大臣会見

馬淵大臣会見要旨

2011年1月14日(金) 10:05 ~ 10:43
国土交通省会見室
馬淵澄夫 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の最後の定例会見を始めさせていただきます。
私からは、先ほど閣議におきまして、内閣改造に向けての閣僚全員の辞表の取りまとめということで、私も辞表を提出してまいりました。
私からの報告は以上です。

質疑応答

(問)今日は節目ということで、時間の許す限りお付き合い下さい。
1点目ですが、4か月に若干欠ける期間でありましたが、その間、大臣として、これは大きく進めることができたというようなところ、あるいは、これについては心残りがあるなというところ、簡単に自己評価をお願いいたします。
(答)大臣としては4か月、今日でちょうど120日目になります。
しかし、私は1年間、365日ちょうど、副大臣としての任期もございました。
振り返るとなると、この1年4か月ということになると思います。
私が野党時代、国土交通省が行う公共事業に対して、その根幹となる将来交通需要推計、あるいは事業評価、このことを徹底的に指摘をし、今後は政治家による恣意的な裁量行政、あるいは官僚の無作為による無責任の連鎖、こういったものを断ち切らないといけないと指摘をしてきました。
副大臣時代、この改革に取り組みました。
旧建設省、旧運輸省、別々に行われていた需要推計の見直し、あるいは事業評価の見直しを行い、このことは一定程度成果を挙げつつある中で、大臣を拝命したわけです。
大臣になって、私は一貫して国家の背骨であるというように国土交通行政を語ってきました。
国土、生活、産業というこの三つの背骨をつかさどる行政として、官僚の皆さん方と共にチームとして、一丸となって改革に取り組むと、こういう姿勢を打ち出したところであります。
具体的には、社会資本整備重点計画、コンクリートから人へというスローガンによって政策転換が図られた政権交代、しかし、公共事業というものが今後どんどん逓減されてなくなっていくというような状況は決してない、むしろ国家の背骨として国土を維持し、生活を維持し、産業を維持するその役割の中で、社会資本整備重点計画のあるべき姿をしっかりと構築しようということでこの見直しに取り組んできました。
そしてこれは、旧建設省時代の国土の計画であったわけでありますが、一方で、旧運輸省時代の運輸計画に相当するような交通基本計画を策定しようということで、これも交通基本法の制定に向けて全力で取り組んできたところであります。
法案の提出をにらんで、今正にその作業を行ってもらっているところであります。
私としては、この社会資本整備重点計画と、交通基本計画、国土交通行政の車の両輪として動くことが、まずこの役所の抜本的な改革につながると思っています。
そして、この国土だけではない領海の分野に関しても、国民の多くの方々の耳目が集まるようになりました。例の尖閣諸島沖問題です。
これによって、領海警備ということを真剣に私たちは議論しなければならないという、そういった機運の中で、海上警察権の新たな議論を行い、基本方針を出したところであります。
これも、いわゆる海上保安庁法の改正を視野に、今後、しっかりと議論を進めていただきたいと思っております。
また、さらには、建設産業を始めとする所管する産業、先ほど申し上げたように、あるべき社会資本整備の姿の中で、建設産業が今後パイの奪い合いによって、どんどんと淘汰されていく、あるいはその縮小するパイの中で、そのマーケットの秩序をどう保つべきかということについては、我々は責任を持って取り組まなければならないとしてきました。
建設産業戦略会議の設置によって、新たな方針を定め、今後はスーパー、あるいは準大手、中堅、中小、零細、地方のゼネコンを含めて、建設に深く関わる方々のこの産業の位置の中で、秩序あるマーケットメカニズムを運用しながら、私たちが所管する立場として整理をしていくということ、責任を果たしていくということ、これも指示を出したところであります。
