大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年11月21日(金) 10:22 ~ 10:48
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で御報告はございません。

質疑応答

(問)本日の午後に衆議院が解散されます。
いよいよ総選挙となるわけですが、今回の総選挙はアベノミクスの中間評価が争点となるとされてますが、大臣御自身この政権交代後の2年間をどのように総括されるかをお聞かせ下さい。
(答)まさにこの2年間の安倍政権、アベノミクスの中間的な評価と指摘がありましたが、安倍政権はアベノミクスという前に3本の柱を立てまして、景気・経済の再建ということ、復興の加速ということ、防災・減災をはじめとする危機管理という3点を掲げて、この3つを軸にしてやってきました。
私はその中の閣僚の一人としてこの3本柱のかなりの部分を担うということであったわけですが、そこは間違いなく防災・減災や、あるいは財政政策の中での公共事業のあり方や東北の復興の加速ということについて前進を果たしてきた2年だと思っています。
景気・経済の再建という中でのこれがアベノミクスという内容と思います。
大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略。
このアベノミクスの3本の矢の効果は様々な点で現れていると思います。
株価を見ますと政権交代により倍増、解散を宣言した2年前の11月13日、8,661円であった株価が、解散を表明した2年後、この間の11月18日を比較しますと17,344円という形で倍増しているという状況にあります。
有効求人倍率は雇用面で非常に大事な指標ですが、22年ぶりの高水準になってますし、企業の景気動向を判断する業況判断DIも13か月連続プラスを実現するなど、大きく前進をしていると思います。
これを地方、そして中小企業、あるいは町工場の隅々までということについてはまだ不十分だという認識を有しておりますから、そこへの波及というのが、好循環の中で実感が得られるようにということが今の私達の決意であるわけです。国交省の関係でいいますと、まず観光分野ということについては大変前進をした2年でございま
した。
目に見える成果が上がっていると思います。
訪日外国人旅行者数は一昨年は836万人でありましたが、昨年は1,000万人の目標をついに突破し、200万人増えた1,036万人ということになりまして、今年も好調が続いておりまして、(訪日外国人旅行者数は)恐らく1,300万人前後と予想されております。
そうしたことは円安であるとか、日本が元気になるというアベノミクス効果ということとか、あるいはオリンピック・パラリンピックが決定したということや、富士山や富岡などの世界遺産や食文化など様々なものが考えられますが、東南アジア諸国から日本へ大勢の人が来るということから考えますとビザの緩和ということが大変大きく効いたことと思いますし、相当プロモーションもかけたりいたしましたからこれは効果を発揮したと思っています。
この旅行消費額も一昨年の1.1兆円から昨年は1.4兆円、今年は2兆円とほぼ二倍に跳ね上がるという見込みです。
国際旅行収支は過去ずっと3兆円を超えていた赤字が、昨年は0.7兆円の赤字にまで改善をしまして、今年4月には大阪万博以来44年ぶりに、単月ベースでありますが、黒字というのは大変大きな事であったと思います。
また国交省関係では、土地の状況というのがあろうと思います。
不動産関係では全国の地価動向についても効果が出ていると思います。
今年7月時点の都道府県地価調査によりますと、全国平均では下落が続いているものの、下落の幅は縮小し、上昇地点数も増加をしているという状況にございます。
3大都市圏では、住宅地で6年ぶりに上昇に転じて、商業地も2年連続で上昇ということになっています。
地方圏でも下落の幅が縮小して、上昇地点数も昨年からほぼ倍増しているということになっています。
こうしたこの前進したという状況を、経済の好循環を確かなものにするということが今の課題であり、私は実感と未来ということを言っているわけですが、庶民の生活、地方の方々に、あるいは中小企業というところにその実感が得られるように力を注ぎたいと思っているところです。
併せて、実感と同時に未来を志向すると、2020年という年には、オリンピック・パラリンピックが行われる。
しかし、それは同時にプライマリーバランスの黒字化ということをそこで果たさなくてはならない。
デフレは完全に脱却して成長軌道に乗せていかなくてはならない。
こういうことに向けて実感が得られるようにしながら次を志向するという、今は大事な地点に立っていると私は思っているところです。
2年間の全体的な状況把握は私はそういうふうに、特に国土交通関係では、そう思っております。

