大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年9月27日(金) 11:27 ~ 11:53
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、私から、一点御報告がございます。
 これから資料を配付いたしますが、本日の閣議で、独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構の理事長 勢山廣直(せやま ひろただ)氏を、10月1日付けで再任することについて、御了解を頂きました。
私からは以上です。

質疑応答

(問)JR北海道の件で2点お伺いいたします。
今日(9月27日)が特別保安監査の最終日となっていますが、先週トラブルが相次いでいる状況の中で監査の再延長が有るのか無いのかという点が1点。
また、先日(25日)の省内連絡会議では大臣は対策を徹底的に検討すると仰っていましたが、監査の結果・分析を待たずに早急に取るべき対策を考えているのであればその内容についてお伺いします。
(答)特別保安監査を行っておりますが、本日27日までの予定としております。
今回の監査は軌道だけでなく、電気、車両、運転など他の技術分野に加えまして経営体制を含む全般にわたる問題を洗い出すことを目的としています。
このように広範に及ぶ調査が十分尽くされているかどうか今日中で全てその調査が終える段階まで出来ているかどうかということを今日の午後にもう一度分析をさせて頂いて、夕刻に私を中心とした省内連絡会議を開きますので、そこで議論をして頂いてその上で延長するかどうかを判断したいと思っております。
あくまでこれは調査が十分行われたかどうかという状況を見てということになります。
この現時点で早急に取り組むべき課題はいったい何かということにつきましては、今回の問題の契機となりました、整備基準値を超える軌道変位を放置していた箇所についてはJR北海道から全て補修済みであると報告を頂いております。
現場任せにすることなくJR北海道本社自ら確認をするようにということで国交省として改めて先般指示を行っているところでありますが、全ての補修箇所について問題がないことを確認したという報告を受けています。
加えて特別保安監査において監査員が入った大沼保線管理室、石狩当別駅等におきまして、監査員の立ち会いにより補修された箇所の軌道変位をサンプリングして計測することも致しまして、計測箇所につきましても問題ないということを確認したところです。
こうしたことがありまして、分析は更にしたい、そしてまたいわゆるこの保安監査という範疇ではありませんが、経営状況を含めた全般的な広がりの部分については保安監査とは別に我々としては十分調査したいと思っておりまして、そこに更に努めていきたいと思っています。
保安監査自体については今日どうするかということについて、報告を十分に聞いた上で判断し、それを越える部分については更に調査を国交省として行っていく、そして鉄道を動かすか動かさないかという問題については常にあるわけですが、それについては先ほど申し上げましたように、今回問題となった軌道変位ということについては、今は全て修理が終わったということを改めて報告を受けた上でJR北海道本社自ら現場から直接報告が上がってくることを鵜呑みにしないでやるようにということと、我々としてもサンプリング調査をしてということで補修し、その点については安全性が確立されているということであります。
以上です。

(問)同じくJR北海道の問題について伺います。
特別保安監査に関して今日まで続いて来ましたが、まだ途中かと思いますがここまでで出てきた問題点は何かありますでしょうか。
それを踏まえて今後の処分ということはどのようになるのでしょうか。
(答)一つは今回の事案はかなり技術的なもの、軌道、あるいは車両、管理体制、保安の体制、いわゆる保安として対象としたものの他にも範囲を広げて経営ということの問題点も洗い出すということで、随時報告は頂いてますが非常にデリケートで、また、重要な問題であるとともに、総合的に判断をしないといけないと思っています。
ですから具体的な一つ一つの内容については、ここで正式に報告をしっかり受けて判断をしたいと思っていますので、今の時点で分かった事は何かということについては、むしろ差し控えた方がいいと、私達にも十分安全を確認をしたりという作業という時間を頂きたいと思いますので、その内容については差し控えさせて頂きたいと思っているところです。
それから今責任というお話がございましたが、処分とか責任ということについても今調査をしている最中ですので、それを受けて十分分析して何らかの判断を下したいと思います。

