大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年8月29日(金) 10:36 ~ 11:07
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 今日の閣議案件で報告事項はございません。

質疑応答

(問)昨日、2015年度の予算に向けた国交省の概算要求が公表されました。
公共事業費が今年度予算比16パーセント増で、5年ぶりに6兆円を超えるという数字になりましたが、消費増税で家計に負担を強いている中で歳出の抑制を心がけるべきではないかという声もありますが、大臣の御所感はいかがでしょうか。
(答)最初に(予算)規模のことについて御質問頂きましたので申し上げますが、今年度の概算要求につきましては、概算要求基準に則っとりまして、1.16倍の要求・要望を今回行いました。
このうち公共事業関係費が6兆円を超えていると、6兆121億円ということになりました。
これは今年度から特に社会資本整備事業特別会計が、昨年、廃止をされましたことに伴いまして、この分が現在執行されております予算においても、去年の概算要求の時にはこれは入ってなかったのですが、暮れにはこれは入っていた訳ですが、これが入っておりまして約7,000億円入っている訳です。
この分が見かけ上膨らんで見えるということだと御理解を頂ければと思います。
去年この7,000億円を除いたということで判断をしますと、去年の要求額が約5兆2,000億円、今年、今回要求しましたのが5兆3,000億円程度ということになります。
今回は概算要求でありますから、防災・減災、老朽化対策とか、あるいは地方の創生であるとか、成長戦略の具体化等、国土交通省が重点的に掲げるものにつきましては、政府として政府案の決定に至る過程の中で、これから12月に向けまして精査・折衝を行うということになります。
その点では、どの程度になるかは分かりませんが、かなり削られて来年度予算というのが年末に決定されると。
去年も大体1.17倍くらい要求したという記憶がありますが、これは他省庁も同じことですがこれからの精査だと思っています。
財政制約があるということは十分私も踏まえておりまして、必要な公共事業は当然やる訳ですが、財政制約を踏まえてということについては、私は当然心の中に秘めているところでございますし、その辺、無駄と言われるような従来のそういうことでは無いようにということについては、当然だと思っています。
内容につきましては、気象変動により大規模化、激甚化する水害や土砂災害への対応とか、あるいは切迫する南海トラフ巨大地震や首都直下地震への備え、急速に老朽化が進むインフラのメンテナンス、こうした対応が山積をしておりますし、従来から言っております防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういうことについては、私が去年から担当することになりましてから、大体それまでは20パーセント代ではなかったか、データはありませんが、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化という点に50パーセントを超える予算がつけられているという状況に内容をかなり変更しているところです。
また、秋以降、政府全体としては地方の創生ということ、そして成長戦略の具体化など、取り組んでいくということになっておりまして、そういうことについては、ここをどういう切り方かということがあって、地方で行うものを地方創生とかいう言葉の中に含めれば何でも含まれる訳ですが、これについては、防災・安全交付金を始めとして、きちっと防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化ということとともに、グランドデザイン2050でも言いましたコンパクトシティ+ネットワークということの基本の中で、この地方の創生ということについてどうするかと、これは考え方のむしろスタートということがかなり重点的になるのではないかと思っています。

(問)今月、広島市で起きました土砂災害を受けまして、土砂災害防止法の改正の必要性が指摘されているところですが、法律を所管されます大臣の御見解をお聞かせ下さい。
(答)今回の広島市における土砂災害におきましては、土砂災害警戒区域の指定がされていないというところが多いと、この箇所でもそうであったということ。
そして、それに付随します、住民の皆様が避難行動をとることができなかったことなど、多くの課題があったことは非常に大事な問題だと重く受け止めています。
そのために、これ全て土砂災害防止法の改正ということだけでできる話ではありませんが、この担うべきところというものもあるという認識をしておりまして、例えば、基礎調査が終了した段階で危険箇所を公表するということをすると、そうしますと危険箇所を公表することによって、ここは警戒区域あるいは特別警戒区域に指定しなくてはならないんだなという後押しということになると思いますので、そうした指定の促進ということ。
また市町村が速やかに避難勧告を発令するための都道府県からの情報提供、これは県から市に情報が行く訳ですが、土砂災害警戒情報をこれは義務付けておりません。
そういう意味で、今回は警戒情報を提供するということを義務付けるということが必要ではないかと思っています。
それらのことも含めまして、この土砂災害防止法改正の検討に着手するよう指示したという状況にございます。
私としては土砂災害防止法の改正というもので、少しでも命が守れるという体制を取りたいと、全てこれに委ねるわけではありませんが、総合的な対策の中の一つの柱であると考えているところです。

