大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年1月15日(火) 11:15 ~ 11:50
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

私の方から、2点御報告がございます。
一つは、国土交通省の平成25年度概算要求入れ替えの概要についてであります。
平成25年度の概算要求につきましては、総理指示にありました「復興・防災対策」、「成長による富の創出」そして「暮らしの安心・地域活性化」の3点に重点化した要求に入れ替え、11日に財務省へ提出を致しました。
国民の命と暮らしを守る防災・減災対策、老朽化対策を実施し防災・減災ニューディールを進めるとともに、経済再生のための地域活性化や成長戦略を推進するための事業を、厳密に積み上げ、それに必要な予算をしっかり確保していくことが重要だと考えています。
一般会計の要求額は、財務大臣の指示に基づいて、4兆7,410億円としておりますが、これに加え、事項要求というのがございますが、「インフラの安全性の徹底調査・総点検、老朽化対策」更に「防災・暮らしの安心のための地方の取組の支援」など、これら政権交代に伴う特に重要な項目については、事項要求として追加要求をしているところでございます。
いずれにしても、今後の編成過程において、事項要求の内容も含めた所要の額を確保できるようにしっかり取り組んでいきたいと考えているところです。
 もう一点、日本航空のボーイング787型機における燃料漏れ事案に関する調査についてであります。
既に御案内の通り、日本航空のボーイング787型機で相次いで燃料漏れが発生したことを受けまして、航空局長に対して、2件の燃料漏れについて独自に原因調査をするように指示を致しました。
これを受けまして、昨日から調査チームが原因調査を開始したところであります。
本件について、今後、FAA(米国連邦航空局)やボーイング社とも連携をとりつつ、可能な限り早期に原因究明及び必要な対策を進めていきたいと考えております。
国土交通省としましては、ボーイング787型機に係る安全上の諸問題に積極的に取り組み、我が国における同型式機の安全と公共交通としての信頼の確保に万全を期していきたいと考えております。
以上2点、私の方から報告をさせて頂きました。

質疑応答

(問)今日の午後にも補正予算が閣議決定されます。
第二次安倍政権で初めての予算編成となりますが、先週の緊急経済対策と重なる面もあるかと思いますが、この補正予算に関する意義、どのように考えるのか大臣のお考えをお願いします。
(答)この安倍内閣全体としましては、常々御報告をしておりますが、「景気・経済の再生」、「被災地の復興の加速」、「防災・減災・危機管理」という3つの柱を持っています。その中で予算編成ということにあたりましては、経済的には三本の矢ということで言っておりますが、予算編成自体にはこの基本方針と三本の矢を具体的にどうするかという方向とともに、「復興・防災」というのが一つ、「成長による富の創出」が一つ、「暮らしの安心」、特にそこでは地域の活性化という3つの柱を立てているところですが、私はこれらを背景にして国民の納得が得られる公共事業の部分が多いものですから、国民の納得が得られる事業を積み上げることが重要である。
命を守る公共事業ということが大事であるという事の趣旨を明確に考えているところで、それを予算に反映することであったと思います。
そして、補正予算は本予算と連動となりますが、15か月予算として平成25年度予算と一体的なものと考えて、「命を守る防災・減災」、そして「老朽化対策の為の総点検」、「防災・減災ニューディール」を推進する。それはそうしたことをやることによってニューディールということは、経済活性化にも資するということにもなります。
経済再生を実現するために地域の活性化ということも含めて、成長戦略の推進力になっていくという予算編成というのが、今回の予算であると思っております。
補正予算案の閣議決定後は、特に私が思いますのは、施策の効果を最大限に発揮しなければならない。
その為には、特にこの公共事業を担う私どもの立場としては、早期成立、そして迅速且つ効率的な執行、このことが非常に大事ということであって、手続きの簡素化をはじめとしてそのようなことを推進していきたいと思っている所であります。

(問)先週末に群馬県知事とお会いされたと思うのですが、八ッ場ダムに関して就任直後も色々御発言がありましたけれども、改めて今の段階で現地への御説明をどう考えているのか、タイミングについて今どうお考えか教えてください。
(答)私は一年前の前田大臣の事業継続いうことをそのまま尊重する、そして早期完成を目指すと、入口と最後の完成ということについてぶれないで進んでいくんだということをこれまでも表明して参りました。
今お尋ねの点で、大沢知事と先週お会いしたときに、出来るだけ早く来て頂きたいという要請もありましたものですから、然るべき時期にお伺いをさせて頂くよう調整をしているところですとお答えをしました。
従って私としては、色々な時期を考えて現地に行くことになろうと思いますので、今調整中でございます。
又改めて時期が決まれば出来るだけ早い時期に皆様方にお知らせしたいと思っております。

