大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年5月17日(火) 10:01 ~ 10:30
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
閣議の中では特に私の方から御報告すべきものはございませんが、これまでの課題について2点ほど、冒頭に御報告を申し上げます。
1つは、予算委員会等において、仮設住宅の今後のおおよその完成見通しについて、昨日16日の月曜日までに後半部分を精査したいという答弁をしておりましたので、まずはその点について御報告を申し上げたいと思います。
その前段として5月31日までに3万戸を完成するように全力を挙げたいという話をしておりました。阪神・淡路大震災のときには74日目に3万戸を突破したということですが、5月31日というと81日目、ちょうど1週間遅れになりますが、5月31日までに何とか3万戸を完成するように努力したいということで進めてまいりました。
現時点においてどれくらい完成したかと言いますと、昨日までに着工済みの戸数が31,749戸、そして昨日時点で完成したものが、11,121戸ということになっています。
これからあと丸2週間ですが、1週間に1万戸ずつ積み上げまして、31日には何とか3万戸をキープしたいと、ピッチを上げているところであります。何とか3万戸は確保できるのではないかという見通しになってまいりました。
何分にも土地の確保に困難を極めておりましたが、先ほど御報告したように、31,749戸まで着工することができましたので、今手がけているものを全力を挙げて完成させれば3万戸を突破するのではないかと考えております。
ただ、これは雨など降りますと作業が中断するということになりますので、この2週間、悪天候にならないという状況の場合には3万戸を突破することができるのではないかと見ております。
私としては戸数ということよりも、一日も早く仮設住宅に入りたいという避難所で生活されている方々が、1人でも多く仮設住宅に入れるようにという環境作りに全力を挙げてまいりましたので、何とか5月31日までには3万戸が完成するように、引き続きあと2週間全力で頑張っていきたいと思います。
第2弾の6月以降の件でございますけれども、現時点での見通しについて申し上げます。
岩手県では、当初必要戸数は18,000戸と見られておりましたが、今回、この1,2週間掛けてもう一度必要戸数を見直して欲しいという要請をしましたところ、必要戸数は4,000戸減の14,000戸で足りるのではないかという見通しになりまして、この14,000戸についても全て7月前半には完成する見通しとなりました。
宮城県については、4月1日時点で3万戸必要ということでありますが、まだ再調査の結果がまとまっておりません。
ただし今のところ、必要戸数は縮減される見込みでありまして、今週中をめどに必要戸数の見直しを宮城県と連携して行い、その際確定したものについては8月前半までに完成させることに全力を挙げるということでございます。
福島県については、4月14日時点では必要戸数が24,000戸という県の要請を受けて発表しておりましたが、現時点で市町村から具体的な要請があったものは15,200戸ということで、9,000戸近く減になっております。
具体的に市町村から要請のある15,200戸については、8月前半までに完成させることに全力を挙げるということであります。
菅総理が衆参の予算委員会で、お盆の頃までには希望される方々が全員仮設住宅に入れるようにしたいという総理の思いというものを私どもも受け止めて、何とかそれに間に合うように自治体、あるいは関係者の方々の御協力をいただきながら全力を挙げ、おおよそ、そのようなことが実現できるのではないかとの見通しが出てきたということを申し上げさせていただきたいと思います。
したがって、完成見通しをもう一度申し上げますと、岩手県では5月末までにおよそ9,680戸完成させて、7月前半には当初の必要戸数1万4,000戸を完成させてしまう。
それから宮城県の方では、5月末までに1万1,013戸くらいを完成させるということで全力を挙げておりまして、その後の必要なものについては8月前半くらいをめどに完成させるということで、今再調査を行っている。
福島県においては、5月末までに9,319戸の完成見通しでありまして、8月前半までには、今、御要請を頂いております1万5,200戸を完成させるように全力を挙げているということでございます。
その他の所では、茨城県の必要戸数10戸は5月前半に既に完成し、栃木県でも20戸の仮設住宅は5月前半までに既に完成しております。
千葉県では230戸の要請を受けて、5月中旬までに完成の見通しでございます。
長野県は必要戸数55戸でありますが、6月後半までに完成の見通しということで報告を受けているところでございます。
以上が仮設住宅関係でございまして、もう一度申し上げますと、作業の天候に支障がないという状況で言えば、5月31日までに何とか3万戸をぎりぎりでありますがクリアできるのではないかという見通しであること、それから8月のお盆までに希望される方が全員入居できるようにという総理の指示を受けて、今、全力で見直しを行っているところでありますが、そのような方向で県、自治体、あるいは関係の方々の御協力を頂いて、現在そういう見通しが立ちつつあるということを御報告申し上げたいと思います。
県の担当者の方、それから自治体の担当者の方、今、仮設住宅を建設している、すべての作業に当たっている方々にも御礼を申し上げます。
以上が仮設住宅についての状況です。ただ、土地の確保については、まだすべて確保されているわけではありません。
引き続き予算委員会等でも要請をしておりますが、5戸以上の仮設住宅を建てるということであれば、1戸当たり30坪で、150坪以上の私有地があればできますので、そういう私有地、農地、工業団地について、いずれも借地料はお支払い申し上げますので、是非、関係する市町村、あるいは県にお申し出を賜りたいと、まだすべての戸数に対する土地が確保できておりませんので、そういう意味で国民の皆さんにも御協力を賜りたいと考えているところであります。
 それからもう一つ冒頭に御報告をしておかなければならないと思いますが、航空大学校の入学試験について、一部の新聞に航空大学校の7月の入試は中止という記事がありましたので、この件について現状を御報告申し上げたいと思います。
私は国土交通大臣として、今回の大震災を受けて、「よし、自分はパイロットになろう」という気持ちを持つ青年層の夢を断ってはならない、したがって、一部の新聞に入試中止の報道がされていることも、中止はしないという態勢でいこうという話を申し上げました。
具体的に言いますと、航空大学校では毎年7月から試験を開始しているところでありますが、東日本大震災による影響を受けて、募集要項の発表が遅れております。
したがって、こういう記事になったと思いますが、しかし、パイロットを目指す若者に対して門戸を閉ざすことがないようにという指示を致しまして、訓練の早期再開に努め、6月中をめどに今年度の入学試験に関する募集計画及び日程を公表することにいたしました。
また、在校生に対する訓練についても、現存する施設で最大限の努力を払って、訓練の遅れを取り戻すようにします。
したがって、パイロットになりたいという青年、男性、女性を問わず、そういう方々には、門戸は閉ざさないということで臨むことにいたしましたので、この場で皆さんに報告をさせていただきたいと思います。