(問)今回267個所にも及ぶ問題点を、国の監査では気づくことが出来なかった訳ですが、国の監査体制自体に何か問題があったという認識はございますでしょうか。
それからまた、もしそうであれば今後監査体制の見直していく考えはお持ちでしょうか。
(答)今、国の監査体制がどうなっているか御報告をしておきたいと思ってますが、この国交省が行う通常の保安監査というのは、鉄道事業者が自ら法令に従い、またそれぞれの路線が敷設されている状況に従って、安全に列車を運行していることを前提にして、それから逸脱した部分というのが一体どういうものであるかという角度が、これまでの監査というものの考え方でございます。
そして現在監査を専属で行う技術職員が全国で32名体制ということで、事案が発生した場合にはこの32名に加えて臨時的に他の部署から加わるという体制としています。
何分、全国で32名ということですから、私もこの点は本当に監査というものがしっかりと行われているかどうかというものを改めて精査させて頂きましたが、ここはかなり書類を見る、そしてそこで出た書類を点検する、また、現場に行く時には常にサンプリング調査的なものにならざるを得ないというようなことで、全国からいきますと北海道から九州まであるわけですから、それぞれのところで今まで精一杯のこの体制で監査を行われてきたと認識をしております。
そこで、このJR北海道に関する監査において、こうした体制のもとでこれまでも随時行ってきて、例えばJR北海道本社で策定された補修計画と現場の計画に対して実態が伴っていない事実を確認したということがあり、報告もされています。
つまりこうすべきだということが出されて、しかしそれが現実には実施をされていないという事実が確認されたということもあって、施設の現状を本社において確認して中期計画を策定するようにと、確実に施設を管理する体制の構築を求めたという例はこれまでありました。
しかしながら今回の問題の発端となった、レールの整備基準値を超える軌道変位については、JR北海道のすべてを確認することは出来ず、サンプリング調査ということになっていたという状況にあります。私はそういうことからいきまして、ここはかなり、単に報告を受けていたりということで、それを数字自体とかそうしたものだけでは今回の事態では対応できないというようなこともありましたから、今回については、特に監査体制というものを特別保安監査ということで、従来になく拡大してやらさせて頂いているという状況です。
本件は本件として私はかなり一般的な良識的な状況を越えていると判断しておりますので、全国の監査体制というものではなく、まず今回のJR北海道はJR北海道に対しての調査というものに力を注ぐと共に、今回の教訓というものを踏まえて、出来るだけ現場というものを少ないサンプリング調査ではなく行えるようにということを、人員の問題も含めて改善ということを検討していきたいと思っているところです。

(問)JR北海道について、なぜここまで JR北海道が突出してトラブルが多いとお考えなのかと、もう1点所管官庁としてこれまで防ぐことは出来なかったのか、JR北海道特有の理由が前もって分かっているのであれば、何か事前にやることは出来なかったのでしょうか。
(答)今申し上げたこと以上のお答えは出来ませんが、それはまさにそこを今、徹底調査に入っているという状況です。私が先程発言したように、常識的な、そしてまた一般的な感覚で判断出来ないという、そうした今回のJR北海道の事態というものに対して、万全を取るようにということで、今踏み込んで調査をして、かなり総合的な調査に基づいた判断というものが必要だと私は思っているところです。
これまでも随時、今までやってきたことでは、例えば平成23年5月の石勝線で列車脱線火災事故が起きた訳ですが、それまでの事故数というのは、平成23年、24年というここから増えてきていると、その前はそれほど増えている訳ではないという状況であったということもあります。
また気象条件が違うということもありますし、その人員の問題が指摘をされてきたりということもありますし、あるいはディーゼル(列車)が走っているということと、そのディーゼルを扱う企業というものが、今本当に少なくなってきているというような、様々なものが指摘をされております。
その指摘されたことも全部含めて、そして現地に入ったことをしっかり総合的に考えて対策をしていきたいと思っているところです。
私が国土交通大臣を拝命してきたその直前、平成24年11月に(JR北海道が)安全基本計画を策定して、これが実行されればかなり私は前進をしてきたと思っております。
これが中々現実には実行されてきていないということ、その(実行されてきて)いないということを非難をするという以上に、なぜそれが実行されないのかという点を包括的に含めて、利用者の方に安心して乗って頂けるような、安全ということについて万全を期すようにということで、今全力を挙げて調査をし、分析をし、そして結論を得たならば直ちにそれが実行出来るようにということについても、実行の行方自体についても、通知したら終わりということを一切なく、私としてはずっと安全ということの1点にかけて監視をし、目を注いでいきたいと強く決意をしているところです。

