特別部会ワーキンググループ(第3回)

議事概要

日時:平成30年10月23日(火)10:00~12:00
場所:中央合同庁舎3号館11階特別会議室
 
<土地所有に関する課題イメージについて>
  •  土地という財について、他の財と異なり、その利用について何らかの責務を課すことの議論には、[1]土地は限られた財であり、公共の福祉が優先されるべきであり、低未利用な状態は機会費用が生じていると考えること、[2]外部性があるため、周囲に影響が生じること、の2つの側面からアプローチがあり得る。ただし、人口減少下で全体として土地利用ニーズが低下している中で、前者からアプローチするのは困難ではないか。
  •  利用・管理の目的が「土地の利用の促進」なのか「悪影響の予防・除去」なのかにより、取り得る手段に違いが生じてくるのではないか。また、土地所有権の制約の根拠や限度について、異なる判断となるのではないか。
  •  土地所有者自身は使いたいと思っているが困難な状態で、地域は使ってほしいと望んでいるような場合もあり、マーケットにおける取得意向の有無だけでなく、地域の計画の観点から「利用することが望まれるような土地」についても、課題として表現すべきではないか。
 
<求められる利用・管理の在り方と関係者の役割について>
  •  地域の分け方について、政令指定都市や県庁所在地でも資料でいう「中小都市」の状況に該当するところがあるだろう。また、「過疎地・中山間地域など」においては、広大な農地、森林等の間にある集落を「小さな拠点」として念頭に置くなど、もう少し空間イメージを明確に共有する必要があるのではないか。
  •  人口減少社会で、「所有者に利用意向がないが、利用希望者がいる土地」を全てマッチングすべきか。これは立地適正化計画の居住誘導等にかかわる。これは行政が判断できる部分もあるが、コミュニティの役割もある。
  •  土地の適切な管理というものを重視するのであれば、その土地の所有者が判明しているか否かは大きな問題にならない場合もあるのではないか。また、所有者が判明しているか否かに関わらず、適切な管理が図られる制度的仕組みが必要ではないか。
  •  土地の所有者の責務という「人」について規定することで土地の利用・管理について規定するのか、それとも土地の所有権という「権利」に内在される制約として手当するのか、という2つのアプローチが考えられるが、後者を元に考え、土地の所有権より利用権が少し上回るとするような整理の方法もあるのではないか。
  •  土地の管理・利用の外部性を解決していくのが課題。管理のレベルや「悪影響」は現場で、隣地所有者、コミュニティ等の交渉で明らかにされるべきもの。
  •  爆発的に増えるであろう空き地をどう管理していくかというときに、所有者、隣地所有者、コミュニティ等の交渉で解決するだけではなく、個別法に委ねる形で公共的な視点から関与もあり得る。その視点から「悪影響」とは何か、誰が関与すべきかというレベルを整理する必要がある。
 
 
<土地基本法について>
  •  平成初期の土地基本法は、投機的取引に象徴される暴れる土地所有権とそれを公共的見地からコントロールしようとする理念との対抗であった。一方、現在は当時とは時代背景が異なり、行使されない土地所有権が問題という中で、新しい時代の土地政策の基本思想をどう表現していくのか考えなくてはならないのではないか。
  •  土地基本法は理念法であるから、今日的な意味での土地の有効利用の促進についても、公共の福祉との比較に基づき各主体の責務を規定すること自体は認められるのではないか。その上で、基本法を受けて具体の施策を講じる場合には、私権への配慮等は必要ではある。

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