質疑応答

(問)仮設住宅に関してですが、今、大臣もおっしゃられたとおり、土地の確保がまだ全部ついているわけではないという中で、スケジュールを優先するために、もともと住んでいる市町村以外の土地に仮設住宅を造らなければならないという状況も増えてくると思うのですが、被災者の中にはもともと住んでいた市町村にこだわって、そこに入りたいという要望も多く聞くのですが、スケジュールを優先するのか、それとも土地が確保できた所に早く造って入居させるのか、その辺りの方針というか、どのように進めていくかということについてお願いします。
(答)御指摘のように、入居を希望される方の希望と、準備をするところが違うということは、阪神・淡路大震災のときの対応でもあったと伺っております。
必ずしも、希望する場所に十分な土地があるわけではなく、自治体も県も最大限の努力をしておりますので、できるだけ御理解を賜りたいと私は考えております。
現時点の見通しについては先ほど申し上げたとおりでありますが、いずれにしても今回の東日本大震災を受けての仮設住宅の建設において一番の難問は土地の確保でございます。
津波が再び押し寄せるような場所には建設しないというのは当たり前でありますが、非常に平地が少ない中で仮設住宅の用地を確保しなければならないということで、自治体の方あるいは土地の所有者の方の御協力をいただいて、必死に土地の確保をして入っていただくと、一日も早く避難所の生活から仮設住宅の生活に移ってもらいたいということで行っておりますので、希望される方も自治体の皆さんの状況を理解していただいて、是非御入居いただきたいと考えております。

