大臣会見

太田大臣会見要旨

2015年10月2日(金) 11:00 ~ 11:20
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件の、御報告はございません。

質疑応答

(問)先日、インドネシアの高速鉄道で、中国側勝利で決まりました。
中国側、多額の財政負担をするということが伝えられています。
まずは、この件の大臣の御見解をお聞かせください。
もう一点は、インドとかタイとかアメリカとか他の国でも高速鉄道輸出の予定があると思うのですが、また今回と同じようなことが起きないとも言い切れないと思います。
今後の高速鉄道輸出の戦略をお聞かせください。
(答)9月29日に、ジョコ大統領の特使でありますソフヤン国家開発企画庁長官から菅官房長官に対しまして、ジャカルタ・バンドン高速鉄道事業につきまして、「中国側の新たな提案を歓迎したいと考えている」という旨の説明があったと承知しています。
国交省としましては、高速鉄道に関しまして、日本提案が選ばれなかったことは極めて残念であると考えています。
インドネシア政府からは、当初、この事業を見直し中速鉄道として実施する。
そして、事業の詳細を作成して日本企業に提示し、参画機会を公平に提供すると、このように説明を受けていたところです。
それにもかかわらず、今般、その方針が性急に変更された経緯につきましては、誠に理解しがたく、極めて遺憾であると言わざるを得ないと考えているところです。
国交省としましては、今回の件を十分に分析した上で、他国への働きかけを引き続き精力的に進めてまいりたいと考えています。
現在、経協インフラ輸出ということについて、インフラ案件の輸出を総理自ら、また私自身も、アジアを中心にして直接行ってお話をしてきているところです。
日本の技術は非常に素晴らしいという評価は、どの国でもいただいています。
ただし、お金の点で少し高価ではないかというような声が出たりしておりまして、むしろ、トータルのライフサイクルコストということの全体を見ますと、日本は大変優れているということを御理解いただいている途上にあると思います。
もう一つは、日本は非常に相手国の人材の育成ということにも心掛けてきているという特徴がありまして、その辺も人材育成について、直接、私であれ誰であれ非常に強調して、ここもまた大変理解をいただいてきている上に、予算面でもJOIN(海外交通・都市開発事業支援機構)がスタートして1年経ったわけでありますけれども、JICA(国際協力機構)とかJOINとかNEXI(日本貿易保険)とか、いろんなところと連携を取って、予算についても財源についても提示をしてきています。
私が実感しておりますのは、それぞれの国にいろいろ事情の違いとか、どういうものが必要かとか違いがありますから、そのそれぞれの国の希望をよく掴まえて連携を取るということが必要だと考えています。
今回の件が、直ちに他国に影響があるとは私は思っておりません。

(問)先日の高速道路会社と大臣との連絡会での根本さんの発言についてお考えを伺いたいと思いますが、根本幹線道路部会長が議論の最後に、国民は高速道路無料化を望んでいないと。
これは彼の持論ですが、永久有料化すべきというのをまた繰り返し述べておりました。永久有料化すべきというのは、放っておけばいいと思っているのですが、国民が望んでいるというくだりはですね、何を以てそう言っているのか、道路局と話をしても当然政府のお立場は、2065年以降どうするかということですが、みんな死んだ後なので分かりませんけど、いずれにしてもルール上は無料化をするというのがルールであって、現状はそれまでのその猶予期間にいるんだというはずなのに、国民は無料化を望んでいるというところまで踏み込んで発言をされた。
これは政府見解と一致しているのか、あるいは大臣のお考えと同じなのか、そこを伺いたいと思います。
(答)先日の高速道路機構・会社との連絡会議におきまして、高速道路機構・会社の業務点検検討会の座長を務められました根本教授から、「2065年に償還が終わって、永久有料化に向けて、かじを切るべき時期になっているのではないか」という趣旨の発言がありました。
そこにいらっしゃったものですから、その発言は非常に印象深かったと思いますが、今の発言の中にもありましたように、あくまでもこれは根本教授のお立場からの発言であると思っています。
あそこでお話をしていなかった方が根本教授だけだったので、私の方からあえて何か御発言はありませんかということで、差し向けた中での個人的な見解を述べられたということだと思います。
この有料道路制度について申し上げますと、国交省の立場、また私が取ってきた立場は、今までと全く同様です。
我が国の道路は、無料開放が原則であって、厳しい財政状況の下で道路整備特別措置法を制定し、有料道路制度を導入しているところです。
平成25年6月の国土幹線道路部会の中間答申を踏まえ、昨年の通常国会において道路法等の改正を行い、高速道路の大規模更新・大規模修繕を実施するため、建設債務の償還満了後15年間継続して料金を徴収することとしたところです。
また、国土幹線道路部会の中間答申においては、償還満了後の適切な維持管理のため、引き続き利用者に負担を求めることも検討すべき、というようなことがあることは事実でありますが、あくまで高速道路を恒久的に有料にするということについては、利用者を始め、広く理解を得られるかという課題もありまして、今後も極めて慎重な検討が必要であるという考え方に変わりありません。

(問)先ほどの高速鉄道の件について、改めて大臣や官房長官が極めて遺憾と感じる対応をインドネシアがしてきたことに対して、更に巻き返す努力若しくはその公正性を訴えたりして、もう一度インドネシアに対する高速鉄道へのチャレンジというのは今後どう考えているのか教えて下さい。
(答)これについては、今、分析をさせていただいている途上です。
基本的には、これ自体を今、分析途上で結論ではありませんけれども、今回のことについては極めて遺憾という私達の考えを述べて、その後、インドネシア側がどう来るかというようなことがあるかないか、そして、インドネシアにこの言った動きと別の動きがあるかないかというようなことも含めて、分析とそのことを見極めて最終的な判断をしたいと思っておりますが、誠に遺憾であるという考えが今のところです。