さらには、資産デフレ、不動産市場の低迷の中で、これもJリートを始めとして金融庁と共管する中で、国土交通省が十分に果たせなかった役割を今後は積極的に果たしていくということで、不動産投資市場戦略会議の設置によってこれも方針を出しました。これは金融庁と国土交通省とで連携を取りながら、この投資市場の開拓と、更なる投資家の拡大、拡充を図っていく、私は資産デフレ脱却に向けての新たな一歩を踏み出せることになると信じております。
そして、政権交代時の懸案事項でありました八ッ場の問題、これに関しては副大臣時代1年間、前原大臣をお支えし、取り組んでまいりましたが、大臣を拝命してからは改めて再検証という道筋をつけました。
この再検証の道筋の中で、一切の予断を持たずに行うんだということから、中止の方向性については言及しないということを申し上げました。
このように、政策転換によって、より現実的な検証という舞台に上げていったことに対しては、私は一定の成果だと思っております。
加えて、単に検証の中で中止の撤回だと、このような揶揄もされましたがそうではありません。
検証の中で、しっかりと議論していただくためにも、その前提となる基本高水の再検討ということも新たなスタートとして切りました。
基本高水の再検討は、かっての河川計画の方針となる河川整備基本方針を見直すことにつながる、大きな検討の場でもあります。
これを透明性、客観性、公平性をもって、反対派の方も推進派の方も含めて、共に納得いただける結論を出していくという方向を打ち出せたと思っております。
そして、高速道路の原則無料化をはじめとする、いわゆる道路政策、これも私はかねがね申し上げてきましたが、様々な財政事情や、あるいは公共交通機関を始めとする、また、地域の方の御意見をしっかりと踏まえて、私たちが現実に耐え得る交通量をコントロールするという観点からの無料化の最終形というものについて、これも春をめどに形を作るようにという指示を出し、その成果が必ず得られるものと思っております。
さらには、無料化にならない部分、こうしたところの料金に関しても、今まで、それこそ政治によってゆがめられてきた様々な割引も含めて、抜本的な見直しを行い、さらには、高速道路の整備についても、1万4千キロのネットワーク、これが前提とされていたものに対して抜本的な在り方の見直し、これも指示をしたところであります。
今後、こうした方向性に基づいて、しっかりと新たな所管の責任者が、推進していただけると私は信じております。
そして最後に建築関連であります。
建築基準法の見直しを行ってまいりました。
そして、この基準法の見直しの中では、運用改善ということで、まずは迅速に事業者の方々に対応できるように取り組んできたところでありますが、基準法やあるいは建築士法、様々な課題が残る中で抜本的なスクラップ・アンド・ビルドを図らなければならないということから、私のかねてからの持論であります建築基本法の制定を視野に入れた建築法体系の整備ということについても、これも取組が始まるところであります。
建築基準法、あるいは建築士法、さらには関連する都市計画法、抜本的なこの法律の改正に向けて短期で議論を進め、そして結論を導くということを指示したところでありますので、これも引き続き取り組んでいただきたい課題だというふうに思います。
以上、私が1年間副大臣として取り組んできたことを更に昇華させたもの、あるいは危機管理として対応してきたものを更に今後強化していくこと、そして大臣として自分の思いの丈を御提示をして整理をしたこと、また、臨時国会を含め様々な国民的な議論の中で、私自身が見い出したこと、気付いたこと、これらを取りまとめて年内に行ったものであります。
まだまだやり残したことはという質問でありましたが、いずれにしても組織が取り組むものでありますから、大臣が替われど、もちろん、新たな大臣の方の御指示、方針の下に進めていただきたいと思いますが、組織として取り組むものは、しっかりと推進をしていただきたいと、このように思っております。

