大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年1月29日(金) 10:47 ~ 11:25
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

私の方から3点お話をいたします。
今日の閣議で、内閣官房の沖縄連絡室が設置されるということが決まりました。
沖縄担当として大変結構なことだと思っております。
沖縄県の地方公共団体の皆さん方の直接の意見をお聞きをすることを目的として、内閣官房に沖縄連絡室を設けて、現地に分室を置くということとなりました。
沖縄基地問題はもとより沖縄県の振興の観点から、様々な場での活発な議論に資するためにこの連絡室を積極的に活用していきたいと考えております。
2つ目は、内閣全体に関わることでございますが、幹部職員人事の内閣一元管理ということが今日総理から出されました。
内閣による人事管理機能の強化を図るために内閣人事局を設置する法案をこの通常国会に提出をするわけですが、中身はまず1つ目は、内閣官房長官が幹部職員としての適格性を審査し、事務次官、局長級の幹部候補者名簿と部長級の幹部候補者名簿等を各府省横断的に作成する。
2つ目は、内閣総理大臣又は内閣官房長官は内閣全体の視点から適切な人材を投与する必要があると判断する時に、任命権者である各府省大臣に対し、幹部職員の人事について協議を求めることが出来ること、または任命権者である各府省大臣は幹部職員人事を行う時は、内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議をすること。
3つ目は、局長級以上の幹部職員について適材適所の人事を柔軟に行えるようにするために、事務次官級から局長級への異動を可能とすること。
4つ目は、幹部職員の公募は内閣が一元的に行うこと。
5つ目は、会計検査院等の幹部職員の一元管理については、その独立性等に一定の配慮をすることということでございまして、公務員制度改革全般の議論の中で、この幹部職員の一元管理というものも取り組んでいくということが総理からお話がございました。
あと1点ですが、今日のある新聞に、私がこの間の予算委員会で答弁をした時に、町村委員だと思いますが、ポケットに手を突っ込んだまま仁王立ちをしていたという記述がありましたが、そういう事実はございません。
映像を見ていただけければ、ベルトには手をもっていっておりましたが、ポケットに手を突っ込んでいるということはないということで、その某新聞には訂正をしていただきたいと思います。
以上です。

質疑応答

(問)JALですが、稲盛会長と大西社長という新しい体制が2月1日に発足すると思いますが、新しい経営陣に今後のJALの再生をどんな会社にしてもらいたいと考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)2月1日にCEOに稲盛氏、そしてCOOに大西氏がそれぞれ就任されると伺っております。
大切な公共機関として、また政府も関与しての再生計画というものを、企業再生支援機構が中心に策定をし、いま更生計画を策定中でございますので、是非日本航空にはしっかりとした再生を実現をして、そして日本の空の一翼を担う大きな責任をこれからも果たしていただきたいと考えております。
その際に重要なことは、私は2つあると思っておりまして、1つは、今裁判所で議論されております更生計画というものが実現可能なものとしてしっかりと計画が立案をされるということ、それが認められるということ。
そしてそれを認められた暁には着実に実行していくということが大事だと思っております。
もう1つは、私はやはり社員の方々の意識の変革というものが必要なのだろうと思っております。
勿論働いておられる方々の権利として労働権というのがあるわけでございますが、しかしながらやはり会社というものを存続し発展させていくためには、そのバランスというものも必要でありますし、やはり社員が1度法的整理を受けてそして債権放棄も含めた多大な迷惑を掛けた上で日本航空は公共交通機関であるという故を持って清算をせずに再生をしているのだという意識を一人一人が持たないと私は日本航空というのは再生出来ないと、敢えて厳しめに申し上げますが、そういう思いで私はおります。
従って、稲盛CEO、そして大西COOには、以上の2つの観点から背水の陣で日航再建に取り組んでいただきたいと考えております。

