大臣会見

前原大臣会見要旨

2009年10月1日(木) 16:51 ~ 17:20
国土交通省 会見室
前原 誠司 大臣

閣議・閣僚懇

 まず閣議の前に行われましたインフルエンザ対策の閣僚委員会につきまして、対策本部について若干ご報告をさせて頂きます。基本対象というのは厚生労働大臣から発表されたことでありますけれども、議論のポイントになりましたのはワクチンの優先接種についての議論になりまして、厚生労働大臣からは医療従事者、妊婦の方、或いは子供さん、お年寄りの方、そういった方を優先的にという話がございました。結論として、それについては合意をした訳でございますけれども、私の方から公共交通機関に係わられる方々、バスの運転手さんやタクシーの運転手さん、それから航空機の乗務員、こういった人達が常に人と接する職業であるということからこういった方々に対する特段の配慮を今後検討して頂きたいというお話をさせて頂きました。それから、閣議でございますけれども、今日は専ら第1次補正の議論がなれされました。それぞれの大臣で集約を行っておりまして、我が国土交通省も提出をしております。しかしながら、最終的な取り決めというものについては明日以降になるということでございまして、今我々が出しているものについてどうなるかということはまだ決まっておりませんので、確たる削減率とか、或いは削減額とか凍結額とか中身について今皆さん方に申し上げられる段階ではございません。しかし、いったん決まりましたら、これは副大臣、政務官を中心にかなり細かく精査をして頂きましたので私から概要を申し上げると共にそれぞれの事業についても皆さん方ご関心がおありだと思いますので、副大臣、政務官も記者会見をして頂いて補正予算を何故我々が凍結をしたのかといったことについて詳しくご説明をさせて頂きたいと、このように考えております。それが明日になるのかどうなのか、内閣で統一をした取り組みになろうかと思いますので、決まりましたら幹事社を通じてご報告をさせて頂きたいと思っております。そして私から最後でありますけれども、サモアに続きましてインドネシア、スマトラ沖でも大変大きな地震が発生いたしました。これについては鳩山総理大臣から哀悼の意の表明があり、防災担当としても、私からもそういった文書を発出するということでサインをいたしました。今晩、緊急援助隊が約60名(救助チーム)、現地へ早速出発するということになっておりますけれども、その中の13名が国土交通省所管である海上保安庁の職員であるということは皆さん方にご報告をさせて頂きたいと思います。私からは以上です。

質疑応答

(問)広島県の鞆の浦の架橋計画を巡って、今日広島地裁で知事による埋め立て免許の差し止めを命じる判決が出たのですが、これに関する大臣の受け止めと、知事から出される埋め立て申請ですね、これを大臣として認可するお考えがあるかどうか、この2点お伺いします。
(答)広島地方裁判所で鞆の浦埋め立て架橋事業に対する判決が出されたというのはご承知のとおりでございます。これについては広島県がどう対応されるのかといったこと、我が国は三審制でございますのでどういった対応をされるかということを我々は推移を見守って行きたいと思っております。現段階において、司法の判決というものを我々は重く受け止め、広島県がどうご判断をされるのかということを注視をして参りたいと考えております。

(問)認可について如何でしょうか。
(答)ですから、まだその前提が、認可するしないの前提が整っていないという状況だと思っています。

(問)八ッ場ダムの件ですが、今日群馬県議会が建設推進を求める意見書というものを可決されたということですが、明日恐らく大臣にも提出されると思いますがこれについての受け止めをお願いします。
(答)群馬県議会で建設推進の議決がなされたと、自民党、公明党等の多数で出されたということは承知をしております。政権交代がありまして、地元には大変ご迷惑をお掛けをいたしますけれども、ダム本体工事中止の方針は変わりませんので、そのような決議というものについては、しっかりと決議がなされたという議会のご決議は重く受け止めながらも、政府としての方針が変わることはございません。

