大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年9月3日(水) 20:55 ~ 21:26
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 引き続き国土交通大臣及び水循環政策担当大臣を努めさせていただくことになりました。よろしくお願い致します。
 ご質問を受けます。

質疑応答

(問)改めまして、国土交通大臣としての抱負、どういうことに取り組んで行きたいのか改めて教えて下さい。
(答)これまでの経過については、今日の昼お話させていただきましたが、基本的にはそこでの取り組みというものをさらに目に見える形で発展をさせる、推進をする、取り組みを強化することに力を注いでいきたいと考えています。
第一に被災地の復興の加速、防災・減災、老朽化対策です。
国民の皆様にはこれらの取り組みが進んでいることを実感していただくことが大事だと思っておりまして、引き続き総力をあげて取り組んでいきたいと考えます。
被災地の復興につきましては、住宅再建や高台移転などのまちづくりを加速し、被災地の方々に早く復興を実感していただけるように努めたいと思います。
また、先日の広島の痛ましい土砂災害の状況を踏まえまして、この秋の臨時国会におきまして、土砂災害防止法について、必要な改正を行えるよう、今、鋭意取り組んでいるところでございます。
検討を急ぎたいと思っています。
第二に地方創生であります。
今日もこれからの日本の国土ということを考えると2040年、2050年と2020年の東京オリンピック・パラリンピックはマイルストーンととらえるべきであると。グランドデザインをこの7月4日に出させていただき、或いは交通政策基本法を昨年成立させていただいて、それらコンパクトシティー・プラス・ネットワークということの現実化に力を注いでいきたいと思います。
実行実現内閣と言っておりますが、描いた構想を実現をしていけるように力を注ぎたいと思ってます。
その中では、秋の一番安倍内閣のテーマであります、地方創生。
この地方創生ということのなかで、まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げるということとなりました。
この「まち」自体をどう新しくつくり、直していくのか。そして「ひと」人材が非常に大事である。そして「しごと」特に地方においては、若者がそこで仕事があるということが極めて大事なので、この地方創生の中身ということで「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げたことのこのまちづくりということと、ひとづくりということと、しごとづくりということの中で、国土交通省の私達がやりましたコンパクト・プラス・ネットワーク或いは対流促進型国土、個性を発揮する。
それは観光と言うことではなくてそれぞれの都市がどうやって2040年、2050年に向けて生き抜いていくのかということをまちづくり、ひとづくり、しごとづくり、再生ではなくて創生ということの中身の形成ということの中で、国土交通省が良い役割を果たしていきたいと思っているところです。
第三に我が国の経済成長への取り組みです。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックだけでなく、その後、昭和39年のオリンピックのときには40年に建設をはじめとして不況が訪れたこともございます。
そういう意味では、その後を見据えた成長ということを常に考える。
成長と言うことはどんどん成長させるというよりは、この公共事業とか建設業界ということからいきますと持続的に仕事がある、見通しがきくことが非常に大事で、そういう点では公共交通やまちづくりの観点でのバリアフリー化や或いは多言語対応、無料Wi-Fi環境の整備などを進めて、都市の国際競争力を高めていきたいと思います。
特に観光は、昨年の12月20日に、1千万人を突破して、今年も好調でおそらく200万人ぐらいは増えるのではないかと今動きになっておりますけれども、2020年に訪日外国人旅行者が2千万人になるよう様々な施策をさらに一丸となって取り組んで行きたいと思っているところです。
さらに首都圏の国際競争力の強化のために、今年度中に75万回化が実現される首都圏空港のさらなる機能強化、これについて具体化に向けて、関係者とここは協議を進めていきたいと思っています。現場力こそが日本の底力ということなのですが、この現場を担う人材が将来に渡って確保・育成されることが大事だと思います。
そういう点では女性の活躍の場をこの国土交通行政の中でも展開することや高齢者の方、団塊の世代の方にもできることはやっていただくことが大事だと思っておりまして、トラック業界では運転手が不足していることがありますものですから、女性のトラックということでトラガールの活躍、そして土木の女性のドボジョの活躍、そして男性であれば現場男子というイケメンのよう感じがするこのよく言われている現場男子、或いは建設ナデシコこういう方達の大きな活躍の場を考えています。
現場力を担う人材を将来にわたって確保・育成するということが極めて大事で、これは予算が執行してちゃんとこなしていけるのかということと同じ意想にあるものと思っています。
技能労働者の処遇改善や人材育成、女性が活躍できる環境づくりなど、関係者と連携をして総合的な対策を講じてまいりたいと思っています。
私としては今申し上げたような点ですが、広島のことやこれから9月、10月とさらに台風等がくることが予想されて、ステージも違うものですから、私の中には新しい気象状況、或いは新しいこの雨の降り方というものの中で、もう少し総合的にきちっと対応していく枠組みを作っていく必要があるのではないかと思っておりまして、国交省の幹部の皆さんとはまだ話は進めておりませんが、新たな気象状況の中での本格的な対応もスタートを切って行かなくてはならないのではないかと思っています。
幅広い行政所掌分野を所掌していますので、そしてまた海上保安庁、気象庁、そして観光庁それぞれが非常に重要度をさらに増していることを踏まえまして、現場も含めて総力をあげて課題解決に取り組んで行きたいと考えているところです。