(問)今の(土砂災害防止法)改正に向けての今後のスケジュール感ですが、次の国会に向けてということでよろしいでしょうか。
(答)出来るだけ早くということで考えておりまして、出来得れば、この秋の臨時国会で審議され、成立するというようなスケジュール感で行こうと、まだ準備段階でありますから、色んな手続きや、法制局との打ち合わせ、色んなことがございます。
しかし、これは国民の皆様が大変土砂災害というものに対して全国的に不安を持ってるという現実がありますから、この秋の臨時国会ということを目標にして進んで行きたいと思っています。

(問)リニア中央新幹線について、JR東海が工事実施計画を提出しました。
この認可手続きにどのくらいの時間がかかって、どのくらいに着工されるのでしょうか。
(答)(8月)26日にJR東海から全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、中央新幹線に係る工事実施計画の申請を受けました。
この記載事項については主に三つの観点から審査を開始したいと思っています。
一つ目は、技術基準等への適合についてです。
鉄道営業法に基づく技術基準等に適合してるかを確認し、鉄道構造物としての機能や安全性を審査するということです。
二番目には、環境アセスです。
環境影響評価法に基づきまして、補正後の環境影響評価書の記載事項や国交大臣、私の意見につきまして、適切な配慮がなされているかどうかということです。
この審査です。
三つ目は、JR東海が申請書に記載をしております工事費や完了予定時期が適切かどうかという点です。
これらにつきまして、今までにない長大な山岳トンネル、そして、ターミナル、駅等々、また地盤の状況も違う、そして、かなりトンネルの地層の問題とか、今まで指摘されたものが土かぶりの高さとか色んなことがあります。
そうしたことで難工事が予想されると、その上に建設残土の発生や水資源等の環境への影響がこれまで地方自治体からも提起をされているという状況にありますので、私としてはしっかり審査を行うようにということを事務方にも指示をしているところです。
どのくらいの時間がかかるかということについては、しっかり審査を行うというように指示しておりますので、今、精力的に審査をやり始めている状況でありますが、どの程度時間を要するかについては、現在目途は申し上げられない状況にございます。

(問)先日、大臣はマレーシアの方に旅行されました。
色々な部門の方が御一緒されたと思うのですが、マレーシアは例のマハティール首相がおられた時からルックイーストということで親日的ですが、新たに色んな期待や成果があったと思いますが、どのような成果や期待が今後できるようなツアーになったのでしょうか。
(答)旅行ではありませんで、視察もし、また特に高速鉄道、新幹線と道路行政これらについての協力ということにつきまして関係閣僚、そして、その担当者との会談をし意見交換をしました。
我々としては、どうしてもこういう事業は政府の一員として、閣僚が行ったり、あるいは各企業がお話をしたり、あるいはJICA(独立行政法人国際協力機構)とか、JBIC(株式会社国際協力銀行)とか、それぞれやったりするわけですが、全体で今回は国交省のみならず、官邸からも、そして経産省からも行って、全体的にこの新幹線というものに極めて技術的にも、あるいはコストという点でも、あるいは途中の街の発展という上からも極めて大事だということについての日本の持っている力というものを全体的に総合的にまた結束して考えているんだということを示すことができたと思います。
そういう意味では日本からの意気込みや支援体制について、マレーシア政府の理解を深めることができたと考えているところでございます。

(問)独法評価委員会の評価の決定について所感をいただきたいと思います。
国交省の所管19独法のうち、北陸新幹線の官製談合で刑事罰を受けた鉄道・運輸機構がB判定でした。
記者的には、Bでも甘いと思いますが、大臣のB判定に対する所感を賜れば思います。
(答)北陸新幹線(の談合)については、起訴もされてという状況でもありますから、これは重大な問題であって私は極めて遺憾であるという認識をしております。
それがB判定ということについても、私はこれは真摯に反省をしていかなくてはいけないということもありまして、行革という点では、もちろん談合ということはもってのほかでありますが、常に留意していかなくてはいけないことだと思います。
決して人員の問題、そして入札の問題、色んなことについて大事な問題があり、それぞれの独法関係については、それぞれの今までの歴史的経緯とともに変えて行かなくてはいけない点があるものですから、私としてはよく目を通して、行革ということは常に念頭に置いてやっていかなくてはならないと思っているところです。

