大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年1月24日(金) 10:08 ~ 10:35
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告することはございません。
 私から二点御報告をさせて頂きます。
 一点目はJR北海道についてであります。
先日21日に通知致しました「鉄道事業法」に基づく「事業改善の命令」、及び「JR会社法」に基づく「監督上必要な命令」に対する弁明の機会の付与に対しまして、昨日JR北海道より、弁明書を提出しないとの通知がありました。
このため、JR北海道に対し、本日両命令を行うこととし、鉄道局長から野島社長に対し、命令書を手交します。
時間等詳細につきましては、この後事務方からお知らせ致します。
 二点目は、技術者単価の決定についてです。
 先日(21日)の定例会見におきまして報告をさせて頂きましたが、公共事業の予定価格を積算する上で用いる単価について見直しを行うよう、私から指示をしたところです。
このうち設計や測量など、コンサルタント業務についての積算に用いる「技術者単価」の見直しについて、本日決定し公表することと致します。
 技術者単価は、毎年度実施するコンサルタント会社等の給与実態調査の結果を踏まえて決定しているところです。
近年は微減又は横ばいで推移をしているという状況にありました。
本日決定して公表する技術者単価は、全18職種の単純平均で対前年度比プラス4.7パーセントとなっております。
詳細については後ほど事務方から資料を配付致します。
 なお、これとは別に、公共工事の労務単価ですが、今月中に見直しを行うよう、先日指示をしているところでありまして、現在調整を進めているところです。
これについても、まとまり次第、決定し、公表させて頂きます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)本日から通常国会が始まります。
国土交通省からも多くの法案を提出すると伺っていますが、国会開会にあたって、大臣の御所感をお聞かせ下さい。
(答)本日開会の通常国会は、総理(大臣)からも「好循環実現国会」と位置付けられています。
法案等も含めてみますと、この景気・経済、成長、そして好循環を実現するということが、この国会での一番の大きなものだと思います。
国土交通省としましても、持続的な経済成長の実現、そして被災地の復興の加速、そして今現場を回っておりますと、防災・減災ということが地域では最も大事であるというお話を直接聞きます。
そういう意味からいきまして、防災・減災、老朽化対策の進展というものを推進し、そしてまたその前進というものを実感してもらえるところまで持っていくということが今年の方針であり、そして国会で具体的な法案も含めて推進をしたいと思っています。
国土交通省の法案につきましては、全部で11本提出すべく準備を進めています。
いずれも国際競争力の強化や、地域の活性化、防災・減災や老朽化対策、更に建設業の担い手確保などに資する重要な法案となっています。
成立に向けまして、国会の場で丁寧に説明し、成立を図りたいと思っているところです。
また、国土交通省関連の平成25年度補正予算案及び平成26年度予算案は、我が国の景気・経済、経済成長の実現に資する施策や、防災・減災、老朽化対策、これらの施策に重点を置いているところであります。
4月には消費税の引き上げが実施されます。
それに伴う反動減を抑制しながら、成長力を底上げしていくためにも、まずは補正予算の早期成立と執行、そして(平成)26年度予算の早期成立が必要であると考えています。
いずれにしましても、国会審議を通じて、国土交通行政の必要性・重要性を御理解頂けるよう、有意義な国会にしていきたいと考えております。

(問)日本航空が(1月)22日に発表した羽田~ホーチミン線の開設について国土交通省に申請すると発表しましたが、日本航空の植木社長は「法に照らせば断られる理由はない」などとしておりますが、これに関する大臣の御所感と、国土交通省として今後どう対応されるかについてお聞かせ下さい。
(答)日本航空による新規路線の開設につきましては、いわゆる一昨年8月10日のペーパー、「日本航空の企業再生への対応について」に基づいて、2016年度までになりますが「JALグループ中期経営計画」の期間中、日本航空に対する公的支援によって、航空会社間の競争環境が不適切に歪められないか、これらを確認するために路線計画について報告を求めて、その状況を監視するということにしております。
これは基本的にそれに基づいて判断するということが一番大事なことだと思っております。
日本航空が発表しました羽田~ホーチミン線につきましては、新規路線の開設に当たるために、「日本航空の企業再生への対応について」に基づいて、今後その開設によって、航空会社間の競争環境が不適切に歪められないか等について確認をして参りたいと思います。