(問)一部報道で、高速道路料金の利便増進事業の財源を、高速道路の建設財源に転用するのではないかという報道があったのですが、この事実関係を確認したいのですが。
(答)結論から申し上げると、まだ検討中であって、そういった固まった事実はありません。
その上で申し上げますと、我々民主党はマニフェストに高速道路の段階的無料化というものを掲げました。
そして社会実験としておそらく近日中に第1弾の無料化をする所、あるいは料金の定額制を導入する路線といったものを発表させていただくことになろうかと思います。
この高速道路の整備をどこまでやるのか、あるいはどういった方法でやるのか、そして元々首都高や阪神高速道路については料金を取り続けるということを申し上げていたわけですが、JRあるいは他の鉄道、フェリー、あるいは様々な交通機関への影響を考えた時に、その他への影響を配慮しながら総合的な交通体系として高速道路の料金設定というのは考えていかなければいけないということで、私はこの機に抜本的に高速道路の整備のあり方、料金体系のあり方というものを考え直していかなければいけないと考えておりまして、そういう思いでおります。
私をヘッドとする検討会のようなものを作って、外部の有識者も入れたかたちで、今後の高速道路の整備のあり方を含めた検討をしていきたいなと考えております。
道路を一生懸命やってこられた馬淵さんには事務局長を務めていただいて、外部の有識者も入れるというかたちでの検討会、検討チームのようなものを作っていきたいと考えております。
ただ利便増進事業については、これは仕組みとしてありますし、法律としてありますし、これをどうするかということについてはこの国会で一定の結論を出さないといけませんので、そういったそもそもの高速道路はどうあるべきかと、我が党の段階的無料化との整合性をどう図っていくのかという大きな方針とともに、この利便増進事業というものをどうしていくのかというのは、少しタイムレンジが違う議論としてやっていかなくてはいけないと思っています。
何れにしても公共投資は抑制傾向、必要なものだけを作っていくという方針には全く変わりはありませんし、やはり高速道路で優先されるべきはミッシングリンクをどう繋いでいくかといったところが最優先に考えていかなくてはいけないポイントではないかと考えております。
近日発表するのは無料化実験の路線のみでありまして、定額制については後日ということになります。

(問)大臣のご発言の中で料金の定額制を導入する路線と言いましたけれども、これは路線になるのですか。イメージとしては全国一律という意味だと思っていたんですが。
(答)ですから、現在全く無料のところもありますよね。無料化を導入するところもありますよね。それ以外の路線ということです。

(問)今、大臣は定額制と仰ったんですが、国会でも定額割引という言い方をされていた気がするんですが、上限制ではなくて首都高みたいな定額制でしょうか。
(答)ごめんなさい。定額割引ですね。だからこういうイメージです。

(問)基本的には上限制という意味ですか。
(答)そうですね。上限制ですね。だからこういうイメージです。

(問)JALの話なんですけれども、今回かなり巨額の公的資金を入れて再生を図ると思いますけれども、JAL本体もそうなんですけれども、航空行政、あるいは交通行政全体の色んな問題が浮き彫りになってきたかと思うんですけれども、今回のそれなりの痛みというか、国民のお金を出すわけですから、航空行政が良くなるかなというのが見られるようにならないといけないと思うのですけれども、大臣として今、今回のこの問題を教訓とするというわけではないんですけれども、どういうふうに航空行政、交通行政を変えていくかというビジョンがありましたら伺いたいんですけれども。
(答)今、国土交通省成長戦略会議で、航空という部門は一つの大きな柱として議論をしておりますし、そこでまとまった段階で皆様方に抜本的な航空行政の見直しというものをご報告をさせていただきたいと思いますが、ポイントとしては、今後は基本的に新たな空港は作らないということ。
そして、公租公課、いわゆる着陸料などを含めたそういったものを空港整備勘定の見直しの中で、競争力あるかたちに航空業界がなるような後押しをしていくということ。
それと諸々あります。
これから羽田と成田の離発着枠が増えるわけでありますけれども、その割り当てというものを、どういう割り当て方法にしていくのかということも検討してもらっておりますし、あとは空港自体とターミナルが分かれているところがかなり多いわけですけれども、こういうものをどういうふうに見ていくのかということと、以前申し上げたように、例えば別々であるということを前提にしても、では使用料が果たして適正価格なのかということ。
国に対して、あるいは地方自治体に対して。そういった諸々のことを考えて行く中で、航空行政もとにかくバックグラウンドとしての競争力を高めるような方向性というものが私は必要だと思うんですね。
だから競争性を高めるような環境整備と透明性、先程の離発着枠の問題についても、やはり一定程度の透明性というものを、新たに発生する枠については導入していくことも検討していきたいと考えております。

