大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年11月27日(金) 11:01 ~ 11:23
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私から2点御報告がございます。
1点目は、羽田-秋葉原間の舟運の社会実験についてです。
東京の水辺の魅力を世界中の人々に発信するために、9月に羽田空港-秋葉原間の舟運の社会実験を行いましたところ、約1,500名の方々に御参加いただいたところです。
この9月の実験結果も踏まえまして、羽田空港-秋葉原エリア間での舟運の定期運航化を目指し、数万人規模の参加者を見込んだ社会実験を行うことについて、関係者間で合意が整いました。
来年の2月はミニツアーですけれど、来年の春と秋にかけて、毎日連続運航しまして社会実験を行うということでございます。
新たにこの航路の運航に意欲のある事業者を公募いたします。
また、今回は、一緒に実験を盛り上げていただける「地域の応援団」も公募いたします。
この航路は、屋形船や船宿といった江戸情緒、約90年前に隅田川に架けられた歴史的な橋梁群、新しい東京のウォーターフロント等、東京・江戸の水辺の魅力を凝縮したコースです。
昨日、舛添東京都知事とお会いし、東京の水辺の魅力を発信するために、お互いに協力して舟運を盛り上げていこうというお話をしました。
この社会実験により、定期運航の実現に道筋を付け、オリンピック・パラリンピックに向けて、東京の魅力の発信に強力に取り組んでいきたいと思っております。
詳細につきましては、この後、事務方より説明させます。
2点目は、高速道路での逆走事故ゼロを目指す取組みについてです。
全国の高速道路では、概ね2日に1回、逆走が発生しています。
逆走の事故は、高速道路での事故全体と比較しまして、死亡事故となる割合が40倍になるということで、非常に危険であり、逆走者だけでなく正しく走行している方も巻き込まれて、正面衝突するなどの悲惨な事故が後を絶ちません。
国土交通省では、これまでも警察庁や高速道路会社と連携し、逆走が頻発している箇所などで、誤進入をしにくくする。
また、仮に誤進入した場合はすぐに気づかせるべく、物理的・視覚的な逆走対策を進めているところです。
更に、高齢化の進展や認知症問題の顕在化といった社会状況の下、「2020年までに逆走事故ゼロを目指す」という大きな目標を掲げまして、高速道路での逆走事故の撲滅に取り組むことといたしました。具体的には、これまでの道路側での対策を引き続き拡充することに加えて、今後、カーナビやETCを活用した対策、また自動運転技術などを活用した自動車側での対策に関しまして、有識者会議を12月下旬に、また官民連携会議を年明け早々に立ち上げます。
幅広い関係者の知恵を集めつつ、道路と自動車が連携した、より安全な高速道路を実現していきたいと考えております。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)本日、国交省と厚労省による、いわゆる民泊についての有識者会議が開かれます。
この会議の議論に関しての期待と、大臣御自身の民泊問題への問題意識をお伺いできればと思います。
(答)本日13時から厚生労働省と観光庁によりまして、民泊サービスのあり方について検討する有識者会議を立ち上げる予定です。
民泊については、一定のニーズがある一方で課題もございます。
感染症の蔓延防止等の衛生面、それから治安、防災等の安全面、宿泊者、貸主、近隣住民間のトラブルの防止、また、旅館・ホテルとの公正な競争条件の確保、こういった課題がございます。
こういった課題に関しまして、専門的知見を有する有識者にお集まりいただくこととしておりまして、我が国の実情に合った民泊のあり方、ルールの整備等について幅広く御議論いただくことを期待しております。
今後、有識者会議での議論を踏まえ、厚生労働省ら関係省庁と調整の上、年度内に一定の方向性を得られるよう、検討を進めてまいりたいと思っております。

(問)25日にくい打ちの有識者会議がありまして、国交省側から今後安全性を点検していくというところの点について指針が提出されました。
そして、昨日、今日のニュースですが、業界最大手でもまた問題が出てきているという状況もあります。
スケジュールとしては、有識者会議は年内に再発防止策を含めた一定の形のものを出すということですが、足下の問題の広がり等で有識者会議のスケジュール感の変更などあるのか、そういった点をお聞かせください。
(答)くい基礎に関しまして、データ流用等が判明した物件については、判明次第速やかに、建築物の安全性確認を指示しております。
同時に地方公共団体の建築指導担当部局に要請してございます。
また、今、御指摘のありましたように、25日の委員会におきまして、くいが支持層に到達しているかどうかについての確認方法について、御承認いただいたところでございまして、建築物の安全性確認に当たって、この方法を参考に確認作業を進めることによって、くいが支持地盤に到達しているかどうかの状況の確認を進めてまいりたいと思っております。
今後のスケジュールについては、まず横浜市のマンションの担当者が関与した物件、それから地方公共団体の調査等により先行してデータ流用等が明らかになった物件、合計82件について、先行して安全の確認の調査を進めておりまして、早急に調査が困難なものを除き、今月中にとりまとめを行いたいと考えております。
また24日にデータ流用が明らかになった360件、これは先行して調査する82件も含めておりますけれども、360件につきましても、早急に調査が困難なものを除いて、年内には目途を付け、報告できるようにとりまとめていきたいと考えております。