(問)先程の787型機の件ですが、日本のメーカーもかなり製作に協力しているものですが、今回調査を指示したということで、調査結果として、中間報告はいつでるかという大臣のお考え方をお聞かせください。
(答)昨日(1月14日)の2時位からメンバーには(調査に)入って頂いて、夜の10時過ぎまで作業をして、聞き取りをしたり、飛行機自体の燃料漏れということについて状況を連日見たりというようなことです。
今日もそうした作業が行われているところです。
これについて、いつ、何時纏めて報告をしなさいという指示を出しておりません。
従ってちょっと時間を頂いて、随時状況については毎日聞きたいと思っておりますが、いつ公式に中間(報告)とかの発表についてはこれからの検討ということになります。
またその時にはお知らせします。

(問)昨日(1月14日)10数年ぶりの大雪で首都圏を中心に公共交通機関がかなり混乱しましたが、公共交通機関を所管している大臣としては、昨日の混乱はどのように見て評価されますでしょうか。
(答)大変心配をしまして、国交省としてこれについては常に備えていなくてはならないということで、水管理・国土保全局の人達が精力的に状況掌握ということと、公共交通機関についてを調べ上げ、まだ他の省庁と連携を取り合って調査をしたということでございます。
昨日はかなり急に雪が降ったということで、多くの方が戸惑ったと思いますが、あらゆる場面を想定してきちっとこういう事については、体制も含み前もって予測をしたりということで、情報提供することは必要かと思いますので、これは我が省だけの話ではありませんけれども、昨日はそうしたことをさせて頂いたところです。

(問)787型機の関係ですが、航空局が独自に対策調査チームを作って調査に乗り出すということは極めて異例のことだと思いますが、その狙いと改めて具体的に今後どのような調査を進めていくのでしょうか。
(答)最初の事案というのはバッテリーとのことで、これはアメリカのものですので調査の主体はFAA(米国連邦航空局)を始めとする米国ということになります。
そして国内で起きた事案については我が国のことですから、全日空、そして特に日本航空ということで、ずっと調査を行っているところです。私としては、連日のようにそうしたことが起きてきているということは、国民の側からは大変不安になるということがありますから、報告を待っているのではなくて、その調査は調査として、国土交通省として身を乗り出してその実態掌握に行くということが、国民の皆さまにある意味では安心をして頂くということが大事だと思いますから、あえてお休みの時でありましたが、そうした事案が発生したということを受けまして、調査をさせて頂いたところです。

(問)インフラの老朽化の関係ですが、今回総点検を行うということですが、特に自治体等ではインフラの総点検を行うと、これまで点検をあまり行っていなかったところも中心に総点検すると、かなりいろいろなメンテナンスが必要だというところが浮かび上がってくると思います。
かなり莫大なお金が今後維持・管理・更新にかかっていくことが推察されます。
その際に自治体の多くは財源がないということでかなり困っているようですが、国は今後どの程度財源の手当を長期にわたって考えているのでしょうか。
(答)全体の総額ということについて、いくつか今まで何かが起きたらこれだけのお金がかかります、とてつもないお金や数字が出たりしていますが、どのような観点でその額が積み上げられたのかということを調べてみますと、その建築に関わったものから全部なくなったということ全部を含めてというようなところもあります。まさにどれくらいお金が総額でかかるのかということ自体が、非常に現実に即したものでなければならないと思います。
あれもやりたい、これもやらなくてはならないということは当然出て来ることだと思いますが、その辺りを、緊急を要するもの、長期に渡ってそれを補修していかなくてはならないもの、あるいは既に構造的に非常に厳しいということで弱点が見いだされていてそこを補修ということが必要なものの判断をする必要があります。
よく道路なども、あるいはまた耐震ということでも、全部調べていくと、昭和56年以前の新耐震基準以前の建物は全部危ないということであれば、全部取り替えなくてはいけないということで、これは民間ということで御自身のビル等についてはやらなくてはなりません。
それについても、まず耐震診断をしなくてはいけないということがありますので、いきなり全部補修も含めてこれだけかかりますというよりは、例えば地震で言えば耐震診断が先で、この耐震診断をして、今度は優先順位があって、緊急を要するものとそうではないものの分類を行って、これはかなり時間のかかる問題だと思います。
いろんなところから出てきた数字の中味を、私は報道関係者に伝わっている数字の中味についても、よく吟味をしていかなければならないと思っています。
これだけ調べたらこれだけ大変で、全部行うにはこれだけかかるというような観点というよりも、そうした時間軸も考えて、その調査というものがどれだけの調査で、その積み上がった数字というものがどのようなものであり、そして優先順位をどのようにしていくのか、ということをしっかり把握していく作業が大事です。
まさにそうした作業がこれからです。そのスタートが総点検を致しましょう、というところで、今回の緊急経済対策の一番最初に、老朽化という前に総点検というものが行われて、ここからまず始めましょうということだと思います。
公共事業の質問以外のことで、以前の会見でも話が出ましたが、バラマキ論がいろいろ出ておりましたが、まず公共事業は産業基盤整備ということの中で我が国では始まったというように承知しております。
その後には下水道や住宅等のそうした生活関連ということに力を入れる公共事業が主に進んできたと思います。
今度は、日本にとっては初めてかもしれません。
防災・減災という角度で、地震が想定される、そうしたら津波があるところ、津波が小さいところ、いろいろなそのようなところで防災・減災、脆弱国土というものを受けてそこをまずやらなければならないという観点での今回はスタートだと私は思っているところです。
そのような意味では、今御質問のありました全体像がいくらかかるのかということ、但し今回は先程も申し上げましたが、そうしたことで地方の負担ということは全てを地方に行って頂くというわけにはいきませんので、そこも国が補助をして行っていくという仕組みを作ったということが、今回の大きな特徴だと思います。

