大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年7月30日(金) 10:00 ~ 10:26
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

私からはありません。

質疑応答

(問)八ッ場ダムの関係ですが、流域の自治体が負担金の支払を留保するという通告があったかと思いますが、今後の対応等お願いします。
(答)八ッ場ダムにつきましては、中止の方向性を打ち出し、それと共に予断なき検証というものを行うということでございます。
中川博次先生を座長とするできるだけダムにたよらない治水のあり方というものを考える河川の有識者会議が中間とりまとめをしていただいたところでございまして、今、パブリックコメントを行わせていただいております。
それを基に、中間とりまとめをまとめて、いよいよ具体の河川の個別の検証に入るということでございまして、できるだけ早くそういった作業を進めながら、流域の自治体に御理解を頂けるような検証結果を出していきたいと、このように考えております。

(問)出先機関の見直しの関係ですが、地域主権戦略会議が国交省の整備局等も対象に選んで、8月末までに自己仕分けをするように求めるということですが、対応をどうされるかお願いします。
(答)そもそも地域主権という考え方の大事なポイントは三つありまして、一つは地域に権限、財源をゆだねて地域が個性のある、また思い切った行政というものを国のコントロールを排して行うことができて、そのことが地域間の競争、地域の活性化、それが全体の活性化を生んでいくという良い意味での好循環、相乗効果を生み出すということが大きなポイントの一つとして挙げられます。
二つ目は、今は多重行政でありまして、国があって、国の出先機関があって、そして都道府県があって、政令市があって、そして中核市があって、市町村があるという極めて多重な構造があって、それをどう簡素化する中で無駄を無くし、行政経費の縮減を行っていくのかということが大きなテーマであります。
三つ目は、地域で行うことと国が行うことを峻別をして、そして国家戦略として行うことをより限定をする中で、むしろ明確化をしていくと。
国家戦略を描きやすい環境を作っていくということがこの地域主権においては大事なことでございます。
その意味においては、出先機関の見直しということは、大変な重要なポイントでございます。
ただ、その際に今申し上げた二つ目のいわゆる重複した行政事務というものをどう無くしていくのかということを考えたときには、出先機関の見直しだけではいけないわけですね。
つまりは、今の自治体の受け皿の在り方そのものを見直していかなくてはいけないという両方の作業が必要になります。
よくお話をしておりますように、例えば利根川水系というのは1都5県にかかわる話でございますし、単に都に、あるいは県にということを分散して関東地方整備局を分散して良いという話ではありません。
では、1都5県の一つの州にしてもらうのか、あるいは広域連合というものを明確な形にしていただくのかということが必要でございますし、また例えば県と政令市というものは、私は京都市の府議会議員をやっておりましたけれども、これは二重行政の最たるものであります。
その意味では、基礎自治体の上に本当に府県が必要なのかということの議論も逃げずにやらずに出先機関の見直しだけを行うということは、これは私はバランスのとれた分権の議論とは言えないと。
総務省も地域主権という旗をしっかり振るのであれば、基礎自治体と、そしてむしろ道府県をどう仕分けをしていくのか、この二重行政というものをどう無くしていくのか、そのイニシアティブをしっかり取った上で受け皿の明確化と、そして方向性をしっかり示していただくということが大事だと思いますし、そういったものができたときには我々はこの出先機関というものを、例えば州やあるいは広域連合に移管をするということ、そして国については全体的なマネージメントをする司令塔、あるいはシンクタンク機能に特化するということには全くやぶさかではありません。