(問)地方創生ですが、大臣はこれまでコンパクトシティ・プラス・ネットワークという形でリーダーシップをとって省内の政策立案を図って来られました。これから石破さんが地方創生大臣という形で就任された訳ですが、まず石破さんと、これまで大臣が進めれてこられた政策立案と方向性が一致しているのかということについてどう考えているのでしょうか。今後、政策実現に向けて石破大臣とどのような関係を作って進めて行かれるのかというお考えについて教えて下さい。
(答)石破大臣とは長いお付き合いの関係にあるもんですから、この地方創生の大臣という立場でこれから貢献するということについて、ここは話し合いをしていかなくてはいけないと思います。
近々、まずどういう形になるかわかりませんが、話し合いをしたいと思っています。
石破大臣がどういう考え方かということについてもお伺いしてやっていかなくてはいけないと思います。
この間から、まち・ひと・しごと創生本部でヒアリングを色々しております。そうした中では、いろいろな町とか、NPOとか、あるいは経済関係の方とか、あるいは知事さんなんかが来てお話をして下さって、色々工夫をしているという感を非常に深くします。
増田廣也さんなどの話も聞かせて頂いたりしました。
ただ、私は色んなアイデアとか、こういうことをやってという小さなアイデアとか、あるいは気の利いたアイデアということも非常に大事なんですが、今日も会見でも申し上げたんですが、厚生労働省の地域包括ケアシステムなどということも一緒に考えたりというようなことが大事だと思いまして、石破大臣がそうした各省庁というものを横断して、横串を指していくということについては、恐らく同じような考え方ではないかと思っています。
それで、鳥取という地域でもありますし、その辺のコンパクトシティ・プラス・ネットワークの中に松江とか米子という話も具体案として7月4日のグランドデザインの中では出てきているようなところもあって、おそらく農業ということにも林業ということにも詳しいということからいきますと、こちらの考えと石破大臣の考えとおそらくきちっと融合すると良いものができるのではないかというように、私は大いに期待をして話し合いたいと思っています。

(問)今回の改造内閣では、集団的自衛権の法制化に向けた議論を進めていくことになります。大臣は平和の党、公明党出身の、またかつては党首も務められたというお立場の大臣として、国会の論戦の中で意見なども求められることも増えると思いますが、どのようなお立場で今回、国会議論に向かっていかれるお考えかということをお伺いします。
(答)まず、私の立場から言いますと、海上保安庁が担う部分ということについては、法案形成の前に、どういう形に、その隣接する部分になるか直接関わるかということについてはまだわかりませんが、海上保安庁を所管する私としてはそこについてはきちっと考えるところを、海上保安庁とも打合せをしながら、ここは海上保安庁とシームレスな形で自衛隊の活動をというところが大きな主なんで、あそこでは例示が1、2というようなところがあったわけなんですが、それについては、私の考え方を法案の前段でしっかり入れなくてはいけないと思っています。どういうことになるかはまだわかりません。
その他のことについては、他省に関わるということは、これについては私は今どうこうという立場ではありませんものですから、ただ公明党という今までのこの集団的自衛権、安保法制を巡る考え方の中で、審査要求を始めとして、きちっと意見を述べて、そして合意形成していったという経過もありますから、恐らくこれは党としても当然意見を述べ、そして与党という立場から言いますと、事前審査というものが十分行われるのではないかと思っているところです。