(問)今の件で確認ですが、先日、今途中になっている案件について方向性とスケジュール感を示されましたけれども、これは大臣が替わっても有効な約束であるという理解でよろしいのでしょうか。
(答)組織として指示を出したものでありますから、もちろん、組織としてまた大きな変更、転換というものも今後あるかもしれませんが、今、私が指示を出したこと、あるいは積み上げてきたことでありますので、役所の皆さんと一緒に作り上げてきたものでありますから推進をしていただくべきものだと思っております。

(問)もう1点、問責決議を受けることにもなりました尖閣諸島の問題ですが、後に事実上公開することになったビデオを早い段階で公表しておけばよかったとの思いはございますか。
(答)いろいろな判断の中で、政府全体の判断の中で、私個人の思いというものは様々あります。
これは別にこのビデオだけでなく様々ありますが、最終的には内閣が連帯をして責任を負うわけでありますから、閣僚としては個人的な思いは心の中にとどめておいて責任を果たしてきたと、そういう思いでお答えとさせていただきたいと思います。

(問)今回の内閣改造の1つの要因として参議院での問責決議が可決されたと、これも衆議院とは異なる判断だったと大臣もおっしゃってましたが、野党が参議院で多数を占める中でこうしたことが前例になるのかどうかということは分からないですが、参議院の問責決議で大臣が交代することに対しての受け止めをお願いします。
(答)この問責決議に関しては、衆議院と違う結果ではありますが私自身は重く受け止めるということをずっと申し上げてきたわけであります。
ただ、昨日、党大会で菅総理が「日本の改革を進めるため最も強力な体制を考える」とこのようにお話をされました。
今回の内閣改造というのは正にそのことに尽きるのではないかと思います。
私はその上で、繰り返しになりますが、閣僚の人事というのは総理の専権事項でありますから、総理御自身の判断でなされることでありまして、私自身からコメントする立場にはないと思っておりますが、今後は民主党の一議員として一丸となって国民の期待に応えられるよう全力で取り組んでいくことが私たちの責務ではないかと思っています。

(問)先ほど官邸で閣議後に総理とお話しされたと思うのですが、今後についての具体的な打診等はあったのでしょうか。
(答)閣議後、閣僚懇後、総理から部屋に来てくれないかということで伺いました。
総理と2人きりでありましたけれども、ねぎらいの言葉と、本当に残念だというお言葉も頂きまして、ただし、私自身は閣僚の一員として全力を尽くしてきたという思いでありますので、御指示の下に私はしっかりとやってまいりますということを申し上げたところです。
それ以上のことは一切ありませんでした。

(問)先ほど大臣がおっしゃったように、総理は今回の改造については問責決議というのは関係なく、あくまで最強な体制にするための改造だということなのですが、そうだとすると、わずか3か月で大臣を替える理由というのは総理の方からどういう説明があったのでしょうか。
(答)人事でどうこうどういう理由でということは、通常は本人にはあまり話さないものではないんですかね。
私自身は御苦労様と、大変よくやっていただいたというねぎらいの言葉も頂きましたので、その上で更に強力な体制を作るために新たな布陣をお考えであると、私自身自分のことでもありますからそう理解をしています。

(問)先ほど、総理から本当に残念だというお言葉があったと、これは何に対してということでしょうか。
(答)よくやってもらっていたのだが、という意味で言っていただいたと思います。
様々な思いをそういう言葉で私に伝えることによってねぎらっていただけたと私は受け止めています。

(問)それは問責決議によって替わられるということを前提にということではなくて。
(答)例えば、私がなぜ今回というようなことを問うたこともなければ、私自身考えたこともありません。
常に人事というものはそれぞれお考えはいろいろあるかもしれませんが、私は天命に従う、それこそが自らの道だと思っておりますので、総理に言葉の意味を含めてお尋ねすることはありませんので、私はあくまで馬淵に対してのねぎらいの言葉を言っていただけた一つの言葉であると受け止めております。

(問)関連して政策のことでお伺いしたいのですが、先ほどのお話でもあったと思うのですが、八ッ場ダムの件では中止の方向というのを打ち出されていまして、そこに言及せずに再検証すると、高速道路無料化についてはこの間の年明けの会見で現実的な財源の確保も合わせて案を提示する責任があると、そのお考えについては、もし大臣が替わられた場合についても引き続き後継の方に守っていただきたいとお考えでしょうか。
(答)何度も申し上げるように、こうした議論は役所の中でもしっかりと積み上げながら行ってきたものでもありますから、今後はそうした役所の中での議論というものも新大臣にはよく御説明いただいて、また御理解をいただいて判断をしていただくものだと思います。
何が何でも前任者の政策を踏襲するというものではないというのは当然だと思いますので、ただ私が今日まで構築してきた政策体系についてはこういうものですということをしっかりと説明していただくことがまず第一だと思っています。

