大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年7月22日(金) 8:32 ~ 8:48
参・本会議場 中庭側廊下
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
本日の閣議で特に報告すべきことはございませんが、私の方から国土交通省関係で3点御報告を申し上げます。
一つは道路でございます。
東日本大震災を受けて、東北の被災地の復興のために大変大事なひとつの柱が道路の再建と新設であります。
特に三陸縦貫自動車道は非常に大事であることから早急に整備を進めるようにという御指摘を各方面からいただいておりますので、三陸自動車道の整備促進を図るということについては既に御報告をしたところでございますが、それに加えて、今回「くしの歯」の「歯」の部分の三本の道路について整備を促進するという方針を固めました。
ひとつは東北中央自動車道、もうひとつは東北横断道釜石秋田線、それから宮古盛岡横断道路の3つの整備を促進しようという方針を固めたところであります。
これらの道路についてはそれぞれ当該する県からも要請を受けているところであります。
東北横断道釜石秋田線と東北中央自動車道につきましては、三陸沿岸道路と同様にルートの具体化を図るために、ただちに道路が通る概ねの範囲を公表し、これをもとに8月中旬を目途に地域の意見も聞きながら概ねのルート及びインターチェンジの位置を提示した上で、8月中を目途にルートを確定するという方針で整備を進めることにいたしました。
なお、東北中央自動車道の福島~霊山間につきましては、福島市街地を通過し、都市計画決定等の手続きを進める必要があることから、まずは道路が通る概ねの範囲を絞り込む作業に着手するよう事務方に指示をしたところであります。
また、宮古盛岡横断道路につきましては、岩手県が主体となって整備を進めるということになっておりますけれども、県におきまして鋭意調査を進めておりまして、国直轄による整備の要望も併せていただいておりますので、これについて国土交通省としてもいろいろと準備を行って、他の横断道に遅れることがないよう県において具体的な整備計画を固めていただくとともに、国としても早期の整備について協力をしていくという方針を固めたところであります。
2点目は、外国からの支援についてです。
この度シンガポールの赤十字社に設けられました東日本大震災に対するシンガポール国民の寄付の基金によりまして、岩手県宮古市に建設される仮設のケアセンターが寄贈されるということであります。
ここには400戸の仮設住宅がございますが、そこに、ケアセンターをシンガポールの国民の皆さんの寄付金等で作るということにさせていただいたところであります。
シンガポール大使館から被災地に必要な施設の寄付について申し出を受け、被災各県と調整を続けてまいりましたけれども、岩手県との協議が進み、本日付けでシンガポール大使、岩手県知事及び私の間で、寄付に関する覚書を交わすことになりました。
今後、10月の完成を目標に工事が進められ、完成時には引き渡し式を行うこととしております。
国土交通省として、シンガポールの国民の皆さん、シンガポール政府並びに赤十字社に対して心から感謝申し上げたいと思います。
広さはおおよそ100坪程度と聞いておりますが、ここが仮設住宅にお住まいの方々の憩いの場になればと、そしてケアセンターとして名実ともに活用されるよう期待しているところであります。
3点目の報告は、土地利用調整のガイドラインについてであります。
これについては、平野復興担当大臣から発表される予定でございますが、いわゆる、被災地の復興のための基本的な土地利用の考え方についてのガイドラインでございます。
詳細については事務方から聞いていただきたいと思います。
私も内容について報告を受けておりますが、このガイドラインが示されれば、各市町村における復興の計画についても非常によく寄与するのではないかと思います。
簡単に申し上げますと、津波が押し寄せる範囲内ではないところに住宅地を造るわけでありますが、基本的にどういう形で街を造るか、あるいは津波がくると予想されるところではどのような形で土地の利用をしたらいいのかということなどをまとめたものでありまして、各市町村における復興のための協議会等で、このガイドラインをまちづくりの中に大いに活用していただければと思います。
以上です。