(問)高速道路の検討会の件なんですが、初会合の時期と、とりまとめが何時頃になるのかということと、外部有識者というのは道路以外の例えば鉄道とかそういうとこも含めて検討会を開いてもらえるのか、それとも高速道路に限るのかという点をお伺いします。
(答)高速道路に限ります。高速道路の今後の整備のあり方、あるいはNEXCOという会社があるわけですよね。
ですから、これと今の保有機構のあり方、正直申し上げて、私は小泉さんがやられようとした道路公団の民営化というものは当初は賛成でした。
不採算の道路は造らないと。そのために民営化をして採算の取れる道路を造るということが始めの議論のスタートとしてあったわけでありまして、その方向性での議論なら私は大賛成でありました。しかしながら、途中から、やはり道路整備を政治の意思を含めてやっていかなくてはいけないということで、どんどん中味が換骨奪胎されていって、結果的に民営化されたのはパーキングエリアとサービスエリアだけだと思うんです。
高速道路会社が造った道路についても、最終的には道路とあるいは借金については保有機構が引き受けてくれるということで、道路を造ることについては高速道路会社はリスクはないということでありまして、これでは当初の民営化というものは正に看板倒れだったわけであります。
私がよく申し上げているように、日本は少子化になって、高齢化が進んでいく、莫大な借金があるという中で、どういう投資をしていったら良いのかということになれば、当然ながら、港湾でも申し上げているように、選択と集中というのはもうやっていかなくてはいけない訳ですよね。
道路についてもそうです。我々は原則無料化ということを言っておりますけれども、先程申し上げたように、首都高や、あるいは阪神高速については有料化、つまりはなぜそれを有料化と言っているかというと、このETC千円の社会実験でもかなり渋滞箇所というのは大都市部を中心にあって、それがむしろマイナスになっている面というのもありますし、他の交通機関の影響というのもある訳です。
我々の段階的無料化というのは、そういうものをトータルで判断した上で、どういう最終形を決めていくかという話をしておりましたので、そういう最終形をどうあるべきかということをそろそろしっかり議論しなければいけないということで、私をヘッドとする検討チームを作って、そこで今後の高速道路整備のあり方について外部の有識者のご意見も聞きながら、まとめていきたいと思っております。
まだどういった方をその会合に入っていただくかとかいうことについては具体的に決めているわけではありませんが、相談を馬淵さんとは始めている段階でございます。

(問)とりまとめの時期とかは。
(答)まだ決めておりません。

(問)沖縄の話が出ましたけれども、既に内閣府の方で総合事務局とか色んな事務所が沖縄にあると思うのですが、屋上屋という声もあるかもしれませんけれども、新たに作るということへの受け止めと、先程ポケットに手をというお話をしていらっしゃいましたが、閣僚懇でそういった指示が総理からあったということも異例だと思うんですが、ヤジの注意についてですね、そこの受け止めを改めてお聞かせいただけますか。
(答)ポケットの話は事実ではないということを申し上げている訳です。

(問)閣僚に対しても長官や総理から気をつけるようにという指示があったということについて。
(答)昨日のですか。

(問)昨日のです。
(答)昨日のことについては、一昨日の参議院の予算委員会で亀井金融担当大臣が答弁をされている時に自民党の西田議員からヤジがあって、それに対してうるさいだったか、黙れだったか憶えておりませんが、そういうやり返しがあったということであります。
それのみならず、閣僚席からも、或いは与野党席からもヤジがかなり飛び交っていたと。
これはまともな議論が出来る環境ではないということで、総理がそれを仰った訳ではなくて官房長官から一定のそういった今の状況を改善するために閣僚の皆さん方のご協力を頂きたいと、こういう話でございました。
沖縄の話でございますけれども、屋上屋を重ねるというイメージは私はありません。
勿論、今ある組織というものは有効に活用していかなければなりませんが、大事な事は官邸分室というものと他の省庁の出先機関というのは全く意味が違います。
官邸が直接沖縄の問題にコミットメントをする。
特に、5月までに普天間飛行場の代替施設を見つけていくということの中で緊密に沖縄と連携をするという意思表示を官邸がされたということで、私は屋上屋を重ねるという議論よりはむしろ沖縄問題に官邸そのものが強くコミットメントするという強い政治意思の現れだという認識を持っていただいた方が結構ではないかと思っております。

(問)今の関連ですが、人員の配置等含めて体制等について固まっていることはございますか。
(答)沖縄連絡室長には瀧野官房副長官が充てられて、沖縄分室長には沖縄総合事務局長、これが充てられると聞いています。