(問)これから大臣の補佐官制度が設けられることになっていますが、大臣として補佐官についてはどのような人材の登用をお考えでしょうか。
(答)私も色々考えたんですが、まだここの性格というものについて十分具体的な考えがまとまっておりません。今後、更に考えるということです。

(問)民間も含めてですか。
(答)当然、民間も含めてということになりますが、まだ考えはまとまっておりません。

(問)大臣が力を入れていきたいと仰っている地方創生についてですが、コンパクトシティの形成は一部の研究者から農村部の切り捨てになると懸念の声があがっていますが、大臣の見解を教えて頂けないでしょうか。
(答)全く私はそうは思っておりません。
この論議の中で、人はその土地の文化を呼吸しながら生きるものであるという私は哲学を述べたことがありますが、人はそれぞれのところでずっと住んでいらっしゃるところの愛着とか、土地との一体性とか、そういうことは私の人間哲学としては非常に大事であると思っています。
都市形成の法案を今年の通常国会で論議をしましたが、あくまでこれはコンパクトシティということをやるという中で、誘導型のものであるということと同時に、それが誘導されてそこを切り捨てていくという、切り捨てるのではなくて誘導型のものの法案にさせて頂くと同時に、今度はそこで空いた土地についてはそこを観光とか或いは農業というようなことの中で、どう使うかという、全体のそこの我がまちというのは、中心部もあります、それからそこに二つの大きな塊があるという市もございます。
色んな形態がある訳で、そこの中でコンパクトシティというものの考え方、理念を集約化ということについては恐らく異議は無いと思いますが、そこの中で集約化するということを目的にするという以上に、我が都市、我がまちは何を持って生き抜いていくのかということが大事なので、その人があまり住んでいなく、これから敢えていくというゾーンについては、そのゾーンをどういうふうに活かしていくかということも合わせて考えていかなくてはならない問題であると、私はこのように思っています。

(問)先程仰った新しい気象条件にきちっと対応する本格的な枠組みということですが、具体的なイメージといつ頃から始めたいとお考えでしょうか。
(答)これについては、私が今日は再任という場でありますから、私の胸の中にある思いを今日はお話をさせて頂いて、先程も幹部の方とも話はしていないというふうに申し上げましたが、恐らく国交省の多くの方々が、雨の降り方とか気象状況がちょっと今までのステージと違うなということを感じていると思います。そこのところをよくこれから詰めて、どういう形になるかということは明日以降の作業で、今日は私も敢えて、普通の会見では申し上げないのですが、敢えて私の気持ちを今日は述べさせて頂いたということです。

(問)関連ですが、今日午前中に静岡大の先生が市区町村の防災担当者について仰ったのですが、全国の3割の市区町村で防災担当の専門の人が居ない。それが村とか町単位になると更にそれが居なくなって7割くらいは担当が居ないという話だったのですが、その辺の支援というか、自治体が防災判断する上でどういう支援を国交省としてお考えでしょうか。
(答)何をもって防災の担当や専門家と言うかという問題にも関わってくると思います。
それは老朽化対策と言っても、老朽化対策の専門家とか、それから設計労務単価を計算する専門家とか、この防災の専門家は私もその端くれになるかもしれませんが、砂防は砂防の専門家がいまして、河川の専門家と橋梁の老朽化の専門家と、防災でも砂防を専門するのと気象状況の把握を専門するのと、色々あるんですね。
そういう点では、この協力をして育てるということは当然あるし、全ての専門家が揃うということも無理だし、そういう点ではアドバイスできるものはアドバイスをしなくてはいけないし、体制を整えるという中でどういうふうにこれをしていくかということ。
私は専門家が全部揃ってということは、なかなか不可能に近いものだと思います。全体的に防災ということで何が大事かという急所というものは行政ではあると思うんです。そういうことに長けたということは、経験を積んだり訓練をするという中で私は生まれてくるものだと思います。
ずっと勉強したり、砂防の専門家といっても本当にそんなに大勢いらっしゃる訳ではないので、ただ、全体的にこうした技術を持った方達が少なくなっているのと、前線にそうした蓄えがなかなか不足しているということは間違いないので、もう少し広範な対応というものが私は必要ではないかと思います。