(問)今の日本航空の話しですが、大臣は11月(19日)の記者会見で「8・10ペーパーの上での上場であるので、社会的責務を有する良識ある企業として振る舞って頂きたいと期待している」ということで、申請をしないことを期待しているという御立場を示されたと同時に、申請された場合には「航空法に基づいて判断するという状況に整理をする」というふうに仰っておられました。
今回大臣の期待に反する形で申請が行われる訳ですが、11月の大臣の御発言との兼ね合いでいくと、期待を裏切られた以上認めざるを得ないというご趣旨だったかと思いますが、その上でどう対応されるかもう少し教えて頂けますか。
(答)航空会社が国際線の路線を開設する場合には、今御指摘ありました通り、航空法第109条の規定に基づいて、事業計画変更の認可を受けなければならないとされており、認可に当たっては航空法第101条に掲げられている国際約束の内容に適合するか否か等の基準に照らして、その可否を判断するということになっています。
この日本航空から羽田~ホーチミン線に係る申請があった場合についても、最終的にはこのような航空法の規定に基づいて判断します。
最終結論の判断基準というのは8・10ペーパーというものを背景にしながらも、法的にどうかということのギリギリのところ、最終はそこのところに行きつくと思っています。
そういう意味では航空法の規定に基づいて判断するということになるということは、これ以上でもこれ以下でも無いということです。

(問)今朝、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議が開かれたと思いますが、この分野についての国土交通省としての姿勢と会議の狙いについて教えて下さい。
(答)全体的な枠組みを申し上げますと、今朝の会合の詳細については内閣官房から発表することになっておりますから、そこに照会をして頂ければと思いますが、私からも状況については説明をさせて頂きました。
建設産業の担い手の不足というのは、大きく分けまして3つ要因があると思います。
一つは、近年の建設投資の減少によって建設企業が倒産したり、あるいはリストラをするというようなことで、いわゆる職人さん、技能労働者の離職が進んだということがあります。
そして二番目には、この方達(技能労働者)の高齢化が進んできており、高齢者が仕事を辞めていって離れるという現象があります。もう一つは、建設産業の処遇の改善が進んでいないということも大きな要因だと思いますが、これから担って頂く若者の入職がなかなかはかばかしくなく、若者が入職を避けるようになっているかのような感がするということがあります。
二番目に申し上げた高齢化ということと若者ということはかなり重要な問題であり、これは構造的な問題であると思っています。
そのために、3つの要因に対してそれぞれ手を打つということが大事でありますが、同時にこの外国人の技能実習生等の活用促進ということも有効な対策の一つだと考えておりまして、予算とかそういうものは別にして、構造的な高齢化という問題や若者という問題、もう一つそこに手を打つ以外に外国人の技能実習生等の活用ということも大事だと考えております。
現在、この実習生については3年間認められていまして、1年で5,000人位です。
3年間ですから、現時点でいる人は15,000人ということになります。
ここをもう少し拡充出来ないかということを狙いとしまして、それには外国人の労働者が建設に限らず入る場合は、法務省、国家公安委員会、あるいは厚生労働省関係とか、もっと言えば文部科学省とかあるいはオリンピック担当というようなことも入りますが、そうした関連のところが入って打ち合わせをする必要があります。
それで中長期的にそうした構造的問題を解決することが一つ、それから2020年東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要に対して担い手を確保するということがもう一つ、もう一つはインフラ輸出に今力を入れてますが、我が国の建設企業の海外展開やあるいは(日本から母国に)帰って頂いた場合に、現地で実際に現地の人に働いて頂くということがありますから、建設企業の海外展開、インフラ海外輸出を促進する上で、現地で活躍する担い手を確保するというような効果が期待をされるということがありまして、そういうことを私としては説明をさせて頂きました。
各省に色々関連することでありますから、これから打ち合わせをさせて頂いて、政府全体で検討を進めていくということが今日の趣旨で、そのキックオフが今日出来たと思っています。

(問)いつ頃までに実現をさせたいとお考えでしょうか。
(答)出来るだけ早くとは思っておりますが、関連の部局との調整ということですから、年度内というのが一つの目処かと思います。

(問)来年度、今年度、どちらでしょうか。
(答)今年度内ということです。

(問)何人くらいまでの拡大を目指されるのでしょうか。
(答)ここは私としては希望を持っていますが、なかなか各省との関連もありますから、そこも含めて議論ということになろうというふうに思っています。

(問)日本航空のボーイング787型機の(バッテリー)発煙トラブルですが、過熱したバッテリーセルが1つという見方に変わりがないかも含めて、現在までの調査の状況と見通しについて教えて下さい。
(答)現在は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に(バッテリーを)持ち込みまして、(1月)19日と20日の2日間にわたってCTスキャンを実施しました。
そして、京都のGSユアサにそれを持ち込みまして、バッテリーの分解検査を実施中というのが現状です。
今御質問のありました8つあるバッテリーセルのうち、安全弁が作動した1つのセルが膨張しているということで、1つのセル内部の損傷が確認されていますが、他にはそういうものは無いということは事実です。
より詳細な画像分析やバッテリーセルの分解検査を行うという状況です。