(問)今月末でフリーゲージトレインの走行試験中断から一年となりますが、これまでの検証作業の進捗やトラブルの原因特定に至ったかどうか、また走行試験の再開の目途、見通しについてあればお聞かせください。
(答)九州新幹線に導入が検討されていますフリーゲージトレインにつきましては、昨年末に車軸に微細な摩耗痕等が確認されたため、耐久走行試験を一時休止し、鉄道・運輸機構及びJR九州において、調査を行ってまいりました。
具体的には、不具合原因の特定のための試験、改善策の検討と検証等を行っていると承知しております。
今般、この調査について、一定のまとめができる状況になった、こういう報告を受けておりますので、技術的な内容を検討する軌間可変技術評価委員会をなるべく早く開催したいと思っております。
今後の進め方などについては、軌間可変技術評価委員会の審議を踏まえて判断することとなりますが、九州新幹線長崎ルートについては、今年1月、政府・与党の申合せで、平成34年度から可能な限り前倒しする、こういう申合せが示されておりますので、これに従って、着実に取り組んでまいりたいと思っております。

(問)自動車検査独立行政法人が大型車の傾斜角度の抜取り検査を東日本大震災以降に実施しないまま放置し、法人の本部も把握していないことが報道されましたが、この件について大臣の受け止めと法人の監督のあり方について、お考えをお聞かせください。
(答)自動車については、カーブを走行する時の横転を防ぐために、車両を35度傾けても転倒しないという基準を定めておりまして、この自動車検査独立行政法人において、転覆しない角度を計算した書類の確認、又は傾斜角度測定機による実測により検査をしております。
この検査については、平成17年に計算書の内容と実測値が乖離している不正が発見されて以降、計算書による確認の場合であっても、一定の割合で、サンプル的に測定機による実測を行うこととしておりましたが、東日本大震災以降の電力不足に対応するため、平成23年4月以降、東北検査部及び関東検査部においては、当面の間、この抜取り検査を取り止めたと聞いております。
国土交通省としては、不正を防止するためには一定の割合での抜取り検査が効果的であると認識しておりまして、震災以降の電力不足が改善したにもかかわらず、抜取り検査が行われていなかったことについては、不適切であり、遺憾であると思っております。
抜取り検査は、11月2日に再開を指示いたしまして、5日に再開されておりますが、国土交通省としましては、自動車の保安基準適合性審査業務の厳正かつ公正な執行を徹底するように、検査法人の業務執行のあり方について、しっかりと見直しを行ってまいりたいと考えております。

(問)本日、総務省の方から、社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視というのがございまして、中小の鉄道事業者への定期検査や補修の状況が不十分であるという勧告が出されました。
これについて、国交省として、今後、どういうふうに臨まれるのかお聞かせください。
(答)今回の勧告では、鉄道施設の老朽化の状況等を踏まえて、長寿命化計画の策定を促進すること、また鉄道施設の定期検査等の適切な実施をすること、また保安監査の適切な実施をすることなどについて求められております。
国土交通省としましては、この勧告を真摯に受け止めまして、適切に事業者を指導し、また運輸局が適切に監査を行うよう措置を講じてまいりたいと思っております。
具体的には、全ての中小鉄軌道事業者に対しまして、長寿命化計画の内容の確認とその計画に関する意見聴取を行います。
また整備基準値を大幅に超過したまま、必要な補修を実施していないと指摘された鉄道事業者においては、既に措置を講じたと承知しておりますが、年内にも保安監査を行いまして、措置状況等を確認することとしています。
更に各地方運輸局に対しまして、鉄道事業者における施設の維持管理等の取組状況について、監査の重点項目に設定するなど、より効果的な監査の実施を徹底してまいりたいと思っております。
いずれにしましても、国土交通省としましては、こうした取組み等を実施することによりまして、鉄道施設の適切な維持管理の推進及び鉄道の安全な運行の確保を図ってまいりたいと思っております。

