大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年11月8日(金) 10:00 ~ 10:30
国土交通省大臣会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議で、特に私の方から御報告するものはございません。

質疑応答

(問)明日(9日)、大規模津波・地震防災総合訓練が実施されますが、訓練に対して大臣が期待する点などがございましたらお願いします。
(答)明日、茨城県常陸那珂港におきまして、国土交通省、茨城県、ひたちなか市、笠間市が主催し、大規模津波・地震防災総合訓練を行います。
この訓練は、一つは平成16年12月に発生しましたインド洋津波災害を契機として毎年実施をしており、今年で8回目を迎えます。
もう一点は、『稲むらの火』の濱口梧陵にちなんで作られた11月5日「津波防災の日」の前後に実施することにしております。
昨年度からは、東日本大震災の教訓を踏まえて、関係機関・組織・住民等との地域レベル、広域レベルの連携に重点を置いて行うことと致しました。
地震規模は震度6強の地震が発生し、ひたちなか市で高さ10.7メートルの津波が襲来する、津波の到達時間は23分、設計L1は津波高3.1メートル、L2は最大遡上高12.2メートルという想定の下で実践的な訓練を行うということです。
特に今回は港湾関係者や近隣企業が一体となって避難を行い、かなり平地でありますのでビルの上に駆け上がるとか様々なことを含めてどう逃げていくかのルートを訓練の中で実感することが一つです。
そして全国の地方整備局等(北海道、東北、関東、北陸、中部)からTEC-FORCEの広域派遣を約100名行うということも今回の特徴です。
更に加えて、自衛隊のヘリコプターによりTEC-FORCEの輸送を行うことを新たな内容として盛り込んでいるというように、かなり津波の高さ、地形、避難の仕方、駆けつけるTEC-FORCE、ヘリも使う形での大規模な防災訓練になります。
訓練には154の行政機関や企業、民間団体が参加して、国営ひたち海浜公園で開催する防災フェアへの来場者を含めて約1万人の参加者を見込んでいます。
この防災訓練は、毎年何かの日に防災訓練をするというよりは極めて切迫している状況を想定して逃げるということも含めて直ちにそうした行動を取ることをやる中で、再度その防災・減災ということを教訓の中からまた改めて作っていくというこれからの動き方についての防災訓練にして行かなくてはならないし、そうしたいと思っております。
地域の企業や住民の防災意識を高めることによって、大規模津波への備えにつながるように大いに期待しているところです。

(問)先日、JR東日本や丸紅等の企業連合が、タイのバンコク近郊での都市鉄道での車両・システムの受注を発表しました。
日本からのそうした交通インフラの輸出というのは、国にとっても大きな政策になっていると思いますが、今後の国土交通省としての取り組みについてお願いします。
(答)インフラ輸出の推進は日本再興戦略にも掲げられ、金額にしても3兆円規模ということを大きくうたっていることの一つであり、国交省としてはここで非常に重要な役割を果たすと思っています。
先般のトルコの海底トンネルでも我が国の企業が推進し、その技術力も大変評価されたということですから、これから特にASEAN諸国をはじめとしてこうしたインフラ輸出が行われるということに力を注いで行きたいと思っています。
今回、タイの都市鉄道パープルラインの受注がJR東日本、そして日本企業連合で決まったことは大変画期的なことだと思っております。
私自身9月にタイを訪問した際に、このことについてはトップセールスを行ったものですから、これが結びついたものであって今後のモデルケースになるものだと考えています。
特に車両等鉄道システム及びそのメンテナンスを含めたパッケージ型輸出であること。
そして、日本の鉄道事業者も参加した企業連合による初めての海外案件受注であるということは、本当に画期的なことだというふうに思います。
このインフラ輸出についてはいくつかの点がありますが、日本の強みを積極的にPRする、技術の良さとメンテナンスを更に推進をしたいと思っておりますから、今回はそれが一つ評価をされたと思います。
もう一つは相手国の経済状況とか地形の状況等が色々と違います。
そこで日本は確かに技術は高い、しかし高いけれども経済的な事情とかがあり、それをそのまま受け入れるということについては、中々契約までに至らない事がありましたから、相手国の経済等の実情やニーズに即した提案を知恵を出して行えるかどうかが極めて重要になってきます。
そうした点でも今回は一ついいケースになったと思います。
また、日本の規格等の国際標準化や進出企業の事業リスク、相手国との交渉等々、色々な課題がありますから、日本企業のビジネス環境整備に努めていきたいと考えているところです。
私もハイレベル協議等あらゆる機会を通じて、日本の優れた技術のトップセールスを、日本の企業のビジネス環境整備を行っていきたいと思っているところです。
大変今回は画期的なことだと思います。
また次に繋がることだというふうに思います。

