大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年7月8日(金) 10:03 ~ 10:35
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
本日の閣議で国土交通省関係として御報告するものはございません。

質疑応答

(問)昨日、津川政務官にもお尋ねしたことなのですが、一昨日、宮城県の村井知事が応急仮設住宅の完成の目途について、宮城県内においては、8月中旬までに予定していた全戸の完成は難しいとの見通しを示されました。
このことを受けて、国土交通省として今後どのように対応されるのか、あるいは今後の完成の見通しについて、大臣の御見解をお願いします。
(答)御質問いただきました応急仮設住宅の関係ですが、国土交通省としても避難されたた方々、いわゆる被災者の方々の立場に立って、一日も早く現在の避難所での生活にピリオドを打って仮設住宅にお移りいただき、そして今後の将来についての考え方をまとめていただく、その場を提供するために全力をあげてまいりました。
予算委員会、国土交通委員会等でも遅いのではないかという御叱正も賜ってまいりましたが、各県、自治体、そして仮設住宅の建設を担う方々の全面的な御協力をいただきながら、今日まで至ったところであります。
5月末までに3万戸の建設を行うということで努力をしてまいりましたが、5月末までには完成できませんで、確か6月8日に完成戸数では3万戸を超えることができました。
そして今日、総理からの御指示等もいただきながら、お盆までには希望する方々が仮設住宅にお移りいただくことができるように、知事、自治体の関係者、建設に携わる方々等の最大限の御努力・御協力をいただいてきたところであります。
すでに津川政務官から御報告があったと思いますが、昨日7月7日時点では、必要戸数について各自治体で全部チェックしていただきまして、当初は72,00戸という必要戸数でしたが、いろいろな状況の変化の中で仮設住宅の必要戸数は50,583戸になりまして、7月7日時点で、発注の見込みが立った戸数が49,397戸、必要戸数に対する比率は97.7%です。
完成戸数は36,391戸となっているところです。
いろいろと御指摘をいただいておりますが、関係者の皆さんの御努力でここまで来たと考えておりまして、感謝を申し上げたいと思います。
御質問の件でありますが、岩手県の必要戸数13,833戸については、6月中に発注を終えておりまして、7月前半に完成の見通しとなっております。
福島県については必要戸数14,000戸と伺っておりますが、一部に調整中の建設用地があるものの、7月末までに完成の見通しであると聞いております。
宮城県でありますが、必要戸数22,435戸の大半は8月前半までに完成する見込みでありますが、一部の自治体では、被災者の方々の意向を踏まえ、市の区域内での建設を優先するため完成時期が遅れるという報告を受けております。
これは土地が確保できないことから輸入資材を活用した2階建て住宅を建設しようというところがありまして、これについては完成時期が延びるという報告を昨日受けたところであります。
さらに具体的に申し上げますと、石巻市においては、必要戸数に対応した建設用地を確保したものの、一部に被災地支援活動に使用中の用地、これは支援活動が終了した場合には用地を使えるという箇所がありまして、まだ支援活動中ですから、その用地が使えないということで、着工時期については調整中ということでございます。
気仙沼市については、市民の意向を踏まえ、今しばらくの間は市の区域内での用地確保にさらに努めたいとのことで、一部の建設用地の目途がついていないという報告を受けています。
女川町については、町民の意向を踏まえ、輸入資材を活用した2階建ての輸入住宅を予定しており、工期が伸びる見込みとのことです。
このような報告をいただきましたが、国土交通省としては、避難所で生活をされている方々の立場に立った仮設住宅の建設ということが一番必要な考え方の基本であると思いますし、これを大事にしながら、自治体の皆さん、あるいは県の皆さんも、この間本当に一所懸命努力をしていただいているわけでございますので、これからも最大限の支援を行っていきたいと考えます。
私ども国土交通省としては今後とも出来る限りの協力を行って、避難所生活をされている方々が1日も早く避難所での生活にピリオドを打って、新しい生活を考える場である仮設住宅にお移りいただけるように、努力をしていきたいと考えているところであります。