(問)整備新幹線について、北陸新幹線と北海道新幹線の工期短縮についてですが、概算要求では事項要求という形になった訳ですが、これから財源等々、政府と与党の協議が始まると思いますが、留任に当たりまして改めて大臣がどのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせ下さい。
(答)私は既にこれについては述べておりますので、3つの路線について前倒しということが望まれていることについては、よく承知をしています。そこをどうするかということになりますと、財源の問題もあったり、或いは理解も必要だということがあったり、様々なものを整えなくてはならないということになります。
ただ、新しい事態として7月15日に与党から申し入れを頂いた。そして政府・与党からなるワーキンググループが設置をされるということが決まったということ。
そして来年度予算要求において事項要求を行うということで、これが政府・与党間で8月29日に申し合わせを行ったということ。こうした状況が現段階です。そういうことからいきますと、平成27年度予算編成過程、正にこの秋から11月、12月にかけてでありますが、整備新幹線の取扱について適切な結論を得るべく、今度は政府と与党間でしっかりと検討していきたいと思っているところです。

(問)今日、留任に当たって総理の方から何か指示はありましたでしょうか。
(答)全部で7点ほどの指示がありましたが、
[1]耐震化加速や都市防災、大規模土砂災害対策の強化など、国民の生命と財産を守るための国土強靱化を進めること。
[2]外国人観光客2千万人の目標の実現を目指すとともに、観光振興を通じた地域の活性化を進めること。
[3]航空輸送の安定と安全の確保や、航空産業の発展に積極的に取り組むこと。
[4]鉄道分野を始めとするインフラ・システム輸出を進められるよう、民間企業の支援を始め、機動的に対応を行うこと。
[5]我が国の主権と領土・領海を守るため、海上保安庁の体制強化を図ること。
[6]我が国の領土・領海・領空の警戒警備について、緊張感を持って情報収集を行うとともに、適切に対処すること。
[7]水循環に関する施策を集中的かつ総合的に推進すること。こうしたことの指示がございました。
また、特定複合観光施設区域(IR)の整備に関する事務を担当するということの、準備作業、勉強というようなことにもなったと。
これは法案が成立しなければそのまま見守っているという状況でありますが、そうしたこともこの大きな7項目以外ではございます。

(問)最後のIR(特定複合観光施設区域)の関係ですが、カジノ解禁の議論は慎重論が一部でありますが、この件は大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは様々な意見がございます。それはよく承知をしています。とにかく今、継続審議に法案がなっていますから、その審議の過程そして結論というものを見てからでないと、私としては恐らく言及すべきものでは無いと思います。

(問)先程の整備新幹線の前倒しの話で、財源部分の検討事項の一つにJR九州の株式売却益が含まれると思うのですが、今後、国交省としてJR九州の上場に向けた検討というのを加速していく考えはありますでしょうか。
(答)総合的に考えていかなくてはならない問題でもありまして、以前もここで聞かれてお話をしたことがあると思いますが、(売却益の)使い道は決まっているということもありまして、それをどうするかということだと思います。現段階のところでそれ以上、どうするかというのは今後のお話になると思います。

(問)タクシーの件で、大阪府と大阪市がタクシーの自由化を盛り込んだ国家戦略特区を提案してまして、これは1月に施行された改正特別措置法に逆行する内容かと思いますが、提案に対する受け止めと方今後の対応をお聞かせ下さい。
(答)戦略特区の提案については、まずは内閣府において取扱が検討されるものだと私は承知をしているところです。

(問)先程、IRに関して事務作業を行うとのことでしたが、内閣官房にも専属チームが既にありますが、それとの棲み分けについて教えて下さい。
(答)棲み分けでは無くて、そこでやるということです。内閣官房が今準備をしていると。私としては法案が成立をしたということの中で、その後の関わり合いが出てくるという位置付けです。

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