大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年1月25日(金) 11:57 ~ 12:17
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日、国土交通省関係の閣議案件はございません。
 私の方から1点御報告がございます。
上越新幹線大清水トンネルにおけるモルタル片落下についてであります。
昨日上越新幹線大清水トンネル、東北新幹線トンネルでモルタルが剥がれ落ちたとの報道があり、JR東日本から国土交通省に対して、その旨の報告がございました。
今回のケースはいわゆる化粧モルタルといわれるものの剥落であり、トンネルの構造本体の劣化によって起きたものではございません。
従って今回の事案は、安全上問題があるものではありませんでした。
しかし、私としましては、現在老朽化対策ということで注目をされており、また事故があってはならないということもありまして、同じようなモルタルがトンネルの天井部にあり、そこから落下した場合、安全上の問題を惹起することは否定出来ません。
新幹線は特に高い安全性が求められていることから、安全に万全を期すため、鉄道事業者において必要な総点検を行うよう鉄道局に指示したところであります。
私からの報告は以上です。

質疑応答

(問)先日東京都知事から、東京メトロと都営地下鉄の経営一元化について協力の要請がありましたが、大臣の受け止めをお聞かせ頂きますでしょうか。
(答)一昨日、猪瀬都知事が来られまして、地下鉄の利用者の利便性の向上のために、東京の地下鉄の経営一元化を進めたいというお話がございました。
利用者の利便性の向上が大事であるということについては、そのとおりで私も受け止めは同じでありまして認識は同じです。
ただし、今後の持っていきかたということ、現実目の前に様々な問題があるというようなことでありますから、私の方からは検討すべき課題が多いということから、協議を再開したらどうだと、4回ほど行われて中断しているということもありまして、協議の再開ということについてお話をさせて頂いて、協議が再開されるという方向になったというのが現実でございます。
今後の協議の時期等については、事務方と都側で調整をしている段階にございます。
(問)猪瀬知事から、国が保有するメトロ株を都に譲渡する様にと求める要望がありましたが、これについてどのように対応されますでしょうか。
(答)まさにサービスの一元化、一体化ということについては合意をして、既に「バカの壁」ということを始めとして、これが取り払われるというような措置が進んでいるという状況にございます。
その後の展開について、利便性の向上等のための諸施策は、東京都が2/3以上の株を保有して単独で行うのではなくて、国と東京都が協力して、進めるべきものだと私は基本的には思っております。
そうしたことも含めて、この協議をするということで、再スタートということで、様々な案件については、今後協議の場でお互いの意見等を申し上げて、しっかり詰めていくというような、あるいは、協議の結果どういう方向になるか分りませんけれども、充分詰めていくことが私は大事だと思っているところです。
(問)大まかな協議会の再開時期ですが、どのような見通しでしょうか。
(答)これは特段決めておりませんが、都知事と大臣との間でやりましょうと決めたことですから、そう長くこのままということではなくて、協議は出来るだけ無理のない範囲で、出来るだけ早めに立ち上げるということが大事ではないかと思います。

(問)冒頭にありました上越新幹線大清水トンネルにおけるモルタル片はく落ですが、安全上問題はないということですが、今回JR側の対応について、報告がそもそもなかった、そのような事案が発生したが公表はしていなかったということがあるようですが、その件についてはどのように思われますか。
(答)公表ということと、国土交通省への報告という2つがあろうと思います。
この事案は直ちに安全に関わる問題ではないということで、法令に基づく報告義務はありません。
しかし、笹子トンネルの事故等を見まして、こうしたことは大事な問題だと私達は思っております。
併せて、側壁のモルタルのはく落、いわゆる化粧モルタルのはく落ということが、場所が今回は側壁であったり、あるいは地面に近いところであったりして、安全上問題はないということで報告義務はないわけですが、しかし、もしこの化粧モルタルが天井の方にあったとするならば、それが落ちた場合に事故につながるというようなケースもありますから、これからは我々も十分把握する必要があると認識しておりますから、よくJR等から報告を頂いたり、あるいはその辺りの事情を詳細に詰めて、様々なケースもありましょうから、とにかく安全に万全を期すという体制を作る、あるいはそうした連携を取るということが必要だと思います。

(問)自民党と公明党の税制改正大綱がまとまりました。
その中で、自動車重量税の部分について、税収は道路の維持・管理・更新等の財源として、自動車ユーザーに還元されるものであることが明らかにする方向で見直しを行うというような文言が入りました。これを巡っていろいろ様々なやり取りもあったようですが、このような文言が税制改正大綱に入ったということについて、国土交通大臣としての受け止めをお願いします。
(答)これは与党の大綱ですから、それは与党側、特に自民党側から発言したものというのが尊重されるべきだと思っており、私が基本的にはコメントするという立場にはないと思います。
しかしその上で、非常にこれは大事な問題ですが、改めて政府としては官房長官がこれは一般財源であることに変わりはないと発言され、そして自民党税調もこれは一般財源であると言っているということで、整理がついたと私は思っています。
従ってこの自動車重量税がいなかる位置を示すか、占めるかということについては、平成26年度税制改正で議論するということもあり、私としては一般財源で変わりがないという認識をしているところです。