(問)避難所にいらっしゃる方々の立場に立った建設が大事だというお話がありました。
確認ですが、8月中旬までに最終的には間に合わなくてもやむを得ないという御判断でしょうか。
(答)総理からの御指示等もございますので、さらに自治体と地域の方とお話をしながらできるだけ努力を続けたいと思います。
私としては何を一番大事にすべきかというと、被災された方々の意向を第一番目に大切にしなければならないものと思いますし、その意向を踏まえて、自治体の皆さんが最大限の努力をしていただいてますので、この2つは基本的に大事にしなければならないと思いますが、同時に総理が予算委員会等でも御発言されておりますので、引き続き、自治体の関係者の皆さんとはお話し合いをして、できるだけ前倒しできるように努力をしたいと、私としては現在そのように考えているところであります。

(問)昨日、日本で初めてのLCCとなるPeach・Aviation(ピーチ・アビエーション)に対して航空運送事業の許可がなされましたが、これについての所感と、日本航空もLCCに参入するという一部報道がありますけれども、そうした状況を踏まえた日本の航空業界の展望についてお考えがあればお聞かせ下さい。
(答)日本企業で第一号のLCCとなるPeach・Aviation株式会社についてでございますが、国土交通省としても初めてのケースですが、基本的に歓迎したいと思います。
今、世界中がオープンスカイと言って、航空業界はかなり活発になってきておりますし、世界の標準的な考え方としても24時間、飛行場には離着陸できるというくらい便数も増え始めております。
したがいまして、従来の基本的な考え方に基づいた航空業界ではなく、このような柔軟な発想に基づく運営体というものが出てくるのは当然でありまして、国土交通省としてはこの流れについては歓迎したいと思います。
ただ、1点申し上げたいのは、格安航空というのはお客さんは歓迎するとは思いますが、国土交通省としての原則は安全第一でありますから、安全性をないがしろにしながらの格安航空ということでは困りますので、その点についてはしっかりと踏まえた上で、いろいろ工夫をして経営努力をしながらお客さんのニーズ、あるいは多様なニーズに応えていく、そして国際的な競争にも打ち勝っていく、こういう意味ではそのような活動が活発になることは歓迎したいと思います。

(問)7月11日にブラジルの高速鉄道の入札の締め切りということがありますが、国交省としてはどのような状況と認識しているかということと、官民一体のインフラ輸出ということで国交省としても力を入れていると思いますが、大臣、副大臣、政務官がブラジルに行かれたのは昨年の1月以来ないということですが、そういった点を踏まえて、官として民と一体となった努力の動きがないではないかという話もありますが、それについての御感想をお聞かせ下さい。
(答)今朝、外務大臣からブラジルの高速鉄道についても国土交通省として力を貸してもらいたいという趣旨の話が立ち話でありました。
ブラジルの高速鉄道の課題については、状況を良く整理しなければなりませんが、基準となる予定価格が非常に安いわけでありまして、現在、ブラジル政府のそのような構想に手を挙げる企業が現れていないという状況であり、改めて募集をしようという状況があります。
この程度の価格でどうですかということについてあまりにも採算が合わないということから、現時点ではそれを希望する企業が現れていないと、これは日本だけでなく世界的にですが、その辺は現実を踏まえて発注をいただかないと、日本としては大幅な赤字でも良いから取って欲しいということにはならないと思います。
この件については、もちろん私どもも関心を持っております。
日本で培った技術がブラジルの国民の皆さんにも御活用いただけるし、ブラジル経済を底上げするということで役立つことができるのであれば大いに協力をしたいと思います。
しかし、そこには日本国内で培った技術はタダで技術を培ったわけではなく、過去の並々ならぬ努力の成果として今日の鉄道技術があるわけでして、それを採算を度外視しても提供するということにはならないと思います。
ですから、今後私共としても、ブラジルの政府ともお話をさせていただいて、良い物を買うのであればそれなりのコストを払わなければならないと、それは、良い物を造っている関係者がいるわけでして、その方々にも賃金を払わなくてはなりませんので、そういう意味では妥当な線というのはどこなのかということを関係者の皆さんとも率直にお話をして、軌道に乗るのであれば当然私共としても最大限の御協力をしたいと思います。
現在そういった状況で、改めて外務大臣からもそういう話がありましたので、国土交通省としてもブラジルにおける高速鉄道の問題について、外交、あるいは民間企業の情報等も合わせながら、どういった状況になったら御協力ができるのかを整理していきたいと思います。
できるのであれば、是非協力したいと思いますし、ブラジル国としても、できれば日本の技術の粋を集めた鉄道に期待しているという話もあるなど政治的な背景もありますので、できるだけご期待に応えたいと思いますが、さらに状況について整理をして日本国が受注できるような環境整理ができるように努力をしていきたいと思います。