質疑応答

(問)仮設住宅の用地確保が問題になっておりますが、気仙沼市で用地を県外に確保したという話がありまして、地元では職場であったり家族の学校の関係からなかなかそちらの方に行きづらいという声も上がっていて、仮設住宅の入居率が伸び悩むというような指摘もありますが、効率的な運用について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)3月11日以降、仮設住宅を建設する上で一番の悩みが土地の確保でございました。
これについては県も努力をしましたが、自主的に場所を確保するという自治体が一所懸命頑張りまして、おおよその土地を確保したのですが、避難者の方々がそこには入居したくないというようなお話もありまして、土地はあるのですが仮設住宅は建てられないと、こういう状況がずっと続いてまいりました。
大震災からもう4か月が経過しておりますけれども、それではどこに土地があるのかということで、可能性のある土地はほとんど俎上に上げて論議してきたところでありますが、自治体が避難者の方とお話をして、その場所であればということでおおよそ合意をしながら手当をしてきたところであります。
一般的には、そんなに遠い所ではなかなか避難者の方が入れないのではないかというマスコミの皆さんの御指摘はわからないわけではないのですが、それではどこに土地があるのかと、そういう状況を考えて、自治体の皆さんと避難者の皆さんで話し合った上で、おおよそここにしようということを自治体がお決めになったわけです。
今朝も5時半くらいからどこかの番組でディスカッションをしておりましたが、やはり一番大事なのは避難者の方々の声や御意思というものを大事にしながら物事を進めていくことが大事だろうと、私もそのとおりだと思います。
そういう意味では、話合いを続けた結果として、地域の方々も地域外の場所でも良しとして、自治体も建設を決めたわけですから、私としては自治体の皆さんの御苦労もわかりますし、いつまでも避難所生活を余儀なくされるという状況を解決するためには、今のところ、自治体の御努力を受け止めたいと思っております。
当然ながら、避難者の方々と話し合った上で、自治体が仮設住宅建設を行っておりますので、その御努力を多としたいと思います。

(問)全日空が昨日、エアアジアと合弁で成田を拠点とする新しいLCCを作ろうということで合意いたしました。
日本航空も別途検討中でありまして、日本勢もにわかにLCC参入の動きを強めているわけですけれども、このような動きに対して大臣はどのように見ていらっしゃいますか。
(答)日本としてはオープンスカイを進めております。
逆に言えば、日本が一番遅れているのかもしれませんが、諸外国では、港も空港も24時間使えるような形にしており、航空業界もローコストキャリア、つまり安い航空運賃でお客さんを運ぶという新しい会社が次々とスタートしています。
遅ればせながらでありますが、私としては、日本においてもそのような業態の航空会社が進出することについては、歓迎をしたいと思っておりまして、国としてもできるかぎり、そのような新しい動きについて応援をしたいと考えているところであります。
ただし、安全については、絶対に確保していただかないと、航空事故というものは、乗務員の方も含めて本当に大変なことになりますから、絶対安全ということだけは担保しながらの競争をしていただきたいと、それだけはお願いしておきたいと思います。

(問)整備新幹線についてですが、国土交通省が行った費用対効果の試算では、未着工3区間のうち、長崎-諫早だけが「1」を下回ったとの報道がありますが、これについての受け止めと、一般論でかまいませんが、費用対効果が「1」を下回る公共事業を進めるべきがどうか、これについてのお考えをお願いします。
(答)御指摘の事については今検討中ですので、報道ではそのように言われていますが、詳細についてはまだお話しする段階ではないと思います。
しかし、小泉政権以降、B/C、費用対効果という考え方が非常に大きなうねりとして始まりましたけれども、単なるB/Cだけで良いのかという思いはございます。
3月11日の大震災を受けて、いわゆる交通手段の多重化ということも大変大事でありますし、今回、飛行機、道路、鉄道、港湾、海運といったものがネットワークを作って、地域の人々の命を救うという活動をしていただいたわけです。
私は今年の3月11日を一つのポイントとして、単なるB/Cだけで全ての物事を割り切るということではないと、こういった時代に入ったと思います。
命を守るあるいは地域経済を活性化するということは、その地域の経済によって雇用が確保されるということですから、生活を守るという観点も加えて物事は見なければならないと思います。
B/Cも一つの指標だと思いますが、絶対視するということではないのではないかと、私はそう考えております。

(問)東北中央道など三つの路線が全て完成するのはいつ頃になるとお考えでしょうか。
(答)全部完成するには、かなりかかると思います。

(問)時期は言えませんか。
(答)おおよそ10年位かかるのかもしれませんが、できるだけ前倒しをしたと思います。

(問)費用はどの程度でしょうか。
(答)今、私の頭の中にトータル費用の積算はありませんが、これからベースのところは第三次補正に組み込んで、そこからスタートして、いろいろと工面しながら是非10年以内には完成させると、重点的な所については早めに完成させると、特に福島と相馬を結ぶ道路がありますが既に部分的に着工しておりますので、これを全線開通させることが、福島の原子力発電所の事故によって寸断されている箇所を経済的にも結びつけるために大変大事な所であると思っておりますので、できるだけ前倒しをして完成を目指していきたいと思います。

(問)三次補正に3路線の調査費を計上するということでしょうか。
(答)そのつもりです。

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