(問)出先機関の見直しですが、関西の広域連合からも移管の対象候補として地方整備局とか運輸局の名前が挙がっています。今回の震災では地方整備局の動きを評価する声が一部から出ているわけですけども、大臣は地方整備局の移管ということについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)私が経済産業大臣のときも申し上げてまいりましたけれども、国の地方機関というものは地域にとっても非常に大事な仕事を行っておりますから、この出先機関を無くすということがすなわち地方の組織そのものを廃止してしまうということではないと思っております。
さきほどの関西地区の広域連合の件につきましては、そういう組織体ができるのであれば、経済産業省もそうでありましたけれど国土交通省としても地方整備局というものが、その組織体の傘下に入って、地域を広域的に連携しながら対応するという組織の行動をとるということは私は大事だと思います。
したがって国土交通省の直下に地方整備局を設置していますが、もし広域連合という組織体ができるのであれば、この傘下に地域整備局というものを設置することも私は一つの考え方として良いと思います。
だた、その際の条件が2つあるのですが、広域連合という組織体がどのような組織体なのか、例えばそこに入る身分保障はどのような形になるのか、このようなことはきちっとしていただかないと、仕事をする方も大変不安になると思いますので、広域連合の一つの組織として位置付けるのであれば、身分保障としてどのような形になるのか、それから財源というものをどのような形で確保するのか、曖昧な組織体ではなく明確な組織体として広域連合というものを形作っていただければ、私どもとしては、その傘下で職員の方が広域連合的な形で仕事をすることは大変良いことだと思いますので、そのような意味で国土交通省としても、この動きに対応していきたいと考えております。

(問)仮設住宅の件で、さきほどおっしゃった土地の確保の問題ですが、自治体の外に移るよりも地元に居たいと言っているのは住民というより地元の首長さん達です。
南三陸町であるとか気仙沼市であるとか。
市長さんや町長さん達が県に対して、市外に移るのではなく、なんとか地元で確保したいということで折り合いがつかないという状況が続いています。
行政機関同士の話し合いということになりますが、このままいくと8月までの入居というのは難しい状況になるのかもしれませんけれど、これについて国土交通省としては、どのように対応していくおつもりでしょうか。
(答)一番大事なのは県というより自治体なんだと私は思います。
自治体の首長さんが一番わかっていますから。
ですから、自治体の中に土地を確保したいということであれば、自治体の中でどこに建設するのかということを明確に確保してもらえばよいのです。
これができれば、建設できないということはありませんので、自治体が責任を持ってこれだけの戸数の用地を確保しましたので、ここに建設したいということであれば、それで物事は進むと私は思います。
今問題は、自治体にそれだけの土地の確保は難しいということです。
2千戸建設したいが土地は千戸分しかないという場合には、残りの千戸は別の場所に確保しなければ仮設住宅は建設できませんから、もちろん狭いところに関しては二階建て住宅などを考えているのですが、これは県と自治体が話し合うことによりおのずと収束していくと思います。
自治体がどうしても同じ自治体の中に建てたいというときには、どこに建てますか、その土地はどこにあるのですかということを一つ一つ尋ねていけば、おのずから自治体の方々も土地がないけどここのところに建てたいという話はしないと思いますから。
私ども、国土交通省管轄の係官のほか、自治体等から71名、現地に派遣しておりまして自治体に入っています。
そこで自治体の方と一緒に、自治体の方も仮設住宅を建てるだけの仕事ではなくて他の仕事がたくさんありますから、あるところは代行しながら、あるところは一緒に県と連携を取って行っております。
無理矢理お盆までに仮設住宅を建て終えてしまいたいということではなく、被災した方々のご希望を十分に伺いながら、その希望に沿う形で何とか期待に応える形の仮設住宅を建設することができればと思っておりますので、その辺は話し合いの中で解決をしていきたいと思っております。

