大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年5月25日(火) 9:21 ~ 9:48
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

私の方から今日は5点お話をいたします。
まず今朝、閣議の前に、宇宙開発戦略本部が開催されました。
これは全大臣で構成されるものでございますけれども、鳩山内閣としては初めての開催でございました。
今回、取りまとめをいたしましたポイントは、研究に主に限られていた宇宙政策を利用へと転換をしていくということでございまして、私自身の言葉で申し上げれば、産業自給率を向上させるということでございます。
将来的には14兆円から15兆円規模の宇宙産業というものにしていかなくてはならないと思っております。
そのためには、限られた予算ではございますけれども、民間の資金が入ってくるような仕組みをいかに作っていくかということが大事でございまして、特に行きたい時に宇宙に行ける、そして情報収集を含めてしっかりとした基盤を作っていくということが大事だと考えておりますので、そういう方向性での宇宙開発戦略というものを着実に進めてまいりたいと考えております。
それから2つ目が、特殊会社の長の人事でございまして、JRの北海道、四国、九州、貨物の人事について閣議で御了解を頂きました。
これらの人事につきましは、6月の下旬に開催される各社の取締役会で正式に決定される予定でございまして、国土交通大臣が認可をするということになるわけでございます。
これは後でお配りをさせていただきます。
3つ目でありますけれども、沖縄担当大臣といたしまして、「かりゆしウェア」というものを、クールビズにしっかりと関連させて、普及促進に努めてまいりたいと考えております。
今日、閣僚懇談会におきまして、私の方から「かりゆしウェア」の着用をお願いし、そして6月1日には閣議で「かりゆしウェア」を着ていただくというお願いをさせていただきました。
本日午後、安里沖縄県副知事が内閣府に来られまして「かりゆしウェア」を私に頂けるということでございまして、頂戴させていただきたいと思っておりますし、またその後、内閣府の庁舎で開催されます「かりゆしウェア」の展示販売会も視察させていただきたいと考えているところでございます。
4点目は国際交通フォーラム(ITF)2010というのがドイツのライプチヒで開催されておりますけれども、私の名代として辻元国土交通副大臣に参加をしていただくことになります。
このITF、国際交通フォーラムと言いますのは、加盟国が52ヶ国でございまして、交通担当大臣や交通関係企業のCEOが毎年1回集まるフォーラムでございまして、今年は交通とイノベーションをテーマに議論を行うということでございます。
これにあわせまして、辻元副大臣はITF出席の各国大臣などと意見交換をされるということになっております。
またイギリスで新政権が発足をいたしました。
保守党と自由党の連立政権でございますけれども、実はイギリスの鉄道においては日立製作所がイギリスの鉄道の車両の受注ということで、更新案件について優先交渉権を得たということで、正式契約を目指して今、英国側と交渉しているわけでございますけれども、辻元副大臣にはライプチヒに行く前にまずイギリスに寄っていただきまして、向こうの運輸省の閣外大臣と会談をしていただきます。
テレサ・ヴィラーズ運輸閣外大臣という方、女性の大臣です、とお話をしていただきまして、日立が優先交渉権を獲得していることについての後押しをして、また国としてもサポートしていきたいということで、先般、私がアメリカに行く際にJBICの政令改正をして、高速鉄道などにJBICの融資が使えるということになったことも踏まえて話をしてくるということになっているところでございます。
最後でございますが、先般、空港の需要予測と現状の乖離について発表いたしましたけれども、今日は港湾についての需要予測と現実の取扱貨物量についてのお話をさせていただきたいと思います。
皆様のお手元にお配りをいたしました、いわゆる港湾計画による取扱貨物量ということでございますが、全部で126の港がございます。
そして皆さん方がご覧いただきまして分かりますように、いわゆる計画量を分母にして、実際平成19年の取扱貨物量を分子にして高いものから並べたものでございます。
ただこれは左側の目標年次を見ていただいたら分かりますように、まだ目標年次がきてないものもございますので、16/126しか100パーセントを超えておりません。
全体の12.7パーセントということで低いわけでございますけれども、もう少し正確なところで申し上げると、計画期限を超過している港というのは36ありますけれども、その36のうち、目標をクリアしているのはいくつあるかといいますと3つであります。
それから平成20年代前半が目標年次となっているのが、47の港がございますけれども、現時点でクリアをしている、平成19年度でクリアをしているのは8つということでございまして、これを見ましても、なかなか需要予測と実際というのはかなり乖離をしているということでございます。
特に2枚目の下の方を見ていただくと、一番低い港は、むつ小川原港で1パーセントということになっておりますし、低いところもかなりございます。
