大臣会見

繰下げ馬淵大臣会見要旨

2011年1月5日(水) 11:16 ~ 11:47
国土交通省会見室
馬淵澄夫 大臣

閣議・閣僚懇

それでは閣議後の新年の第1回目の定例会見を始めさせていただきます。
まずは、皆様あけましておめでとうございます。昨年中は、大変お世話になりました。
また、本年もよろしくお願いいたします。私からまず冒頭の発言で、数が多いのですが、8点ございます。
まず、昨年の1年間というのは、私は国家の背骨ということを申し上げてきました。
国土、国民生活、産業、これは地域経済を含むということでありますが、これらの三つの国家の背骨をしっかりと形作るということが私の使命であると、このように申し上げてまいりました。
政権交代を実現し、そしてこの1年間、野党から与党に転じ、我々は政権運営というものを初めて経験していく中で、その厳しさ、あるいは運営の難しさというものを実感しながらも、私自身がこうした組織の運営というものについても、自分なりに勉強させていただいたというふうに思っておりますが、これから正にそれを現実のものにしていく、この土台を基に改革を推進していくということが求められる1年だと思っております。
今年1年は、まずこの成果を具体的に上げていく、更にスピードアップをしていくということが求められると思っておりますので、それに向けて全力を尽くしてまいりたいと思っております。
そこでまず、いつまでに、何をやるのかということについて、具体的にお示しすることが重要だと思っておりました。
9月17日の大臣就任以来、改革の継続という中から改めての改革ということで方針を打ち出していくと申し上げてまいりましたが、年始に当たりまして、まず国土交通行政の七つについて、これまでの実績、そして今後の方向性、スケジュールを示したいと思っております。
 まず、「社会資本整備重点計画の見直し」であります。これは、繰り返し申し上げていて恐縮なのですが、公共事業について、「コンクリートから人へ」のスローガン、これは理念であります。
改めて、開発型、高度成長下におけるバラマキ型の公共事業を見直して、徹底的に国民生活を第一に考えた必要な公共事業は何かということを考えていこう、これが昨年私たちが行った予算の編成でありました。
したがって、「コンクリートから人へ」は公共事業を無くすという話ではなく、真に必要な社会資本整備は何かということを問うた理念であります。
私はこうした中、全国行脚しながら、地方の方々の声を耳にし、大変大きな不安、あるいは不満というものを耳にしました。
こうした中で、真に必要な社会資本整備、在るべき姿というものを、まずは具体的に国民に分かりやすく示していきたい、それが社会資本整備重点計画の見直しでありました。
これにつきましては、昨年12月21日に、社会資本整備審議会・交通政策審議会合同の計画部会におきまして、御審議を頂いて、新たな重点計画の骨子を取りまとめていただきました。
先ほど来申し上げてきたように、国土、生活、産業の三つの国家の背骨、これを支える社会資本整備の必要性をしっかりと国民に提示していくということで、この計画の整備の方向性が示されたわけです。
今後は、「選択と集中」を更に高めて、また重点計画の実効性を担保する具体的な手法というものも盛り込んでまいりたいと考えております。
さらに、この重点計画につきましては、現在検討中の交通基本法によって定められる交通基本計画と合わせて、国土交通行政の車の両輪としての計画と位置付ける。
また、この計画部会の御協力を頂きながら、多くの国民の皆様の声も頂いて、先ほど来申し上げているように、国家の背骨の重要な位置付けとして、整理をしてまいりたいと考えております。
こうした形で今後皆様に御提示をしていくということを、まずはこの社会資本整備重点計画の見直しという観点で、お伝えをしていきたいと思います。
 それから、今申し上げました「交通基本法案について」であります。
これは昨年11月から12月の中で、交通政策審議会・社会資本整備審議会の交通基本法案検討小委員会で、具体的な議論をしていただきました。
基本的な論点についての方向性を出していただいたところであります。
先ほど申し上げたように、社会資本整備重点計画との両輪でありますので、これは国土交通行政においては極めて重要な位置付けであります。
この法律に基づく交通基本計画、これがこの国のいわゆる国民生活の移動を含む生活環境というものを定義していく、社会資本整備重点計画がその暮らしの土台を定義していくということで、正にハードとソフト、両者が融合する形の計画に仕上げていくということになります。
次期通常国会への法案提出ということを前提に、引き続き検討を進めてまいるということであります。
 そして3点目でありますが、「海上警察権のあり方について」であります。
これも年末に私の方からお話をさせていただきましたが、戦後60年余り、この海上保安庁法というものは、いわゆる海上警察権の議論が十分なされないまま今日に至っております。