(問)来年度予算の要求基準が閣議決定されましたが、大臣は今まで公共事業は削減しないという発言をされていますが、改めてそれについてのお考えと、成長戦略の分野をどう盛り込んでいくかというお考えもお願いします。
(答)結論から申し上げると、公共事業費が削減されるとは思っておりません。
一律1割の削減ということになりましたけれども、同時に、マニフェストで決められた工程管理をしっかりやっていくということにのっとって考えれば、4年間で削減する1.3兆円という公共事業費を我々中心に努力をして1年で削ったわけでありますので、それがしっかりと担保されるということは、私は当然のことだと思いますし、努力をしたところが言ってみれば報われないということはあってはならないことだと思いますし、そのことについては菅総理や官房長官、玄葉政調会長の閣僚懇での発言でしっかり担保されると思っております。
あとは、つくづく思うのは、やはり経理局が会社の経営全体を支配してはいかんと言うことだと思います。
先行投資をどこにするのかといったことを正に政治主導でやっていかないとこの国の成長というのはいつまで経ってもできない。
20年経って成長しないでしょ。
GDPなんか下がっていっているでしょ。
515兆円だと覚えていたのが、473兆円になっているということは、これはやはりちまちまちまちまですね、財政の規律は必要ですよ、しかしちょっと成長したかと思ったら予算を削って、そして成長分野の持続性が保てる政策が打てないという、正に経理局が口を出すような政治を行っているから日本の成長というのは本格軌道に乗らないということだと思いますので、私はそのことも含めて、この政権が真に政権交代で政治主導というものを確立できて、そして日本の成長と財政再建を菅さんがおっしゃるように両立できるのかどうかということが、私は問われていると思いますし、閣僚の一人としてしっかりとそのことについては閣議でも物を申していきたいと考えております。

(問)昨日、9月の民主党の代表選挙について、菅総理の支持のお考えを示されていたのですが、それについてのお考えを改めてお願いします。
(答)鳩山、小沢体制が政治とカネの問題あるいは普天間の問題、こういった問題を中心に自ら辞職をするという決断をされてけじめをつけられたわけです。
それを受けた菅さんの体制というものは、いまだ具体的に何らかの成果を上げる段階にも至っていないと。
その間に、参議院選挙があって、確かに消費税の発言等もあって敗れはいたしましたけれども、私が民主党の風土を変えていかなければいけないと言うのは、短兵急に結論を求めてお互いの足を引っ張り合っているというそのカルチャーを早く脱しないと、仮に菅さんが辞めても、また何かの問題があったら足の引っ張り合いで、そして結果的にはコップの中で権力闘争をやっているということになって、日本の国を変えるという大きな絵姿を描ける政党に脱皮できないと思いますよ。
私はそういう意味においても、確かに菅執行部については、改めるところは改めていただくということは当然ございますけれども、しっかりと政権交代を託された、国民の思いというものをしっかりと受け止めてしっかり頑張っていく、そして党がそれを支えていくというカルチャーを作らないと、この政党は与党としては大成しないと思います。

(問)昨日、民主党の先の参院選の総括をする両院議員総会が開かれました。
私は会場の方で大臣をお見かけできなかったのですが、御出席をされたのでしょうか。
もし出席されていないようでしたら、理由は何でしょうか。
一部報道によりますと、同時刻に開かれていた市川海老蔵さんの結婚式の方に御出席をされていたということですが、理由は何でしょうか。
またそれについて、いわゆる政務よりも私事を優先したことについて大臣の識見を問う声もありますが、それについてお考えをお聞かせください。
(答)昨日の両院議員総会は欠席をいたしました。
両院議員総会が決まる前に、結婚式の招待状をいただいておりまして、その出席というものを私は早くから明確にしておりましたし、鏡開きをさせていただくというお話もございましたので、そのことについて当初から決まっていた予定を優先させていただいたということでございます。

(問)高速道路の無料化に関して、12年度の実施が困難になったという一部報道がありますけれども、改めて現時点での御認識をお聞かせください。
(答)別に困難になったという記事は、それは書く側は自由でありますけれども、誰も12年度に完全実施をするなんて一言も言ったことがないわけで、それを困難だという記事の書き方が、私はいかがなものかと思います。
いずれにしても、社会実験をしながら段階的に原則無料化をやっていくということは国会でも繰り返し答弁をさせていただいているところでございますので、今回、約20%、1,626キロメートル、宮崎の開通ができればトータルで1,652キロメートル、この無料化を行いながら、プラスの面、そしてマイナスの面、様々な面をしっかりと検証をして、そして無料化区間を拡げていくということ、そして最終形を決めていくステップにしていきたいと考えております。