(問)羽田空港の国際線発着枠の件ですが、先日、日本航空の(発着枠の)見直し申し入れに対して国交省として回答をされたのですが、平成24年8月10日のペーパーに照らして、健全な競争性という観点から新規路線は認めないということを改めて説明したと思いますが、今回は昼間の発着枠だと思いますが、羽田空港には深夜便とか早朝の枠もあると思いますが、そうした事に関しても日本航空に対しては新規路線は認めないという考えなのか。もしその場合、法的根拠等はあるのでしょうか。
教えていただけますでしょうか。
(答)あくまで航空会社間の競争環境が不適切に歪められる恐れがあるか否か、というものの確認ということでこれから臨んでいきたいと思っております。
そういう点では、体力差が生じてきている、そしてまたこれから更に助長されるのかどうなのか、そして8/10ペーパーということの指摘というものがどのように展開されるのか、夜はそれにかかるかからないという問題もあるのですが、そうした踏まえるべき点は体力差の問題、8/10ペーパー、そして競争環境が何よりも不適切に歪められる恐れがあるか否かを確認しながら判断をしてまいりたいというのが基本的な考え方です。

(問)早朝とか深夜に関しても、そういう競争環境が歪められると判断した場合には認めない場合もあるし、そうでない場合もある、両方の可能性があるということでしょうか。
(答)認める認めないということについては、これは命令的にとか、あるいはこちらが全て判断ということの部分、そうではない部分もあったりします。
こちらの考え方というのをその都度判断を示さなくてはいけないと思いますが、今回は国交省の責任の下でやらさせていただくことですが、必ずしもそうではない案件もあるということも承知をしているところです。

(問)10月31日に総務省が、消費税10%時点で自動車税と軽自動車税等々を増税するという方針を打ち出して、先方大臣にも報告書が上がっております。
経産省の大臣は反対という趣旨のことを話されているようですが、国交大臣におかれましては車体課税、取得税廃止の見返りであるかのような、自動車税の増税についてどのような見解をお持ちでしょうか。
それから(自動車)業界では話が上がってますが、軽自動車の増税があった場合に、規格、サイズとエンジン排気量のアップをすべきではないかという意見があるのですが、これに関してどう思われるのか、この二点をお願いします。
(答)先月末から色々報道もあり、今月(11月)6日に、総務省の「自動車関係税制のあり方に関する検討会」の報告書が公表されました。
この中で環境性能等に応じた課税についての提案や、軽自動車税の見直しなどが示されているという状況にあります。
国交省としましては、まず、軽量車から重量車までを含めた自動車全体のグリーン化が図られるよう、環境性能の高い新車への代替を促すことが重要と考えております。
また、軽自動車税につきましては、軽自動車の経済性や使いやすさから、公共交通機関の不便な地域を中心として、不便な地域というより全国的かもしれません。
一家に何台もあってそれが生活そのものになって使われていると、よく使われているということを考えますと、これを税というだけの財源の問題で上げるということが直ちに直結するということについては、如何なものかなというふうに慎重に考えたいと思っておりますが、しかし国・政府全体の考え方というものがありますから、それについては日常生活の足として使われているという、私が今述べました実態というものを十分踏まえた、適切な負担水準であることが必要であると、私は考えているところです。
いずれにしましても、車体課税の見直しにつきましては、引き続き平成25年度与党税制改正大綱等に沿いまして、具体的に議論を深めていくという所存です。

(問)(軽自動車の)サイズを大きくするとかエンジンは引き上げるということについては大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは車体課税の軽自動車税を上げるということに絡んでという話でしょうから、まずその前提におそらくなるでありましょう自動車税の問題というものが、慎重に判断をされるということが、まずあってからの話だと思っております。

(問)カジノの関係で伺います。
超党派議連でカジノ解禁に向けた法案の提出の動きがありますが、地方では観光の起爆剤になるとか期待している声もありますが、観光分野を所管する大臣としては、カジノについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)カジノを含む統合型リゾート(IR)につきましては、超党派の国際観光産業振興議員連盟におきまして、今国会での法案提出の準備が進められていると承知をしております。
私もこの夏、シンガポールでIR等の実情を視察をさせて頂いているところです。
これについては、そうした推進ということが大事だという考え方と、一方で犯罪防止、治安維持、青少年の健全育成、依存症防止などの観点から問題を生じさせないために、必要な制度上の措置が講じられることが前提になると考えています。
そういう点では、様々議論をするということだと思いますし、いわゆるカジノというだけでない統合型の、そこにホテル等をどういうふうに設置しながら、どういう街を造っていくのかという、そうした街づくりの戦略性というものがなくてはならないと思っておりますので、現時点では論議の推移を国土交通省としてはまず見守っていくというふうに考えています。

