大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年6月11日(火) 10:26 ~ 10:59
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議におきまして、平成25年版「首都圏白書」、「土地白書」及び「観光白書」が閣議決定されました。
 次に、私から、1点御報告を申し上げます。
 観光立国実現に向けたアクション・プログラムについてです。
本日、第2回観光立国推進閣僚会議を開催しまして、観光立国実現に向けたアクション・プログラムをまとめました。
このプログラムは、史上初めて訪日外国人旅行者数1,000万人を突破して、さらには、その先の目標であります2,000万人の高みを目指すということで、必要な施策を4つの重点分野でとりまとめたものです。
 具体的にはその4分野を申し上げますが、1つは日本ブランドの発信です。
これは、自然や食、伝統文化から清潔・安全まで、我が国の誇るべきコンテンツを日本ブランドとしてデザイン、日本ブランドを作るということです。
様々なチャンネルにより発信をしていくということです。
2つ目は、ビザ要件の緩和等による訪日旅行の促進です。
このビザ要件の緩和につきましては、タイ及びマレーシアのビザの免除、ベトナム及びフィリピンの数次ビザ化、そしてインドネシアの数次ビザの滞在期間延長を実施することに致しました。
夏までにと考えております。
3つ目は、外国人旅行者の受け入れの改善です。
出入国手続きの迅速化や円滑化、観光地における多言語対応の強化など、外国人が(日本に)来られて、色々な意味での受け入れ体制、言葉の問題もあります。
また、家族で来る場合は学校というようなこともあります。
全ての分野において、受け入れの改善を行うということが3つ目の柱です。
4つ目は、国を挙げた一体的なMICE誘致体制の構築です。
世界の会議が様々な形で日本で展開されるということです。
この4分野を中心としまして、観光立国を推進をしていくということに致しました。
 これらの施策は、我が国の優れた観光資源等のポテンシャルを活かして、世界の人たちを惹きつける観光立国を実現する、その強い意志のもとで行ったものです。
今後、国土交通省が中心となりまして、それぞれの段階に存在する様々な隘路とも言うべきものを打開して、着実な実施を図っていきたいと思っております。
詳細は、後ほど事務方にお問い合わせ頂きたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)本日閣議決定されました土地白書についてですが、こちらの中味で空き地や空きビルが今後少子高齢化によって急増するのではないかという指摘がありまして、それに対応して具体的に国土交通省としてはその問題にどのように対処されていくお考えなのかを教えて下さい。
(答)土地白書の後半の部分にその問題が出て参ります。
今後人口減少、高齢化が進んでいきますと、空き地や空きビル等の増加がより深刻化するというのは、大勢の人がそう思っていると思います。
定量的な分析ではありませんが、色々な市を歩いて調べてみますと、間違いなくそのような傾向が出てきて、空き地や空きビルというものが地方都市も含めて出てきているという現状がある上に、土地を相続しても積極的な活用意志のない人がいたり、空き地であっても売却をする意向のない人が多いという状況が生まれてきています。
土地を持っている、手放さない、利用をしないでそのまま持っているということです。
これは、日本人の先祖代々の土地は持っているというような意識があるのかもしれません。
そうした傾向があります。
これを一体どうするかということで、この白書で提起をし、そして私達が考えておりますのは、初めてそうしたことの分析からの動きになる訳ですが、例えば所有権をそのままにして、利用したい人に利用権を設定出来るようにするということが有効ではないかと考えます。
そのためには、地方公共団体や民間事業者がその間に立って、情報提供等を行うことで、貸したい人と利用したい人とをつなぐ施策ということになろうと思います。
「就活」という言葉がありますが、「住活」というような感じになろうかと思います。
土地白書でも、いくつかの取組事例を紹介しておりますが、今後更にこのような先進事例を収集・紹介すること等によりまして、不動産の有効活用に向けた取組を広く普及させて参りたいと考えております。
そのような意味では、もう少し現地の状況、現場の状況を掌握すること、そしてその取組事例というものを集めること、そして集めたものを何らかの形で国土交通省として提起をすること、これらについて進めていきたいと思っているところです。

