大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年6月18日(金) 10:38 ~ 11:03
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

私からはありません。

質疑応答

(問)菅総理大臣が昨日マニフェストの発表に当たって、消費税を含む税制の抜本改革案を年度内にまとめること、その際自民党が示した10%というのを一つの参考にすると発言をされました。この総理発言に対する受け止めをお願いいたします。
(答)日本は、日銀が言うのには国と地方合わせて1,000兆円の債務を超えたと言っておりますし、財務省でも900兆円を超える長期債務を抱えていると、対GDPで言いますと1.8倍を超える債務を抱えているわけでありますし、またバブルの頃の、日本の景気がもう二度とあのようないい状況にならないようなときでも税収は60兆円くらい、歳出は80兆円を超えていたということで、明らかに今の歳入歳出構造というのはおかしいわけですね。
このまま放置をしていると、日本の財政が行き詰まって、そして経済活動が停滞をしてしまうというようなことになりかねませんので、抜本的な財政再建というものは景気の動向を見ながら、慎重かつ、しかし大胆に行っていくということは大事なことだと思います。
そういう意味においての車の両輪が必要で、一つは成長戦略、経済が失速をする中での財政再建というのはできませんので、今日閣議決定をした新成長戦略をしっかりと着実に実行していくということが一つの大きな柱でございますし、もう一つは税制の抜本改革というものをしっかり行っていくということで、法人税減税と合わせた消費税の税率アップというものは、私も不可避だと思っておりますので、しっかり議論をしていくというのが大事だと思います。
いずれにしても、今年度中に議論をしてまとめていくということでありますし、逆進性の問題をどう扱っていくのかといったことも今後の議論になっていくと思っておりますので、あくまでも今年度中に具体案をまとめるということでありますので、様々な御意見を伺いながら、幅広い意見を伺って、しかし今の持続可能ではない歳出歳入構造を抜本的に見直していくということは大事なことだと思っております。
併せて、我々が一丁目一番地にしてきた税金の無駄遣いは無くしていくという作業は、天下りの根絶、公益法人の見直し、無駄な事業の仕分け含めて、これも永続的にやっていくということが必要ではないかと思っております。

(問)鳩山前代表は、昨年の総選挙では4年間消費税は上げないということで公約して、政権交代を達成されました。
昨日の菅総理の発言及びマニフェストというのは、その公約の撤回に当たるのかどうかということと、仮に消費税増税に踏み切る場合には、その前に衆議院を解散して、国民に信を問うべきだというふうにお考えになりますか。
(答)私は鳩山前総理と菅さんがおっしゃっていることは、基本的に同じだと思いますね。
つまりは、現政権の間では検討はするけれども上げないということを鳩山前総理はおっしゃっていたと思います。
菅さんもやはり議論の前倒しというのをしっかりやっていく中で、やはり財政再建の道筋をつけないといけないという強い危機感からおっしゃっているんだと思いますけれども、それを信を問うて選挙をやるのかどうなのかといったところについては、これは総理がお決めになることでありますけれども、私個人の意見を聞かれれば、やはり次の争点というのは税制の抜本改革、歳出歳入の全面的な見直しというものを国民にしっかりと問うということも大事なことかと思います。

(問)もう一点。昨日発表されたマニフェストで、高速道路の無料化に関しては、他の公共交通の状況に留意しつつ、段階的に原則無料化すると書かれました。一方で、昨年の衆議院選のマニフェストにあった工程表、あるいは財源というものはこのマニフェストには書かれていないわけなんですけれども、そこは修正をされたんでしょうか。
(答)私は修正をされたとは思っておりません。
去年の総選挙でも、社会実験を行いながら段階的に原則無料化を進めていくと、こういうことでございました。
首都高速道路、阪神高速道路は料金を取り続けるということを、去年の衆議院選挙で申し上げたわけであります。
つまりは、都市部の交通量の多いところについては、むしろ無料化をすれば混雑がひどくなって、高速道路の利便性がむしろ相殺されると、そして環境負荷もより大きくなるということで、首都高速道路と阪神高速道路については無料化の対象に含めないということを申し上げてきたわけであります。
ということから考えると、他のNEXCO各社の道路についても、都市部、交通量の多いところについては、やはりある一定のロードプライシングの考え方がなければいけないということであろうかと思います。
そういうものをこれから財源と相談ということにはなろうかと思いますけれども、無料化を6月28日から、まずは、1,626キロメートル、あと26キロメートルプラスされて1,652キロメートルまでになりますけれども、それもやってまいりますし、それから新たな料金というものもこのまま放っておけば来年3月でETC土日1,000円というのは切れてしまいますので、いずれ新たな料金体系というものを決めて、そしてそれを行っていく中で最終形を決めていくということになろうと思いますので、前の選挙でお約束をしたことを今着実に実行していっている、私はそう思っておりまして今回のマニフェストと衆議院選挙のマニフェストの変更があったとは考えておりません。