(問)JR北海道の関係ですが、先日のレールの一斉点検で分岐ポイントの未検査が発覚しましたが、そちらについての調査の進捗状況と、これまでの調査で異常値等が見つかったかどうかを教えて下さい。
(答)ここについては、分岐器の箇所が漏れていたことが確認をされまして、(10月)28日に早急に点検を行って報告するように、鉄道局に申し上げました。
今回の調査は、分岐器の点検漏れを受けまして、軌道を含む全ての鉄道構造物について、実施基準の適用に漏れがないかを確認をしているところです。
それらをずっと見て参りまして、かなり一箇所の分岐(器)というものをそこを直せば良いというものではなくて、一つ一つが連動しているようで、(調査に)時間が掛かるということのようです。
従って、毎日毎日そうしたことについて作業をしているということで、作業は進展していますが、まだ全てについて報告というものは受けておりません。
その都度のことについては報告を頂いておりますが、それも何箇所終わりましたというよりも、この箇所ではこのような状況だというようなことを報告を頂いておりますが、かなりデリケートで色々なところに影響があるようでありまして、一箇所だけ(調査を)行って、分岐(器)の所だけではないようでありますので、その辺の実情というものを踏まえて報告を頂いていて、まだ検査途上ということです。
国土交通省としましても、私の方からとにかく、徹底的に自分達も調べなくてはいけないということで、調べましたという報告を受けているだけではいけないということで人員を派遣しまして、10月28日から11月4日までの8日間、JR北海道の現場に入りまして、札幌近郊の8キロの区間をずっと調べあげたということで、8キロを14人で行って8日間かかったということで、全部の点検項目を見ますと、昨日私は国会で約100項目くらいという話をしましたが、条文からいくと約80の項目、実際はそれ以上の項目について色々調べ上げてきて、我々の行ったところについては実施基準に違反しているものは無かったという報告を頂いておりますが、今随時そこの点検作業が行われているという状況です。

(問)会計検査院から防災・安全に直結する国の係わる橋梁や堤防、トンネルなどの耐震補強等について不備が指摘されましたが、これについての御所見を教えてください。
(答)そうした不備とか指摘については、我々としてはそれを真摯に受け止めて、直すべきものは直さなくてはならないし、また、調査時点が既に完了しているという点もあったりしますが、全てに渡って真摯に対応をしていかなくてはいけないと思っています。
ただ、報道では橋脚のところに帯鉄筋を巻いて基礎の部分を調査をしていなかったというようなことが書かれていますが、そこは、現実には阪神大震災以来、東京でも首都高でも皆さん御記憶にあるかと思いますが、全て帯鉄筋を巻いて直ちに対策に入ったということです。
そして、重量がそこでかかってくるということで基礎部分がそれに影響されるかということは基本的には無いという考え方の下であって、もしそれが影響すると、帯鉄筋の重さ等がかかってくるというならば当然そこは工事で分かる訳で、そこにはそれなりの措置をとっているということで、基本的には確かに地上の上の部分の帯鉄筋を巻くということですが、土木工学的にはそうしたことでそれをやれば安全だということでやっている訳で、単に機械的にそうしてしっかりした防災補強が行われていなかったというのは、これはちょっと言い過ぎの話だと思います。
色んな御指摘がありますので、結果的に全てについて真摯にお答えをしていくようにということで、私としては今日指示したところです。

(問)カジノのお答えの中で、シンガポールのIR(統合型リゾート)を御視察されたと伺いましたが、世界には日本から近いと言えばマカオ、韓国がありますが、シンガポールに行かれた理由としてはシンガポールの高級リゾート的なカジノが、想定の中にあるということで行かれたのでしょうか。
(答)色んな目的があります。
シンガポールという地勢的には狭いところで、私は港湾の状況を視察したり、またMICE(国際会議等)の会議場がいかに巨大であるかということを見たり、あるいは交通制限をしてまして、なかなか街の中には沢山の車が入れないようにという措置をとっていたり、そのような全体の街づくりあるいは国づくり、都市のあり方、物流等の世界のアジアの拠点としてのシンガポールの作り方ということの焦点の中に、MICE(国際会議等)と並んで、また有名なリゾートを作り上げてきたという中にカジノの施設が一部にあるという全体的にIR(統合型リゾート)というもののイメージを掴むことが一つの目的ではありましたが、もう少し広範な意識を持って見させて頂いたということです。

(問)特定秘密の保護に関する法律案が国会審議入りしていると思いますが、先日、官房長官から尖閣諸島沖での中国漁船のビデオ流出に関しては、あれは特定秘密に当たらないというお話がありました。
海上保安庁においては、特定秘密というものを具体的にどういうものを想定していらっしゃるでしょうか。
(答)正にそこはこれから政府全体で検討していくという段階だと思います。
この間の官房長官の発言そして(中国漁船)ビデオということについては、公の下で現象が起きているということは大勢の人もあのビデオに限らず見ている方もいらっしゃる訳で、それは特定秘密に当たらないという官房長官の御指摘は私も全く同じ考えです。

(問)(特定秘密には)外交、テロなど4つの類型があると思いますが、これについて海上保安庁の活動がその中に入るかどうか、どういう御認識でしょうか。
(答)(特定秘密に)入る場面もあり得ると思っていますが、具体的どれがということについては、これからの話し合い、打ち合わせになると思います。

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