大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年8月15日(木) 10:48 ~ 11:05
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
 私から一点御報告がございます。
8月10日から14日にかけまして、ミャンマーとシンガポールに出張し、両国の要人と会談して参りました。
ミャンマーでは、テイン・セイン大統領のほか、鉄道運輸大臣、運輸大臣、建設大臣、ホテル観光大臣と会談し、また防災担当大臣会議を開催しまして、そこでは私も含めて4大臣の会合となりました。
会談の結果については、既に12日に資料配布によりお知らせしたとおりですが、一つは鉄道近代化への支援表明、そしてティラワ港の整備・運営への我が国企業参加に関する協議、更に航空分野における協力に関する協議などを行いまして、ミャンマーとの協力関係の強化を図ってまいりました。
また、防災担当大臣連名による、防災協働対話の枠組み構築に向けた共同声明を発出しました。
テイン・セイン大統領とは、これらの事項を含め幅広い両国間の協力について意見を交換しました。
大統領は、我が国の支援に謝意を表したうえで、国民が果実を実感できるプロジェクトを進めたいと述べられ、かなり具体的な協力要請をいただきました。
また水害対策にも心を砕いておられました。
国民の暮らしによく目を配っておられると感じたところです。
シンガポールでは、運輸大臣、貿易産業大臣と会談しました。
会談では、一つはシンガポール・クアラルンプール間の高速鉄道計画に関する新幹線技術のトップセールスを行い、あわせて観光交流の拡大について意見を交換しました。
今回の出張によって、インフラ整備や防災等の分野における、ミャンマー、シンガポール両国との協力関係、相互理解が深まったものと考えております。
私からは以上です。

質疑応答

(問)ミャンマーの件ですが、空港の改修運営事業1件を日本の企業連合が受注しましたが、一方で2件の空港整備事業は中国や韓国勢に競り負けてしまったとのことですが、インフラ輸出でたびたび中国や韓国に受注を奪われてしまうというケースがありますけども、新興国では受注リスクもあって民間企業だけでは勝ちきれない部分もあると思うのですが、日本企業の受注を後押しするために国として何か支援策など考えていらっしゃることはありますでしょうか。
(答)いわゆる新興国を中心にした世界のインフラ需要は膨大なものがありますし、また我が国の成長戦略の一環として、安全性と信頼性と総合力、日本はこの強みを最大限活かしていくことが大事だと思います。
こうした強みを活かして、積極的に世界インフラ需要を取り込むことによって、我が国の成長につなげていくことが重要だと考えております。
今回も行ってみて感じておりますけども、海外のインフラ案件を巡る国際競争は極めて激化しているという状況にあります。
国土交通省としましても、民間企業の取組を支援して官民一体となった海外展開をより強力に推進するために、更に踏み込んだ対応が必要だということを痛感しております。
具体的にはいくつか項目がありますが、一つ目はトップセールスです。
この度のミャンマー等の訪問で、私からもミャンマーのテイン・セイン大統領を始めとして両国の関係閣僚に対しまして、鉄道・港湾・道路・防災などのインフラシステムについて日本の技術やシステムの優位性を強く働きかけました。
こうした、日本は一体どこが優れているのかということ、そして私は日本の企業においても現地の状況に即して求められているインフラに対して技術的に優れている点というものをしっかり働きかけていくことが大事だと思っておりまして、私も日本の優れている点を今回強調させて頂いたところです。
トップセールスということが大事だと思います。
二つ目に政府間協議の活用ということが大事だと思いました。
二国間協議やAPECなどの多国間協議の場がいくつかございます。
これを活用して日本企業の参入に向けたビジネス環境整備や我が国のインフラシステムのPRを強化するということが大事だと思っています。
三つ目は、産官学連携の強化です。
例えば、今回ミャンマー政府と合意しました、防災協働対話はこうした仕組みを他の国とも進めて産官学一体となって相手国政府のニーズの確認、あるいは日本企業の持つ技術や製品のPR等を行うことができるという、そうしたPRも大事だと思いますし、その仕組みを構築することが大事だと思っています。
これらに加えて大きな初期投資や運営段階の需要リスクというのがございますので、そうした点での資金面の支援策の必要性についても検討する必要があり、担当部局に検討させている状況にございます。
世界の新興国をはじめとして、これは新興国のみならずシンガポール等でもそうなんですが、日本の優れた技術というものが現地の中でよく理解をされ、そして日本の提供する側においてもその各国、各地域においてどの程度のどういうインフラが必要なのかというところによく焦点を当てることが大事だと思っておりまして、これからその辺についても政府として応援をするということと同時に業界とも話し合いを進めて行きたいと思っているところです。