(問)観光政策ですが、これまで前政権で2020年までに訪日外国人客2000万人という目標を掲げてましたけれども、これについて大臣は観光について非常に重視しているということですが、今後どういう取り組みをしていくのかお願いします。
(答)今日、観光庁が発足をして丸1年ということで私も会議に出席をいたしまして、ご挨拶の中で前政権においては2020年までに海外からのお客さんを2000万人ということで仰っていた訳でありますが、余りにもそれは甘いと言いますか、甘いというのはぬるいという意味でありますけれども、目標ではないかと思っております。現実にパリは、国ではありません、一都市に海外からのお客さんが6000万人とか7000万人とか毎年毎年来ている状況というものを考えればこれだけ自然や歴史的な文化遺産も含めて、まさに観光をする目的というものが多数ある日本において現状がまず寂しい限りでありますし、2020年といったらまだ11年も先です。それが約倍増というのはあまりにも計画としては甘すぎると私は思っています。従って出来るだけこの2000万人というものの前倒しを行っていくための努力をしていきたいと思っています。具体的には観光立国に関する審議会がありますが、私は少し改組をしていきたいと思っています。具体的な政策や会合名というのは未定ですが、観光というものは観光だけで括れるものではありません。例えば我が省所管であっても例えば航空政策だとか港湾政策等そういったものに密接に結びついていく訳であります。また全省庁的に取り組まなくてはいけない問題でもあろうかと思っています。例えば旅館業法という法律がありますが、疫病対策ですね、そういった意味で厚生労働省所管になっている訳でありますので、果たしてそういった根拠が現段階において如何なものかと思っています。これは他省庁に係わることでありますが、あまり国土交通省という小さな省にとらわれることなくいろいろな議論をしてもらうような成長戦略の1つの核としての観光政策を様々な観点から議論して頂くようなものにしていきたいと考えており、観光立国の審議会でも立派な方もおられますので全員変えるのではなく残って頂く方は残って頂き、新たな観点からご指導頂きたい方についてはお願いをして少し改組をしてこの観光というのはより力を入れて参りたいと考えています。

(問)スケジュール感はありますか。
(答)少なくとも会議体というのは今月中にはその形を決めて、その会議体に出席して頂く方のご都合にもよりますが、出来れば今月中に第1回は開いてスタートしたいと思っています。

(問)出来るだけ前倒しの努力をしたいと、2000万人の達成ですね。目標年次を前倒しするだけなのか、目標そのものの2000万人という数字を引き上げるというお考えはあるのでしょうか。
(答)新たな会議体で揉んで頂こうと思っていますが、今のお話しは両方だと思って頂いて結構です。当然ながら2000万人を前倒しをし、次には新たな目標を立てなくてはいけないということですので、そういったスケジュール感や達成目標についてはそういった審議会でどういう具体策を行う中で達成可能なのかということを是非揉んで頂いて答申をして頂きたいと思っています。

(問)鞆の浦ですが、個別のケースで見た場合には今回広島県の判断を注視するというのはそうだと思いますが、司法の判断の中で歴史的な価値は守られるべきだとの判断がなされたと思います。この判断を重く見るとすると、多くの公共事業を抱える国土交通省としてはかなり影響も出てくると思いますが、その点に絞った所感は如何ですか。
(答)まだ第1審の判決でありますし、これが控訴されるのか私は存じません。しかし大体我々政策・立案したり実行していく上で重く受け止めなければいけないものは、勿論個別の地裁や高裁の判決もありますが、やはり最高裁判決というものが政策・立案・決定については重い意味を持つのだろうと思っています。そういう意味では第1審の判決としてそういった判決がなされたということには注視をしながら、今後の推移を見守っていきたいと考えています。

(問)先日の会見で国幹会議の廃止を改めて表明されました。4月の国幹会議で決まった内容の内、暫定2車線の4車線化という問題もあったと思いますが、そのことについてのお考えはどのように思われますか。
(答)国幹会議の議事録を精査して頂ければお解りのように、国幹会議で決まったもの、或いは国幹会議そのもので決めることというのは、所謂どういった道路を整備するのかという具体的な道路の区間というものが決められるということで、事業主体や施行方法というのは国幹会議の決定事項ではないのです。従って、例えば補正で新たに国幹会議で決められた路線というのは幾つかありますが、これについては尊重するけれども、これに係わる例えば事業主体、或いは施行方法というものまで国幹会議で決められたものではないという認識を我々持っていますので、そこについては検討の余地はありと思っています。

(問)具体的に暫定2車線の4車線化についてはどのように思われますか。
(答)個別の路線について確たる考えを固めている訳ではありません。

(問)鞆の浦の判決ですが、広島県の出方を見るということですが、ここまでの経緯の中で国は排水権者全員の合意が無くても事業が進められるという法解釈をしたことで県が進めてきたという経緯があります。そういった場合、国としてどう対応するのか求められると思いますが如何ですか。
(答)前自民党政権で今仰ったような方向性で進められた訳ですが、若干複雑なのは、私が前大臣から事業を継続する時に、バトンタッチをする時に前大臣の申し渡し事項が、鞆の浦を守ってねということを金子前大臣が仰っておりまして、極めて私は興味深く聞かせていただきました。金子大臣ご自身の思いもお有りだったんだと思います。私が申し上げられることは、第一審の判決でもございますし、過去の政権の発言をされてきた中身と、そして今回の判決の中身、そういったものをじっくりと精査する中で、民主党政権としてどう受け止めていくのかということは今後検討させて頂きたいと思います。

