大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年9月19日(金) 10:30 ~ 10:58
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で私の方から御報告するものは特にございません。
 私の方から2点御報告をさせて頂きます。
 1点目は、インドへの出張であります。
9月22日から25日にかけまして、インドを訪問致します。
先般、モディ首相が訪日した際にお会い致しまして、インフラ整備や観光に関する協力が重要であることについて意見が一致を致しました。
それを具体化するため、インドを訪問し、首相及び関係閣僚と会談を行いたいと考えています。
モディ首相のほか、道路交通・海運大臣、都市開発大臣、観光大臣、鉄道大臣との会談について現在調整をしているところです。
具体的には、鉄道、道路、都市交通、海事などのインフラ整備における協力関係の強化や、双方向の観光交流について協議して参りたいと思います。
詳細は、追って事務方より連絡をさせて頂きます。
 2点目は、広島市の土砂災害への今後の対応であります。
8月20日に発生致しました広島市の土砂災害から1ヶ月が経過を致しました。
国土交通省では発災直後からTEC-FORCEを派遣し、二次災害防止のための技術的支援や、市道や用水路に堆積した土砂の撤去など、緊急対応として様々な支援を実施して参りました。
未だ安佐南区には避難勧告が解除されていない地域もありますが、今後は、緊急対応から、生活再建や本格的な復旧への新しいステージに入っていくと認識をしています。
生活再建につきましては、国交省としましては県、市及び建築関係団体と連携をして、被災住宅の復旧に関する相談窓口を継続するとともに、下水道の早期機能確保が図られるよう技術的支援を実施して参ります。
また、復旧に向けた体制を整えるために、本日から太田川河川事務所に「広島豪雨土砂災害対策推進室」を設置しまして16名の職員を、あわせて安佐南区八木の現地には「現地推進室」を設置して10名の職員を配置致します。
具体的には、地域の皆様の不安をできるだけ早く解消するため、緑井・八木地区を中心に24渓流で国による砂防堰堤の緊急事業に着手致します。
更に、土砂災害防止法の改正につきましては、臨時国会への提出に向けて、現在、鋭意検討を進めているところであります。
被災地の一日も早い復旧、復興のために、これからも国土交通省としてしっかり取り組んで参ります。
詳細は、追って事務方より御連絡を致します。
私からは以上です。

質疑応答

(問)1点目の御報告にありましたインドですが、先月、モディ首相とお会いして改めて訪問する目的をもう少し詳しくお聞かせ下さい。
(答)日印関係ということを考えますと、両国間の協力や交流ということは、まだ目標とするあるべき水準には達していないと、このように考えております。例えば、訪日旅行者は中国131万人、ASEAN117万人に対しまして、インドは昨年8万人ということでありました。
また日系企業の拠点数も中国は3万2千拠点、ASEAN8千拠点に対しまして、インドは2千拠点にすぎないというような、色んな意味で協力関係がまだ非常に不足しているという状況にございます。
これに対しまして、先日の日印首脳会談、大変の意義のあったことだと思っておりますし、私も(モディ首相に)直接お会いをして、日本とインドとの関係がここで新しいステージに入るという特別なという言葉が入りましたが、そうしたことを感じたところです。
この日印関係を飛躍的に拡大強化するという機運は、具体的には、首脳会談では日本の対インド直接投資額及び進出日系企業数を今後5年間で倍増するという発表を致しましたし、また今後5年間でODAを含む3.5兆円規模の対インド投融資を実現することと、数値を明確にして合意が形成されました。
私は、その中でも非常にインフラ部分あるいは観光という部分は大きいと思っておりまして、インドに行きましてモディ首相にもその辺は大枠でまずお会いをしてお話し合いをさせて頂くとともに、諸々の案件について大臣との間でそれを詰める作業、進める作業をしてきたい。
首脳間の合意を具体的に速やかに展開、推進するためにインフラや観光などの分野における協力を促進したいという思いで、インドに行きたいと思ったところです。
インフラ整備につきましては、鉄道、道路、都市交通などのトップセールスを行い、我が国企業の参入機会の拡大を図っていきます。
具体的には、高い安全性・信頼性など、新幹線が今特に焦点になっている訳でありますが、ムンバイ=アーメダバード間を始めとして、この新幹線のメリットをしっかり伝えてきたいと思っています。
また、都市部におけるメトロ、モノレール、LRTこれら日本の都市交通システムの優秀さについても十分に説明をしたいと思います。
道路の整備手法や維持管理、こうしたことに対しても協力について協議をします。観光については、双方向の交流拡大につきまして、実務協議を開催して具体策を検討する方向で道筋をつけたいとこのように思っています。
先般の私とモディ首相との会談の中でも、インド側としても仏教遺跡を始めとするところを整備をしたいとか、様々な具体的提案もございますから、そうしたことを現地に行って現場でそれぞれの担当の方と詰める作業を行ってきたいとこのように思っています。

