大臣会見

金子大臣会見要旨

2008年12月26日(金) 10:50 ~ 11:20
国土交通省会見室
金子一義 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議で、総理から当省に関係するものとして、防衛大臣に対してですが、ソマリア周辺海域における海賊対策として、自衛隊が海賊対策に早急に対応出来るべく検討作業を加速するよう指示がありました。関係閣僚にあっても防衛大臣と連携し、海賊対策に関する検討を加速して頂きたいと。官房長官からは今朝、特に自民党ですけれども与党でもこの問題に対するチームを立ち上げて欲しいという要請を行ったという報告がありました。我が方におきましても、総合海洋政策本部での海賊法と国内法との関係等について内閣で検討を進めていますので、外務省等々と相談して進めていきたいと思っています。
 

質疑応答

(問)何も起きなければ今年はこれが最後の会見ですが、今年1年を振り返って、印象に残った出来事、あるいは来年度の抱負をお願いします。
(答)今年の1月2日だったと思いますけれども、ガソリンが1バレル100ドルを超えたというショッキングなニュースが新年早々に飛び込んできました。それ以降、とんでもないことが起こりそうだなという予感を感じさせる動きでしたけれども、急速にそれが膨張し萎んでしまったという意味で、私自身は、今年は資本の論理の凋落と言いますか、資本の論理の行き詰まりみたいなものをまざまざと感じさせられた1年だったのではないか。それ以降洞爺湖サミットでも、資本が食料に流れるということがあって、トウモロコシの暴騰、小麦が手に入らなくなる、日本は幸い入りましたけれども。しかし、年央から年末にかけて急速に逆回転が始まったという意味で、アメリカのサブプライムに端を発したということですけれども、同時に資本の論理というものが行き詰まってしまったのが典型的に現れた年だったと思います。来年は、そういう状況の中で我が国は著しく影響を受けている雇用、あるいは景気に対して政府として提出させて頂きました2次補正予算案、あるいは21年度当初予算案、これらは色々考えられるものについて相当盛り込めたのではないかと思っています。これを一刻も早く通すように全力を挙げていきたいと。まずは予算を通すこと、これが来年の大きな仕事だと思っています。
 
(問)昨日、広島県の藤田知事が訪ねて来られて、福山市の鞆港の説明をなさったかと思いますけれども、大臣がどのような説明を受けられて、またどのような認識をお持ちになられたかということをお願いします。
(答)これまでの経緯、それから鞆の浦地区の方々の生活の不便さ、交通渋滞の様子、様々伺いました。十分理解される部分はあります。一方、私からはそういうものを理解した上で次の世代に残すべき大事な歴史・文化を持っている鞆の浦ですよねと。そういうものをどのように残していくかということも大事なテーマですね、というお話しを申し上げさせて頂きました。それについて大事な歴史・文化を残していくという点と地域の皆さんの利便性という、両方大きな命題がありますが、これをどのように行っていくかということについて、お互いに知恵を出し合いましょうということで昨日は終わらさせて頂きました。
 
(問)例えば、代替案のような話はありましたか。
(答)今のところ、具体的に出ていません。
 
(問)この件は、世界遺産の登録を目指している団体が撤回を求めていたり、ある意味反対派の意見もあると思います。知事側の説明だけではなく、そちらの方の意見も把握されたり、大臣ご自身が現地をご覧になる等は如何お考えですか。
(答)反対派の方々のご意見は、既に色々な報道等でよく伺っているつもりです。地元に行くかどうかについては今の段階ではまだ考えていません。何れにしても、県として今申し上げたテーマをどのように考えて頂くのかというのを相談しながら考えていきたいと思います。
 
(問)ソマリア沖の海賊の問題ですが、これまで海上保安庁は国民に対してや予算折衝において海賊対策は海上保安庁でやるのだと。したがって、特殊部隊も訓練を積み重ね、若しくはマラッカ海峡辺りの海賊対策も海上保安庁が主体となって行ってきたのですが、何故今回だけ海上保安庁が何も取り上げられないまま、大臣も何も進言しないまま海上自衛隊になったのかということをもう一度ご説明して頂けますか。
(答)ソマリア沖となると今の海上保安庁の持っている能力では対応出来ないということと、もう一つは海上保安庁が持っている武器で対応出来ないケース、対応出来ないような思わぬ火器を海賊が持っているといったようなことが一番大きな点だと聞いています。
 