(問)先程御報告のあった観光についてですが、特に目玉としてやはりビザの緩和になってくるかと思いますが、こちらを実施することによって、具体的にどの程度の効果が見込まれるのかということについてコメント頂ければと思います。
(答)ビザの緩和ということに踏み切ったと、外務省や法務省をはじめとして、様々これまで打ち合わせをしてきまして、これがかなり理解を頂いて、踏み込むということになりましたから、夏以降ということで、6月はなかなか難しいと思いますが、7月8月という段階では、これが実施されるということになりますと、東南アジアの人達が日本に来るというのが、かなり機運が高まっているということもありますので、私としては円安傾向とも相まって、非常にここが外国人の観光客が来るということに、かなりインパクトがあるのではないかと思います。
一過性のものではなくて、これから増えていくという状況の中での手の打ち方であったと思いますので、これは大きなことだと思います。
私が冒頭申し上げましたように、この件は非常にビザの緩和の件だけでなくて、4つの重点分野ということを申し上げましたが、日本ブランドと申しましても、今まで外国の方から見て何が日本のブランドであるかという認識が食い違っているというところがあります。
外国の人から見ますと、非常に時間が正確だとか、危険がないとか、安全であると、あるいは食べ物がおいしいとか、そうしたことが山ほどあって、四季が美しいとか人の心が優しいとか、そのように我々が日常的に普通に思っていることが、実は外国にとっては非常に心地よく素晴らしいことであると、それをもう一度各地域にそうしたものがありますから、それを発掘する、そしてそれを日本ブランドとして発信するということであったりします。
これはかなり効果を及ぼすと思います。
また、外国人旅行者の受け入れの改善ということは、空港にプライベートジェット機で来たり、そこを出来るだけ早く仕事が出来るように対応していく、そしてLCCも含めて出来るだけ便数を増やしていく、こうした空港自体から始まりまして、ある程度長期滞在が出来るというように、これは家族もということもありますから、そこでは教育の問題から様々な問題を変えていかなくてはなりません。
そして全国一斉に表示も、九州ですと韓国語あるいは英語、中国語、こうしたことだけでなくて、その地域にはかなりここの地域は来るということがあったりしますから、それらも含めて多言語で対応出来るということをする。
かなり今回盛り込んだものはMICEの誘致といっても、これは圏央道とか道路ということで、例えばこれがつながっていきますと、成田で降りて会議がつくばで圏央道を通ってすぐ行われるというようなこともありまして、様々なこのMICE誘致体制というものは、各主要な地方においても進めていけるのではないかと思っているところです。
沖縄にも先般私が行ってお話を聞きますと、沖縄の観光の会議を是非とも設置してもらいたい、声を聞いてもらいたい、力を貸して欲しいということを受けて、直ちに会議を先週行いましたが、そうしたそれぞれの地域での声を聞いたりしながら様々対応していって、伸ばせるのではないかと思っているところです。
それから、国土交通省内に観光立国推進本部を本年1月に設置しました。
今回のアクション・プログラムにつきましては、我が省の色々な分野に、港湾もそうです、空港もそうです、道路もそうです、駅ということも関わります。
色々なところに関わることなので、省内で国土交通省の観光立国推進本部を開くということで、各局長に私から直接指示をしてスタートしたいと思っているところです。

(問)首都圏白書の件ですが、その中で改めて首都圏の将来的な人口減少と高齢者の増加が触れられています。
その受け止めと、それに対しての首都圏の中での何か対策が現状あればお願いします。
(答)これは大きな問題ですが、首都圏ということで申し上げますと、東京というものと、そして人口減少というものが来すという周辺の首都圏という両面があろうかと思います。
強くするという面では、特に首都・東京を中心にして、三環状というものをしっかり確立して、そこで中味を濃密なものにしていって、都市間競争に向けてスタートをするということが、非常に大事なことだと思います。
中味については時間の関係で省略させて頂きます。
もう1つは、住みやすいあるいは高齢化してくる、こうした状況にどう対応するかということです。
私はここのところは、住生活ということの中の、住宅というものに特に注目をしなければいけないと思っています。
スマートハウス、スマートウェルネス住宅ということで、太陽光を屋上に置いたり、あるいは外断熱ということで、マイルドな室内というものを確保したり、あるいは省エネということを行ったり、バリアフリーで高齢化に対応したりということで、そして今高齢者も郊外よりも東京の中にという志向性はかなり強いと思いますので、そこにお年寄りに優しい街であったり住まいであるというのを、どう併せて作っていくかという、強い都市再生の中で強い首都圏を作っていく、同時にそこでの住まいというものを中心にして、優しい穏やかな落ち着く、そうした空間というものを作っていく、この両面から首都ということについての対応をしていかなくてはいけないのではないかということを、強く思っているところです。