(問)フォルクスワーゲンの不正ソフト問題について質問させてください。
改めて、国内のディーゼル車販売メーカーに同様の不正がないのか、今の時点での確認状況をお願いします。
また、不正ソフトの使用禁止を大型トラックから乗用車まで広げるかどうかについて、前回の記者会見でも質問が出ましたけれども、改めて今日時点での大臣のお考えをお聞かせください。
(答)関係各社の対応につきましては、現時点で、直接の報告を受けているものではありませんが、今日中にと思っておりますが、各社からのホームページ等で公表されていることも承知しているところです。
フォルクスワーゲン社では、今回の問題に関しまして、技術的な対策については各国行政機関に対して今月中に報告すること。
自動車ユーザーに対して数週から数ヶ月の間に情報を提供すること。
グループ会社のブランドの車両1100万台に影響が及ぶ可能性があること。
これらが表明されています。
一方、BMW、ダイムラー、マツダ、トヨタ及び日産は、不正なソフトを使用していないことを表明しています。
国交省としては、現在、各社に対しまして報告を指示しているところであり、その報告の中で各社の対応について、よく精査していきたいと思います。
一応、我々としては、今週と言っておりますので、今日ということの判断、報告ということで我々は考えています。
不正ソフトの件でありますが、トラック・バスなどの大型ディーゼル車については、平成23年に台上での運転による検査時以外に排出ガスを増大するといった事案が我が国で発生しました。
これを契機に、平成25年より排出ガスを低減させる装置を実際の走行では働かないようにするソフトの使用を禁止してきました。
一方で、ディーゼル乗用車については、当時は普及していないということ、大気汚染への影響が小さいということから、当該ソフトの使用禁止は見送られてきたものだと承知しておりますが、今回、フォルクスワーゲン以外に同様の不正を行っている自動車メーカーは承知していませんが、今回の事件を受けて、ディーゼル乗用車にこの禁止措置を講ずることについて、早急に検討することにしています。
従来この規制は、国際基準の一環として、平成30年までに導入することとしておりましたが、その前倒しについても検討してまいりたいと思っています。
現在、日本で走行しているフォルクスワーゲン社のディーゼル乗用車約230台については、不正ソフトが組み込まれているものの特定を急いでいるところです。
車両を特定次第、ソフトの書き換え等の適切な対応について検討してまいりたいと考えています。

(問)中国の国慶節が昨日から始まりまして、インバウンド需要が期待されています。
一方で、中国当局が銀聯カードの引き出し限度額を設けたようです。
爆買いなど中国旅行者の購買行動に影響がないのかどうか、御見解を御説明ください。
(答)銀聯カードについては、これまでも海外での現金引き出しが1日1万元、約19万円に限られておりまして、高額の買い物の際にはカード決済が一般的だと聞いています。
今回の中国当局の措置は、カード決済の限度額を定めるものではないことから、あくまで現金の引き出しということが、1日1万元に限られているわけで、カード決済の限度額を定めるものではないということでありますから、訪日中国人観光客の消費行動に大きな影響を与えるものではないと考えております。
今、国慶節ということもあり、非常に多くの中国人観光客が来てくださっているという状況にもありまして、またいくつかホテル等が足りないとかいろんな案件があるでしょうから、そうしたことにも十分注視をしていくようにということを再度、昨日も今朝も確認したところです。

(問)先日、JR北海道が来年3月のダイヤ改正に合わせて、ローカル線の普通列車の大幅な削減であるとか無人駅の開始などを発表しました。
沿線住民から通勤や通学など暮らしへの影響を懸念する声もありますが、今回JR北海道が打ち出した合理化策に対する大臣の御所見を伺わせてください。
(答)JR北海道が、来年3月のダイヤ改正に伴いまして、利用者の少ない列車や駅の見直しを進めるという考えを発表したことは承知しております。
今後、JR北海道においては、関係する沿線自治体に対しまして、会社の経営状況、該当する列車や駅の利用状況、見直しの考え方を御説明する予定と聞いております。
いずれにしましても、JR北海道においては、沿線自治体の皆様に、丁寧かつ十分な説明を行って、話し合いを進めて頂くことが重要であると考えているところです。

(問)先日、会計検査院が、東京メトロ株の売却の話が進んでいないことを指摘しました。
今後この話を受けて、国交省としてメトロ株売却の計画を都にどのような話を持ちかけるのか対応を教えてくだい。
(答)東京メトロの株式につきましては、民営化に向けて、国と東京都はできる限り速やかに売却するよう東京地下鉄株式会社法に規定されています。
また、東日本大震災の復興財源確保法におきまして、東京メトロの株式売却収入は復興財源に充てられることとされており、株式の早期売却は、非常に重要であると認識し、東京都と協議等を行ってきているところで今も行われています。
平成25年1月でしたが、私自身が、当時の猪瀬都知事とこの問題について協議を行っています。
この中で、東京メトロと都営地下鉄のサービスの一元化を図ることは重要であり、この点も含めて、引続き協議をしていくことを提案しました。
これを受けまして、事務レベルでは、サービスの一元化を中心として、協議を進めてきたところです。
その後、平成26年2月に舛添知事が就任しました。
そして3月に定例会見を行って、舛添知事は「今のところ都の持ち分を売却する意向はない」という旨の発言をされたと承知しております。
しかし、そうした発言はあるのですが、民営化により経営効率化と利用者サービス向上を図るためには、国と東京都が連携して株式を売却する必要があるという、ここは基本的な考えです。
国交省としましては、これまでも、東京都に対しまして、早期の株式売却に向けた働きかけを行ってきたところでありますが、引き続いて東京都との調整を図っていきたいと考えているところです。

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