(問)リニアの関連ですが、JR東海は公の場では年内に着工したいということを副社長が仰っておりまして、報道では10月着工であるとか、9月末の着工であるという話しがでていますが、仮にその9月の末でということになると、1ヶ月程度で審査をということになると思うのですが、1ヶ月、2ヶ月程度で審査が終わるものなのかどうなのか、その辺のスケジュール感はいかがでしょうか。
(答)先程申し上げましたように、いつどうするかことの目標というか目処というものはございません。
ただ私としては、この土質の問題とか、トンネルということの土かぶりの問題とか、大深度の問題とか、大井川を始めとする水量の問題とか、色んな問題が技術的にはどうなのか、そして現実的には工事がどのように、2027年ということになりますが、その間の周辺自治体にどういう影響を与えるかというようなことでの説得力というか納得性が非常に大事なことだと思っています。
そういう意味では、どのくらいになるかは分かりませんが、今までもそういうことについては相当、研究もしてきたというJR東海の状況についても聞いているところでありますが、なお、これについてはよく吟味をさせて頂きたいと思っているところです。
それが何ヶ月あればいいか、悪いかというよりは中身の問題で一つ一つが納得できるかどうかということだと思います。

(問)広島の土砂災害について、土砂災害防止法の改正は置いておいて、今回、大臣として一番問題があったのはどのことだと考えていらっしゃいますか。
(答)これは、私はぶら下がり会見等でも言いましたが、これが悪い、これが悪いという第一要素というのは、国交省の中でも私は言っておりますが、雨が降ったからだという、これは当然大変な雨です。
そして、線状降水というそうしたバックビルディング現象という、日本ではなかなか起きないことが起きてきているというようなことは一つの大きな要因だと思っていますが、これが主要因だということについては、その雨の降り方というのは間違いなく言える訳でありますが、あと、まさ土だからとか土質の問題。
しかし、隣の八木3丁目はまさ土が主流ですが、八木4丁目のところは流紋岩がかなりあったりする。
可部東地区の場合にはまた鉄岩を始めとするような岩質の状況であったりするということがありまして、私はそういうこととか、避難をするということが1時15分に情報が提供されたのに、(土砂災害の)発生の後に避難勧告が出ている。
3時頃に土砂災害が起きているのに(避難勧告は)その後だったとか、色んなことが言われてますが、これだということよりも全て原因として、これは直さなくてはいけないということについては総合的に見ていく必要があると思っています。
何か決め打ちというのではなく、都市計画というので、ああいうところにどうして家が建ったのだろうということを仰る方もいらっしゃいますが、昭和50年代の造成がかなり多く、そして当時からの状況は全国的にマイホームを持ちたいという人達の気持ちがあって、やっとマイホームが手に入ったと、しかもちょっと高台で景色良くて瀬戸内海が見えるというような、そういうようなこともあったりしまして、今の時点になって何が悪い、これが悪いということについては全て気がつくことについては手を打って、何か一つに絞るとか最大は何だということを決めないで、全てに対して出来る手を打とうというのが私が省内で出した指令でございます。