(問)しかしながら、北朝鮮の工作船との応酬戦でもバズーカ砲が発射される中対応してきており、大臣に敢えてお伺いしますが、これまで海上保安庁の施設や訓練の様子を視察されたことはあるのですか。
(答)何れ行ってみたいと思っていますが、今日までのところ時間的余裕が無く行けていません。
 
(問)何も視察されていない中でそのようなご決断をされるというのは危険だと思いますが。
(答)ご質問の趣旨が必ずしも分からないのですが、視察すれば大丈夫という話でもない。色々詳しく海上保安庁の持っているあるいは装備している能力、それから非常に予見しがたい海賊行動ということを兼ね合わせた海上保安庁の持っている機能の限界というのは、これは説明を受ければ分かる話だと思っています。各国も何れもソマリア沖に対して国連の呼びかけに応じて軍艦を、軍事力を出していますよね。そういう中で、我が国が海外が出しているのに比べてどれだけ必要なのかということもあると思います。では、海自ならばいいかということになりますと、やはり一方で、海自もどういう行動まで取れるのかというのは長い間の議論だったようであります。海自だから良いということでは決してありません。海自がやるにしても、海賊法制も併せて整備していかないとなかなか出来ないという問題もあると防衛大臣からは伺っております。
 
(問)今、諸外国が軍艦を出しているということですが、これは一方でヨーロッパ諸国は海上保安組織を持っていない性質上、当然、軍艦という仕組みになっていく訳でして、なお且つあの海域に来ているのはアフガニスタンのテロ対策という形で決して海賊防止という目的とは微妙にずれているとは思うのですが。そうなるとやはり、日本が出来ることは軍艦を派遣することではなくて、海上保安組織を派遣するという選択肢の方がより良かったのではないかと思いますが。
(答)それも含めて総理が、今日、自衛隊が早急に対応するべく検討作業を進めるということでありますから、今仰ったような議論も併せて検討されるのだと思います。
 
(問)失礼ですけどもう一点。海保に能力が無いということなんですが、先程質問にも出たのですが、北朝鮮の不審船等はRPGとか、向こうは軍隊同様の装備を持っている訳ですから、能力が無いというんでしたら今後も北朝鮮等の不審船問題が出た時には海上保安庁は対応出来ない、これは一義的に海上自衛隊に任せるというケースも出て来るといことで宜しいのでしょうか。
(答)少し違うのは、航続距離の問題もありますし、日本の海域周辺とソマリア沖という航続距離の長さの問題もありますから、今仰られたことは少し違うと思います。
 
(問)海警行動を適用してやるにしても、自衛隊員には司法警察職員としての権限を与えられていない訳ですから、例えば海上保安庁の職員を自衛艦に同乗させるというオプションもあり得ると思うのですが、そういう検討も全くされないということなんでしょうか。
(答)上乗りということを指しているのだとすれば、それも検討課題だと思っています。
 
(問)先程日本経済全体という点で1年を振り返って頂きましたが、国土交通省という点で言うと、今年は道路財源の無駄遣いを今年の冒頭から批判されて、大臣自身もコロコロ大臣が代わる中で就任されたという経緯がある訳で、かなり国民の不信感を払拭する任務があったかと思うのですが、そういった観点から振り返って見てどのような感想をお持ちですか。
(答)道路特定財源一般財源化を福田総理が言われてこれを具体的にどのように進めていくのか、一方で道路特定財源一般財源化に際し1兆円を地方に配分する、というこの2つの制約、観点が入り込んできた。ただ一方で地方の必要な道路は安定的に造れる枠組みを作ってほしいという地方からの要請、一方でユーザーの暫定税率を維持させて頂くという観点からのユーザーへの配慮といった点から非常に難航したテーマでありましたけれども、今回その2つの縛り、2つの観点を相当苦心して出来上がったのが今回の案だと思っています。しかし、一般財源化は本当にこれまでの枠組みを大きく変える一種の大きな改革だったと思います。来年からは道路特定財源とは切り離されるものでは、道路関係諸税があったので道路をその範囲で造らなければならないという、逆にくびきが完全に無くなりました。そう言った意味で、道路も他の歳出と同じ一般財源の中からシーリングに掛かっていくという、今までシーリングの外にあった部分が完全に中に入ってきたという意味では大きな変革だったのではないかと思います。振り返ってみて、この部分が一番大きな点だと思います。もう1つは、タクシーの次期通常国会で減車という問題が来ました。これも今までの規制緩和という流れから行くと、多くの皆さんから規制強化になるのではないかというご意見もある中で、審議会を通じてやはり行き過ぎた競争は是正していく。それは雇用という観点から考えるべきではないかという方向が出てきて、これは来年の通常国会に案として出させて頂きますが、それも今までの流れから言えば1つの大きな資本の論理の見直し、あるいは行き過ぎた競争の見直しということで印象的なことではないかと思っています。
 