(問)他のセルには膨張や損傷は無かったとはっきりしたのでしょうか。
(答)無いということです。

(問)どれくらい膨張していたという数値はありますでしょうか。
(答)ここは、事務方にどこまでどう言えるかというのはお聞き頂ければと思います。

(問)現状、先週の会見でもはっきり仰ってましたが、防護策の中で他のバッテリーセルには熱が波及しないという策は機能したと見ていらっしゃるということでしょうか。
(答)私が聞いているところでは効果が明確に出ているはずで、それが元々伝播するという程度のものなのか、それ以下のものなのかとか色々なことがありますが、少なくとも1つのセルに完全に留まっているということだけは事実です。

(問)JR北海道への命令についてですが、命令を遵守させる事が重要になっていると思いますが、JR北海道に求めること、国土交通省がどのように対応されるかお聞かせください。
(答)ここは検査をし、そして具体的にかなり幅広く改善命令と監督命令を出したわけですから、それがそのままという事が大事で、何よりもそのうちに私達がこれとこれを優先しなさいとかそういうものではなく、改善命令と監督命令をそのまま、大事なのは実行だということを強く言っておりますから、そこは実行ということで早く動き出すということが大事だということを、今日はせっかくですから求めていくということでございます。

(問)JALのホーチミン線ですが、ANAと違ってJALの場合は今回不便な深夜便です。
それと6枠差がついたうちの2路線と、それから同時に地方路線6路線の再開を発表しましたが、こうしたことは認可にあたっての競争環境の歪みに配慮するという判断材料になり得ることでしょうか。
(答)そこは良く検討させて頂きますが、先ほど申し上げたように8・10ペーパーに基づいてどうかとか、そういうことについて判断をさせて頂くということです。

(問)技術者単価の見直しについてですが、プラス改定になったわけですが、今後の狙いや期待する部分について教えてください。
(答)今日は技術者単価についてです。
この後に、いわゆる職人さん、技能者の単価ということについては今月中ということで行っています。
長い間設計や測量などのコンサルタント業務についての技術者単価は上がっておらず、上がっていないということは毎年実施をしております給与実態調査等をみて行っているわけでありますから、これが若干今上がっているという実態調査に基づいて、実態実勢というものをそのまま積算に反映出来るようにということの措置を取らせて頂いたということです。
関連業界で業務量が増えるなど、経営環境が従前に比べて一部改善したという結果だと思います。
今回の引き上げを技術者の処遇改善につなげて頂くということが必要だと、私は強く思っているところです。

(問)JR北海道の件ですが、一部報道で、告発の対象を脱線現場の大沼保線管理室以外の特別保安監査中に改ざんを行った函館保線管理室についても告発の対象の方針ということがあるのですが、その点についていかがでしょうか。
(答)刑事告発すべき事項を整理して道警と相談をしているところです。
従って、詳細についてや具体的なことについては発言を控えさせて頂きたいと思います。

(問)JR北海道についてですが、先日火曜日(1月21日)の大臣会見の後に行われたJR北海道の会見で、全体の4分の3の保線事務所で改ざんが行われていたということが明らかになりましたが、改めてそれだけ改ざんが蔓延していたこと、それから今日の命令でJR北海道に求めたいことというのは、どのようなものでしょうか。
(答)改ざんということについては、JRの人、また働いている人も含めて、全ての人があってはならないことだというふうに考えているのは明らかだと思います。
しかしそれがそのまま続いていったということは、企業体質、安全というものの考え方という、かなりこれまで鉄道マンとしてきちんと行わなくてはならないことを疎かにしていたというような、かなり企業の体質に係わる重要な問題と認識をしています。
そういう意味では、この件というものは、鉄道ということについては安全がもちろん大事ですから、そこを踏まえて行わなくてはいけないことに対して、かなり根本的に安全意識という一番の中核の所を立て直すことが極めて重要だということで、直ちにそうした動きを開始して頂かなくてはならないということだと思います。

(問)JR北海道に関してですが、海外では中国の新幹線で事故があったときに、機関車その他を地下に埋めたのと同じような大きなショックで、日本でも起こった事が考えられないと海外では報じられていますが、そういった外国の記者とか大使館を対象に、今回国会が終わった時点でも、外国記者を対象に今回の北海道の事故を会見で一回お話しして頂くことが出来るかどうかお尋ねします。
(答)検討させて頂きたいと思いますが、日本は鉄道については技術的にも極めて優れていて、そして時間の管理ということについては極めて厳格であり、信頼性が高いということについては、世界に胸を張って言ってきたところです。
JR北海道の気象とか様々な体質については、外国から見れば日本の鉄道そのものというものになりかねませんから、私も東南アジア等へ行き、JR北海道というわけではないですが、日本の鉄道は安全ということについて極めて優れているとアピールを常にしているところですので、そうした世界に向けてどういうふうに説明し、発信するか考えたいと思います。

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