようになっていただきましたが、更にリピーターになって度々訪れていただけるような、世界に誇れる魅力あふれた国、社会づくりを是非行っていきたいと考えています。

(問)沖縄の米軍普天間飛行場の関連でお伺いいたします。
名護市辺野古の埋立海域の承認に関して、大臣が提起されました代執行訴訟の件に関しまして、先日2日に、第一回口頭弁論がありました。
県側は、埋立承認の手続きには瑕疵があると主張して、民意を尊重するようにと訴えました。
大臣としてどのようにお考えですか。
(答)12月2日に代執行訴訟に関しまして、第一回口頭弁論が開かれまして、指定代理人である職員が出廷し、必要な主張を行ってきたとの報告を受けております。
次回の口頭弁論は来年1月8日に開かれる予定でありますが、引き続き原告として主張すべきことを、しっかりと主張してまいりたいと考えております。

(問)来年開業の北海道新幹線の東京と新函館北斗間の所要時間について、昨日JR北海道とJR東日本の方で、4時間2分と最速の時間が示されましたが、その中で与党としましても、3時間台での運行を求めていた中での、最終的な結論が現時点で4時間2分となっているわけですが、これに対する大臣の受け止めを教えてください。
(答)昨日、JR北海道及びJR東日本から、東北・北海道新幹線の最速の運転時分が公表されました。
東京~新函館北斗間の所要時間につきましては、平成26年6月の与党整備新幹線建設推進PTからの申入れを受けて、JR北海道において、所要時間の短縮に向けた取組みが進められてまいりました。
その結果、定時性を確保するために必要な余裕時分を考慮し、4時間2分になったものと承知しております。
速達性は新幹線の最大の特徴の一つでありますが、一方で、走行の安全性や定時性を確保することは、新幹線を運行する上での大前提でもあります。
JR北海道においては、新幹線の安全・安定性を十分確保した上で、地域の期待に応えるべく、引き続き利便性向上に努めていただきたいと考えております。

(問)鬼怒川の関連で御質問させてください。
激特事業も活用してという話がありましたけれども、これまで河川改修はいわゆる国はハードメインでやってらして、激特もそれの一つの集中的に資本投下して改修することだと思うのですけれども、今回、避難対策だとか、広域避難みたいなものに踏み込んで作られたと、この一番の狙いということと、鬼怒川で実際あれだけ多くの人が救助される事態になったときに、ハードだけでは無理だよねというのは、この間の委員会でも話があったと思うのですけれども、改めて両方組み合わせていく必要性みたいなものが大臣のお考えでありましたらお伺いしたいと思います。
(答)既に審議会の方で御議論いただいているところですが、施設の容量を上回る大洪水が発生しうるという発想に立って、水防災意識社会を作っていくということが我々重要だと思っております。
当然のことながら、従来のように洪水を安全に河川内に流すということはやってまいりますけども、それだけでは想定しえなかったような大きな洪水も起こりうるということから、従来やってきたハードと、それから避難をなるべく迅速に行うようなソフトと組み合わせて国民の命を守っていく、国民の安全・安心を確保していく、そういうやり方を進めていかなければいけない。
その一つとして、今回の鬼怒川のプロジェクトというのは、先行的なプロジェクトになるものではないかと思っています。
ハード対策についても、洪水を河川に安全に流下するのみならず、今までは越流すると河川が先駆して決壊してきたわけですが、その決壊の時間をなるべく稼いで、避難の時間を稼げるようなそういう足下の対策といいますか、なるべく強靱な堤防の構造というものも考えていくと。
いろんな工夫もしながら、国民の安全・安心を守る。
そういうプロジェクトとして取り組んでいきたいと思っています。
(問)そういった両方を組み合わせた対策が必要だというお考えになるのは、どういったところで必要だとお考えになりますでしょうか。
(答)これは、前も少し申し上げたと思いますが、その考え方の萌芽というのは、東日本大震災からの復旧・復興のあり方にあったと思います。
あの時、大震災の後に防潮堤、防波堤の考え方をどういうふうに作っていくのか。まず、防潮堤は、あまり巨大なもの、今回の東日本大震災は千年に一回、それに対応するようなものを造ってしまうと、物凄く巨大な防潮堤を造って、むしろ海との接触がなくなるということで、防潮堤については、数十年、百数十年に一回のものに対応するものを造る。
それを上回るものについては、避難で対応するということで、ソフトとハードの組合せの考え方が打ち出されてきたと思っています。
それを河川の方にも準用しつつ、特に最近では、従来想定されないような強い雨が降ったり、あるいは局所化したり、その結果、被害が甚大化したりということが目立ってきておりますから、従来以上にハードだけでなく、ソフトも組み合わせた対策が必要になってきていると思っております。

(問)くいの関係で、セメントミルクの安全確認の報告は、いつくらいまでに確認されるのでしょうか。
(答)セメントミルク注入量のデータ流用に関する安全性の確認については、確認の方法を対策委員会にお諮りをして、御承認いただいた上で、安全性の確認を進めるということですので、なるべく早くやっていきたいと思います。
(問)年内にでしょうか。
(答)まず、御承認いただいた上で、その上で確認をしますから、時期的にはいつということはなかなか言いにくいのですが、なるべく速やかにと思っています。

(問)昨日、PFIに関する取組みの報道がありましたが、大臣の御所見と、今後の省としての取組みをお願いします。
(答)社会資本整備を進めるに当たっては、PFIあるいはPPPを導入して、民間のノウハウを活用するということが非常に重要なことであります。
一方で、多くの地方公共団体において、PFIあるいはPPPの情報やノウハウが不足している、あるいは、官民の間の対話や提案の場が不足していると、こういう課題がございます。
このため、産業界、官界、学界、金融界、いわゆる産官学金の協議の場として、地域プラットホームを設け、具体的案件の発掘形成に向けて取り組んで、優良事例のノウハウの共有・横展開を行うこととしたものでございます。
今後、この地域プラットホームを全国8つのブロック毎に作りまして、特に人口20万人以上の地方公共団体、47都道府県と134の市と区に重点的に参加を要請することとしてございます。

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