(問)昨日発表された都道府県地価調査について、三大都市圏では6年ぶりの上昇など全国的に上昇した地点は増えましたが、一方で地方は下落幅が縮小したとはいえ引き続き下落が続いております。
なかなか景気回復が地方に及んでいないという指摘もありますが、大臣、この結果についてどうお考えでしょうか。
(答)今年7月時点の都道府県地価調査によりますと、三大都市圏では住宅地・商業地ともに上昇している一方で、御指摘のように地方の地価は平均しますと、依然として下落をしたままであるという状況です。
しかし、この地方においても下落幅は縮小しているという傾向があります。住宅地・商業地とも昨年より地方圏でも下落幅は縮小しておりますし、上昇地点数も昨年からほぼ倍増しているという状況にもございます。
札幌・仙台・広島・福岡などの中核都市ではすでに地価が上昇に転じていると。
こうした動きが静岡や大津などの都市にも拡大をしている状況にあるわけです。
そういう意味では全体的に上昇傾向ということにあることは間違いないのですが、三大都市圏と他のところ、また大都市と他のところとの落差というものはやはりあるということを冷静に分析しなくてはいけないと思っています。
地方創生ということが大きなテーマになっており、現在の経済状況によりますとグローバル経済圏とローカル経済圏というGとLといいますけど、Gが引っ張ればLの方もという状況ではない、また違った経済原理と需要ということを見てやっていかなくてはいけないと思ってますが、全体的には温まってきてはいると言いながら、それにむしろ手を打つということが大事だと思っています。
この地方圏においても景気が回復傾向にある地域が増えているということも要因の一つだと考えられますが、更にそこはちょっと質の違う点での手の打ち方というものが私は必要かなとも思っておりまして、まち・ひと・しごと創生本部の中でもそれらについては、先般も構造的にまちづくりを見ていくことが大事だということをお話をさせていただいて、今日も会議があるわけですが、努力をしたいと思っています。
今後の地価の動向につきましては、引き続き注視していく必要があると思いますが、実体経済と連動した適度な地価の上昇によって土地取引の活発化、ひいてはデフレ経済の脱却につながることを大いに期待し、またそこには努力をしなければいけないと思っているところです。

(問)急激に円安が進んでいます。
訪日外国人の誘致の面ではプラスになると思いますが、一方でトラック業界などコスト増につながるという面もあると思います。
何らかの対策を考えるお考えがあるかどうか教えてください。
(答)現時点でこのアメリカの出口戦略といいますか、そういうことに対しての108円という点については、ただちにそれでどうこうすることは今は考えておりません。
政府全体としてこれは分析をよくして、そして総合的に打つべきでものであるならば対策をということで、政府全体だと思っています。
御指摘のトラックなど、こういうところは大変苦労しているということが現実にはある訳で、ここはトラック業界を始めとして、今まで言われていたようなサーチャージもありますし、色々な事でここは業界を管轄する立場としては良く現状を見て、打てる手は打たなくてはならないと思っています。
今後この為替状況がどうなるかについても、まだ簡単には言えない状況だと思いますが、トラック業界は今回だけに限らず大変な状況であるということで、サーチャージを始めとしてやらなくてはならないことは、やらなくてはならないと思っているところです。