この原因は、要は空港と同じで総花的な港湾というものを造ってきたと、ある程度、島国、海洋国家でありますので、四面を海に囲まれておりますので、港湾の数が多いというのは事実でありますけれども、あまりにも総花的に港を造って、そして結果として核を絞れなかったということが、平成16年からのスーパー中枢港湾、あるいは今我々が選定をしている国際コンテナ戦略港湾、あるいは国際バルク戦略港湾というものにつなげていかざるを得なかったということだと思っておりまして、この結果を踏まえて、改めて私は意を強くいたしましたのは、しっかりと絞り込んでいって国としてどこに重点的に投資をするのかという選択と集中というものをこの港湾政策にも徹底していかなければならないと、このように考えているところでございます。
したがいまして、この港湾計画の見直しというもの、これは港湾管理者がやられることでありますので国が強制をすることはできませんけれども、根本的な港湾計画の見直しを求めていきたいと思っておりますし、その港湾計画の見直しがなければ国としてはなかなか支援が難しいということはしっかりと伝えていきたいと、このように考えているところであります。
具体的には、現在、重要港湾は103港ございますけれども、これを40港程度に絞り込んでいくという作業をしっかりと今年中にやっていかなければいけないと、このように考えているところでございます。
ただ、これは取扱量で上から40を選ぶわけではございません。
地域性でありますとか、それから今国際コンテナ戦略港湾の選定でも評価点に入れておりますように、民の経営の観点、あるいは一体化、こういったものを取り入れているかどうかということ、今後の伸びしろというものも含めて103港から40港に集中をさせていくということを行っていかなければならないと、このように考えているところでございます。
詳細については、後ほど事務方からお話をさせていただきます。
それに関連してもう1つだけ、閣僚懇で議論されたことについて私の方からお話をいたしますと、今日、総理から地域主権戦略大綱の策定に向けてということで御発言がございました。
これはどういった内容かといいますと、一括交付金化を実現することにより、国と地方の中央集権的な関係は根本的に変わる、新たに創設する一括交付金についてはできる限り大括り化し、省庁横断的なものとするとともに、国の箇所付けを廃止すべきである。
様々な課題はあると思うが、是非このような方向で地域主権戦略大綱をまとめていきたいと考えていると。
出先機関についても原則廃止を基本として見直しを行わなければならない、こうした原則、例外の考え方を大綱において明らかにしたうえで改革を進めていくために、各閣僚におかれましては一層の政治主導を発揮してもらいたいと、こういう発言がございました。
私から口火を切って発言をしたわけでございますけれども、地域主権は大いに結構だと、そしてこれは政権交代でやっていかなければいけない大きなポイントで、ムダを削り、そして多重行政を廃止をし、効率化をさせる、そして地域の創意工夫の中で競争を生み出して、そして日本の活性化につなげていくと、そういう意味では国のやることは限定をし、国家戦略を明確にした上で対外的に国がやる仕事を戦略的に行っていく上でも分権は大事だと私は思っておりますが、今日は3つのことを私は申し上げました。
1つは出先機関の改革とか、権限、財源を移行するのは結構だけども、最終形をどのように考えているのかと、つまりは受け皿論というものが議論されないままに、権限、財源の委譲とか、出先機関の廃止ということになればより混乱をさせるだけであるということで、私は受け皿論の議論を並行してやってもらいたいということを申し上げました。
つまりは知事会でも半分に割れているわけです。
今の都道府県を前提にする人と、道州制とか、あるいは広域連合という方もおられるということで、私のイメージでは、民主党の目指す分権の最終像というのは、基礎自治体というのはある程度集約して基礎自治体にして、そして府県というものは無くして、緩やかな道州制というもので広域連合にしていくということが目的であったはずであるのに、府県は残ったまま、政令市はある、中核市もあって、そして出先機関の廃止や権限、財源の委譲だけが議論されるというのは、これはおかしいのではないかというのは申し上げました。
それから、この一括交付金と交付税の違いがよくわからないということも申し上げたわけでありますし、それから重ねて申し上げたのは、今の港湾に関わる話もそうですけれども、全部地方に任せてしまうと国として戦略的にここは集中させて国の主要な施策にするんだと、例えば直轄市なんていうのもありますよね。
そういう考え方がなければ、これからの国際競争力というのは保っていけないと。
全部地域に任せたら、地域で独自にやっていくということになったら、例えば8つのブロックに分けたら、自分たちの主要な港を作ろうとすると、例えば8つの港ができると。
それでも126からは集約されるかもしれませんけれども、しかし韓国は釜山、あるいは台湾が高雄だと言ってるような、国としての集約はできませんよね。
そうなると、やはり国として何をやるべきなのかと、国家戦略として何を国が行って、地域に任せるものは何かという仕分けがないまま、ただ単にお題目のように分権だと、そして権限委譲、出先機関の廃止という議論は、私はいかがかと思うということは、これは今日が初めてではございません、何度も申し上げているわけでありまして、だからこそこの地域主権会議に国土交通大臣始め、出先機関を設けている省も入れてもらいたいと申し上げて、原口大臣は前向きに検討すると、こういうことをおっしゃっていたということもこれにあわせてお話をしたいと思います。
私の方からは以上です。