(問)高速道路の関係で、先程大方針と利便増進のことについてタイムレンジが違うと仰いましたが、つまり、大方針が決まる前に例えば利便増進の財源を建設に回すような法改正を今国会に出す可能性があるという意味で仰ったのかどうかお願いします。
(答)中身についてはまだ調整中です。
この利便増進というのは2つのことにしか使えないと。
スマートインターチェンジと料金の割引ということでありますので、それ以外に広げるかどうかということも含めて今検討しているところでございます。
ただ、それとは別個に今後の高速道路のあり方、例えば14000キロとか11520キロメートルとかそういった議論がありますけれども、タイムレンジを考えればそういう目標があっても良いのかもしれませんが、ただこれだけの財政状況、人口が減ってきて高齢化が進んで非常に社会保障の比重が歳出の中でも大きくなっていく中で造れば維持コストが掛かりますよね。
そういう観点でどうあるべきか。
しかし繋がっていない所もあると。
繋がった方が便利でありますし、せっかく造ったものが繋がっていないというのはもったいないという面もありますし、そのことによって生まれる経済効果というのも当然あるわけですので、そういったトータルをどう考えていくのかということ。
それから、無料にするところとそうでないところの線引き、また有料制を維持するとなればどういうかたちが良いのか、トータルで抜本的に少し高速道路のあり方というものを検討していきたいと、このように考えております。

(問)そうすると、大臣はこれまでコンクリートから人へと、国民目線での改革と言っていて、しかも道路予算をご自身で作り上げた方なのに、ここに来て何故利便増進から道路の予算を検討しなければならないのですか。
(答)道路の予算を作るとは言っていません。
中身の見直しはしますと。
今はスマートインターチェンジと料金割引のみに使えるという法の仕組みになっているわけです。
年末に党から要望があったのは事実でありますし、それは検討しますという回答をしております。大前提は、公共投資額は抑制をするんです。
道路も例外ではありません。公共投資額は18%を超える縮減を実際問題行っている訳ですから、そういった方向性はこれからも堅持していかなければいけません。
何度も何度もここで申し上げているように、人口は減っていくんでしょ、そして高齢化が進んでいきますね、
そうなれば社会保障のお金が非常に多くなっていくのは当たり前ですねと。
しかも国の借金は莫大で我々が今までやってきたインフラ整備というのはこれから維持管理、更新だけでもすごくお金が掛かると。
新たなものは出来る限り抑制しなくてはいけない。
その方向性は全く変えません。
しかしながら、繋がっていないものについて優先的にやっていくのは当然でありますし、そのお金をどこから持ってくるのかという議論を大きな議論も含めてやっていくと、こういうことであります。

(問)トヨタ自動車が海外で大規模なリコールを行いまして、アメリカ政府も原因調査に乗り出すところですが、今回の件に関して国内ではリコールということには至っていませんが政府として、もしくは国土交通省としてトヨタ自動車の方々に会って意見聴取をするとか何かしら行政指導を行う、もしくはペナルティ等そういったことがあるのかどうかお願いします。
(答)我々が今聞き及んでいる範囲の中では、国内仕様においてはそのマットが架かってずっとアクセルが踏み続けられるような状況になって危険だというような仕組みにはなっていないということで、従って国内の車種についてはリコールの対象になっていないということを認識しております。
あくまでも、海外仕様でそういう問題が起きているということであります。
何れにしても、アメリカのみならず、今度中国でもそういったリコールが行われるということでございますし、現時点において国内車種においてはその必要性はないと認識しておりますけれども、注意深く今後の推移を見守って参りたいと考えております。

(問)会われたりすることはありませんか。
(答)現時点ではございません。

(問)沖縄ですが、分室長は今行われている沖縄基地問題検討委員会の中に瀧野さんは入っていらっしゃるかと思いますが、総合事務局長、分室長も一緒に入るのかということと、普天間の問題に特化するということは今後の期間は普天間解決までなのかそれ以降も、基地問題、普天間に限らずということなのかお願いします。
(答)沖縄総合事務局長は内閣官房併任でございます。
それから、普天間の問題は大きな問題でありますけれども、普天間の問題のみだけにこういった分室を作るわけではありません。
自立的な経済というものをしっかりと沖縄に根付かせるということが非常に大事なポイントでありますし、私も3月に視察に行く予定をしておりますけれども、そういったポテンシャルをどう活かして発展をさせていくのかという観点での視察を行っていきたいと思っておりますので、5月でこの分室が閉められるということではございません。

(問)総合事務局長は、与党と政府が今やっている検討委員会には正式に参加されるわけではないのでしょうか。
(答)今でもオブザーバーで参加しているのではないですか、確たることは知りませんが。
常識的にはそうかなと思いましたが。

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