(問)公共工事の未消化分が7月で16兆円に達したということで、国交省の統計で過去最高ということでした。
これについての受け止めと今後の対策について何かあればお聞かせ下さい。
(答)ここは御指摘の未消化工事額という表記になっておりますが、それは建設業者が受注して現在執行中、仕事に入っている工事高ということを指すということです。
この7月での数値が、調査開始がリーマン(ショック)のときの2009年以来最高になっている要因は、現在どれだけ執行されて、どれだけ仕事を抱えてやっているかという数値なものですから、今年の前半が特に多いという表示になっているわけですが、今年は前半に経済効果を発揮するということを目標にして、反動減ということもありまして、本予算と補正予算の早期執行ということにかなり意識して取り組んできて、契約が行われて現在そこで仕事が行われているという状況がそれだけの金額として積み上がっているという認識です。
政府全体の公共工事につきましては、6月末の執行率が25年度補正予算で68パーセント、26年度予算では44パーセントと、これ6月末です。
例年からいきますとかなり早期執行という特殊要因があるので、7月時点での執行中の工事高もこれに伴って増加している状況だと思います。
いずれにしましても公共工事におきましては、全体として順調に執行されていると、これは入札不調等であれば契約が行われておりませんからここには入らない。
言葉の使い方が未消化工事額というのが適当かどうかということも私は感じているわけでありますが、早い執行を努力をした、それで仕事が現在行われている、完成の前であるという状況からいきますと、ここは現場の状況をよく見てそれが仕事が順調に行われていくという事が大事だと思っています。
また、入札不調であればこの額が下がるわけですが、入札不調はこの数字は入らないわけで、入札不調とか人件費高騰とか資材の高騰ということについては私はずっとこれを注視をしてきておりまして、今年2月に東北に行ってきて、半年に1回私現地調査をさせて頂いて状況も掌握してますから、またほぼ半年がくるということで現地の状況というものも見なくてはいけないかなと思っているところです。
(問)大臣今仰ったように、入札の不調の問題とか人手不足で工期が遅れるという問題は依然としてあると思いますが、また再増税、消費増税があった時に、景気対策として公共事業が有効かどうかという議論も疑問もあると思うのですが、それについては大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)そこはかなり認識としてはこなれていると思います。
入札不調の現状というのは昨年よりも現実には下がっているという状況にあります。
ここは注視していかなくてはならないということを、私は本当に良いとか悪いとかではなくて常に見ておかなくてはならないとずっと思っています。
人件費の高騰というそれぞれある程度分けて考えなくてはいけないのですが、人件費の高騰ということと全体的な事でいえば、人件費が職人さんはじめとして良かったという時代のまだ8割くらい、去年私が(労務単価を)上げさせて頂いて今年の2月1日にも上げさせて頂いても、これは現状を調査をして上げるものですから、予測してあげる訳でなく調査をして上げる。
そこでまた現場の方が上がっていればそこでまた修正をしなくてはいけないということですから、先行して上げる訳ではないわけで実態を反映、遅れながら反映をしているという認識ですが、これはまだ良いときに比べて8割程度、他の業種と比べても決して追いついていない状況にございます。
その中の業種においても、鉄筋とか型枠とかそうことについては、これはかなり私は長期的な問題としてますますそうなる可能性が強い、それをどうするかという手を打たなければいけないと思っておりまして、人件費高騰という一括りで現場が困ってしまっているという状況には現在はないと私は認識しています。
資材の高騰はモノによって随分違って、よく生コンというようなことがいわれたわけですが、生コンは全国的に極端に低かったのが大分県と宮城県でありまして、他のところはそれほどの高い水準ではなくずっと続いている。
また、国交省が手を打った釜石とかの2箇所におけるプラントの設置とか、あるいは宮城県が独自に4箇所設置したというようなことが(復興に)効果を発揮していると思います。
私、常に大変心配しておりまして、この一年数ヶ月、常に現場のその辺の状況、全国の状況、そして今度は公共工事のことが言われておりますが、それを越えて民間の事業、同じ建設会社がやるわけですから、それらについてもよく注視しながらやっていますが、現在のところはむしろ執行がされて、そして順調と言うかどうかはありますが、一生懸命仕事がなされていると、またこれからもなされるであろうというのが私の全体的な外観です。
そこを現地に行って更によく見て行きたいと思います。

