大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年9月20日(金) 10:49 ~ 11:10
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。

質疑応答

(問)昨日(19日)公表された平成25年都道府県地価調査について伺います。
調査によると全国平均で住宅地、商業地共に下げ幅が縮小し、三大都市圏の商業地が上昇するなど底打ち感が出てきているようですが、この全体に対する大臣の受け止めをお願いします。
また、被災地を見ると全国の住宅地の上昇率の上位10地点のうち9地点が被災三県になっています。
高台移転等の需要増を背景に地価が上昇していると見られるわけですが、こうした動きが復興に対してどういう影響を与えるのかどう見ているのか大臣の考えをお聞かせください。
(答)昨日公表されました平成25年都道府県地価調査におきましては、全国平均では下落が続いているものの、下落幅は縮小して上昇地点が全国的に増加している傾向が明らかになりました。
特に三大都市圏におきましては、住宅地でほぼ横ばいとなり、商業地では平成20年の調査以来実に5年ぶりに上昇に転じるということで、地価の回復傾向が見られております。
また地方圏におきましては、下落の幅が住宅地、商業地共に縮小しまして、中核都市等を中心に地価が上昇している地点もあるという状況です。
この地価動向の要因としましては、金利の先高観や景況等の改善があると思います。
地方圏におきましても、地域経済が緩やかに持ち直しつつあるということが背景にあると思います。
今後、この動向については引き続き注視していく必要があると思いますが、これはバブルということではなく実体経済と連動した適度な地価の上昇という傾向に今はあるという認識をしており、土地取引の活発化、ひいてはデフレ脱却につながることを期待しており、その期待ができる状況が7月1日時点での地価の動向については明らかになったのではないかと思っているところです。
非常に経済の中での指標として大事なところでありますので、引き続きよく注視をしていきたいと思っているところです。
また今御指摘のありました被災地においても、住宅地の上昇率の上位10地点のうち8地点を岩手県及び宮城県の沿岸市町村が占めるということがあり、被災地における地価の上昇が見られ、特に高台等において地価の上昇が見られます。
これは被災者の移転や復興の需要に応じて被災前の水準に戻りつつある、一旦非常に下がりましたからそれが戻っている傾向にあります。
まだ完全に戻っておりませんが、そうした傾向が出てきていると思います。
そういう意味では土地が使えるようになったという判断で、ある意味では復興が進みつつあるという証ということだと思っております。
例えば、今回全国1位の上昇率を示した岩手県大槌町の地点は浸水被害を受けなかった高台の住宅地で、被災者の移転需要の他に復興工事関連業者の宿舎需要が少し要素が加わったことにより、こうしたことが上昇というところまでいかなくても、被災地の中で宿舎等に工事関係者というところもいろいろありまして復興が進んでくると再び何らかの形で使われるような傾向があり、土地が使われるようになった。
復興の証しというものの兆しが見られるようになったということです。
復興への支障ということも心配を為される部分もあると思いますが、現時点ではそうした状況までいっていないと思っていまして、むしろ高台の土地の取得・利用をまだ苦労しているという状況にありまして、ここは支障と言うよりも、ある意味では今の流れのまま進んでいくということでいいのではないかと思っているところです。
ただここは、支障をきたしてはいけませんので、十分地方公共団体と密接に連携して、注視をしていきたいと思っているところです。

(問)9月16日に上陸した台風18号に関係して、初めて特別警報が発令されました。
その中で4つの自治体が住民に周知をしていなかったという報道がでましたが、これについて大臣はどのように対応するか教えてください。
また、初めての実際の適用になりましたので、これが被害の軽減に役立ったのかという評価と、問題点、改善点ありましたら御所見をお願いします。
(答)特別警報は法律上、自治体が住民への周知の措置をとることを義務づけています。
この周知をどうするかということが極めて大事なことになると思っていますので、周知を色々理由があったと思いますが、早朝だとか、既に水が出ている地域ということを懸念したとか、色々な事があったかもしれないが、あくまでもこれは周知を行うことが大事と思ってますので、そういう意味では周知を行っていなかったということについては大変遺憾に思っているところです。
そしてここは初めての特別警報ということで、全般としては8月の終わりに新しい体制になりまして、その前にもマスコミの関係者にも御協力を頂いて、かなりこの特別警報とはいかなるものかということについては徹底出来たし、(9月16日)朝5時5分、3府県でしたがかなり効果があったと、また理解もある程度進んできているという実感です。
ただ、ここで初めてのことでもありますし、もう既に水が出ているじゃないかとか、その時点で避難ということを言われても動きようが無いではないかとか、色々な声があることは事実です。
全般的にあえて申し上げますと、まず効果があった。更にここをきっちりと周知をされて、また、この特別警報というものはどのようなものかというのを理解していただくという努力をしていきたいと思ってます。
なにぶんにもこの特別警報というのは、尋常ではない大雨など命に関わる非常事態が迫っていることをお知らせする、これは基本的には県という単位というような広域になります。
雨が異常に多く降りますということを広域的にお知らせするという特徴を持っているので、今度は受ける側からすると、私の住んでる所の近くに川があり、この川は今増水をしていて水が出ているけれども、もっと局所の具体的なことになります。
そこでは今度、警報が上から広域的に発せられる、受ける住民の方はどういう対応をしたらいいのか、どう逃げたらいいのかということになると思うので、そこで地方自治体が個別的な地域にあわせて、こうしてください、ああしてくださいということを併せて、特別警報がでましたということだけでなくそこも加えていくことが大事な要素になっているところです。
そうした点の特別警報と市町村が出す避難指示等の具体的なものとの間で若干の見方の違いがある訳ですから、そこでもう一歩理解を進めていくということも大事ですし、その辺をこの特別警報が今回どういうふうに受け止められ、そしてどのような効果を及ぼし、どのようなところに留意していかなくてはいけないかということを、今改善ということについて措置を急いで取るようにということで、今指示をしているところです。
3府県とすべての市町村につきまして、ヒアリング等の調査を行って改善等に努めるということについて、私からも指示をしているところです。改善してより良い、より良いということは住んでいる方達にとってもよく理解が進んでいくように、また市町村にとっても避難等の対応をどのようにするかということについても、様々改善の余地があろうと思いますので努めていきたいと思います。