質疑応答

(問)昨日北朝鮮の関係で、安全保障会議が開かれて、総理からいくつかの指示があったかと思われるんですけれども、それを踏まえて、改めて国交省、海上保安庁の対応というものをどう考えるかということと、独自制裁措置という言及があったと思うんですが、大臣として何か具体的なイメージというのはお持ちでしょうか。
(答)昨日安保会議がありまして、これは原則非公開、非公表でありますので、詳細については立ち入らないでおきますけれども、しかし大変重要なことでもありますので簡単に申し上げますと、1つは、いわゆる現在の特定船舶の入港禁止の法案ですね、特定船舶の入港に関わる法案というものがあります。
これについては、現在第2条第2項第1号において、北朝鮮籍全部を万景峰号のみならず全ての北朝鮮籍の船舶を入港禁止ということになっているわけでありますが、2号が北朝鮮に寄港した船舶、3号が北朝鮮と特定の関係を有する船舶ということになっておりますが、こういうものはまだ活用していないわけですね。
海上保安庁としては、この2条2号と2条3号は適用されておりませんが、こういう船舶については平成18年度以降はすべて立入検査を行っております。
そういうことを申し上げた上で、何ができるのかということについては国土交通省、海上保安庁としては整理をしておかなければいけないと、このように考えております。
さらなる制裁についてでございますけれども、これは各役所で決めるというよりは、外交問題もございますし、特に韓国が国連の安保理にかけるということになったときには、特に常任理事国の賛成、あるいは少なくとも否決に回らないということが必要になるわけでございますけれども、先ほどの2条2号とか2条3号というのは、かなりこの常任理事国の2カ国に関係をしてくる面もございますので、私の思いとしては、トータルでことを考えて判断をすることが大事、慎重な対応が必要ではないかと、そういう認識を私は持っております。

(問)一括交付金についてですが、首相が箇所付けは廃止したいという方針をおっしゃってましたけれども、箇所付けがなくなると国交省の仕事の仕方もだいぶ変わってくると思いますが、箇所付けの在り方と一括交付金の考え方を改めてお願いします。
(答)今回も直轄事業の負担金というのは無くしていこうということでございます。
したがって、自治体がやられることと国がやることについては峻別をされていくことになるのではないかと、このように思っているわけであります。
先ほどお話をしましたように、国でやるべきことは残ると思うんですね。
あるいは、基礎自治体でできないことというのもある。
これは先般の記者会見で申し上げたように、利根川水系というのは関東一円にかかわる話ですから、1基礎自治体でできる話では全くないし、あるいは1県でできる話では全くない。
流域治水というものを考えないといけないということになると、少なくとも道州とか広域行政というものが必要になります。
国道等も同じだと思います。
したがいまして、そういう意味においては、総理がおっしゃっている箇所付けを無くすという意味は詳しくはわかりませんけれども、我々が目指す分権の中でも国がやるべきことは残るはずだと。
あるいは道州がやるべき、あるいは緩やかな広域連合というのがやるべきこと、そういう峻別をする中で、しかし誰かが決定しなければいけないわけでありますので、それを誰が行うかということで議論をすることが大事で、最終形も決めていない、受け皿論も決めていない、国と地方の役割分担も決めていない中で、単なる箇所付けをなくすという議論というのは、私は現実的ではない、そういう思いをもっております。