(問)来年度中には、最終形を決めるという理解で良いのでしょうか。
(答)4年間でマニフェストを達成をすると、社会実験を行いながら原則無料化、段階的な無料化を行っていくということ、この原則ということについては例外がございますと、つまりは首都高速道路あるいは阪神高速道路のような交通量の多いところは、むしろ料金を取らないと、より混雑をし、物流コストの低減というものにむしろ逆行する、あるいは環境面にも悪い影響が及ぶということを考えた場合には、その首都高や、あるいは阪神高速と同じような路線はどこにあたるのかということについてもしっかりと我々は検証を行った上で確定をしていかなくてはいけませんし、したがいまして、これは4年間で実施をするという総選挙のマニフェストであるということで、マックス4年で行っていくんだということを御理解頂きたいと思います。
あと一部報道に完全無料化をするには1兆3,000億円かかるという報道がございましたけれども、それは違う認識でありまして、34兆円の債務があります。
また維持管理費もかかりますけれども、その34兆円の債務を一定期間に返すという一つのマニフェストとしてのスキームで毎年の返済額は1兆3,000億円ということを我々としては必要経費としてマニフェストには書かせていただいたわけでございますので、そういう意味では完全無料化が1兆3,000億円とパラレルではないということは併せて申し上げたいと思います。

(問)関連して今の御発言で4年間という言葉があったのですが、衆議院選のマニフェストを見ると2012年度までに出来ればという、2010、11、12と3年間だと思うのですが、そこは発言が後退されたと見てもよろしいのでしょうか。
(答)ですからマックス4年間と申し上げているし、今、概算要求の議論をしておりますけれども、私はその中で閣僚懇談会でも繰り返し、工程管理をしっかりとやるべしと、そうでなければ、この高速道路の問題にしても、あるいは子ども手当てにしても、農業の戸別所得補償にしても、やるとまず言っていて、そして政策判断でやらないのか、財源が足りなくてできないのか、そこの国民に対する説明がグレーになっているのですね。
それをしっかりとやらなくてはいけないという意味で、お金があってもやらない、あるいはお金がないからできない、ということをしっかりと工程管理をして、そしてその説明をしっかり国民にして、マニフェストはこう変更されましたと、しかし根本のところは変わっておりませんとか、そういう説明をしっかりやることが大事なことなのではないかと思います。

(問)先ほどの欠席の件に関してですが、菅内閣の一員として総理に欠席しますという御報告はなさったのでしょうか。
それからそういった批判があることについてどうお考えですか。
(答)批判は私の耳に入っておりません。
それぞれの理由で優先順位を付けながら、冠婚葬祭というのは人生において極めて大事なセレモニーでございますし、ああいう結婚式の御案内というのは数ヶ月前から届いていて、皆様方も出られたことがあると思いますけれども、何らかの役割を担わせていただけるということになれば、新郎新婦のお父様方からそういった丁重なお話もあるということを考えたときに、社会通念としてどちらを優先するのかということを政治家が判断をすると、それについて批判があるのであれば甘んじて受けます。

(問)先ほどの代表選に関してですが、改めまして代表選には御自身は出られずに菅総理を支持されるということでよろしいのかどうか確認させていただきたいのと、菅内閣について改めるべきところは改めていただきたいというお話でしたけれども、どういったところを改めていただきたいというお考えなのでしょうか。
(答)これは御自身がおっしゃっておりますけれども、消費税の発言でも唐突でしたよね。
やはりV字回復というものの緩みが私はあったと思いますし、そういう意味では慎重にやっていかなければ経済も大変厳しい状況ですし、先行きもまだまだ明るい状況というものが確定するような状況ではありませんので、そういう意味ではトップリーダーとして信念を持って腹を据えて政権運営に当たっていただきたいということでございます。

(問)代表選では菅総理を支持されるということでしょうか。
(答)はい。

(問)週末沖縄を訪れるのでその件について伺いたいのですが、日程を見ると北部の首長さんとか沖縄県知事との会談を予定されていますが、今回経済振興の視察が目的だと思いますけれども、一方で普天間問題が残る中で北部首長さんと経済振興について意見交換をするということは、県民側は基地問題と経済振興をリンクするのかしないのかということが気になるのですが、民主党はずっとリンクさせないというお立場を取ってますが、その立場にお変わりはないかという確認と、もう一点、石垣島を訪れるということが取材で分かっているのですが、その日程が日程には載っていません。
何か公表できない理由があるのか、また、石垣島視察の目的は何なのでしょうか。
(答)まず、一点目の御質問でございますけれども、沖縄の基地の問題と経済振興策はリンクさせないという考え方は全く変わっておりません。
今回北部にターゲットを絞ってまわらせていただき、北部の首長さん達とお話をさせていただくというのは、沖縄振興計画が来年で切れます。
そして今までの沖縄振興計画のレビューをしっかりさせていただきながら、次の新たな沖縄振興計画というものに反映をさせていきたいというレビューの一環として北部に行かせていただき、首長さんたちの御意見や、あるいは島田懇談会、あるいは現在の沖縄振興計画によって作られたものがうまく機能しているのかしていないのか、そういった検証もさせていただきたいと、このように考えております。
石垣については、これは国土交通大臣として、それぞれの地域の近くに行った場合においては、それぞれの管区において激励を行い、幹部との意見交換を行うと、それが目的であります。