我が国の領海を巡る様々な事案がより頻発する中で、大変緊張感が高まっております。
特に、昨年の尖閣諸島沖問題に関しては、私は問題の本質として、海上警察権のあり方そのものの議論が必要ではないかということを再三国会でも申し上げてまいりました。
この海上警察権のあり方については、有識者の皆様方に議論をしていただきました。
そして、3回にわたって、大変年末の忙しい中でありましたが、夜遅くまで皆様方に御議論をしていただいて、最終的には取りまとめを頂いたところであります。
この集約をもって、我々政務三役で議論を行い、さらには現場での海上保安官の声を耳に受け、また、任務の内容についても今後どういった課題があるかということを明らかにしていく中で、今週7日には、私から、基本的な方向性を定めて、制度改正の具体的な検討を早急に進めるということで、皆様方には御提示をしていきたいと思っております。
これをもって、昨年来から課題となっておりました海上保安庁の問題については、一定の方向性を示すということに私はなると思っております。
 それから、「建設産業戦略会議について」であります。
これは先ほどの社会資本整備重点計画と同様に、この国の社会資本を整備していく中で、地方の疲弊をどのように我々は考えていかなければならないかということの課題から取り組んだものでありました。
建設産業戦略会議は、12月17日に第1回会議を開催し、私も出席いたしました。
会議の設置に当たって私の思いを伝えまして、委員の先生方と議論をし、24日の第2回会議では、建設業団体からのヒアリング、また建設産業の再生等今後の具体策も御議論いただいたところであります。
明日6日、第3回会議で基本方針の取りまとめに向けた討議を行い、まとまり次第、発表させていただく予定であります。その後は、この基本方針にのっとって順次検討を進め、3月中に23年度以降実施する施策を具体的に取りまとめる予定であります。
その後6月をめどに全体を取りまとめ、必要な制度改正につなげていくものであります。
建設産業のあり方そのものを徹底的に議論をする、また地域の担い手であるこうした産業従事者の方々、企業の方々が建設産業を誇りに思って仕事をしていただけるように、私どももいわゆる右肩上がりの経済成長から低成長、あるいはマイナス成長という状況の中での地域の担い手を産業を所管する役所としてしっかり見守っていくという姿勢を明確に示していきたいと、このように思っております。
 次に「不動産投資市場戦略会議について」であります。
昨年の成長戦略会議の設置の中でもこの不動産市場というものについては、一刻も早い資産デフレの脱却というものが叫ばれてまいりました。
より具体的な施策を講じなければならないという観点から、金融庁との共管となる不動産投資市場については、なかなか議論が進まない、あるいは課題、論点の整理が進まないといった状況にありましたが、私は問題意識から証券化、流動化の基本的なあり方や、あるいは不動産投資市場全体を見据えたグランドデザインの検討を行うために昨年11月に不動産投資市場戦略会議を設置し、10回のヒアリングを進め、大変短い間に旺盛な議論を行っていただきました。
報告書が取りまとめられたのは、12月17日でございます。
こうした報告書から、さらにはこの対応策、有識者から御提言を今も現時点で頂いております。
この報告書を参考に、既に自見金融担当大臣とはお話をさせていただきまして、金融庁の担当部局とも連携を取るということを具体的に進めさせていただいております。
平成24年度に向けた予算要求と税制改正、さらには制度の改善、具体化に向けて金融庁としっかりと二人三脚で所管する立場として取組をさせていただくということになります。
 次に「八ッ場ダム」でございます。
八ッ場ダムにつきましては、昨年、全国の直轄・水機構ダムのトップを切って検証体制の立ち上げを行いました。
私は、現地に赴き中止の方向性には一切言及しないと、このように申し上げ、今後、一切の予断を持たずに再検証を行うと。
また、今年の秋までには結論を得るということを目標としてお伝えいたしました。
また、さらには1都5県の知事の皆様方との御議論もさせていただき、できる限りこの目標を前倒しできないかといった要望に対しても、私どもが力の限り進めてまいりたいということをお伝えしたところであります。
こうして結論を導くという過程においては、常にオープンに皆様方に御提示をしてまいりたいと思っております。
さらに、こうした再検証のみならず、そもそも治水のあり方の前提となる基本高水についての再検証もスタートいたしました。
これは、かつて河川局で示してきた基本高水の再検討、平成17年報告書の中で出されていた数値について、その確認が十分できないといった状況が起きている、すなわち昭和55年の経過報告書のまま今日まで前提として推移してきたということが明らかになった時点で、私が基本高水の検証を改めて指示をしたものであります。