(問)確認ですが、1.3兆円の財源で平成24年度には完全実施するという工程表は今も有効なのでしょうか、そうではないのでしょうか。
(答)今回、私が国土交通大臣を拝命するときには何を言われたかということでありますけれども、それは高速道路を段階的に社会実験をしながら無料化をしていくということ。
その際に他の交通体系を総合的に勘案をしていくということが菅総理大臣から私に渡された任命の中身でございましたので、そういったことを踏まえて対応していくということになろうかと思います。

(問)消費税に関してですが、消費税の引上げをマニフェストに掲げて選挙を戦うことに関して、参議院議員の側から非常に難色を示す声が党内で上がっていますが、この消費税の引上げをマニフェストに掲げて選挙を戦うという菅総理の姿勢についてはどうお考えですか。
(答)今のままでいくと、日本の財政は立ち行かないというのは国民が最も心配をされていることだと思いますし、昔は消費税を引き上げるということについては選挙にとってマイナスでありましたけれども、今の状況に至っては、私は税制の抜本改革というものをむしろ責任を持って打ち出すほうが国民も信頼を持って耳を傾けていただけるのではないかと、このように思っております。
いずれにしても、10%と決めたわけではありません。
参考にしながらということでありますし、そして制度設計については今年度中に様々な御意見を伺いながらしっかりと中身を決めていくということでございますので、そういう意味ではこの国民的に関心を持っていただける参議院選挙というものを通じて税制改革の議論を喚起をする。そして、それを受けて今年度中にまとめ上げていくということについては、私は菅総理の姿勢については全面的にサポートをしたいと思っておりますし、参議院の皆さん方もそういう姿勢で是非臨んでいただきたいと。
消費税を議論することが、すなわち今まで我々が公約の柱にしていた無駄を削るということを止めるわけでは全くありません。
両方やっていかないと日本の財政というのは立ち行かないというのは、誰の目から見ても明らかなわけでございますので、無駄を削っていく、天下り、公益法人、無駄なシステムを徹底的に無くしていくということは、不断の努力でやっていくということも併せて訴えかけていくべきではないかと考えております。

(問)先日の閣議後会見で発表されましたNEXCO5社の社長人事の関係ですが、その時の会見で、ともすれば半官半民の体質があったとのことでしたが、どのようなところに問題があったのでしょうか。
もう一つは、民間的な経営の知恵とかそういうものを活かしてもらいたいということでしたが、実際NEXCOとしては経営の肝である新しい料金ですらNEXCO会社で決められないわけで、そういう中でどういうことで民間の知恵を活かしてもらいたいとお考えなのでしょうか。
(答)道路公団からNEXCOに替わりましたけれども、その一つの過渡期として会長は民間の方、そして社長はプロパー、あるいは天下りという形になっておりました。私もある現在の役員の方にお話を伺いましたけれども、ともすればやりにくい面もあったということで、やはり会長、社長というものを一元化をして、民間の経営者に任せるということはもうそろそろ時機を得ているのではないかという御意見もございましたので、こういったやり方にさせていただいたということでございます。
後者の御質問については、もちろん料金については今までの34兆円余りの負債というものがあります。
そして、道路をこれからも建設していくということについては、これは税金を使ってでもやっていくというニーズもございます。
そういう総合的な観点を考えれば、我々としてはこれからも料金、そして新たな道路建設というものについては、もちろんNEXCOや他の会社の御意見も伺うことにはなりますけれども、国として判断をさせていただく面もかなり大きいのではないかと思っております。
なお、民間の経営手法ということについては、例えば、サービスエリアとか、パーキングエリアとか、あるいは維持管理のコスト削減の様々な知恵、そういったものに今まで培われた民間の経営感覚を是非活かしていただきたいと考えております。