(問)ビザの緩和についてですが、アクション・プログラムには今年の夏までにということで、先程大臣も6月は難しいかもしれないが、7月8月という段階ではというお話がありました。
今のところ、早ければ来月7月から実施できればという理解でよろしいですか。
(答)これを決めるということの中で、外務省をはじめとする関係省庁とも調整をして、私はなるべく早く実行出来るようにしたいと思っているところです。
多少準備に時間が掛かるということも聞いておりまして、7月中に出来るのか8月にかかるのかというような調整だと聞いています。
ですから、何月ということは今日の時点では申し上げられませんが、そのような含みのもとで夏までと申し上げているところです。

(問)今日、社会資本の老朽化対策会議が開かれますが、大臣は5月28日の第13回経済財政諮問会議で新規投資の余力は維持管理・更新が本格化するまで、残された時間に対象を限定するという趣旨のことを述べられていますが、それは維持管理と新規投資のバランスの中でどのようなことを考えるということを具体的にイメージされているのでしょうか。
(答)私の頭の中には、概略をよく掴みたいと思っていまして、維持管理にどれだけお金がかかるのか、それから更新というのは新しくするということにもなります。
そうした点では、同じ場所に橋梁なら橋梁を造るけれどもそれを修繕という形で保たせていけるという場合もあれば、基本的には全部取り替えて更新し新しいものにするということにもなります。
そして、港などでは耐震の岸壁を作ると同時に世界のハブ港湾ということで水深を深くするということが必要になります。
それが新規とも言えるかもしれませんが、水深を深くするということは更新になるのか新規になるのかということにもなってきます。
全く新しいというようなことは、例えばミッシングリンクの道路というようなこともあります。
その辺は言葉の定義というよりは、全体的にこの国の経済活性化ということの中で維持管理・更新、メンテナンス、耐震化、耐震化と言っても耐震改修というのは新しいわけではないものですが、新規ということについては何をもって新規と言うか、更新は何をもって更新と言うかということはあります。
ただ全体的にはやって貰いたい、あるいはやらなくてはならない、色々なことで大変な金額が掛かるということが懸念をされるということです。
それを全体的にはこの位だということを、民間の部分は除いて、民間が担う部分が高速道路とかそういう部分では当然あります。
これは別にして全体的にはどういう規模のものになるのかということを、ほぼ概略を大きな網を打って、その中で段々と縮めてまとめていきながら、同時にその中で点検や維持管理や修理の技術というものをここでしっかり進めてメンテナンスの山、修繕の山が来るのを平準化して、そしてそれを長寿命化することによって山を低く抑えて長く保っているということの大体の概略の数字を掴まなくてはいけないということで、道路は道路として、高速道路は高速道路として、橋梁は橋梁として、色々なところで計算をして頂きながら段々まとめて行こうと思っているところです。
時間の掛かるものではありますが、このまま粗々でも色々考えて作っていかなくてはならないのが今の現状です。

(問)新規投資はある部分に集中して、維持管理・更新みたいなものをひとつの優先度の高いものにしていくのではないのですか。
(答)その辺は、全体の経済活性化、災害への対応、そしてリダンダンシー、そういうものを全て考えて緊急性のあるものから順番にやって行くということで、当初からどっちが重点だということでは、今のところはございません。

(問)レンタルオフィスや倉庫という用途としながら、実態としては居住施設を提供しているというようなケースについて今まで報道していますが、実際にそうした施設が多数存在してきたということについての受け止めと、どう対策を考えておられるかということを教えてください。
(答)多くの人が居住しながら、貸しオフィスや倉庫などと称して建築基準法の防火関係等の基準に違反している疑いのあるそうした物件が、複数の特定行政庁で確認されており、また報道を見ているところです。
こうした物件は、建物の外観からだけでは違反であるかの判断が難しく、まずはその実態についての情報収集が必要だと私は考えています。
そういう意味では、情報収集、実態把握に国土交通省としてはまず手を打ちたいと思います。
そこで国土交通省としては、昨日(6月10日)、違反の疑いのある物件に関する情報受付窓口をホームページに設けました。
また、都道府県に対して物件に関する情報収集や調査、違反物件の是正指導を行うよう、通知をしました。
都道府県等においても情報受付窓口を設けること、情報提供のあった物件について、特定行政庁において消防部局等と連携し調査すること、建築基準法令に違反する物件が確認された場合には、速やかに是正措置を講ずることなどを要請しました。
実態把握、情報収集、そしてそのことにて昨日(6月10日)通知をさせて頂き、ホームページにも出させて頂いて、少なくとも私たちの直接関係する建築基準法令に違反する物件が確認された場合には是正措置を講ずるということは、速やかに行っていかなくてはいけないことだと思っております。