(問)利根川の基本高水の関連で、大臣が御指示なさった再計算の結果が出る前の交替になりますけれども、新大臣にはどんな点を注意してこの再計算を進めてほしいと伝えるのか、あるいは今後、大臣が与党議員としてこの問題にどのように取り組んでいくのかお考えをお聞かせください。
(答)事細かなことを私が新大臣に申し上げるのは僭越だと思います。
それは事務方から政策の流れも含めて説明を受けた上で御判断いただくべきものだと思いますので、私は今申し上げたように、この大きなアウトライン8項目ございますので、これについてまとめるように指示をしていますから、どうかこれを一読くださいというぐらいのことは申し上げたいと思います。
逆に何かお尋ねがあればお答えさせていただきますが、むしろそれは現場、原局から聞いていただいた方が正確だと思います。
その上で私自身がこの八ッ場ダムの問題にということでありますが、自分がどういう立場になって今後どういう議員活動をしていくのかということがまだ自分の中では白紙状態でありますので、新たな仕事を与えられればそれに専念しなければなりませんし、あるいは政策マターという中で関わる機会があればしっかりと発言をしていきたいと思います。
いずれにしても、国民に負託を受けた議員でありますから、今まで以上に変わらずに国民の代表として、政策並びに国民の生活に密着した課題の解決ということに取り組んでいきたいという思いは変わりません。

(問)八ッ場ダムに関連してですが、八ッ場ダムの地元住民との意見交換会が開かれないままでの交替ということになりますが、その点についての思いが1つと、短期間で大臣が替わるということで、前原前大臣と今度で3人目の大臣ということで地元住民には複雑な思いが広がっています。
その2点についてお伺いします。
(答)住民対話ができなかったということについては、一言で残念でならないという思いでありますが、これも何度かお願いをしてきた中でかなわなかったということでありますので、今後、私は本日付けで退任ということでありますから、時間の制約がありましたが、時間の制約があまり気にされることのない新大臣にしっかりと住民の皆さんとの対話をしていただけたらとの思いがあります。
そして短期間でということでありますが、これは私自身が決めたことでもありませんし、そこは何度も申し上げているように、行政の継続性というものが最も重視されるべきだと思っておりますので、大臣が替わろうとも一定の方向性というものについてはしっかりと踏襲していただき、継続性の中で変更点や、あるいは転換点があれば、国民の皆様方に納得していただけるような説明をしながら、今後、変化、転換させていくということも当然あり得ると思います。
私は、その意味で、新大臣にはまずは今日までのこの1年4か月、前原大臣並びに私が取り組んできた経緯については、しっかりと現場、原局からお聞きをいただきたいとは思っています。

(問)道路政策についてですが、大臣は副大臣時代の4月に国幹会議の仕組みにまでメスを入れると明言されていましたが、前提条件となる新料金制度についても結果的に国民の理解が得られていません。
在任期間中に実現に至らなかった原因というのは、どのように総括されていますか。
(答)国幹会議を含めた新たな道路建設のプロセスの枠組みということについては、法律案を提示して、これが通らなかったということでありますから残念に思っているのですが、ただ原因は多々あるかと思います。
一番は、私どもの説明不足だったということだと思いますし、御理解を求めるための十分な説明がなされなかったことに対する反省はありますが、改めて料金については、与党と一定の合意を果たしておりますので、今後はこのプロセスについても一つ一つ進めていただくべきものだと思いますので、私が在任中にということに特にこだわったわけではありませんから、これは着実に前に進むというふうに思っています。