(問)タカタのエアバッグ問題についてお聞きします。
アメリカで気候的要因を勘案せずに全米にリコールの動きが広がっているのですが、火曜日(11月18日)の大臣会見以降に何か進んだ動きがあれば教えて下さい。
それから、人命に関わる話ですので、国土交通省としては、自動車メーカーを通して調査をしていると思うのですが、タカタから直接色々お話を聞く機会はないのでしょうか。
(答)(米国議会)上院で現地時間20日、日本時間で今朝ということになりますが、公聴会が行われたということが新しいことだと思います。
アメリカにおきまして、アメリカ運輸省の高速道路交通安全局の指示で、タカタ製のエアバッグについて、当初は地域限定で回収調査が実施されておりました。
しかし、18日、米当局は他の地域でも不具合があったために、タカタと自動車メーカーに対しまして対象となるエアバッグを搭載した車両について、全米でリコールするよう要請したとこのように聞いております。
ここは新しい事態で、どう対応するかということについてはよく考えて対応をしなくてはいけないことだと思います。
一方、日本では容器の破裂が4件発生していますが、死傷者は出ていません。この4件と同タイプのエアバッグを搭載した車両を含めて、既にリコールされた車両約254万台につきまして、自動車メーカーによる回収作業が確実に進むように引き続き指導・監督していきたいと思います。
また、未だにリコールされていない車両がございます。
これについてタカタ製のエアバッグを使用しているものについては、自動車メーカーに対して不具合発生の有無の調査を指示しています。
加えて、自動車メーカーに対して米当局から全米でのリコールを要請されたエアバッグについて、日本でも同様にリコールを行う必要がないか至急精査するよう指示をしているところです。
そこで、ご指摘の中にもありましたが、国交省としてリコールの届け出主体である自動車メーカーを通じて調査することが基本となりますが、しかし、タカタに対しても不具合の発生状況について、直接調査を指示し、説明を求めるなど厳正に対処しているということです。
報告を受けているだけではありません。
調査を指示して、説明を求めるという厳正な対処をしているところです。
これについては、自動車の安全上極めて重要な問題と認識しておりますので、万全の体制を取らなくてはならないとこのように思っております。

(問)冒頭お話があった経済対策としての公共事業ですが、今月ありましたゼネコン各社の中間決算発表の席では、これ以上公共事業を発注されても受注する余力がないというような発言が相次いでいまして、その経済対策としての公共事業に効果が薄れているのではないかという指摘もあるのですが、経済対策が今検討されているところでもありますので、大臣のご所感はいかがでしょうか。
(答)私はここの公共事業執行体制ということについてはずっとウオッチをしながら来たところです。
予算全体は公共事業としては横ばいというのが現状であって、予算が急に増えているという事態は、これはありません。
アベノミクス等々によって民間の建設関係の投資が増えてきたということとも相まって、そしてまた東北の復興の本格的な動きという中で、全体からいって仕事量が若干増えてきているという状況なんですが、それをやる側にとりましては、この数年ずっと続いてきました公共事業削減とか、あるいはダンピングが非常に多かったとか、そして若い人が離れていき高齢化、担い手は去っていく、こんなひどい状況が続いておりましたから、ここをしっかりと立て直すということが極めて重要だと私は思っておりまして、様々な労務単価の引き上げとか、資材の高騰等に対応して生コン等についても手を打って、現在のところは順調に執行がされているという認識をしています。
その意味では、やらなくてはならない、災害も多かったり、被災地の復興ということもありますし、様々なインフラ整備ということについては、現在は執行は十分できているという認識をしておりまして、更に若い人等もこの業界の見通しがきいて入ってくるというような、そして処遇も改善される、建設関係の技能者の賃金も平均して400万円くらいだったのが300万円くらいに下落をしていたということもありまして、まだかつてのようには戻っておりませんが、やっと順調な軌道に業界としても来ているという認識をしておりまして、更にこの辺は落ち着いて執行がしっかりできていけるようにということに私は努力をしたいと思っています。
そういう点では、いわゆるクラウディングアウトというようなことがよく言われますが、公共事業は土木が9割であり、土木と建築がどう違うかということが案外分かっていない方も多いようです。
私のように土木出身の人間にはあまりにも常識と思っていたのですが、例えば、私が土木の関係者であっても建築関係の建物を造れと言われてもそれはできません。
鉄筋、型枠もそれぞれ基本的には違っているということでありますので、公共事業は9割が土木、そして(民間)建設関係は8割方がいわゆる建築ということでやっているということからいっても、クラウディングアウトは起きていないということであろうと思います。
ただ、ご指摘のように非常にここは大事なことで、人手不足とか資材が高騰するとか色んな要因があり、復興を始めとしてやらなくてはならないこともありますので、私は落ち着いてこれが執行していけるように、それが結果として経済というところに好循環を果たすという一定の良い役割を果たしていくという認識をしています。

(問)最初の質問に対して、アベノミクスが大変順調に経過しているというお話がありました。
順調に経過しているこのタイミングで衆議院を解散するという意味はどういうところにあるでしょうか。
(答)正に2年間のアベノミクスというものの方向性の中で、好循環を果たすということ、そして3パーセント消費税を上げたということにより、やはり反動減というものが生じてきているということで、消費税を来年再び上げるかどうか、政治的には3党合意という非常に重い、そこの中には選挙戦もあってということの中でのものでありましたから、かなり大きな変更ということであろうと思います。
そういう意味では、アベノミクスを始めとする、この2年間の政権の方向性、政策と、更に消費税についての変更をもたらしたということの、かなり大きな変更ということを問いかけて、そしてこの2年間はどうであったのか、これからそれを更に実感が得られるように、そしてまた未来が志向できるようにということでの、それを担う人を選択する選挙戦が始まると、私はそのように思っています。