(問)北陸新幹線が来年3月14日に開業日が決まりました。
訪日外国人2,000万人の目標に向けても非常にいい材料になるのではないかと思いますが、大臣の受け止めはいかがでしょうか。
(答)私は、今年も7月までのデータを見ますと、訪日外国人旅行者数が約26パーセントくらい増えてきているという大変、好調を維持しているという状況は大変喜ばしいことだと思います。
その裏には、昨年行ったビザの緩和とか、あるいは富士山や富岡を始めとして世界文化遺産に指定されるということもあったり、観光ということについて相当諸外国へも私達も(プロモーションを)徹底しており、JNTOも現地で非常に頑張っているというようなこともあったりいたします。
国内をみますと金沢新幹線ということは、この金沢とか北陸ということを越えて、観光という点ではまさに昇龍道計画という、伊勢の方からしっぽがあり、能登半島が頭の龍の形の、大きな役割を果たすと思ってます。
そういう意味では先般も名古屋の方に行きまして、そうした観光ということについて、点では無くて線で行けと、線を越えて面で行けという戦略性ということについて話をさせていただき、7月の終わりに観光庁のメンバー、長官だけでなくて髙木副大臣にも行っていただいて、そして石川や富山の知事達にも来ていただいて、その辺を組み込んだ戦略性を持つということをさせていただいてます。
全国で非常に観光といいますと、地方創生といいますが、観光という面はそういう点で、何が我が都市の再生への、あるいは創生への一番売りである個性に関わることでありますから、その辺は良く地元で受け入れていくように、点が線になり線が面になるように、その中で北陸新幹線の働きは大きいものだと思ってます。

(問)土砂災害の件ですが、先ほど大臣は警戒情報の件についても言及されたと思われますが、警戒情報だと災害対策基本法にも絡む部分もあると思いますが、大臣の中で今警戒情報についてどのような改善のイメージをお持ちでしょうか。
(答)今回私が言及しましたのは広島の災害に絡めまして、土砂災害の警戒情報ということについて、雨が1時過ぎから急速度に増えていき、3時過ぎにピークに達してというような状況の中で、土砂災害ということについての情報は、確か1時15分に発していたと思います。
それが今度は地元の方で、この発したのは地方の気象台と都道府県ということが基本になるわけです。
それが現場というところにいくときに、更に都道府県の地方自治体が避難ということを発するという仕組みの問題です。
一般的なものとしては、気象庁が大雨とか台風とかで注意報を出し、警報を出し、そして特別警報という流れについては、随時それと避難ということの関連については、ガイドラインを内閣府防災の方で今年出させていただいて、これは徹底が始まったと。
土砂災害ということについては、それと状況が違うものですから、その辺は土砂災害防止法の改正ということが必要なのではないかと、こういう話です。

(問)その問題に関連して、現在は警戒情報が出される時の避難指示がついて無くて、警戒情報が出たときに避難指示をそのまま出すというようにしたものは全国に4パーセントしか無くて、64パーセントについては警戒情報が出た後全体を総合判断して避難指示を出すようになってますが、その辺りを変えていくということでしょうか。
(答)これは土砂法の改正の中で、意識を持ってもらわなくてはいけないのと、地方自治体がどの時点で出すかということで相当逡巡するということが現実にはあるわけです。
まず指定の段階で、住民の合意が中々得られず、広島のことをよく言われて少ないじゃないかということをよくいって、3万危険箇所があるのに1万ちょっとだということをいわれるのですが、広島の災害ということを踏まえて、平成11年に法律が出来たものですから、広島は非常に真剣に取り組んでいただいている上に、住民合意ということをものすごく丁寧にやっていたという状況があったわけです。
この辺の住民の理解が得られるということをどういうふうに後押ししていくのかという、まず指定の問題がある上に、今度は夜中の場合、雨がものすごく降って停電があってそして避難しろといっても中々難しい、今回初めて、外に出なくても垂直避難というのが大事だということとか、まさ土の地域ということは初めて聞いたことが多いと思います。
そうしたことでも土質のこととか、逃げ方とか、どこへ逃げるのかとか、というようなことをもっと詰めていく必要があろうと思っていますので、今回の広島のことは本当にしっかりと受け止めて、それとこの間の南木曾の話、あるいは高山の状況、あるいはその前の時の山形県の吉野川流域の事、そして昨年の大島の土砂災害、雨ということで言うならば、福知山で去年・今年と2年続きで水が出たと、あらゆる事について、避難ということの指令を出すと言うことは非常に地方自治体の首長さんにとっては悩んでいるところでガイドラインを出したのですが、土砂災害ということは、これ結構突然という部分もあったりして、直ちに命に及ぶということがありますから、そこは法律改正ということとそうではない部分も含めて、よく地方自治体の人たちとも打ち合わせをして、新しい体制とか仕組みを作っていかなくてはいけないと思っているところです。

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