国土審議会

第21回国土審議会・議事要旨

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1.日時
 平成30年6月12日(金)15:30~17:30

2.場所
 中央合同庁舎第2号館地下2階講堂

3.出席委員
 奥野会長、古賀会長代理、石原委員、落合委員、小宮山委員、林委員、細田委員、吉川委員、秋野委員、小川委員、関口委員、青木委員、石田委員、伊東委員、沖委員、沖原委員、小田切委員、川勝委員、木場委員、木村委員、佐々木委員、佐藤委員、髙村委員、田村委員、望月委員、山野目委員

4.議事
 事務局から計画推進部会及び各専門委員会の審議状況等について報告を行い、意見交換を行った。主な意見は以下の通り。
(稼げる国土専門委員会について)
・大都市の試みが多く紹介されているが、例えば、観光関係だと、瀬戸内地域では地方銀行が連携し瀬戸内ファンドを立ち上げるなど、取組が各地に広がっている。また、中小企業が3Dプリンタ等の最新工作機器を提供し、色々なものを作ってビジネスをしたいところと連携をする、ファブラボという取組もある。このような取組も紹介いただき、元気づけていただきたい。

(住み続けられる国土専門委員会について)
・オフィスについて、ビジネスを0から始める時は、人と人が会う必要があり、都会が中心になると思うが、起業した後は、ITも活用しつつ、環境の良い地方で作業をしている例もあることから、東京の若い企業に地方の土地や家を使ってもらうという視点も重要である。
・世の中には、地方が好きだという人がいても、しばらく住んだ後にすぐ帰る人も多い。そのようなことがないように住宅、子育て、給与と年金を保障する必要がある。自然に任せた瞬間に国土が荒れ放題になるので、消滅危惧地域にも人間がいるように政策的な誘導をしなければならない。そのためには、地方好きな人や自然好きな人を引っ張って来られるだけの魅力がなければならない。
・地方の主体的な動きを後押しするための横展開につなげる取組について、力強いと感じた。地方において国策を担う国境離島や半島地域などは、公共交通が縮小する中で、接点やつながりを求めにくくなっていることから、それらの地域への対応について検討して頂きたい。
・過疎地域の中では、田園回帰で人を集めている場所とそうでない場所との格差が出てきているので、好循環事例の横展開していくことが重要である。
・関係人口は重要であり、地域を結びつけるキーワードである。

(国土管理専門委員会について)
・日本の良さは自然との共生であり、地方で自然エネルギーをうまく活用するという視点も重要で、バイオマスや小水力発電などが活用できると感じている。また、水源を守るということも計画をしなければならない。
・農業集落が減っていく中、集落の終活を支援していく必要がある。
・国土がつながっていくということ、つまり、都市と地方の連携が大事である。試算では15年で3つに1つが空き家になるとのことで、空き家問題を心配している。空き家の増大は景観の悪化を招き、倒壊のリスクや犯罪の助長などにより、街全体のイメージを悪化させ、住民流出につながる。防災減災のほか、防犯も大事である。
・国土管理については、共通要素を抜き出して全国展開ができるように工夫してほしい。地域の人が利用しやすいように事例収集を積極的に行ってもらいたい。
・国土の粗放的管理の検討にあたって、縦割りの政策を横に連携させるという視点が重要である。例えば、森林であれば草刈り労力が大変になっているので畜産でカバーするとか、流木対策であれば森林と河川の連携が重要となる。
・住む人が少なくなったからこそできることもある。自由に使える土地が増えることは、それにふさわしいものを新たに生み出すこともできるはずなので、是非事例を集めて欲しい。
・人的資本等の資本形態は認識されやすいが、自然資本は広まっていない。今は、森林等について評価ができていないが、価値付けをしっかりして将来世代の里地里山の保全につなげて欲しい。
・絶滅危惧種が育ちやすい環境は、将来世代への資産になると思う。どのように保全をするかについて考える視点も欲しい。具体的には、要因解析や好事例の発信であるが、地域ごとで考えるべきである。

(国土政策全般について)
・三専門委員会の分析・事例は素晴らしく、キーワードは「地方圏に住んでもらう」、「住めるという環境を整えること」が重要だと感じた。具体的な提案として、地方で稼げるということの分析が必要である。地方で稼げるということを担える産業は、観光産業と一次産業の六次産業化であり、国を挙げて支援してもらいたい。観光産業に一次産業を加えることで相当の産業として自立できうる。
・データによる見える化が大事である。国土交通省の持っているデータは宝庫である一方、残念ながら使えていないデータもある。民間が持っているデータと連携させて、如何にしてシナジー効果を発揮させるのか、といった知恵が求められている。各地で努力をしている方がいるので支援して頂きたい。
・すべての国土を有効利用する場合は、日本の最大リスクである地震リスクを前提に国土のあるべき姿を考える必要がある。東京オリンピック・パラリンピック以降の近い将来をどのように描くかを当審議会で骨太に考えて欲しい。
・「市町村調査結果からみた国土利用・管理を取り巻く状況と課題」(資料3、P20)において、「インフラの維持・管理」が2番目の課題として挙げられているところ、無いと困る社会インフラは沢山あるのに、長期的な人口減少の変化に対する社会インフラの選択的利用がビジョンとして描ききれていない。長期的なビジョンを示して、戦略的メンテナンスを進めるべき。
・北陸新幹線、リニア中央新幹線などのハードインフラに加えて、ソフト分野の振興も重要であるので、各省で連携し、必要であれば合同部会での取組なども含めて具体化していくことが大切である。
・人口が減少する中では、一つの地域を活性化しても、その影響は他の地域に出てしまう。そのため、国際化や行動様式を変えることも考えられる。
・専門委員会の報告では、国土のあり方が見えてきたという印象がある。これに合わせ、社会課題の出現時期から逆算したインフラの整備を進めて欲しい。具体的な議論をする前に、新技術を織り込んだ検討をして欲しい。それにより、地方の活性化がかなり具体性帯びて実現し、地方に勇気を与える。
・従来の田舎の生活では、コミュニティとして世代間の交流が生まれていたが、今日のような都会のアパート暮らしでは世代ごとのコミュニティとなり、世代間の交流がなくなり、土地に基づいた縁、地縁の希薄化が起きている。防災面でも安心安全が確保できなくなることがある。そのため、必要なコミュニティによる脆弱性の回避について考えてほしい。
・計画は実行されて初めて意味がある。いろいろな立派な施策ができたとしても、動かなければ何の意味もないと思う。
・首都圏の人口一極集中について、自治体やNPOの取組には限界があることから、早急な対応が必要である。IターンやUターン等を希望する者が地方に移住しやすくなった反面、対流が進んでいない状態であり、その原因について、地域資源を生かした雇用創出と県土を結びつけて精査して欲しい。
・地方の中核となる都市への様々な投資の喚起をお願いしたい。例えば、それぞれの一つ一つの市だけでなく周りの市との連携中枢都市圏の取組を進めているので、こうした地方への集中投資の喚起をお願いしたい。
・土地問題における管理困難な土地について、急変する国土の中で根本的な問題なので、財産権にかかる大きな問題だと思うが、力強く議論していただきたい。

以上

※速報のため、事後修正の可能性があります(文責 事務局)

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