これによって、ダムの検証と並行して基本高水の検証が行われることになりますが、当然ながら、結論としては基本高水を先んじてその結果を明らかにするように指示を出しております。
さらには、様々な関係各方面、これはダムの建設反対、あるいは推進、それぞれの論点に立つ有識者の方々にも公正に御判断いただけるような枠組みを考えてまいりたいと思っております。
間違っても、国土交通省が自前で御用学者を集めたなどと言われることが無いようにしっかりと皆様方に公正性、透明性、客観性を持って御判断を頂ける材料を提示してまいりたいと、このように思っております。
このダムによらない治水に関しては、以上のように再検証の仕組み、プロセス並びに基本高水の検証という2つをもって国民の皆様方に説明責任を果たしてまいりたいと、このように思っております。
 次に「高速道路の原則無料化」でございます。
この無料化は、昨年の政権交代以降、概算要求で6,000億円を出させていただく中で最終的には9か月で1,000億円ということで、厳しい財政状況の中、社会実験という位置付けでありますから、これも了として私どもは行ってきたところであります。
さらに、平成23年度予算要求に対しては、厳しい国民の皆様方の声がある中で1,200億円という予算の確保となりました。
私どもとしては、いずれにしても社会実験の中でメリット、デメリット、これは公共交通機関への影響、あるいは地域経済環境への影響、これはもちろんプラスの面もございますが、さらにはCO2の発生等含めて、想定されるメリット、デメリットというものをつぶさに明らかにしながら進めてまいるということでございます。
4年間掛けて取り組んでいくべき課題として位置付けておりまして、私としてはマニフェストで御約束した無料化は、この4年間を掛けてしっかりと無料化の措置というものは、現実的になるものとして進めていくことが私どもの御約束した姿だと思っています。
現時点におきましては、社会実験の結果、高速道路の交通量は、精緻な数字はホームページでも発表しておりますし、また年度末には具体的な詳細な検討結果というものを発表させていただくことになると思いますが、交通量は2倍に増え、平行する一般道は逆に交通量の2割減少、また渋滞解消などの効果も確認されております。
物流や観光においても一定の効果が図られていると確認されております。
いずれにしても、関係各位の御意見を伺いながら、この無料化というものについて、御理解を頂ける中で進めさせていただきたいと思っております。
また、この無料化以外の区間に関しての料金につきましては、既に与党との合意を果たし、具体的に調整に入っている段階でございます。
これも、物流効率やあるいはユーザーの皆様方の使い勝手等を鑑みながら、今後私どもとしても、しっかりと皆様方の御理解を得られるような形で提示をしてまいりたいと思います。
私としては、無料化施策というものは一瞬にしてすべてを無料にするという施策ではなく、正に社会資本の利活用、本当に必要な道路、これが十分に利用されてない、そういう状況の中でいかにして有効活用を図るかということが無料化という一つの方向性を示した施策であると私は思っております。
いわゆる交通需要管理、交通量のコントロール、これが第一義的にあるものであり、その意味での現時点における厳しい財政状況、あるいは国民の皆様方の不安や不満の御意見などを踏まえる中で、無料化が現時点で考えられ得る最終形、あるいは暫定的なと申しても良いかもしれませんが、一定の方向性を持った絵姿というものは、これは春頃までには御提示をしていかなくてはならないと思っております。
いずれにせよ、24年度の概算要求までには、こうした姿を国民の皆様方にお示しをしていくという明確な姿勢が国土交通省に求められていると思っております。
 そして最後でございますが、これは沖縄担当としてでありますが、来週の1月11日から12日にかけまして、沖縄担当として、沖縄を訪問いたします。
今回の訪問は、総理の訪問、あるいは前原外務大臣の旧年中の訪問もございましたが、私はあくまでも沖縄振興という立場から沖縄訪問を今回予定しておりまして、取り分け沖縄振興の柱となる経済的な自立のための産業振興ということにおきましては、IT、観光という既存の産業以外に、新たなリーディング産業となり得る第3の柱、例えばバイオ、あるいは国際物流、こういったものが取り上げられるかもしれません。
こうしたものに対しましても視察を行い、さらには地元の経済関係者、関係各位とも十分な議論を果たせるような、直接お話ができるような場の設定を事務方に検討するように指示をしているところであります。
いずれにいたしましても、この2日間、有効に沖縄振興に役立たせる訪問としたいと思っております。
詳細につきましては、内閣府の事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私の方からは、国土交通省関連七つの施策の今後の方向性と沖縄訪問という8点についての冒頭の発言でした。
以上です。