(問)どのようなものが今回の選挙の焦点になるのかということを伺いたいのと、解散にネーミングをつけるとしたら、大臣はどのようなネーミングをつけられるでしょうか。
(答)ネーミングは色々あるでしょうが、私は適当な言葉はありませんが、2年間を総括して実感が得られるように、未来が志向できるようにという、誰がこの2年間、また自公政権、安倍政権はこの2年間仕事をしたのか、それを評価して頂いて「更に一層がんばれ選挙」ということになればと思っています。
色んな課題、それぞれ焦点になる政策はそのことだけではなくて、この2年間に行ってきたもの全て、また地方創生という、これからこれは始まる訳ですが、そうしたことも、また社会保障ということも、また外交関係につきましても、全てが私は大事な焦点はいっぱいあると思っています。

(問)与党は、軽減税率の実現を公約に掲げて戦うこととなりましたけれども、国交省が所管する住宅業界からは、欧米に倣って住宅も軽減税率の対象にすべきだという強い要望が長年あがっているのですが、今後、軽減税率の品目に住宅を加えるべきだというふうに、働きかけるお考えがあるのかお伺いします。
(答)これは今後ですね、現時点というよりは昨日、与党の税調で話し合いを進めて、これから本格的に議論していきましょうと。
そして公明党は軽減税率を目指すという事が現時点で全てだと思います。
住宅業界からは私自身も軽減税率というお話を聞いていますが、そこは税調の論議を含めて、これからどうするかということで、私が今ここで選挙を前にして、どうこう言う段階ではございません。

(問)小笠原のさんごの密漁の関係ですけれども、19日に漁業主権法ですとか、罰金の金額を大幅に引き上げる法改正がなされまして、それを受けて海上保安庁の摘発の方針を何か検討するようなことがあるのか。
また現状の摘発の状況で新たなものがあれば教えてください。
(答)昨日、海上保安庁の航空機による哨戒の結果、中国漁船と見られる外国漁船を47隻確認しました。
現場における取り締まりについて、私からは海上保安庁に対しまして、24時間体制での強い対応を指示しておりまして、海上保安庁は、これまでの特別の体制をさらに強化している状況にございます。
網を下ろすときは夜で真っ暗闇という状況にあるということを認識しまして、夜もしっかり監視体制を強めるように指示をしておりまして、本日、領海内において夜間に違法操業を行っていた中国さんご漁船の船長を逮捕いたしました。
10月5日以降、これまでに中国人船長を8人逮捕しています。
国会において、ご指摘のように19日に、外国漁船の違法操業に対する罰金額の上限を3,000万円に引き上げるための法律改正が、可決・成立いたしました。
この引き上げが、外国漁船の違法操業の抑止につながると大いに期待をしています。
いずれにしましても、海上保安庁として、政府内での関係省庁との連携、そして東京都との連携、しっかりとって厳正に取り締まりを続けたいと考えております。

(問)昨日、福岡県知事と福岡市長が福岡空港の民間委託への同意を表明しました。
国土交通省としては今後どういうスケジュールで福岡空港の民間委託を進めていかれる考えでしょうか。
(答)これは昨年7月に民活空港運営法が成立した直後でしたが、私の方から福岡県知事にお会いした際に、福岡空港の民間委託についてのお話をさせて頂きました。
それ以降、地元において議論をしていただきました。
そして「福岡空港の民間委託を進めて欲しい」という地元福岡県の最終的な意向がとりまとめられたと聞いています。まだそこまでしか聞いておりません。
それで引き続き地元と密に調整を行いながら、民間委託について詳細なスキーム及びスケジュール等について検討を進めていきたいと考えております。

(問)さんごの体制強化ですが、言える範囲内で大臣、どういった強化なのか教えてください。
(答)さっきさりげなく言いましたが、特に夜の体制を強化しているということです。
それから、漁船の掌握をそれゆえしっかりしていくということです。
それが排除できるという体制を整えるということです。
言えるところはそこまでです。
(問)関連して、なぜ今、さんごの体制強化なのか、その理由をもう少し教えてください。
この時点で体制を強化したことの理由ですが、これまでではなく、もっと後でもなく、数としては、おそらく燃料も水も減ってきて(船が)減少しているわけですが、依然残っていると。
(答)最初から万全を期して夜もそういうことについてやってきました。
しかし、いつまで経ってもまだ残っているということで、きちっと対処したいということです。

ページの先頭に戻る