(問)未消化工事についてですが、大臣仰る通り実際業者が受注した時点で自動的に数字が積み上がるわけですが、残念ながらこの統計は、実際に工事が遅れていることが反映されない、されにくいという性格があって、実際にはあの数字は現場での工事の遅れを反映してないという状況にあると思います。
今後、現地での工事の遅れはどうなってるのか、実際にどれくらい積み上がっているのかというのを別の方法で調査をされるというお考えはないでしょうか。
(答)これは、未消化工事額という表現がどうかということ自体あるわけですが、調査は色々ありまして、入札不調、そして人件費、そして物価、資材、それぞれについては調査をずっとしておりまして、7月ももう少し例年とは違う念入りな調査をさせて頂いてます。
私としては、きちっと遂行されて、例えば一度仕事が詰まってですね、工期が伸びるというようなこととか色んな話が出てきたりします。
伸びてくると、重なりが増えてきます。
そうしたことが、ここは工期が予定通りきちっと行われるかどうか、そして工事の遅れ自体ということについては、執行ということに関わってきますから、どれだけ執行しているかということでは順調であるけども、そこが工期の範囲内でできるかできないかということについても十分見ていかないといけないと思ってます。
全体的にこの調査はこの調査、私達は従来からやっているような入札不調やあるいは資材やあるいは人件費、私は皆さんにも協力して頂いているという認識をしておりまして、あそこでこういう入札不調が続いたとかですね、色んなことがあった場合には、直ちに現場は一体何故そうなっているのかということを調べてくるようにということで、それぞれにはそれぞれに理由があって、その隘路を遮断するように、手を打ってきています。
そういう意味では私は全体的にそこは更に努力をしていかなくてはいけないなとこんな感じを持ってます。
(問)工期の遅れについて何か調査をされるお考えがあるということでよろしいでしょうか。
(答)工期の遅れということ自体については、現在調査するということはございません。
そこは現場の状況と、そして、そこの建設業界の人を抱えているとか入札の時に仕事を取ったというような経営状況とか、人工さんをどれだけ集めてるかとかですね、相当現場の状況を聞いてもその企業によってもの凄く違いがあったりします。
その辺をよく見ていくということが大事なので、私は全体的な調査というよりは、ここでそういう傾向があるというようなことについては、現地に行って状況をよく建設会社も大きいところも小さいところも色々あります。
そこを現地の実感というものをよく調べていくようにということで、私も聞いているわけですが、そういう方法で現場の実態を踏まえたいと思っているところです。

(問)インド訪問についてお伺いしたいのですが、昨日中国の習近平主席が高速鉄道について、中国も支援するということを申し出ています。
日本側として新幹線システムを受注させるために、例えば何らかの条件を上積みするなどの手を打たれるお考えはありますでしょうか。
(答)現在のところ、他国がどう動いてというようなこと自体についてという以上に日本の新幹線がいかに優れたものであるのか、あるいは高いということを言う人もいるのですが、実はそれが動いて管理をしていく場合には、実は長い時間かけて見ると決して高いものではないということ。
あるいはまた、トンネルをくぐるというような場合においてもトンネル技術というものについては、日本は非常に優れている。
トンネル自体をトンネルの中で曲がるという場合があったりします。
その時は普通のトンネルとは違いましてカントがありますから、その空間をどれだけコンパクトにどちらに寄せてというようなことについても極めて日本の土木技術は優れていると、私はそこら辺のなんとなく日本のほうが高いんじゃないかということを言われてるけども、長年時間をかけてみれば、結局安全性といい、技術面といい、快適さといい、あるいはこの小さなトンネルの中での空間を車両を軽くしながら車両の中を広げていくというようなことを始めとして、いかに優れているかということを説明するというのがまず一番やるべきことだと思っています。
これは日本の鉄道技術や新幹線技術というようなことは色んな国に及びますから、どの国でどう、どの国でどうというよりは、そうしたことをまず理解して頂くということが大事なことではないかと、これまでも私はそういう方法で話をしてきました。

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