(問)補正の件なのですが、公共事業も削減凍結対象に含まれているという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。

(問)その場合、21日の会見の時に民間や地方とある程度契約に入っている問題についてはなかなか凍結するのが難しいというお考えですが、地方議会では既に議決されている部分とかですね、或いはそこの9割を負担する交付金の問題とかですね、その辺りの考え方はどうでしょうか。 
(答)基本的にはそういった指示を政務官や副大臣にはさせて頂きました。地方や或いは民間との契約状況ということで、ただどこまで進んでいるかということについては、それぞれの政務官や副大臣がかなり個別な事業の契約状況、地方議会の議決状況を勘案してご判断を頂いているところであります。

(問)議会で議決はしていても凍結をするというケースも出てくるということですか。
(答)個別の案件については、現時点でのお答えは差し控えたいと思いますけれども、明日か早晩、関心を持っておられることについては、それぞれの担当者から詳しくお話させて頂くことになろうかと思います。

(問)JALの件で一つ基本的なことを。タスクフォースで出て来たプランというのを、JALに実行させる権限というか根拠というのはどこにあるのでしょうか。
(答)それについてはよく聞かれるんですが、強制をした訳ではありません。私がタスクフォースを作って、そしてこれを日航さんに受け入れてもらえますかというお願いをして、日航自らがそれについては受け入れるという判断をされて、そしてタスクフォースが中に入って、今の自主再建計画をまとめていただいていると、DDをして頂いているということだと思います。

(問)ということは、日航はどんな案が出て来ても呑むという理解でよろしいのでしょうか。
(答)そこは今まさにタスクフォースと日航さんの間での議論になると思いますし、実は昨日五名のタスクフォースのメンバーとはお会いをいたしまして、進捗状況についての話を伺いましたら、日航さん、それからメガバンク三行、政投銀等含めて、極めて協力的にやって頂いていますという報告を受けたところであります。

(問)鞆の浦の関係で、1問目のお答えの確認なのですが、認可するしないの前提がまだ整っていないと思うとの意味は、どこの一審で確定するか最高裁まで行くか、判決が確定するまでは認可の判断が出来ないということでしょうか。
(答)広島地裁で今日このような判決があって、まずは広島県がどういうご判断をされるかといったところを我々は注視をしていきたいということであって、その段階において我々は確たることを今申し上げるべきではないとそういう意味でございます。

(問)当面の広島県の判断を待つということでしょうか。
(答)はい。

(問)社会資本整備特会の空港整備勘定で、これまでの会見でですね、入りの部分の空港使用料について引き下げ等々のお考えを仰いましたが、出のところについても同時にしないと当然比較にならない訳で、その中で無駄な地方空港の整備というものを挙げていらっしゃいましたが、現状では新しい空港の整備というものについてはもう残ってないという中で、例えば既存空港の維持とか、環境整備とか、もしくは借金の償還とかあるんでしょうけども、そういったところに手をつけないと結局改革にならないと思うのですが、そういうところの方向性についてどのようにお考えでしょうか。
(答)仰るとおりです。ただ、地方空港の整備ということについては今仰るとおりでありますけれども、羽田とか或いは関空とか、或いは那覇の二本目の滑走路を造るとか、そういった整備計画がありますし、那覇においては私はもう1本では満杯状態であって、2本目が必ず必要だと、これは沖縄の振興策においても不可欠だということは昔から私は申し上げて参りましたので、そういった整備は着々とやっていくことになろうかと思います。従って私が申し上げているのは、このパッケージになっている特別会計、そして整備勘定ということになっているがために、その入りの部分というものが空港使用料とか或いは着陸料というものを課されて、そして出のところで今指摘があったように借金の返済とか、新たな施設の整備とか、そういったものにまわされていくと。本来必要であれば、別にそういった特別会計、或いはミシン目を入れた整備勘定ではなくて、税であってもいいし、建設国債でやってもいいし、つまりこういう枠組みがあること自体が着陸料とか或いは施設整備費、空港使用料というもので負担をかけている面もあるんではないかと、それを全て白紙からどういう形にしていくかということを今検討しているところでございます。