(問)国土交通省は JR北海道の監督官庁であると同時に、独立行政法人を通じて全ての株を保有する大株主でもある訳ですが、通常一般の企業ですと、これだけの不祥事が起き、かつ利用者減という業績への影響も避けられないということであると、当然経営者の責任問題ということが出て来ると思いますが、まず株主として今回経営者の責任についてどのように追及するのか、当然利用者減ということは業績への影響があると思われますが、業績への影響を軽減したり回復させるという点について、どのような策を促すというお考えをお持ちか教えて下さい。
(答)私は何よりも、国土交通省は国民の皆様方に安心して乗って頂けるような安全を確保するという、そこが一番大事な責任だろうと思っています。
そうしたことで、色々指示をし、そして問題提起もさせて頂き、基本計画等も出して来るという、往復作業がかなりあった訳ですが、現実には現場の第一線に至るまでそれが徹底をされてきていないという事実というもの、それを正確に認識をしなくてはいけないと思っています。
そういう点では、あくまで事業主体というのはJR北海道ということで、そこがしっかりした体制にならなくてはならないので、そこがしっかりした体制になるようにということで、かなり踏み込んで私は今回の問題を捉えていきたいと思っているところです。
今調査中の一番の大事な時でありますので、先に経営責任がどうだとか色んな事も含めて、私が今まだがっちりした調査のデータとか分析が終わっていない時点で申し上げることは適当ではない思ってますが、かなり広範囲にわたっての調査というものを踏まえて、様々指示をしていかなくてはならないことになると私は思っていますが、一番念頭にあるのは安心して利用していただける安全性を確保するという一点というものについて、私は責任が自らあると思ってまして、その努力をしたいと思っているところです。

(問)JR北海道の問題に関して、国土交通省がJR東日本に対してJR北海道への人材派遣を要請することも検討しているというような一部報道がありましたが、安全確保のためにグループ会社に支援を要請するということも現時点では何か考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)国土交通省として、JR東日本にまた私の提案でもあった訳ですが、7月に私の方から技術的な特に協力ということを要請しました。
そして現実にはそこでJR東日本から技術陣が(JR北海道に)赴いて対応するということで、またその赴いた技術陣からも、これはなかなか違う会社になった以上、心配して技術の応援が出来るのにと思っていても出来ないところへ、国土交通省から言っていただいたので応援が出来ますということでありました。
私はこれは非常に大事なことだと思っています。
そういう意味では、JR東日本のみならず、これからどういう形で技術陣を始めとして応援体制がとれるかということも含めて、先程から申し上げますように、とにかく安全をいち早く確保し、そして安心という、今はみんな不安に思ってしまっているという状況でありますから、そこまではあらゆる手立てまた協力をいただく場面が出てくると思ってますが、具体的にどこに何かという状況ではありません。
そこも今調査の真っ最中でありますから、それらを含めて要請すべきであれば要請するということを行っていきたいと思っているところです。

(問)空港問題なんですけれども、オリンピックを開催するときに、今現在、成田空港と羽田空港で使い分けしておりますけども、羽田空港を旅客専門、それから成田空港を貨物専用にというようなかつて長い間、皆懸案で考えていたことなんですけども、それを再検討していただけるような余地はないのでしょうか。
(答)今のところは(羽田空港と成田空港の年間合計発着容量)75万回というものを達成した後、2020年にはそれからかなり時間もあることですから、その75万回達成以降ということについては、今から準備をしておかなくてはならないということで、旅客、貨物というような立て方はしておりませんけども、とにかく75万回達成以降、そして東京オリンピックまでにどういう形で増便出来る体制にするのかということを検討を始めております。
その中で、その問題も含めて論点の一つとして検討したいと思ってますが、検討はこれからですが今私の直感としては、はっきりそういう色分けという訳にはいかないのではないかと率直に思うのですが、そこまでです。

(問)JR北海道の事案を受けて、JR各社が同様の放置が無かったか自主的に調べていると聞いておりますけども、これまでのところ国土交通省に対して何か同様の事案があったといった報告というのはありましたでしょうか。
(答)現在のところは、特段のそうした基準数値を逸脱するという問題というものは報告は上がっておりません。
しかし、国土交通省としてJR北海道のみならず全国そうしたことを点検をするようにということを指示をいたしましたので、今調査をし、点検作業というものを入念に行っているものだと思います。
ここは大事な問題でありますので、更に国土交通省としては指示もし、目もしっかり光らせていきたいと思っています。

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