(問)沖縄振興について伺いたいのですが、先日も沖縄を視察するなど、精力的に活動されていましたが、後任の沖縄担当大臣には、大臣としてこの4か月間沖縄振興に関わってきて、今後の振興策、新しい法律策定などいろいろと大きな動きがあったのですが、重視すべき点とか、ここを大切にしてほしいとか、大臣としての思いをどういうふうに後任の方に伝えられるお考えでしょうか。
(答)沖縄問題は、正に歴史的事情、社会的事情、あるいは地域的な、離島という事情、こうした置かれた特別な事情というものをよく理解して、まずは沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添うところからスタートしなければならないということを私は痛感しています。
その上で、訪問の際に申し上げましたが、振興という観点と、さらには県民の皆様方の生活の充実という観点と、さらに産業の育成、真の経済自立ということ、ここは一つ一つ丁寧に議論していかなければならないなと思います。
県民の皆様方の利便性を高めていくことによって、一方で、振興施策の柱である観光というものが、そのポテンシャルを下げてしまうようなことがあってはならない。こうした二律背反的なことが起き得るので、今後はしっかりと担当大臣の方には、沖縄県民の皆様に寄り添って、政府全体が果たさなければならない責務というものをしっかりと持って、前面に打ち出しながら、ではどのような形で今後の沖縄が在るべきかということを、御自身のお考えの下に、県民の皆様と開かれた議論をしながら進めていただきたいなと思います。
私自身は、この4か月の間で、予算を獲得することが最大の使命だということでやらせていただきました。
訪ねることは2度しかできませんでしたが、今後2本の柱である観光やITというものも更に深掘りする必要があるのではないかといったことを、那覇を離れるときに申し上げたところでありますが、今申し上げたような視点で、改めて沖縄の在り方というものについては、これも私は一議員として、立場は変われど、しっかりと発言をし、また県民の皆様に寄り添って支えられる仕事ができたらなと思っています。

(問)新幹線の売り込みのために海外に行くはずだったのですが、国のために行くはずだったのが、結局、日本の国内事情で行けなくなったことは、結局国にとってはマイナスではないかと思うのですが、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(答)もちろん、様々な事情で、急遽こうした予定していたことが実行できないということは起こり得ることだと私は理解をしました。
ただ関係者には大変御迷惑を掛けましたので、そこは事務方を始め、あるいは外交ルート、大使を始めとする皆様にお詫びの電話も申し上げ、そしてオールジャパンとして取り組んでいただけるようにお願いをしたところであります。
その意味では、しっかりと対応するようにという私の指示を受けて、現場では今、対応していただいていると思っております。
御指摘のように、問題があるのではないかといった御批判というのはあるかと思いますが、私はそういったことにも対応していくことが正に行政の力であると思いますので、こうしたときの対応に、国土交通省の力量が試されているのだと、役所の皆さんにはそのように申し上げて、全力で取り組むようにというお願いをしたところです。
次の大臣の方に、こうした取組がつながることを心から期待しています。

(問)建築法体系の見直しなど、ようやくこれから議論が始まるという案件がまだまだたくさんあると思いますが、今後、党内で活動するとなった場合、国土交通行政に対して、どのように関わっていきたいとお考えかお聞かせいただけますか。
(答)野党時代の一議員としての活動での部会の発言と、1年4か月、副大臣、大臣をさせていただいた私の発言というのは、今後その意味は違うということは自覚しなければならないと思っています。
その意味で、新大臣の今後行う姿勢に対して、何らかの制約を与えるような発言は厳に慎まなければならないなと思っていますので、私はそこは本当にお任せをしていきたいと思いますが、私なりの勉強という意味では、逐次国土交通行政を見させていただきながら、ときには現場の皆様方のレクをお願いして、どういう状況なのかということぐらいについては聞かせてもらいたいなとは思っています。