(問)2次補正の時期についてお伺いします。
昨日、菅総理が国会で2次補正の時期について8月以降になるという見通しを示しましたけれども、一方で今国会中にやるべきだという声もあります。
復旧・復興が急がれる中で8月以降の2次補正では、執行する段階では秋とか冬になってしまう可能性もありまして、そういう観点からして8月以降という時期が適切なのかどうか、この時期に2次補正をやるべきだという見解はありますでしょうか。
(答)2次補正の話が予算委員会でもかなり論議されておりますが、結局は何をやるかということが大事だと思いますので、何をやるかということを明確にして、それが適切に執行されるようなことが必要だと思います。
非常にその他の要因も絡んできているような感じもしますので、これについては、総理をはじめとするメンバーもいろいろと論議をしているので、国土交通省としても2次補正にどういうものを織り込んでいくかということはしっかりと考えていきたいと思いますが、何を行うかということを明確に定めることが前提になると思います。

(問)今国会中に何らかの手当をした方が良いというお考えはありますでしょうか。
(答)ですから、それは何を行うかと、今国会中に行わなければならないということであれば今国会中に行うことになるでしょうし、その実施時期についても、何を行うかということが大変大事な要素になってくると思います。

(問)高速道路の話なのですが、北関東以北を無料化する案を検討されていると思いますが、物流や人の流れが活発になり被災地の復興に繋がるという見方と、前々から言われているように渋滞が激しくなって逆効果だという意見もありますけれども、現時点での検討状況と大臣の考え方をお願いします。
(答)これは予算委員会でも申し上げましたが、自由民主党の有志の方から、復興に向けて、被災地の経済を立ち上げるために、少なくともトラックとか大型、中型以上は無料化すべしという御意見をいただいておりますし、公明党からは、全車両を無料化すべきではないかという要請をいただいております。
民主党の玄葉さんは福島県出身ですから、「大畠さん、これはやるべきだ」というような話も聞いております。
財源問題というのが一番の課題なのですが、財源をどうするかということと絡めて、現実的にできる方策を検討しているところでありまして、いずれにしても、行うのであれば早く行うことが必要だと思いますから、現実的にどういう形にすべきなのかということを内部で検討させているところであります。
その結果について、1,2点の案になるかもしれませんが、そういう案を作った時に、こうすべきじゃないかという自由民主党、公明党、民主党、特に公明党は前々から国土交通委員会でも強く希望されておりましたので、与野党の皆さんの御意見をいただきながら妥当な案を作り、総理や官房長官も非常に前向きな御答弁を予算委員会などでもしておりますし、地域の方にお邪魔したときにもしておりますので、私としては是非、何らかの形で早急に出来るように準備は行いたいと、そしてその案について各党の御意見をいただきながら、おおよそそのような内容でよいのではないかというようなお話をいただけるのであれば、そういうものを実行するようにしたいと思っているところであります。

(問)渋滞がどれくらい起きるかというような調査、推計みたいなことは行っておりますか。
(答)フランスのパリでも高速道路は渋滞してますし、アメリカでも渋滞は起こります。
渋滞しないようにするというのは、確かにひとつの考え方なのです。
例えば、首都圏の高速道路については有料化を維持すべきだということは一つの渋滞対策です。東北地方で渋滞化するかどうかということについては、私は確かに加味する必要があると思います。
そういう意味では2段階にして状況を見ながらやるというのも一つかもしれません。
しかし、渋滞のおそれがあるからといって行わないということはではないと私は思います。
その辺は一部無料化実験等も行っておりますので、そういうデータも参考にしながらできるだけ御心配のないように、渋滞はできるだけ避けながら、なんとか実施できるような方策がないかということも含めて検討したいと思います。

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