(問)これまでこうした施設の存在を把握していなかったということなのか、あるいは把握はしながらも明確に違反・違法として是正指導することができなかったのかどちらでしょうか。
私の取材では後者ではないかと感じているのですが。
こうした実態があるということに例えば区の建築指導局が言ったとしても、それを共同住宅の宿舎と認定して是正指導することができない。
相手が住居ではないと言い張るというときにそれを突き崩せないという実態があるのではないでしょうか。
(答)それは新しい形態でそうしたことが従来からきっとあったのでしょうけれど、最近そうしたことが出てくるということが目立ってきたということではないかと思います。
今の件については、違法建築物に住民登録を行うのは問題ではないかということについて、住民登録と違法建築物との関係性というようなことにも関わってくる問題ではないかと思います。
本人の居住の意志と実態等があれば住民登録は認められているものと承知していますが、私たち国土交通省としてはこの違法建築物の是正指導に努めて、建築物の安全確保を図るということがまず我々にとっては大事なことで、そこのところに住民登録がなされるかなされないかは違う形での問題意識で、そこはすれ違っていると思いますが、いずれにしましても実態把握、実態掌握、違法建築物の確認と是正をまずやっていかなくてはいけないことだと私は思っています。

(問)建築関係の法令の抜け穴を突かれているのではないかと思いますが、現状の法令体系は規制に十分だとお考えでしょうか。
(答)この辺は十分に調査してからということになります。
昨日もそうしたことから通知をしたこと自体かなり反響もあるようでありますから、今までなかなかこうした実態が十分把握されていなかったということがありますから、踏み込むという意味は大きいと思います。

(問)中国の習近平国家主席とオバマ米大統領の会談が8日に行われて、私は尖閣問題がどうなるのか注目しておりますが、尖閣諸島に関しては中国は相変わらず同じ姿勢で譲る気配はなく、米国はこれに対して漏れ聞くところによると従来通り二国間で解決してくれという結果になりそうですが、領土問題は戦争でないと解決しないと言われていて、このまま行きますとどこかで着地点を見つけない限り大変なことになると危惧いたしますが、海上保安庁を所管する大臣として、また憲法問題でも自民党にお話をした公明党の大臣としてどのように着地点を見つければいいとお考えでしょうか。
(答)これは色々なことで努力をしていかなくてはいけないことだと思いますが、この尖閣諸島については既に歴史的にも国際法的にも日本の領土であるという確定した政府の見解はいささかも変わるものではないと思います。
その上で総理は常に対話のドアは開いていると言っていらっしゃいます。
私は今回のオバマ、習近平会談の中にも、また中国側の発言にも対話ということの重要性については十分認識をしていると私は感じました。
そういう点ではどこまでも安倍総理が言う対話のドアは開いているということと、対話ということが大事であるということを確認しているということで、私は糸口をちゃんと作って色々なチャンネルで対話がされていくということが、まず第一歩としては大事なことだと思っています。

(問)ビザ要件の緩和は、急減している中国からの観光客というよりもむしろ東南アジアからの観光客にシフトして行くということでよろしいのでしょうか。
(答)それは違います。
中国との観光ということでの交流ということについては、おそらく中国側も日中の観光での交流ということについては、大事だという認識をされているということは全く変わりないと私は思います。
そこはこれからも十分話し合いをしながら交流が行われるということに努めるというのが、我々の役割だと思っております。
併せて最近は東南アジアからの観光客が増えてきたということもありますし、そして今回のことは、日・ASEAN友好協力40周年になる今年という一つの節目ということもあります。
そうしたこの日・ASEAN友好協力40周年という意義を込めて、そうしたことに力を入れるという事であって、あれかこれかでは全くありません。
日本と中国、日本と東南アジア、日本と韓国等々の観光交流は一層促進することが大事なことだと思っております。

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