(問)関連の高速鉄道の話で、7日付けの中国の新華社通信の報道ですが、中国の鉄道省のスポークスマンが、先日、川崎重工の会長が特許申請に関して契約違反ならば法的措置も取るということを発言されて、それに対して反論する形で中国は海外での特許申請に関する権利を放棄することは絶対ないと、中国の技術は日本よりも優れているのですよという挑発的な言葉を中国メディアが報じておりましたが、これに関して大臣の見解をお聞かせ下さい。
(答)基本的にその挑発に乗る気は全くありません。
鉄道問題だけでなく、電気製品とかプラント製品など全ての物事についての特許という分野の話だと思います。
これについては中国も当然そういった制度は御理解をいただいていると思いますが、この件についてはお互いに冷静に話し合うことが必要だと思います。
Aさんがこう言って、Bさんがこう言って、Cさんがこう言って、それで1つの解決の道筋が見えるのであればその道筋を求めなければいけませんが、お互いに非難合戦をしてもその先に解決の道筋は見えないと思います。
冷静に特許、契約内容に従ってお互いにそのルールを守ると、特に国際ルールを守るということがWTO上でも大変大事なベースでありますから、これは日中間だけではなく、世界の貿易、あるいはプラントの契約等でもそうでありますが、そういう点でお互いに率直に話をしていくことが必要ではないかと感じております。

(問)先日、新造船の政策をまとめましたが、これについて大臣の見解をお聞かせください。
(答)船の問題も過去にいろいろな歴史がありますが、日本国は世界一の造船国ということで日本人の技術水準の粋を集めて世界トップレベルの造船国になったわけです。
その後、為替変動等々で韓国が世界一という状況もございました。
世界の海運の状況というのは世界の経済の動きによって常に変動するわけですが、これまで培った造船の技術というものがありますので、それを同じレベルで競っても駄目ですから、もう一度新たな発想で船を造っていくということが必要なのではないかと考えております。
今、日本の各大学でも造船技術についていろいろ研究をしておりまして、新しい発想に基づく船造りということをいろいろな研究所で行っていると聞いておりますから、そういう大学人の知恵も集めなければなりません。
先日、日本とパリを2時間半ぐらいで結ぶというロケット方式の飛行機のお話がフランスの航空ショーの中で出ておりました。
3万メーターまで上昇して、そして後はロケットで飛行してパリのドゴール空港に着くという発想ですが、こういう従来の技術の壁を破る発想というものがどこかにあると思うのです。
船についても、従来、一重の底だったものを、いろいろな事故があって、二重構造にしてタンカーの強度を増しました。
あるいは真冬に大型の船が二つに割れるという事故もありました。
そういう事故を一つのブレイクする起点として、また、新しい造船技術も出てきましたから、そういう意味では、そろそろ船についても、非常に大型化しているわけでありますが、新しい技術を導入した新しい造船技術も出てくるのではないかと期待をしております。
現在、造船業界、あるいは日本国内のそういう技術研究所、大学における研究、そういうところも合わせて是非技術的なブレイクをする新しい船の出現を期待したいと思いますし、国土交通省としても大いに応援をしたいと考えています。

(問)先日、東京都知事と大阪府知事が会談して、大阪を副首都にするという構想が出ましたけれども、大臣として、大阪を副首都にする構想についての受け止め、考え方をお願いします。
(答)3月11日の大震災を受けて、それ以降、日本国内の様々な分野で、物事の考え方というものが大きく変わってきたと思うのです。
その一つが東京の首都直下型地震が起きたときに、どのような状況になるのかと、これは当然考えなければなりません。
現在、経済の中心と政治の中心が東京に集中しているわけですが、過去においても長らく首都機能移転ですとか、様々な論議がございました。
私がその当時のことを思い起こしますと、この首都機能移転ということの中にもちろん危機管理ということも入っていたと思いますが、主には東京が一極集中で限界を超えているのではないかということで、機能を分散して東京都の負担をもう少し軽減したらどうかという発想であったのだろうと思います。
しかし、3月11日以降は、いわゆる危機管理という観点からこの問題は考えることが必要だろうと。
もちろん過去においても首都機能移転の背景には、首都直下型地震を想定して、政治あるいは経済の機能を分散して備えようということもあったと思います。
その一環として大阪の話が出てきたと思うのですが、いろいろ御論議を頂いて、危機に備えるということは必要だと思いますので、関係者の皆さんのいろいろなお知恵を拝借しながら、首都直下型地震に備えることは私も必要だと思います。