(問)先ほど、次の大臣というお言葉がありましたけれども、総理から次にどなたがなられるとか、大畠経産大臣の名前が報道上では上がっていますけれども、そういう話があったのかというのが1点と、同じ問責決議を受けられた仙谷官房長官も交替の方向ですけれども、そのことについて、ここ数日長官と何か話をされたのか、この2点についてお願いできますか。
(答)後任の方については、一切何のお話もなかったです。
そこは総理の専権事項でありますから、総理がお考えかと思います。
それから、長官との会話ということでありますが、御苦労様ということを言われましたし、閣僚懇の後、皆さんと同様に握手をして、お別れしましたが、特段何か特別な言葉を交わしたということはないと思っています。
本当にそういう意味では、長官と私が問責を受けることになりましたし、共に重く受け止めなければならないという立場であるということについては、言葉に表さずとも通じ合うものがあるのかなという思いはありますが、まあどうでしょう、こういうときにあまり多くを語るものではないのではないかなと私自身は思っておりましたので、閣僚懇の中でも特に発言は私もしませんでしたし、長官からもなかったです。

(問)民主党のマニフェストの中で、国交分野の課題というのは結構重たくて難しいものが多いと思うのですが、玄葉政調会長も夏頃までにマニフェストの見直しという考えを示されていますけれども、実際に1年4か月国土交通行政に携わられて、現実路線という意味でのマイナーチェンジというか、見直しというものの必要性についてどうお考えですか。
(答)これは絶対に必要だと思っています。
前に申し上げたかもしれませんが、マニフェストというのはある意味国民との契約でありますが、中期計画です。
そしてその中期計画は、当然ながら、現状様々な事象の中で、財政的な制約であったり、あるいはそれこそ国民の皆様方が現実に直面すると、それはやはり困るんだという声がその場になって上がってくることも出てくるでしょうし、私はこうした中で、最大多数の皆様方の声を聞くということが、政治の進める要諦だとするならば、そこでの判断によって、さきほどマイナーチェンジとおっしゃられましたけれども、現実的な対応という、私はそういう言葉にしたいと思いますが、これは求められるのだと思います。
これは逆に責任を持って行うべきだと思います。

(問)高速道路の無料化についてですが、副大臣時代に6,000億円の概算要求に対して1,000億円だったということで、支持者に向かってお叱りを受けても仕方のない結果だったと残念なお気持ちを述べられていますが、今回振り返ってみて進捗状況は十分だったとお考えですか。
(答)財政上の制約というのが非常に大きいと思います。
政権交代前に想定していた税収から9兆円も減じるということが一昨年前の予算編成過程の実態でした。その中で、よく財源がないではないかというお叱りを頂くのですが、元々前政権において想定されている歳入から大きく欠損するような状況が生まれていて、そこでの現実対応なのです。
私は、その中で優先順位を社会保障というところに置いてきた民主党政権というのは、正に国民の生活第一という中で、人へという思いを強めて鳩山総理が「命を守る」と、このようにおっしゃっていたわけですが、私はそういった取組は政権の中での議論として十分あり得ると思っておりましたので、そこは私は受け止めてきたということです。
何度も申し上げてきたつもりですが、政治家個人が自らの思いの政策を実現するために政権中枢、あるいはその権力の中枢に行こうとするのではないと。
それは本来の姿ではないと私は思っています。
国民がどういう政策を望んでいるかということに最大限の関心を払って知恵を出していくと。
そして、その方向に皆様方が納得していただけるのであれば進めていくけれども、もちろんそこで修正を余儀なくされれば変えていくという果断な決断、勇気も政治家には求められると思います。
私は、そういう意味で政策については、現場の中で様々な声を聞いて変えていく必要があるということをかねてより申し上げてきたつもりです。
お叱りを頂いても仕方がないという意味においては、当初と違うではないかと言われれば先ほど申し上げたことになりますが、説明責任を果たしていかなければなりませんが、言い訳を延々言っていても仕方がないと思います。
いかに理解をいただけるかということに前向きな努力を払うべきだと、そういうふうに思ってきました。

(問)普天間の移設問題ですが、春にも総理の訪米を控える中で主要な4閣僚の馬淵大臣と仙谷官房長官の二人が交替するということになりますが、それについて沖縄側との交渉に影響等はあるとお考えですか。
(答)政権交代ではなく改造ですから、改造内閣の中で閣僚となられる方が行政の継続性というものを重視しながら、またカウンターパートもはっきりしているわけですから、その方との人間関係を築くということは当然されるべきことだと思いますので、心配ないというふうに思っています。
もちろん、人と人との関係であれば、多少なり時間が掛かったりということが出てくるかもしれませんが、私は閣僚の方がしっかりと取り組んでいただけるということであれば、さして心配はないというふうに思っています。