(問)先程の質問に関連して、その一方で道路の維持・管理というのは大臣が仰った通りこれからとても重要になってくると思いますが、その財源を安定的に、長期間に渡って今後どのように確保していけばよいのでしょうか。
(答)これは、国全体の問題ですから、例えばこの間の首都高速でこれだけ掛かりますという7,900億円から9,100億円の間位かかるというようなことがあり、私はそこでは全国の高速道路を点検作業をして寺島実郎さんを中心にした委員会で行っていただいており、その全体像を示して、それから財源をどうするのかという事を行わなくてはいけない、今度は高速道路だけではなくて、全体的にトンネルであれ、道路であれ、堤防であれ、そういう事が、今調査をしっかりやるという段階でスタートを切ったところでありますから、この数値が様々な形で出てくると思っています。
それは総合的な観点から、また優先順位をどうするのかというところで財源を考えていく、また地方財源ということに関わって自動車重量税というものの、こうした発言やまとめが与党間であったというように聞き及んでおりますけれど、直ちに私がこの財源をどうするのかということについては、もう少し調査を進め、現状をしっかり把握し、そしてそこに、一体優先順位をどうつけて、そして具体的にそこでの財政措置をどうとっていくのかということを、総合的な段階で見ていかなければならないと思っています。
自動車重量税ということで絡めていくということだけではなく、もう少し国全体の構造物や国道の老朽化対策の中で財源をどうするのかということを、もう少し大きなスパンと大きな問題把握の中で考えていくべき問題だと承知しております。

(問)JRと高速道路に関しましては、既に民営化をしているわけですから、まかり間違っても維持管理のところ、あるいは老朽化対策に対して国費が投入されることはあってはならないと思いますが、その点、JRあるいは高速道路についての新規事業がもしある場合は、それよりもむしろ老朽化対策を優先させるようにというような押さえが必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
(答)基本的には、新規ということよりも老朽化対策ということが緊要性があると思っています。そこは変わりのない私の姿勢であるということだけお答えします。
(問)民営化した会社に国費を投入しないという点はどうでしょうか。
(答)そこについては、原則ということもあるでしょうけれども規模ということについては、国民の命に関わる部門が生じるということが仮定された場合に、どういう優先順位でどうするかということは国全体で考えていかなければならない問題で、直ちに国費を投入ということではありませんけれども、その緊要性とか命に関わることについて、どういうふうに国が対策をするのかということは、国民の命と暮らしを守るという観点で責任を持つのが国の立場ですから、その辺はこれからよく考えていななくてはならない問題だと思っています。
直ちに、今、国の費用を投入するということではなく、民営化された所は自らそこで修繕等を行うというのはものの考え方の基本でしょうが、しかし大規模になった場合、命に関わる巨大地震等が予想されるという場合の対策として、どうするのかということは、また別の問題として、少なくとも視野に入れるというか、ものをどう考えるかということを考えておくのが国の姿勢としては大事だと思います。
(問)その場合は、例えば民営化した高速道路よりも国土交通省が所管している国道について優先するという考え方でよろしいのでしょうか。
(答)命に関わる危険度というものが一番優先されるべきだと思います。

(問)上越新幹線のトンネルの件なのですが、今後JRとの連携を深めていくということなのですが、今回法的な義務はなかったのですが、報告義務の対象の見直しと拡大なども検討されるのでしょうか。
(答)原則的には、私は法令上の問題というよりも緊密な連携ということが極めて重要だと思っています。
そういう点では、まず現時点、今日の時点で私は一関から南の新幹線については直ちに報告を頂いておりますが、大清水トンネルの場合は報告よりも報道が先んじたということもありまして、まずはしっかり連携を取っていくことが最初は大事なことだと思います。
法令の見直しから入るのではなく連携を取るということを優先したいと思います。

(問)水資源機構による栃木県にある思川開発事業の南摩ダムの利水事業についてですが、このダムについては本体が未着工でありますが、事業費を負担するのは自治体で補助金を与えるのが国土交通省という関係ですが、補助金の支払いの条件としては水利用の計画について厚生労働大臣の認可を受けてはじめて補助金が出る形になっています。
ところが栃木県は一部水利用計画の認可を受けていないまま補助金を長年受け取ってきています。
今慌ててそのことを指摘されてパブリックコメントを行って計画を今作ろうとしておりますが、過去、国が支払ってきた補助金については補助金等適正化法に従って返還を求めるべきだと思いますが、大臣は如何お考えでしょうか。
(答)その詳細については、私は十分承知しておりません。
全体的な最後の結論部分でいうと、補助金等適正化法の問題というのは私は十数年前から指摘をしてきたりしたところでありまして、そうした状況がうまれたら補助金等適正化法は適用されると思いますが、具体的なこうした事案についてどういう判断をするかは、私は今結論を持っておりません。もう少し調べさせてください。

(問)ボーイング787型機の調査についてお伺いしますが、昨日、米国のNTSBが会見を行い、会見でバッテリー問題の原因究明には時間がかかる見通しを示しました。
日本も同じようなバッテリーの調査を行っておりますが、そのような調査が長くなれば長くなるほど、人員を増やすなど調査の体制にも変更が必要だと思います。
今、調査に関してどのような体制変更について検討されているか教えて下さい。
(答)現在は人員を調査に増やしたり、高松空港に行く人を増やして行ってくださいとか、バッテリーメーカーのところに行く人員を増やすなどしておりますが、今仰られたようにもっと強固な体制が必要かどうかということについては検討する段階に来たのかという気はします。
しかし、人が調べることからいきますと、それだけの技術水準を持って連携を取れる人の確保はそう簡単な問題ではありませんので、人が増えれば進むということなのかどうかも含めて人員やあるいはそういうことが判断できる人のことも含めてこれから考えさせてもらうということで、今日は御意見があったということを受け止めさせて頂きます。

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