(問)羽田空港の発着枠の関係で1つ伺います。先週日本航空の社長が記者会見で発着枠の配分は均等にやるべきだと仰っていました。
大臣は以前この問題については公平にということを仰っていましたが、この場合の均等と公平というのは同じものなのか違うものなのか、お考えを教えて下さい。
(答)私はあくまで公平ということの観点で物を考えると、その時も私は申し上げたかと思いますが、公平というのは歴史的な経緯、これまでの推移、そして具体的な今どのようになっているかというようなことを、様々な360度に渡って、あるいはまた時系列の奥行きも深めて、そうした意味で全体的に公平ということは一体どういうことが公平なのかということの角度で、今鋭意考え方をまとめようとしているところです。
そういう意味では、出来るだけ幅広い、また歴史的なことも含めて、公平ということを基軸にしてどう努めていくかということだと思います。

(問)昨日、総理大臣が福島視察の後、原発の廃炉を発表されましたが、ちょうど同じ頃、外国特派員協会で静岡県の川勝知事が記者会見をされました。
(川勝)知事としたら富士山の世界遺産のことをお話したかったのでしょうが、殆どの外国人記者から質問があったのは、活火山の富士山、原発の問題でした。
総理大臣は(2020年東京)オリンピックに向けた廃炉のお話をされたので、観光の場合は外客誘致と同じようにオリンピックも1つの観光と表裏一体の問題ですので、太田国土交通大臣の方でもこのような廃炉に至る現在の経緯、今後の経緯を発表されては如何かと思うのですが、どうでしょうか。
(答)政府全体として今やっていることですから、これからどういうふうにこれを具体的に進めるかも含めて、これからということになると思います。
ここは経済産業省を中心に、そして環境省がそこに加わるという形になろうと思いますが、具体的にどう進展していくかということについては、まだ私としては頭の中にございません。
ただ、政府を挙げてということだけは間違いないと思います。
原子力対策本部やあるいは廃炉・汚染水対策関係閣僚会議等の動きに関しての情報発信ということの今は段階だと思います。

(問)羽田空港の発着枠なんですけども、これは来月にも大臣から発表されるという理解でよろしいでしょうか。
(答)従来は、この秋くらいということをある程度想定していたということだと思いますが、私はまだ、かなり秋になってきましたから決めなくてはいけない時期に差し掛かりつつあるということで、まだ何時ということについては決めておりません。

(問)昨日、函館線でまた貨物列車の脱線事故が起きましたけども、これについての国土交通省としての対応と見解をお願いします。
(答)JR北海道につきましては、常にこの数ヶ月間、とにかく安全、事故の無いようにということで指摘をし続けてまいりました。
そこで今回、昨日、函館線大沼駅で脱線という事態が発生しました。
私は、精神的にこうだとかという段階ということについては、かなり首脳部にもお話をする機会があった訳でありますけども、そうした段階を過ぎていると思います。
具体的に一つ一つのなぜ起きたのかという事例を丁寧に見て、単なる精神論ではないと思っております。
例えばこの件について言いますと、昨年から脱線が北海道では5回起きています。
そして、昨年2月16日でありましたが、石勝線の東追分駅で脱線ということがありまして、それから今回の事故までで脱線が5回です。
一つ一つ、運輸安全委員会が調査を実施しているということで、結果が出ているのが、一番最初の昨年2月16日の今申し上げた1件です。
この件は、車両側(の原因)によるものということが運輸安全委員会から報告をされておりまして、保線の技術的なことというよりは車両の問題という指摘がされております。
ですから、この5つの事例のうちのあと残り4つというものが、一体どういう原因で脱線に至ったのかということを丁寧に運輸安全委員会も調べてくれているところでありまして、そうしたことの具体的なことを含めて、対応というものに努力するということが今は大事なことだと思っているところです。
この件については、当局からも注意をしたいと思っておりますが、それに単なる精神的なそういうものではなく、もう少し中身を踏まえた対策に乗り出していかなくてはならないと思っているのが現状です。

(問)都道府県地価調査の件なんですけれども、大臣、中核的なところで地方でも上がっていると仰いましたけども、都市部で非常に好調な反面、やっぱり地方では下落しているところがまだまだ多いということで、格差の拡大ということが懸念されると思うんですけども、その点は大臣の受け止めはどうなのか、どう感じてらっしゃるのか伺います。
(答)格差が拡大しているというよりは、デフレの基本的な指標の一つということでもあったでしょう。
それが地方においても地域経済が緩やかに持ち直しつつあるということの現れがまずはその中核都市、そしてその中でも一部のところに現れているということで、格差を心配するというよりも地域経済が高まりつつあるということの兆しと捉えて、これはむしろ前向きに捉えていこうと私は思っているところです。

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