(問)別件ですが、渡辺喜美元行革担当相が造反されて様々な報道をされていますが、それについてどう思うかということと、昨日自民党と民主党の有志議員が年金改革について提言しましたが、そうした動きについてどのように思われるかと言うことをお聞かせ下さい。 
(答)彼なりの思いでやっておられるのだろうと思います。彼は行革担当相の時に考えていたこと、進めてきたことを今違う方向で進んでいることへの思いなのかなという気もします。ここのところの彼の行動、原点はよく分かりません。好ましいことではない、我々にとって嬉しいことではありません。年金について自民と民主がというお話しですが、これはやはり年金は政権が変わったら枠組みが、年金の制度が変わるということでは無いので、かねてから民主党に年金について今協議会があるのでそこで協議をして下さいと、ずうっと小泉内閣の時から言い続けてきた。それに応じなかった状況が続いています。最近自民と民主の有志議員の話なのかとも思いますが、有志の話をきっかけにしてでも良いので、やはり与野党で年金制度の方向が重なってくる、一致してくると良いなと思っています。
 
(問)鞆の浦の件ですが、今、埋め立ての認可の申請が出ていまして、認可の直接の決裁は多分整備局長の肩書きになると思いますが、大臣の判断がどの程度反映するというか、その辺りはどのようにお考えですか。
(答)地整局長の判断でいいということは私も知っております。一方で、先程お話したように知事との歴史・文化を残していくことの大事さも考えましょうね、というお話がありますから、権限の話だけではなく、やはり、知事と大臣という立場ですから、どこの権限ということだけでは無いのだと思っております。
 
(問)それで、知事との歴史・文化を話し合いましょうと知事に話し掛けて、知事もそのお考えに同意したということですか。
(答)それは、先程お答えした通りです。 お答えした通りというのは、一緒に考えていきましょうということで、同意したとかの話ではありません。
 
(問)知事とは、ポニョの話はされましたか。
(答)しておりません。
 
(問)先程1年を振り返られてとお話されましたが、 ご自身としてはやはり国土交通大臣に就任されたことが、かなり大きな驚きだったと思われますが、その辺は如何ですか。
(答)まだ3ヶ月ですが、道路を始めとして、ダム、新幹線等、僅か3ヶ月ですが本当にダイナミックな動きが出てきました。相当に凝縮され、動きのあった3ヶ月だと思っております。
 
(問)先程、タクシーの件で雇用の観点に舵を切ったという表現をされていましたが、確かに乗車規制や運賃規制とかで、今あるタクシーで働いている部分の対応改善には繋がるかもしれないとは思いますが、逆に今までタクシーが雇用の受け皿になってきたものへの流入を閉ざす訳で、それは根本的な対処にはならないのではないか。やるべきは雇用策であり、そこを規制すれば雇用を守れるというのは少し違うのではないかと思うのですが、そこは如何でしょうか。
(答)これから法案の過程で今仰られた意見も出てくるのだと思います。十分詰めていきたいと思っています。
 
(問)昨日、職員のタクシー券の利用について発表があり、4ヶ月間に8割近く減ったという内容でしたが、来年度の予算については4割近くの減という形になっていると思いますが、これについてはどう考えれば宜しいでしょうか。
(答)これから国会が始まりますと相当な残業あるいは深夜勤務というのが出てくるのだと思います。8割減の件も遠方の方は泊まり込みというようなこともやった上での数値のようです。そういう意味で、更にこれからいよいよ国会が1月5日以降始まって、職員の勤務実態がどうなっていくのかというのを見てみたいなと思います。今はそこまでです。
 
(問)先程、凝縮された3ヶ月だということですが、100点満点で点数を付けると何点位ですか。
(答)今やることが一杯あるので、今の段階で点数を付けるのは早過ぎると思います。
 

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