質疑応答

(問)菅総理が昨日、小沢元代表の政治資金規正法違反事件について、強制起訴された段階で議員辞職も含めた自らの進退の判断をするように促しましたがこの発言に対する受け止めと、大臣は、小沢元代表が強制起訴された段階で、何らかの判断を示すことが望ましいと考えるか、その2点をお願いします。
(答)昨年、小沢元代表が国会で説明をされるということについては表明をされた、これは私も報道を見て承知をしております。
御本人なりに何らかの判断があったのだと推察しております。
私としてはそれ以上の受け止めはございません。
逆に言えば、コメントする立場にはないと思っております。

(問)年明けの国会についてですが、野党側が官房長官と大臣、参院で問責を受けたお二方の関連する質疑には応じないという姿勢を崩していません。
そういう中で、昨日の首相の会見では予算案の成立に向けて最も強力な体制を作ると、改造を示唆するともとれる発言をされているのですが、この件について当事者の一人としての受け止めをお願いします。
(答)内閣の最高責任者である総理があらゆる状況を想定して御判断されるのは当然だと思います。
したがいまして、今御指摘のような内閣改造、あるいは様々な施策、これは連立も含めてなのかもしれませんが、いろんな事、あらゆる事をお考えになられているということだと思います。
人事権につきましては総理の専権事項でありますので、私自身はコメントする立場にないと思いますが、今置かれている職責は国土交通大臣であり、内閣府特命担当大臣であり、海洋政策担当でございますから、その職責として全身全霊で取り組むこと、これが私の果たすべき使命だと今も思っております。

(問)先ほども今後のスケジュールをいろいろ示されておりました。
一方で大臣就任されて3か月半くらいですけれども、この時点で改造が取りざたされるということについての御所見も伺いたいと思います。
(答)これも繰り返し申し上げておりますが、衆議院と別の結果となった参院の問責そのものにつきましては、私としても重く受け止めています。
その上で、様々な判断を、その最高責任者であります総理がなされるのは、当然総理の御判断の中にあるものだと思っております。

(問)今後のスケジュールに関連してですが、もう一つ重要なものとして交通需要の推計の見直しというものがあったと思いますが、お聞きをしているところでは、第一段階の地域モデルの改善を踏まえて、直轄事業に関しては今月末を目途、公共事業につきましては3月末を目途に需要推計を再度行うと、そしてそれを公表すると承知をしておりましたが、現状の進捗状況というか、予定どおり行うということでよろしいでしょうか。
(答)これは細かなところですので、大きな方針とは別ですから、もう既に副大臣時代から取り組んでいることですので申し上げませんでしたが予定どおり進めます。
あと1点だけ補足すれば、おっしゃっているのは事業評価の部分だと思います。
交通需要推計ではなく、それと同時にやっている事業評価ということでよろしいですね。

(問)先ほどおっしゃられた八ッ場ダムの確認で3点ほどお尋ねしたいのですが、基本高水の検証の結論を出すのを当然先んじてやるというようなお話だったのですが、ということは八ッ場ダムの再検証のための基本高水の是非を判断する大きな柱になるということの前提のために先んじてやるというお考えなのかというのが1点と、ダムの建設推進反対の方を入れた新しい枠組みを考えていらっしゃるということでしたけれども、現在設置されている1都5県との検討の場との関係はどういう関係になるのかということと、その新しい枠組みというのは八ッ場ダムだけではなくて、他の検証対象になっている80以上のダム全部にこういった新しい枠組みが設置されるというお考えなのか、3点を確認させてください。
(答)基本高水の結論を待って再検証をやるとなれば遅れますから、ダムの再検証に関しても並行して進めます。
そして基本高水は大前提となるものですから、当然その結果がダムの再検証の後に出てくるようなことがあってはなりません。
先んじて結果を出すように最大限の努力をさせるということを申し上げました。
その上で、基本高水の検討のメンバー等を含めて、先ほど申し上げたように、国土交通省が何か自らが判断して集めた人間だけということではなく、しっかりと客観性の高いメンバー、枠組みで進めていきたいと考えております。
基本高水を検討するメンバーといいますか、検討する枠組みに関しましては、まずは八ッ場ダム、これをなぜ基本高水の見直しを指示したかと言えば、今まで基本高水の問題というのは何ら問題ないということを国土交通省としては一貫して言い続けてきたわけです。
しかし、平成17年報告書の中では確認ができなかったと、これは昭和55年の結果ありきではないかということを、改めて私が国民の皆様方に明らかにした上で検討を行うと申し上げたわけでありますから、まずはすべての水系ではなくて利根川水系について行うということであります。
そして再検証の今の枠組みはダムの再検証でありますから、それぞれの主体が中心となって進めていくということでありますので、これと何らかの形でリンクするというものではありません。あくまで独立した形で基本高水の検討は行ってまいります。