(問)先程の予算の早期成立、迅速な執行ということに絡めてお伺いします。
先日も大臣は徳山ダムのことを少しお話されましたが、この根拠法である水資源開発促進法、そしてその法律を根拠に持っている水資源機構、ここが2002年の扇大臣の時代に独法改革をした時に、新規の事業として栃木県の南摩ダム、滋賀県にあります丹生ダム、三重県にあります川上ダム、そして岐阜県にあります木曽川導水事業の4つ、これがその当時新規であるということで継続になっております。
ところが2002年から今11年過ぎて、もうすぐ12年になりますが、未だに全く手つかず状態と言いますか、水需要のために、まさに先程大臣が仰いました一番最初のタイプの公共事業、産業整備という意味で水需要のために計画されたものですが、これらがまだあります。この迅速という意味からすれば、これから作る意味がないものではないかと思います。
このような事業について、長期的に動いていない事業についてはどうなさるのか、そしてそうした無駄を延々と続けてきた水資源機構自体を廃止されるお考えはないかどうか、お願いします。
(答)まず、私が迅速という言葉を使いましたのは、今回の補正予算はあくまで補正予算なので、年度を越しますと繰越という形になります。
来年の3月を越えますと通常は事故繰越ということで、非常に使いづらいということで制約が掛かってきます。
従いまして、今回の予算が、通常このような時期にこれだけの予算が組まれるということはなかなかありませんが、早く契約が成立をして、その意味では手続きの簡素化ということも必要でしょう。
具体的にそれが進んでいくということが大事だというような、いろいろな隘路を突破しようというような工夫が必要であるとともに、執行しようとしましても、なかなか人の問題がありまして、職人さんがいない、あるいは技能者と技術者と、技術士のお金の基準ではこれを置きなさいなど、いろいろなことがありますので、その辺りで迅速ということが極めて重要であるということをお話をさせて頂いたところです。
今仰った4つのダムについては、ダムについては一つ一つを今検証しているということが基本になっております。
私としては従来から、いつかの時の記者会見でも申し上げましたが、無駄ということは一体どのようなことが無駄なのかという中に、やるのかやらないのかよく分からなくて、ズルズルといっているというのは、これは時間も含めた無駄であろうということを発言させて頂いたことがあったと記憶しております。
そのような意味では、今御指摘の4つのダムについて、一体どのようになっているのかを私自身がまだ十分承知しておりませんので、それについてはズルズルいって、やるのかやならないのか分からないのは無駄であるという私の考え方に変わりはありませんが、どのような事情で、それが今どのようになっているのかということの詳細を存じておりませんので、一遍調べさせて頂きたいと思っています。
(問)丹生ダムに関しては橋下大阪府知事の時代に全て撤退をしたいという手続きをやってほしいと大臣と機構の理事長に申し入れをされていますが、放置されて3年が経っておりますのでそれも含めて調べて頂ければと思います。
(答)はい。

(問)来年度予算に関して、財務省に提出した概算要求は4兆7千億円ということで、昨年9月と変わらなかったんですが、今回安倍政権になっていくつか重要なものがあって事項要求になって額が入っていないんですが、結果的に大臣が仰っている所用の額を確保できるようにすると今月末の政府予算原案決定の時に国交省予算の4兆7千億円より増える可能性もあるという認識でしょうか。
それとも4兆7千億円の中に収まるという認識でしょうか。
(答)総理指示あるいは財務大臣から今回の予算編成にあたっては、昨年度の予算額あるいは概算要求に基づいて予算編成すると指示が出ているところです。
その他に事項要求をどうぞしてくださいということです。総額がどうなるかはこれから内閣全体、財務省との話し合いという中にでてくる話だと思っておりますが、私は概算要求額という全体の財政状況の中の範囲内でまず原案を作った上に事項要求を出したわけですから、私は事項要求の分は増えるということが基本的な考え方ではないかと思います。
数字についてはこれからのまさに折衝事項になって行くと思います。