(問)先ほど、くい打ちデータ流用の関係で、既に明らかになっている360件についても、年内には安全確認の目処を付けたいという話だったんですが、この安全性の確認の目途というのは、くいが支持層に到達しているかどうかの確認を年内に目途を付けたいという理解でよろしいでしょうか。
(答)支持層に到達しているかどうかということと併せて、到達していない場合に、それが安全かどうかということまでやりたいと思っております。
(問)それはもう既に旭化成建材など関係者には指示はしているのでしょうか。
(答)それは指示してございます。
それは旭化成建材のみならず、いわゆる地方公共団体の建築指導担当部局等に指示しているところでございます。

(問)先ほど、フリーゲージトレインについて、軌間可変技術評価委員会をなるべく早く開催し、その審議を踏まえて判断ということでしたが、これは、フリーゲージトレインの導入の可否を国が判断するという趣旨でしょうか。
そうであれば、その時期はいつ頃でしょうか。
あと、仰ったかも知れませんが、可能な限り開業の前倒しという見解は現在も変わっていないのでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、昨年の試験で車軸に微細な摩耗痕等が確認された。
その不具合の原因の特定、その改善策等の検証を行っているところです。
その報告、技術的な内容を検討するということで、軌間可変技術評価委員会をなるべく早く開催するということでございます。
それから可能な限り前倒しするというのは政府・与党の申合せでございますので、なるべくそれに向けて取り組んで行くということでございます。

(問)羽田の船便の件なのですが、どうしても船会社って独特の縄張り意識・文化があって、慣習で線の向こう側は同じ船会社だけど一切口出さないとか、必ずしも通常の経済行動とは異なる形で動いていて、国交省がお金を出す事業ではないとは言え、国が強力に後押しする中で、公平性とか平等性はどう担保されるのか。各船会社が交渉が満足の道をいかれるようにどういうふうなお考えなのかということと、半分観光、半分公共交通機関という位置付けの部分もあるとは思うのですが、大臣としてどういうふうな航路になることを期待されているのかというのをもう少し大臣の言葉でお聞きしたいと思います。
(答)公共交通機関と言いますか、今年9月に社会実験やったのも羽田-秋葉原間で2時間半かけています。
2時間半かけてあそこの間を移動するというのは、皆さん乗る方はほとんど観光で乗る方が多いのではないかなと。
3,000円の有料でやっても、1,500人という方がかなり来ましたので、観光で需要があるということは社会実験で確認されたということでございます。
これから事業者を公募しますので、その選定に当たっては、当然公平な形で選定をしたいと。
具体的な選定のあり方は、後ほど事務方から説明があると思います。
(問)観光として、どういうふうな航路になることを期待されているのかお願いします。
(答)やはり東京の魅力として、ウォーターフロントの魅力というのは、今まであまりクローズアップされていなかった。
新しい東京の魅力を提供するということが、特に海外の方に対して提供するというのが非常に大きなことなのではないかと思います。
フランスでもパリではセーヌ川、ロンドンではテムズ川の舟運が観光として相当賑わっているということから、東京都のウォーターフロントというのも観光面でのポテンシャルが相当あるだろうと。
それを開発していこうということです。
特に2020年に向かって、更に多くの外国人の方がいらっしゃると思いますので、そういう魅力を提供していきたいと思っています。

(問)アメリカの国務省が、感謝祭前の渡航の注意情報、これはテロに関連した具体的な情報があるということで、そうしたアラートを発しているのですが、これは日本の空港なり鉄道等を司る大臣として何かテロに関する情報提供はアメリカ政府からあったのでしょうか。
また、その警戒レベルを上げるなどの対策は講じられているのでしょうか。
(答)アメリカから今御指摘のあったことは、私はまだ直接報告を受けてございません。
いずれにいたしましても、これは国交省だけの話ではございませんので、関係部局とよく情報連携をしながら、必要な対策を適切に講じていきたいと思っております。
(問)現時点では、警戒レベルを上げているというものではないということですか。
(答)現時点では、警戒レベルを上げているという報告は受けておりません。

(問)高速道路の逆走事故ですが、資料にも書いているとおり、認知症や高齢社会に絡む問題でもあるということで、今後の有識者会議での議論というか、事故撲滅に向けての取り組みとしてはどういうことが考えられるのか。
ETC等を使うということも伺っているのですが、具体的なものがあれば教えてください。
(答)カーナビやETC、特に最新のETC2.0等で逆走しそうですよとか、逆走してますよということを注意喚起してもらう。
そういう音声を流してもらうというようなことは可能ではないかと思います。
そういう音声による注意事項、あるいは自動運転技術を活用して、そういうところには行かせないと、逆走みたいなことはさせないというようなことも考え得る対策ではないかなと。
いろんなことは考えられると思います。

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