(問)先ほどの消費税引上げの際、総選挙を経るべきなのかという質問の回答の中で、大臣は次の争点は税制の抜本改革とおっしゃっているのですけれども、この次の争点とは衆院選を指していらっしゃるのか、それともこの夏の参院選を指していらっしゃるのかということと、今日の閣議、閣僚懇で消費税に関して何か各閣僚から御発言があれば教えてください。
(答)私は次の選挙でと申し上げたのは次の総選挙という意味でありますが、菅さんがわざわざ参議院選挙を前にしてマニフェストを発表されるときに、消費税の問題に言及をされたということについては私はやはり日本の置かれた財政状況に対する危機感の裏返しであると思っておりますし、私は覚悟を持って菅さんは発表されたと思っております。
ただし、決めてやるということではなくて、今年度中に議論をして抜本的な税制改革の中身を決めていくということでございますので、あと半年余りの議論を経て、そういったものを決めていくということをおっしゃったと思います。
今日の閣僚懇談会においては、税制改革に関する菅さんの発言に対して意見は全くありませんでした。

(問)昨日ですね、大臣には数日前だったようなんですが、日本航空の管財人の方から公租公課の引下げを要請する文書が出たと思うのですけれども、これについては成長戦略会議でも話が出てたと思うのですが、改めて受け止めと今後の対応をどうされるかお聞かせください。
(答)日本航空の管財人からそういった要望書が出されたのは事実でございますけれども、これは日本航空の再建と同時に、日本の航空産業の競争力強化と、全体の観点から大変重要な視点だと思っておりますので、空整勘定の見直しを含めた公租公課の在り方については最重要課題として取り組んでまいりたいと考えております。

(問)道路会社の人事の件なんですけれども、人選については非常に突飛というか意外感を持っている方も多いと思うのですが、人選の理由とどういう狙いでこの方々を選んだのかを改めてお聞かせください。
(答)人事というのは、意外感とおっしゃいますけれども、誰をそういったポストに充てるかということは様々な御意見、お話を伺いながら決めていくことであって、受け止める人にとってはそうでもないかもしれないし、意外感として受け止められる方もおられるかもしれません。いずれにしても、今まで民間の経営に携わられて、その経営手腕というものが評価をされている方、多くの他薦を頂いた方の中から我々として慎重に人選をさせていただいたということでございます。

(問)西日本高速と阪神高速の人事について質問したいのですが、西村さんは4千億円以上の損失を出して業績不振の責任を取って辞任されていると。
また、大橋さんは行員が預り金を着服するなどの不祥事を金融庁と財務局に報告しなかった不祥事の責任を取って辞任されたと。
公共性の高い高速道路会社のトップとして引責辞任されたお二人を選んだことについて経済界からは疑問の声も出ているのですが、その辺りを議論されたのかということと、大臣のお考えも併せて教えてください。
(答)いろんな意見があるのは分かっておりますし、しかし疑問の声は私の耳には届いておりません。
いずれにしても、様々な観点から、今までの経営能力というものを総合的に判断をして決めたということでございます。
あとは頑張ってもらうだけです。
観光庁長官の時にもいろんな御指摘も頂きましたけれども、とにかく頑張って実績を残していただく、それだけです。

(問)今回、国会が閉会して公務員制度の改革の法案が結局成立しなかったわけですけれども、この7月の幹部人事というのは行われるのか。
凍結という話も一部ありましたけれども、その点についての現時点のお考えをお願いします。
(答)今日、菅総理大臣から閣議の中で、公務員人事についての言及がございまして、公務員制度改革に関する法案は通ってはいないけれども、参議院選挙後に各省の人事を行うということで検討に着手してもらいたいといった指示がございました。
それと同時に、局長級、審議官級の省庁間での人事交流といったものも是非考えてもらいたい、こういう話がありまして、そういったいかに組織を活性化させるか、そして政策目的に向かって突き進む一つの軍団というか塊にしていくのか、極めて人事というのは大変重要なことだと思いますので、官房長官とうまく相談をしながら、国土交通省、内閣府の人事については早急に検討を始めたいと思っております。