(問)ボーイング787型機の調査についてお伺いしたいのですが、全ての機体について中断し調査をされるのでしょうか。
(答)中断ということではございません。
(問)検討に入るためには何が必要か教えてください。
(答)一つ一つの案件について、例えば今年に入って発生したことについてはアメリカで1月8日だと思いますが、発生したバッテリーから火災が生じた件がありました。
それはそれでどうするかを検討し調査をするということをアメリカ中心で行っております。
当然、我が国の飛行機ということにつきましては、我が国で当事者である全日空、そして日本航空が行っており、そこに私たちは国民の不安を感じて調査に国土交通省も入って昨日からスタート切っているということです。そこで既に飛行機が動いているという状況もあったりしますし、ガラスにひび割れが生じたということがあったり、ブレーキが動かないというようなことの中でもこれは当然、リダンダンシーということでいくつかの重層的なことをやっていることもありますから、それらをどういう事故の規模でどういう状態であるかということをしっかり判断して我々としては運航する場合にはとにかく絶対安全でなくてはならないというメッセージを発しながら対応して行き、厳密に調査をしていく、または調査報告を受けて連携を取っていくということをさらに進めて行くというのが、今の段階でございます。
(問)それ以上の段階になると何が必要だと思いますか。
(答)それは事故が深刻な状況であるかどうかによって段階に違いがあると思います。
(問)ボーイング787型機の機材には他の日本の飛行機と少し違ってすごいハイテクが入っておりますが、これは今回の調査に関してどういう影響を持ちますか。
(答)ここは専門的な知見ということになって、最新鋭の787型機は機体も非常に軽い素材を用いており、電気系統もかなり大きく改良されたものだと思っております。
それ以上、新しい改良がどういう影響があるかということについてはまだ調査中であり私が申し上げられる状況にないということだと思います。

(問)補正予算については3月を過ぎると使いにくくなるのでそこまでに迅速に執行されるということでしたが、今日の午後閣議決定される予算の公共事業分がどれぐらいになるか不明ですが、かなりの額になることが予想されます。
随分乱暴な使い方、不要なものにまで使われてしまうという危惧が懸念されますが、どのように厳格に精査されるおつもりでしょうか。
(答)中身については先ほど公共事業についてのルールを述べさせて頂きましたが、一番の基本は命を守る公共事業ということで行く、防災・減災、老朽化対策を優先することで行く、予算全体については中身を吟味する、今の状況ですと予算は全て3月までに契約締結できるかどうかについてはなかなか時間の問題もありますから、一番大事なことは迅速にと申し上げたのは出来るだけ早くという話であります。
成立するのが来月であることが予想されますから、年度末まで僅かな時間しかないこともあり、迅速に行っておりますが、迅速が拙速になることがないように、そして国民の皆様が納得できる事業が積み重ねられるように更にしっかり中身を吟味したいと思っています。
(問)一ヶ月でそれが出来ると思いますか。
(答)私たちは、予算編成にあたっては短時間でありましたが、そういうことについては全内閣を上げて十分注意をして中身を精査しながら行ってきた中で、出来上がってきた予算だと思っております。

(問)都営地下鉄と東京メトロの統合ですが、1月第1週の猪瀬東京都知事の記者会見のときにこの質問をしましたら、猪瀬知事も国土交通大臣に早急に連絡を取りたいというお話でしたが、その後、ロンドンにオリンピック招致で行かれて、東京におられず今日になりました。
今、シルバー世代のシルバーパスを東京都が出しており、何百万人という相当な人数が都営地下鉄が利用できても東京メトロが利用できないのが現状です。
東京都出身の太田大臣でございますので、一つ大臣の方から声をかける感じで都営地下鉄と東京メトロの統合を進めて頂ければと思います。
それが大いな足跡にもなるかと思いますがそのあたりの方針をお聞かせください。
(答)私は今年に入って猪瀬知事とは直接連携を取っておりませんが、そう遠くない時期に猪瀬知事に会うことになると思っておりますので、そこでスタートしたいと思っています。
今、オリンピックということで、しっかり内閣を挙げてということになりまして今日は(胸に)バッチを付けさせて頂いておりますが、東京オリンピック招致ということ、そして常に言われている東京の地下鉄一元化、今仰ったシルバーパスの問題についてもよくご相談をしたいと思っているところです。

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