大臣会見

前田大臣会見要旨

2012年1月31日(火) 10:02 ~ 10:22
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

閣議関係で特に私の方からご報告することはございませんが、一つ私からトピックスとして思いついたものがございますので申し上げます。
この前の日曜日に京都で、固有名詞を言っていいのか分かりませんが、断熱省エネ関係を随分と一生懸命取り組んでいる大きなビルと、京町家を視察いたしました。
ビル関係も、取り組もうと思えば相当の省エネが出来るのです。
それを先見的に行なっているケースとしてヨドバシカメラが、壁面緑化など、とてもきれいなことをやっていました。
あそこは地下水の豊富なところですから、地中熱と言いますか、地下15メートルくらいの地下水というのは、年間通じてだいたい16,7度の温度なのです。今の時期ですと16,7度というと暖房に使えるわけです。
真夏の京都はとても暑いですから、16,7度というと冷房に使えるわけです。
そのまま使うわけではないですよ。
そこで熱交換をするわけです。そういうことをきちんとやっている。
これは随分省エネになるわけです。
それから京町家ですが、京都の伝統的な木造建築は蒸し暑い夏向きに出来ていて、冬はとても寒いわけです。
それを今の技術を用いて、先端の機器ということではなく、非常に知恵を出して、木造の町家で、今時の冬は朝一回暖房を使うと一日中暖かく、夏は冷房を一回使うとだいたい快適温度で過ごせるということです。
なぜ、このようなことを申し上げているかというと、どうも皆さん方あまりPRして下さらないんですね。
ドイツの国土交通大臣がおっしゃっておりましたが、「自分はドイツではエネルギー消費大臣だ」とおっしゃっています。
エネルギーの利用の分野、CO2、温暖化ガスの排出分野は産業部門、運輸・交通部門、そして民生部門と三つの分野に分けられますが、そのうちの大きな二つの分野は国土交通省関係ですから、ここの政策を徹底的に省エネ、低炭素化していくと実は日本のエネルギー問題、あるいは地球温暖化対策問題もクリアできるわけです。
この方向に国土交通省の政策を是非持って行きたいということで、ご承知のとおり「持続可能な国づくり・低炭素まちづくり法」を提出するわけでありまして、そういう国会がはじまる節目ですから申し上げました。

質疑応答

(問)日英航空当局協議で、羽田空港の昼夜の時間帯について国際線の運航が可能となりましたが、羽田での昼夜の国際線の運航が可能となることで、成田空港の国際線のネットワークに影響を与えないのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)そのような懸念があるということは承知しておりますが、成田は日本における一番大きなネットワークのハブになっておりまして、来年度からオープンスカイを進めようということで今準備をしているところです。
そのような意味では、成田の新しい需要開拓を今、随分進めておりますから、そのような心配はあまりあたらないだろうと思います。
成田に対する需要も相当出てくるだろうと想定されております。
LCCなども含めてオープンスカイにすれば、まだまだ日本とアクセスしたいというところが世界にたくさんあるわけですから、そのように思います。
それから羽田については、まだまだ準備が必要で、これが実際に使えるようになるのはもう少し先、2年以上先になるのではないかと思います。

(問)東日本大震災関連の国交省の会議の議事録についてお伺いします。
昨日、奥田副大臣は記者会見で、議事録の一部が欠けているという説明があったのですが、議事録の作成が徹底していなかったことに対する大臣の所見と今後の対応策について、改めてお願いします。
(答)公文書等の管理に関する法律があるわけですが、調べたところ、緊急災害対策本部、これは発災以降、直ちに始まって、全体で49回、8月末まで行なっているようです。
大畠大臣が精力的に取り組まれました。
内容は救出、救援等について、いかに有効な手を打つかという議論が49回ですから、二日に1回、三日に1回という感じで行われたと思います。
公文書管理法は、会議の結果であったり、用いた資料をきちんとキープしてオープンにしろというようなことだろうと思います。
実際に、国交省ではその辺はきちんと押さえていたようです。
これだけの回数の会議ですから、メモを取ることにあまり意識が集中していなかったようですが、それでも30回くらいはきちんとメモは取っていたということです。
抜けているのが十数回あったと聞いております。
それから、被災地の復旧・復興に関する検討会議も合わせて行い、それが東日本大震災復興対策本部会合に変わって、変わってから私も一度、11月の末に出ておりますが、これは5回行っておりまして、そのうちの3回はメモがあるようですが、私の初めて出た会議のメモが無いようでございまして、秘書官等がメモを取っているはずだから、きちんとそれを再現しろと今、命じております。
結論として、こういう緊急の災害対応のときには、中身の議論に集中して、しかも、それを即応させなければいけないということで行なっていて、あまりきちんとしたフォームを作って、メモをきちんと取るというようなところまでいっていなかったということは反省すべきところで、今後は、その辺もしっかりさせたいと思います。