(問)内閣府が発表しました4~6月期のGDPで公共投資がプラスになりまして、補正予算に伴う緊急経済対策の効果が出てきたというような見方が出ています。
今後の景気浮揚効果について建設の現場では色々人材不足ですとか資材高という状況がまだあると思いますが、今後の景気浮揚効果の見通し、見立てについてお聞かせ頂けますでしょうか。
(答)12日に発表されました、25年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)によりますと、公的固定資本形成が1.8パーセント増加して、実質GDP成長率が前期比0.6パーセントとなった押し上げ要因になっているという状況が報告されています。
また今日、月例経済報告においても報告されましたが、公共工事受注額も増加しておりまして、今年の1月に閣議決定しそして補正予算として計上されました緊急経済対策の効果が現れてきているものだということを感じております。
今後、まずはこの補正予算そして本予算の執行が更に進むことによって、支出以上にGDPを押し上げる乗数効果や、他産業の生産や就業を誘発する効果など、公共事業の持つ景気の底上げ効果を発現していくものと考えております。
また、それが早期にそうした効果が出るように今補正予算等につきましては契約等が現場で行われている状況にありますが、さらに補正予算から本予算ということが非常に大事でありますので、その辺の契約が進み建設の前には前払い金というのが出されますけど、これが現場の中に更に浸透していくということで、これから更にこうした公共投資による景気の浮揚効果というものが期待されると思っておりますし、そこをしっかりバックアップして行きたいと思っております。
今御指摘がありましたし、最近言われておりますが、工事現場の人材不足等の懸念については、正直言いまして私もそこはずっと注視をして参りました。
これまでの受注状況を見ますと、まず被災地ということにおいては、そうした技術者や技能者の不足、鉄筋工や型枠工あるいは鳶等、こうした現場の技能者の不足、そうしたことが被災地においては影響があると思っておりまして、ここは様々な手立てを講じていかなくてはならない、またやってきたところでありますが、全国的に見ますとこうした人材不足等における具体的な支障は生じているわけではないというのが今の現状認識です。
これまでも事業の執行に万全を期すために、人材を効率的に活用することをはじめとして工夫をしてきたところでありまして、今後とも円滑な公共事業の執行がなされるように現場の実態などを注視して参りたいと思ってます。
災害も今非常に多く、そうした災害の現場の復旧作業ということと、東北の復興という作業と、そして全国的な防災減災、老朽化対策等々を含め、これらが推進できるということが極めて大事だと思っておりますので、人材不足と資材不足ということについては常によく見ていかなくてはならないと思っているところです。

(問)今日8月15日ですけれども、古屋大臣、昨日は松下政務官が靖国神社に参拝されました。
先日、太田大臣は靖国神社に参拝されないとお話されていましたが、改めて靖国神社へ参拝するかどうかということと、他の大臣や政務官が行かれたことについての所感をお願いします。
(答)閣僚等の靖国神社参拝ということについて、内閣として既に方向を示しているように個人の判断に任せるということです。
私はその判断ということで、靖国神社への参拝は行わない、それが私の状況でございます。
松下政務官あるいは各大臣というお話がありましたが、基本的には政治家個人の私的な行動に関する事柄であり、内閣の方針通りに従ってということですから、私個人の見解を述べるということは差し控えたいと思います。

(問)昨日(14日)全日空の(ボーイング)787型機にトラブルが発生し、各社対応点検を行っておりますが、これから(帰省の)上りのピークなどを迎えますが、その辺の安全対策について大臣の御見解をお願いします。
(答)ボーイング787型機で不具合が発見されたということで、エンジンの消火ボトルに作動装置が正しく取り付けられていなかったということが、全日空の787型機で判りまして、全日空は保有する20機について作動装置の取付状況を確認して他の2機にも同様の不具合が見つかったということです。
全日空では次の飛行までに、作動装置が正しく取り付けられた消火ボトルに交換を行うということです。
国土交通省としては、全日空の点検によって判ったということですので、日本航空に対しまして保有する10機のボーイング787型機の点検の指示を致しました。
日本航空は点検をしまして、その不具合は無いということが確認されました。
また、これは製造時の不具合の可能性がありますので、国土交通省として昨日(14日)のうちにボーイング社に対して原因究明と再発防止に必要な措置がとられるよう要請をしたところでありますし、またアメリカのFAA(米国連邦航空局)にもボーイング社の監督ということを要請しているところであります。
いずれにしても安全には万全を期すということで、指摘すべきところは国土交通省としてきちっとやっていきたいと思っています。

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