(問)普天間で、日米大筋合意しましたけれども、辺野古に戻ったということでは日米合意が地元でも先行したということに批判がありますが、それに対しての受け止めと、今日福島大臣が沖縄に行って反対の立場でお話をされますけれども、現役の閣僚が政府の意向とは若干違うかたちでそのような行動をとられることについて、どのようにお考えでしょうか。
(答)5月末に決着ということで鳩山総理始め、政府、官邸が努力をされてきたわけでありますけれども、地元ではなかなか厳しい意見もございます。
そしてまた、訓練の分散というものも併せて今後模索をしていくわけでございますので、沖縄に限らずそういった当該地域の皆さん方には引き続き御協力をお願いをしていくという作業は続けていかなくてはいけないのではないかと考えております。
福島大臣につきましては、社民党の党首であり、社民党のお考えはあろうかと思いますけれども、閣僚の一員としてしっかりと鳩山内閣の方向性に従って努力をしていただくことを心からお願いをしたいと考えております。

(問)それに関連して、結果的に県外移設という鳩山総理のおっしゃったことは達成できなかったわけで、この点についてはいかがお考えでしょうか。
(答)できるだけ県外に移設したいという思いは、今なお持っておられると思いますし、沖縄の負担軽減ということを実行していく中で、訓練の分散であるとか、あるいは沖縄が求めてきておられた一部制限区域の解除であるとか、あるいは嘉手納以南の基地の返還については沖縄の要望をしっかり踏まえた中で優先順位を付けるとか、できる限り沖縄の負担、また意向というものを踏まえた努力は今までもされてきておりますし、これからもやっていくということに尽きるのだろうと思います。

(問)宇宙のことでお願いします。
大臣の私的懇談会が利用の体制を作るために宇宙庁を新設すべきだという提言をしましたけれども、それについては今回盛り込まれていないようですが、どう取り扱われていくのかと、それから先ほどおっしゃられた民間の資金が入ってほしいと、これは大臣はどのように作っていかれるおつもりでしょうか。
(答)今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議、松井孝典先生を座長とする有識者会議では、利用の促進を行っていくためには、宇宙政策の執行の一元化というものを行っていかなければいけないという答申をいただきましたけれども、我々の総選挙の前のマニフェストにおけるインデックスにおいても、この宇宙体制の一元化というものが盛り込まれているわけでございます。
ただ他方で、そういった議論を関係省庁とまだ具体的に詰め始めておりませんので、今後の議論としては、この有識者会議から出された御提案については議論をしていきたいと思いますけれども、まとまっているものについて今回宇宙開発戦略本部で合意としてまとめさせていただいたという意味で、体制論というのは今後の議論になると思いますが、いずれにしても開発中心から利用へということに、大きくパラダイムシフトしたということは、これは私、宇宙政策の画期的な転換点だというふうに思っております。
民間の資金を入れるというのは、国土交通省でもやっておりますけれども、貴重なインフラ整備はやらなければいけないし、維持管理もやっていかなければいけないが財政が極めて厳しい状況にあると、宇宙開発もこれは不断の努力をしていかなくてはなりませんけれども、予算面での制約はあると。
しかし他国を見ると、先ほど産業自給率の話をいたしましたけれども、日本は産業自給率というものが極めて低いのです。
この産業自給率をどう上げていくのかということが、まさに利用の促進に繋がっていくのであろうと思います。
例えば、国内産業のみならず、これからはODAも含めて、例えば、他国で衛星の気象情報というものを共有して、豪雨が多くて、そしてまだ排水機能、治水がしっかり出来てないところについては大変な被害が出ているわけでありますけれども、例えばこういった衛星情報を共有する中で、早期の避難とか、あるいは被害を最小限度に抑えるということは出来ると思います。
今回ベトナムに行きましたときにも、ホアラック宇宙センターについて日本との協力をしたいと、こういう呼びかけがございました。
そういう意味では、民間の資金を活用して国内のニーズのみならず他国との協力関係にも広げていくということが、私はこの宇宙開発、宇宙利用では行えていくのではないかと思いますので、その道筋をしっかりとつけていきたいと、このように考えております。

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