(問)広島県福山市の鞆港の埋立架橋の話ですが、先の日曜日に、19回にわたる住民協議が終わりました。
2009年当時の金子大臣は、「埋立架橋に当たっては、事業を進める上で国民の同意が必要である。」ということで、かなり踏み込んだ発言をなさって、それによってかなり事業にも影響を与えたと思います。
地方の公共事業に対して、国民同意が必要であると言われた言葉に対する大臣のお考え、それから、この件に関するこれまでの住民協議の経緯についての御所見をお伺いします。
(答)金子一義元大臣の発言の御趣旨ということについては、私も今初めて聞いたところでわかりませんが、非常に親しくしてきた私の友人でもありますので、私の想像ですが、一つは埋立ては知事の権限ですが、鞆の浦の鞆港は確か重要港湾だと思います。
重要港湾については、知事だけの権限で決まるわけではなしに、国土交通大臣の了解が必要だというふうに確か港湾法か何かで決まっているのだろうと思います。
そういう意味で担務の大臣として言われたというのが一つ。それから金子先生は高山の御出身で、やはり文化的な資産というものについては非常に関心が深いわけですから、そういった意味で鞆の浦のすばらしい景観であるとか、朝鮮通信使の迎賓館ですとか歴史的な遺産もあるわけです。
そういった事が頭にあったのかなと推測いたします。
これは全くの推測です。
私としては後半の金子大臣の気持ちというものは共感するところがあります。
しかし地元は非常に狭い港の海岸線の道路で日常生活あるいは地域の経済社会にとってネックになっているということは事実ですから、それをどのように解消するのかということで、知事さん、地元が一緒になって検討されているということで、その結果を尊重したいと思います。

(問)先週27日の整備新幹線に関する有識者会議で、国交省は、例えば北海道新幹線の札幌延伸では、2035年の開業後30年間に渡り毎年の収益が35億円で、関東からの鉄道客が4.2倍に増えるという試算を出していますが、人口減少が避けられず、また飛行機との競争もある中で、過大な需要予測ではないと言い切れるのでしょうか。
(答)私はその資料を手元で見たわけではないのですが、そのための有識者委員会が早速議論を始めてくれています。そのような中で今言われたようなことも、きっちり議論は行ってもらえると思います。
ただし、私は北海道は非常に可能性が高いと思います。
今の時点であまりどうこうと言うより、これから先、地球温暖化の中で、しかも日本海側ルートというものが非常に重要になってきます。
ルートというのは発展するアジアの成長を、日本もなんとか取り入れようとしているわけですが、そのルートが日本海側ということになって、北海道はそういった意味でも重要な役割がでてくるのではないかと思います。

(問)それは建設ありきということではないのかという考え方もあるかと思うのですが。
(答)整備新幹線の北海道、北陸、長崎については、一応国交省としての方針は出しました。
ただし党の方からも指摘があって、採算性等について再チェックを行っているということです。
ですから、その再チェックはあくまでも客観的に、いろいろな専門の先生方が入り、経済面の方もおられるし、あるいは施設関係の専門の先生もおられるし、そういった有識者の議論の結果を待ちたいと思います。

(問)昨日、造船の再編の発表がありました。
その受け止めと、今後の造船業について、中国、韓国の後塵を拝しているという状況を踏まえてお聞かせください。
(答)ユニバーサル造船とIHIが合併協議を進めているというお話ですが、これは、ユニバーサル造船はかつての日立造船と日本鋼管で、それとIHIですから、それぞれかつては世界を制覇していた日本の造船の先端の三社です。
こういう企業が一緒になって、さらに技術的にも高度なもの、あるいは経営的にも合理化をしていただければ、今御指摘のように、韓国、中国に量的には圧倒されていますが、それに対して日本としては大きな希望が出るのではないかと思います。
船そのものも単に大きさだけではなく、性能だとか機能というものが随分と進化しているわけで、また船に要求される機能というものがどんどん高度化し変わってきておりますので、そういうところで日本の競争力が発揮できるのではないかと期待しております。

(問)先週の金曜日に、高輪プリンスホテルで沖縄県の観光キックオフパーティーがございました。
玄葉外務大臣や川端総務大臣がお越しになって、前田大臣もお越しになってご挨拶ということが式次第に載っていたのですが、お越しになりませんでした。
何か思惑があったのでしょうか。
(答)金曜日は、日程が重なってしまって行けなくなってしまったのです。

(問)沖縄関係でありますので、何か思惑があったわけではありませんか。
(答)そういうことはまったくありません。
そのうち沖縄の方には行かせていただきます。

(問)先日、LCCのピーチ・アビエイションで身障者の方が予約を取り消されたことがありました。
LCCにはいろいろなビジネスモデルがあると思いますが、今後日本の3社が出てきて、こういう問題がいろいろ出てくると思いますが、大臣の受け止めと今後の対応についてお願いします。
(答)あの情報だけだとLCCにネガティブな印象を持たれたと思いますが、どうやらそういうことではありません。
電動の車いすは、きちんと収納するコンテナのようなものが必要なようです。
それがLCCにはなかったみたいでして、今後、そういう電動の車いすも、きっちり安全に収納出来るようにすると改造しますということのようです。
実際に、障害者の方にもお詫びを申し上げて、経緯を説明して納得していただいたようですし、きちんと対応できるように改造するということでありました。
LCCというものの性格からして、最初のうちはそこまで気が回らなかったということはあるかもしれません。

(問)コスト削減が、そういうところに悪影響を及ぼしていることは問題ではないのでしょうか。
(答)詳しくは分かりませんが、電動でなければ大丈夫だったのかもしれませんが、要するに、コンテナを設置しておかないと収納できないということであったということです。
それについては、今御指摘のような問題があるということを指摘しましたので、改良しますということになりました。
ただし、そういうことが外国から来るLCCにそこまで指導できるかについては、別の問題として考えていかなくてはならないと思います。

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