(問)国交省の日程にも何も発表されていないと思うのですが。
(答)そうですか。
その日程は、国土交通省の方から発表させていただくようにいたします。
今回の主な目的は、まずは沖縄担当大臣、内閣府特命大臣沖縄担当として、沖縄振興計画のレビューと次の振興計画を作成するための検証、意見交換をさせていただくということで、せっかく沖縄に行くのですから11管区に行って、そして11管区のいろいろな所に行って激励をすると。
特に11管区というのは非常に幅広い海域をカバーしておりますし、様々な困難なミッションというものも与えられている所でございますので、せっかく沖縄に行くのであれば是非激励をしたいということであります。
前は名護に行きましたので、今回は石垣と。
もし次に沖縄に行くことがあれば、別の所にも行かせていただきたいと、このように考えております。

(問)一部の報道において、重点港湾の指定について、北海道から沖縄まで32道府県の42港を選定する方針を固めたとあるのですが、この事実関係と、もしそうであれば、改めてどういうような考えでいらっしゃるのか、お考えをお願いします。
(答)選定作業を進めているのは事実でございますが、まだ選定作業中でございまして、固まったということはございません。

(問)一昨日、ホルムズ海峡で商船三井のタンカーが損傷する事案が発生いたしましたが、原因についていろいろな憶測が飛んでおりますが、これまでの状況で何らかの御判断はありますでしょうか、あるいはこの事案に関して、国土交通省、あるいは海上保安庁としてどのように対処していかれるのかをお聞かせください。
(答)ホルムズ海峡におけるタンカーの爆発事故なのかどうなのかもまだ確定をしておりません。
この海域はオマーンの領海でございまして、この船についてはマーシャル諸島の船籍でございます。
ただ日本の商船三井が運航するということでございまして、日本には深くかかわる事案であると認識をしております。
まだ調査中でございまして、詳細な事実関係は明らかになっておりません。
外交ルート等を通じて更なる情報収集をしているところでございまして、原因が明らかになり次第、その対応というものをしっかりとやっていかなければいけないということで、現在は調査中でございます。
分かり次第また皆さん方に御報告をさせていただきます。

(問)人事に関してお聞かせいただければと思うのですけれども、新聞報道では次官以下の幹部人事に関して名前等が出ているのですが、基本的な考え方をお聞かせいただければと思います。
(答)基本的な考え方というのは、国土交通省の幹部というのは6万2千人の職員をどうやる気にさせて、そして内閣が決めた政策、あるいは国土交通省が決めた政策、こういったものをいかに着実に実行していくのかということの中で、適材適所で人材を配置して、そしてその能力の最大化を図っていくということが大事なことだと考えております。
その中で人事を決めさせていただいているということでございます。
また決まれば発表させていただきたいと思います。

(問)八ッ場の確認なのですけれども、中間報告をまとめた後、個別の検証に入って、流域の自治体の御理解を頂きたいということだったのですけれども、実際今回の負担金の支払を留保するという自治体に対しては、どのように具体的に対応されるのか、その点についてはどうでしょうか。
(答)頂いているお話は正確に申し上げますと、少し申入れについて引用してお話をいたしますと、1都5県の知事からでありますが、「当該基本計画の目的を予定どおり達成するために必要な負担であることを認めるものである。1都5県はこれを前提として、今年度の負担金の支払に応じる用意がある。」と。
そして「一方で」ということを書いてあって、「国が八ッ場ダムの検証結果を早期に出すことが明らかになるまでの間、1都5県は当面負担金の支払を留保することとする。」ということで、「検証結果を早期に出すことが明らかになるまでの間」ということでありますので、我々としては検証をしっかり行った上で、我々の考え方をとりまとめるということを行って、そして1都5県にお示しをするということになろうかと思います。

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