(問)那覇空港の2本目の滑走路の重要性について仰ったのですが、那覇と一緒に福岡空港もですね、2本目の滑走路増設計画がほぼ同時期に進んでいると。これについては大臣はどう評価されているかと。それと、地元でですね、この空港特会が一般財源とするとなると、整備が遅れるとか2本目の滑走路増設計画が遅れるのではないかとの不安があると思うのですが。
(答)私はそこは詳しくは聞いておりませんけども、私が現段階で把握している、これは事実関係を確認しなければいけませんけれども、北九州空港というですね、24時間空港が出来た訳でございまして福岡県としてはそれを上手く今の福岡空港と北九州空港を活用されていくという方針を知事はもっておられるやに伺っております。もしそういったご要望があれば勿論お受けはいたしますけれども、具体的に福岡空港を新たにという話は私には直接ございません。

(問)福岡空港については福岡県が要望して今国として計画案はあるのですか。
(答)誰がとは申し上げませんが、昨日ある福岡選出の議員から話を聞いたところによると、ここは確認しなくてはいけません、知事のご意向も含めて確認をしなくてはなりませんが、しっかりとそれは確認をいたしますけれども、私の認識は北九州空港を上手く活用をしていきたいというご意向ではないかということでありますので、それはしっかりと確認をさせて頂きたいと思います。

(問)鞆の浦の話に戻りますが、この鞆の浦は宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」という映画の舞台になっていますが、まず映画をご覧になったかどうかをお伺いしたいんですけど。
(答)申し訳ないですね。見ておりません。名作だと聞いておりますけど。歌はよく、別に私が歌っている訳ではありませんが、聞いたことありますけど、映画は見たことはありません。

(問)監督の宮崎さんは要するに、「開発でなんかけりがつく時代は終わったんだ」と、「今回の判決は非常に景観を守るという点で良い判決だ」と述べておりますが、大臣も八ッ場や川辺川に行かれて景観を守るという発言を繰り返していたと記憶していますが。
(答)景観を守るとは一言も言っていません。

(問)景観を含めた今後の対策を考えた方が良いということを仰ったと思いますが、それらを含めて今後の公共事業のあり方についてはどのようにお考えですか。
(答)鞆の浦の話とダムの話は少し分けて考えた方が良いと思います。勿論、公共事業という括りでは同じですけれども、私が出来るだけダムに頼らない河川整備、治水をと申し上げている大きな理由はトータルとして、コスト縮減が出来るということと併せてダムを造ると水は溜まり、澱む、そのことによって河川の水質が悪くなる。やはり日本は山紫水明の国と言われていて、そしてそれに浴する極めて大きな資源があると。それは水産資源のみならず水というものはこれから極めて大事なものでございまして、そういう意味で出来るだけダムに頼らない治水をという考え方の中で八ッ場と川辺川ダムについては今中止の方向性を本体工事については申し上げているところでございます。鞆の浦の問題については、地方裁判所でございますけれども、ああいう視点で判決がなされたのは初めてだと思いますし、その判決の中味と言うか方向性については共感するところも多々あります。しかし、それを司法が判断することなのかどうなのかということも含めてこれから仮に第2審、第3審まで適用されるとすれば、高裁や最高裁での議論になっていくんだろうと思いますので、少し司法がどういった判断を下されていくのかということについては推移を見守っていきたいと思います。

(問)昨日の会見ですが、あの効果を受けてかどうかは定かではないんですが、一般のマーケットの方では大臣と首相の日航支援発言で市場は安定してマーケットも日航の株価が終値で5パーセント以上上がったんですけど、ご見解を。
(答)特定の会社の株の上がり下がりを一喜一憂してもあまり意味は無いのではないかと思っておりますが、事実関係だけ申し上げますと、今日の日経平均が9,978円ということで、154円昨日からは下がっていると。その中にあって日本航空の株価は132円から139円まで上がっているという事実はございます。それよりも私は嬉しかったのは、昨日の鳩山総理、そして私の発言を受けてオーストラリア、イギリスで旅行保険業を展開するカバーモアという会社が、JALが発売した航空券を損害については補填しない旨を各旅行会社に通告していた訳でございますけど、これについては直ちに取引停止措置を撤回したということでありまして、その点についてはああいう発言をさせて頂いて、また総理にも政府全体でということを言って頂いて良かったのかと。つまりは風評被害だったんだという認識で自らの措置を撤回したということは大変良かったと思っております。またイギリスでクレジット販売停止措置を1ヶ月後に実施すると通告していた会社も、現在停止措置の取り扱いを再検討中だということで、2つの心配で昨日ああいう記者会見をして皆さん方にもお集まり頂いた訳でございますけど、その心配の種の2つの内一つは撤回をしたと、そしてもう一つについてもそれを続けるかどうかの再検討に入ったということでございます。何れにしても、JALが自主再建計画をしっかりまとめて頂いて、そして日本のナショナルフラッグの一翼としてしっかりと運行をして頂くということを期待しています。

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