(問)出先機関の改革ですが、国交省では地方整備局の移管ということが対象になっていて、先日、小泉政務官が出席された会議では、やや慎重な発言も見られたわけですが、大臣としてのお考えを再度お聞かせ願いますでしょうか。
(答)それは新聞社と同じで、新しい所へ記者の皆さんが所属されるときに、何かよくわからない所に所属しなさいと言われても困るでしょう。
私たち国土交通省が言っていることは、東北地方整備局が今回本当に震災対応で頑張っていただきましたが、その方々の所属する組織というものはどういうものなのか、今は国土交通省の地方整備局ということになっておりますが、所属する組織の形、そして財政はどうなのか、そしてそこで働く人の身分はどういうことになるのか、その辺りが明確でなければ、そういう中の一つの組織として行うことが良いのかというと、そうではない。
だから、広域連合の組織が明確な組織体として位置付けられて、財政あるいは働く条件など、そういうことが組織体としてはっきりすることが大事だと思うのです。
同時に今回の東日本大震災のときは、全国の地方整備局、あるいは地方運輸局からも地域に人が入って一所懸命応援をしました。
これは地域地域でそういう組織体ができたとしても、応援態勢はできると思うのです。
ですから、広域連合という組織体がどういう組織体なのか、財政と組織、あるいは人事問題も含めて、これを明確にしていただくことが非常に大事であると思います。
地方組織をそういう明確なものにするのであれば、これからを考えると私は大いに進めることが大事だと思います。
それがポイントだと思います。

(問)原発の再稼働問題ですが、ストレステストの結果を再稼働の条件にするかしないかで総理と海江田経産相の見解が違っていると。
地方の原発立地自治体からも、混乱して、閣内不一致ではないかという批判も出ているのですが、大臣はこの件に関してどのようにお考えでしょうか。
(答)これについてコメントすると、いろいろ複雑な状況になるので。
基本的には、総理と細野さん、枝野さん、海江田さんがやっておられますから、そこの間で調整していただくことが一番だと思うんですが、ただ私が一つ言えることは、私たち政府は、地域のいわゆる現実の生活や経済、そういったものに対処しているわけでありますから、やはり断を下すときには十分に方針を定めて断を下さなければならないわけであります。
一旦、断を下してからその方針を変えるということは混乱を招くことなのだろうと思いますから、いろいろ考えておりますが、この際、当面する安全対策と、いわゆる当面短期的にこの東日本大震災を踏まえてやるべきこと、それからより安全性を高めるために長期的に対策を行うこと、そういうことをいくつかグレード分けして対処することが必要なのかなとは思いますが、これ以上はコメントを差し控えておきたいと思います。

(問)仮設住宅の件ですが、国土交通省としてはお盆までの完成に向けて、前倒しで建設できるように最大限努力をするということなのですが、仮にお盆までの目標に間に合わなかった場合、やはり建設を担う国土交通相の責任問題みたいなものを必ず言われると思うのですが、大臣として、仮に間に合わなかった場合の責任の取り方など何か考えていらっしゃることはありますでしょうか。
(答)私が一番に考えることは、皆さんもそうだと思いますが、避難所で生活をされている方々に1日も早く仮設住宅に移り住んでいただいて、そして安心して将来を考える場を提供したいということです。
したがって、避難所で生活をされている避難者の方と、それを受けて自治体が一所懸命今やっているわけでありますから、そこのところを私は最大限考えるべきであって、後はいろいろと政治家が判断すべき話ですから、そのときはどうするこうするということは、別に今ここで御質問に答えるような状況ではないと思います。
私は、あくまでも今政府も我々政治家も唯一考えなければいけないことは、避難所生活の方々のことと被災地の復旧・復興、それだけに全力投球すること。
これが政府とすべての政治家が心しなければならない唯一のことであって、後はそれぞれがそれぞれで考えれば良いのではないかと、そう考えます。

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