第2回鉄道部会 議事概要

第2回鉄道部会 議事概要

1.日時
 平成19年4月5日(木)14:00~16:00

2.場所
 中央合同庁舎2号館低層棟 共用会議室3

3.出席者
<委員>(敬称略)
 飯島希、家田仁、井口典夫、井口雅一、石井信邦、梅﨑壽、大橋忠晴、古関隆章、小谷昌、佐藤友美子、須田義大、清野智、高橋玲子、竹内健蔵、垂水尚志、永井正夫、中川彰、仁志田昇司、西田寛、橋口誠之、古澤和秋、松本陽、宮下正美、廻洋子、森地茂、山内弘隆、横山洋吉、山口昌紀
<国土交通省>
 平田鉄道局長ほか
 
4.主な議題
(1)我が国の鉄道の現状について
(2)今後の検討課題について
(3)小委員会の設置について

5.議事概要
・事務局より、資料2のとおり我が国の鉄道の現状について、資料3のとおり我が国の鉄道が直面する諸課題についての説明を行った。
・これらの説明について、委員より意見が述べられた。委員の意見の概要は次のとおり。
・資料4のとおり、「ネットワーク・サービス小委員会」及び「技術・安全小委員会」の設置について了承され、「技術・安全小委員会」の委員長に森地部会長が就任するとともに、部会長の指名により山内弘隆委員が「ネットワーク・サービス小委員会」の委員長に選任された。

●利便性の観点
・都市部だけでなく地方部においても鉄道で移動できる状況が必要。
・高速化や利便性の向上について、マイカーからのシフトの観点も踏まえてリーズナブルな目標は何かについて国民に議論を投げかけていくことが必要。
・都市鉄道の整備について、中央線の複々線化など地域住民の希望が強いにもかかわらず、全くめどが立っていないという現状について、ある程度の方向性を示していくことが地域住民に対する責務である。
・ピーク時だけでなく、夜間などピーク時外の時間帯の混雑緩和についても検討対象とすべき。
・いったんバリアフリー化された駅について、改装や自販機の設置といった駅構内の事情によりバリアフリーの状態が損なわれることのないよう事後的にチェックするための体制や仕組みが必要。
・SuicaやPASMOといった機器・システムの機能にもバリアフリー化の配慮がなされ、それについて利用者に周知が図られることが必要。
・乗務員に対する暴行等が増えており、乗務員に初期的な警察権を付与することについて検討して欲しい。
・結節駅等における異なる事業者間の乗継ぎや駅外との往来のための案内方法について、さらにわかりやすくする方策を検討すべき。

● 環境の観点
・エネルギー効率の高い鉄道のさらなる充実は環境対策からも大きな課題。
・鉄道貨物を活用して環境に寄与させるという観点についても検討すべき。

●経営の観点
・地方の鉄道に経営困難が生じているのは日本よりヨーロッパの方がずっと先であり、先の手を打つ上ではヨーロッパなどの状況を踏まえておくべき。
・日本政策投資銀行が行ってきた鉄道事業に対する長期低利資金の供給は、民営鉄道事業の特性に応えた大変意義のある制度であり、同行の完全民営化後も安定的・継続的に確保して欲しい。
・地方鉄道路線の維持・活性化のために一層の支援をお願いしたい。
・地域公共交通活性化・再生法の鉄道再生事業は、長期化することの多い赤字路線の地元自治体等との協議を行うための制度と考えているが、さらに、残すべき鉄道と廃線すべき鉄道についての行政の評価基準を作り、それについて地方議会と話し合う制度を作って頂きたい。 
・地方鉄道について、中核都市の路線とどうにもならない悪循環の路線をわけ、後者をどうすべきか検討すべき。
・鉄道事業の企業性と公益性をどう調和させるかという古くて新しい問題を再整理して鉄道事業者のあり方を考えることが必要。

●地域貢献・まちづくりの観点
・国民や地域住民に鉄道事業への公的支援の必要性について理解してもらう上では、鉄道事業者・行政がともに利用者に対する情報提供をもっと踏み込んで行うべき。
・まちづくりと鉄道の整備はより一体的に推進されるべき。
・社会的弱者が町に出やすくなるようにする観点から、関係部局が連携して都市づくりの中での鉄道のあり方を検討して欲しい。
・町と駅の関係について、駅だけが良くなるのではなくて全体が良くなるという方向で考えていくことが必要。
・欧米では職住近接による通勤通学需要の減少を目指しているが、日本でも都市のあり方と連携させて、今後の鉄道のあり方を考えていくべき。
・地域との関係については、地域貢献の観点のみならず、都市政策や国家運営の観点の要素も入れて考えて欲しい。

●技術・安全の観点
・なぜ鉄道産業の規模の大きい日本でLRTを最初に作れなかったかを反省すべきであり、鉄道技術の基本の部分が疎かになっているのではないかという点を非常に心配している。
・鉄道技術の国際競争力を高める観点から、鉄道技術に関する政策を定期的にチェックしながら、国内産業向けの技術開発だけでなく、国として国際競争力や国際的マーケットを見据えた技術開発政策を検討すべき。
・輸送障害の原因について、より詳細な分析が必要。
・地球温暖化の進行により、今後さらに高まると考えられる気象災害リスクに対応した技術・安全政策を議論すべき。
・踏切の改善については、渋滞緩和などの経済的な効果だけでなく、地域住民の安全確保にも大きな効果があるので、鉄道事業者になお一層の協力をお願いしたい。
・日本の鉄道事業者が海外での鉄道経営に進出し、安全で信頼できるサービスを外国で実現することを検討して欲しい。
・技術開発については、「10年先」だけではなく、「100年先」を見据えた議論が必要。
・5分以上待たせない、1日500円で利用できるといった今としてはハードルが高い目標を設定して、そのための技術開発を検討していくべき。
・鉄道施設の老朽化については、既存不適格の施設に関する対応策も含めて検討課題とすべき。
・鉄道事業者による情報提供のあり方について、企業性と安全性の双方に照らしてどこまで公表すべきかについて今一度議論を行うべき。
・地方での公共交通とマイカー利用の融合を図る上でITの活用を課題として加えるべき。

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