(問)天下りを認めないという政権の方針に従うと、非常に制約要因が多い人事異動になるかと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)それは我々が天下りを無くす、そして定年まで働いていただく、そして公益法人については民間でできるものは見直しをして無くしていくといった方針を打ち立てているわけでありますから、今までと全く違った形にはなるかと思いますけれども、その前提で先ほど申し上げた組織をいかに活性化させるのかという観点から人事を考えていきたいと考えております。
なお、菅総理からのお話の中には女性の登用ということも言及をされておりました。

(問)マニフェストですが、党内というか議員の方の中には、菅さんのヒストリーをこんなにいっぱい載せるよりは、もう少しマニフェストの項目を、例えば新幹線も盛られておりませんし、もう少し国土交通省関連の項目を多く載せた方がいいのではないかという声も昨日聞かれたのですが、国土交通省関連のマニフェストについて全般的にどのようにお考えでしょうか。
(答)かなり国土交通省の関係については載っているのではないですか。
特に成長分野においては国土交通省に関連するところがかなり盛り込まれておりますし、また、今日閣議決定をされた新成長戦略には、国土交通省成長戦略会議の報告書に盛り込まれて、今、全省挙げて取り組んでいこうとしている項目が全て盛り込まれておりますので、そういう意味ではマニフェストの在り方について、これは総理が御自身でお決めになることであります。例えば、「コンクリートから人へ」という文言については載っておりませんけれども、国土交通省としては最後まで「コンクリートから人へ」ということについては挙げておりました。
最終的には、それは菅総理の判断で載っていないわけでありますけれども、しかし税金の使い道を変えていくという我々の政権交代の方針は全く揺らいでおりませんし、9か月政権を預からせていただいて、修正をするものについては当然ながらあるわけでありますけれども、基本線というものは決して変えることなく、つまりは無駄なものは徹底して削る、そして税金の使い道を変えていく、政治主導で成長というものを重視をしながらその政策を実行していく、その方針にはいささかも変わりはございません。
私はそのマニフェストに全く不満はございません。

(問)高速道路の無料化で確認ですけれども、工程表がマニフェストから外れたということで、今後の進め方というのは、3か年で完成形を目指すという形になるのか、必ずしもそれにはこだわらないのか、現時点でのお考えをお聞かせください。
(答)これは私が再任を受ける際に、菅総理、仙谷官房長官と3人で、内閣総理大臣の執務室でお話をしたときに、1項目に高速道路の段階的無料化、しかし総合的な交通体系に目配りをしながらと、こういう話の中で、私が菅総理や仙谷官房長官に申し上げたのは、これの最終形について我々国土交通省としてしっかりと考えをまとめて相談をさせていただきたいと、こういうことについて了解を頂いておりますので、どのタイミングで最終形を決めるかも含めて、これは官房長官、あるいは枝野幹事長、玄葉政調会長としっかりと連携をして相談をしながら進めていきたいと考えております。

(問)白紙ということですね。どれくらいの期間でというのは。
(答)そうですね。これから相談をしながら考えていきたいと思います。

(問)総合交通体系というお話で、整備新幹線についてはマニフェストには言及はありませんでした。新幹線を求める議連からは、具体的に盛り込んでほしいという意見もあったかと思うのですが、盛り込んでいないことについての大臣のお考えと、これで新幹線建設が後退するのではないかとの不安についてはどのようにお考えでしょうか。 
(答)今回の予算には90億円の予算というものも計上しておりますし、今、省内でこの整備新幹線における検討会議というものを作っておりますし、また、津川国土交通政務官、小川総務政務官、大串財務政務官の3政務官で緊密なお話合いをする中で、我々が前提としている財源の問題、そして並行在来線の問題、地方負担の問題、あるいは費用対効果の問題、様々な問題について検討をしているところでございますので、やらないということは一切言っておりませんし、検討を進めたうちに結論を出していくという方針は全く変わりはございません。

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