(問)辞められるに当たって、地方の建設業者に対してコメントをお願いします。
(答)地方の建設産業を始めとする建設産業の在り方について、ようやく改革の緒に就いたところです。
前にも申し上げましたが、拡大するパイの中、高度経済成長の中でバラマキ型、あるいはパイの拡大の配分は政治家にとってはそれほど大変ではなかったかもしれない、しかし低成長時代の中で今後、市場の中でどのように棲み分けをしていただくのか、あるいはどのように市場メカニズムを重視し、一方で、市場の秩序を保つべく所管省庁が取り組むのかという大変大きな課題に直面することになります。
国土交通省としては、逃げずにこの課題に果断に取り組んでいただきたいと思っていますので、地方の建設業の皆様方もしっかりと今後の国土交通省の取組を監視いただいて、私も地方の再生、地域の再生には心を砕いていきたいと思っておりますので、ときには私にもお声を届けていただければしっかりと承って一議員としての取組として頑張りたいと思います。

(問)来週の国交省の技術系職員の方の人事異動について、通常、人事というのは夏が定例化していますが、この時期に行う狙いと、それから、民主党としては施策として天下りを認めない代わりに定年まで働いてもらうとしておりますが、今回勇退される方は定年前でして、少し矛盾しているのかなというふうにも思いますがいかがでしょうか。
(答)天下りはやめると。
ただ、定年まで働ける環境はしっかり作っていくということだと私は理解をしています。
その上で、これはまだ正式ではありませんので、退任する私が申し上げるのはいかがかと思いますが、一般論として申し上げれば、8月、あるいは夏の人事というものがありましたが、事務系が中心だったということで、組織の活性化という中では人事というのは極めて有効な手段であると、このように思っています。
私自身は、まだ未定というか決定ではありませんので、これ以上は申し上げられませんが、そういう中で考えを持って進めてきたことではあるというふうに私自身は思っています。

(問)与謝野さんの入閣が取り沙汰されていますけれども、大臣としてというか、与党の一議員として、これまで与党に対して批判をしてきた与謝野さんが要職に就くということについて、どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(答)政策的に協力できることがあるということで発言をされていた部分もありましたから、例えば批判をしていたから全くもう相容れない、人格も含めて全く一致しないということではないと思いますので、正にこれは総理の専権事項ですから私がくどくどと申し上げることではないかもしれませんが、そのことにこだわる必要はないと私は思っています。

(問)この夏のマニフェストの見直しのときに合わせて、先日の両院議員総会の中で解散して真意を問うべきだという声も出ておりましたけれども、馬淵大臣自身はこの点については、程度の問題もあるかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)見直しがどの程度になるのか、そして見直しの議論がどれぐらい説明責任を果たせて御理解を頂けるものかということが重要だと思います。
私は、マニフェストを少しでも見直すのであれば解散だというのは、短絡的ではないかなという気もしますし、見直しということについて、十分に開かれた議論をやっていただいたら良いと思います。
私も一議員としてそこには参加をさせていただきたいと思います。

(問)昨年末の鉄道・運輸機構の剰余金をめぐる財務省とのやり取りの中でバトルがありましたけれども、ネゴシエーターぶりを発揮されてターミネーターのようだと言われたような経緯がありましたけれども、今回、国交省を去るに当たって、何か決めぜりふを言うとしたらどのようになりますか。
(答)最後に、記者会の皆様には、副大臣時代も含めてですから、1年4か月、485日間お付き合いいただきましたことを心から感謝申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。
そして、この1年4か月で私は政権を去るわけであります。
あるいは政府を去るわけでありますが、今後はいつの日か、私自身が担うべきそのときが来るまでに更なる精進をしてまいりたいと、このように思っております。
是非、また皆様とお会いできる日を楽しみにしています。
アイル・ビー・バック。どうもありがとうございました。

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