(問)高速道路の関係で、先ほど夏頃までに一定の方向性、国土交通省としての考え方というのをおっしゃったと思うのですが、具体的なイメージをもう少しお伺いしたいのと、今、高速道路の新料金の話で議論されておりますが、それと無料化社会実験の件とどう整合性をとっていくのか、数年後はどうしていくのかということのイメージはどうでしょうか。
(答)無料化という言葉が先走って、あたかも一瞬にして政権交代と同時に無料になるとお考え、お感じの方が多数いらっしゃるのであれば、これはしっかりと我々としては改めていかなければならない。
社会実験を行っていくというのは当初から申し上げていることでありまして、様々な種々の影響を考慮し、あるいは関係する物流業者の方々、あるいは公共交通機関の方々、経済の混乱のために無料化を推進するものではありませんから、あくまで経済政策であり利活用ですから、そのことを考えた上で我々は進めていかなければならないと申し上げてきたわけです。
したがいまして、社会実験の結果が出て、一定程度、現時点で財政上の状況を勘案しながら想定し得るものというのは提示できると私は思っています。
これが無いが故に、今もって無料になったらどうかという、ある種見えないものの不安というものがあるのではないかと思います。
私はかねがね国民への説明責任を十分に果たせていないのではないかと、大臣就任のときに申し上げたつもりです。
これを果たしていくということが我々の責務であると、マニフェストに掲げた理念に基づいて、具体的に実施し得るものはどういうものなのかということを皆様に御提示をしていく。その勇気と覚悟が求められていると思っております。
そしてそれは先ほど来申し上げるように、社会実験の結果というのは3月末にまとまります。
様々な検討を行った上で、現時点で想定し得る、財源の確保も合わせて、考えられるものを提示をしていく責任があると思います。
もちろんここには、国土交通省が勝手に先走って出してはならないという声も与党から挙がるでしょう。当然ながら調整も必要だと思います。
ただ私は、いつまでも社会実験を繰り返して何となくごまかしていると見られてしまうということは国土交通省としては本来の思いではない。
繰り返しになりますが、高速道路というものは国民生活で最も重要な物流を担う重要なインフラなのです。
それが料金の抵抗によって充分に活かされていないと、それを利活用させるという施策ですから、無料にすればいいという施策ではないのです。
あくまで利活用なのです。交通量のコントロールなのです。
そのことを御理解いただくことが充分で無かったのであれば、私たちは改めてそのことを国民の皆様方に私たちが訴えてきたことはこういうことなんだとお伝えする責務があると思っています。

(問)関連して、与党の中からは、事実上のマニフェスト修正、一般的に無料だと一言で言ってきてしまっているので、そういうふうに受け取る動きもあるかと思うのですが、そこについては大臣は国土交通省の考え方の中で丁寧に説明をして、そう受け止められても、理路整然と話せるというところまでもっていくということでしょうか。
(答)政策というものは常に社会環境を背景に現実的な対応が求められると私は思っています。
掲げた目標それを現実的に実行していく、それが政治家に求められた手腕だと思うのです。
私はあくまでも理念を掲げてきたとこれは今も変わりません。無料化施策の原点となっている高速道路政策大綱というものは、基本として交通需要管理を掲げています。
したがいまして、現実の対応としてこういう形だというものをお示しすることが私たちが果たすべき責任だと繰り返し申し上げているわけでして、これをある意味、何らかのためにする話として、マニフェストの撤回、修正だという話ではないと思っております。

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