第14回計画部会 議事要旨

第14回計画部会 議事要旨

1 日時
 令和4年11月17日(木)10:00~11:40
 
2 場所
 合同庁舎2号館12階国際会議室
 
3 出席委員
 増田部会長、家田委員、海老原委員、風神委員、加藤委員、木場委員、久木元委員、坂田委員、地下委員、首藤委員、瀬田委員、田澤委員、冨山委員、中出委員、西山委員、広井委員、藤沢委員
 
4 議事
 (1)国土の刷新に向けた重点テーマについて
    ・デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成について
    ・人口減少下の国土利用・管理について
 (2)その他 

主な発言内容(委員発言順)
 事務局より議事について説明を行ったのち、各委員から意見などの発言や事務局から回答を行った。各委員から出た意見や事務局の回答は以下のとおり。
 
○デジタル的なレイヤーをかぶせていくというのは、デジタル自体は横軸であり、横軸で新しいテクノロジーやツールが入ってくるが、実際のローカルは縦で存在しているので、いろいろなデジタルレイヤーの仕組みを縦軸の中で統合的、整合的に動くようにしなければいけいない。例えば、通信基地は結構壊れるので実際に誰かがすぐ直しに行かなければいけないという問題がありメンテナンスが大変である。地域のインフラは道路にしても水道にしても業務密度が低下しており効率が悪くなっている。ハードにしてもソフトにしても縦で事業モデルを再定義して、一つの事業者が管理していかないと業務密度が上がらず経済的に成り立たない。経済的に成り立たないと担い手に給料が払えず担い手がいなくなるという悪循環となる。エネルギー、公共交通、物流、インフラ管理などを同時に行うような事業体を積極的に創造していけば、その事業体は業務密度が高くなるはずで働いている人の所得も高くなる。これは地域における非常に良質な雇用を作っていくモデルにもなる。この仕組みを機能するためにはコンセッション的なものを考えた方がよいが、自治体にその能力はおそらく無い。組織能力的な問題もあるが、自治体の単位と有効な事業のエリア単位は違うので、民間の力をうまく使い、セッションで活かしていく仕組みを考えるということを今後検討してもらえたらと思っている。
○会津若松の事例でもそうだが、持続可能にするには、ビジネスモデルとして成り立たせることが非常に重要。そこを見据え、個々のサービスの進化と同時に、コンソーシアム形式をとっているが、共同体としての組織に流れてきたお金を地域に再投資できるような仕組みを試行している。
○お金を払ってでも市民が使いたいサービスは、必ずしもドローンや自動運転のような最先端技術ではない。今までも使っていたようなサービスの裏側がデジタルによって効率化されて、サービスの提供者側がデジタルの恩恵を得ることが重要。既存の事業者のデジタル化が圧倒的に遅れており、新しい取組だけデジタルを活用しても、人の有効活用ができない。
○地域生活圏について、大学の存在は非常に大きく、あるいは高校、中学、小学校を含めた教育機関と連携した人材育成は地域経営にとって非常に重要。
○会津若松は昔から藩があった単位で、10を超える市町村で30万人弱ぐらいおり、そこまで含めた生活圏を形成することによって、初めてビジネスとしてペイできる単位になると思ってそこを目指している。現在は、基礎自治体の枠を越えてサービスが進んでいかないという課題に対して、基礎自治体同士がボトムアップ的に協力する取組をサポートする仕組みを、県で作れないか議論を始めているところ。
○地方の活力とデジタルの融合については、若者が鍵になる。地方に魅力的な仕事を用意するという意味で、地方での起業や、それが一足飛びには無理であれば、特にフルリモートできるような仕事を東京から引っ張ってくることや、通信環境の整備などが有効ではないか。
○デジタルノマドと呼ばれる人々が世界中に3,500万人おり、今後3、4年で倍増すると言われている。インバウンドにとっても大きなターゲット。高所得の人たちが色んな所を旅行しながら働いており、世界で45か国がデジタルノマド向けのビザを発給している。世界で一番今行きたい観光地は日本なので、日本も発給すれば地域の活性化につながるのではないか。
○地域生活圏について、従来の行政サービスだけでなく、地域交通やエネルギーという本来は民間ビジネスのところまで踏み込んで考えているのは非常に野心的だと思うし、サービスごとにミルフィーユのように重なって結果において生活圏ができるという頭の整理も斬新な構想。
○人口数万人の首長にそういう概念を投げてみると、医療や一般廃棄物処理などの基礎的行政サービスについては、すでに近隣の自治体と連携してやっている部分があるので重層的にやることについては現実に理解があったが、民間主体をどう混ぜていくかはまだあまり経験がないので、民間的なビジネスを入れるということついて一定の工夫が必要と感じた。民間事業であればコンセッションのような主体がいるというのもあると思うし、基礎自治体を超えたサービスの連携は地方自治体というひとくくりではなく、県の役割と市町村の役割があるというふうに分けて整理した方が、より現実の理解が進むと思う。民間側も例えばNPOでも具体的に商工会議所みたいにどこにでもあるものを使うということや、様々なサービスは一つの主体がやるのではなく重層的にやるというイメージが出ると、さらに良い。
○地域管理構想については、場合によっては住民のコンセンサスを得るというのは非常に難しい場合もあり、片方で国土管理は急がなければいけないという課題もあると思う。合意形成といっても住民が持っている情報は非常に乏しいと思うので、まず公共側が必要な情報を提供するというのも入れておいたらいい。
○コロナを経験して国民がデジタルの重要性を認識したが、物価上昇や年金暮らしが苦しくなるといったベーシックな心配事が増えているなかで、デジタルを使えばバラ色の未来が訪れるような言い方だと、国民からそっぽを向かれる。最近の国土計画には切迫感がないという意見も聞かれるが、国土の管理や安全性の担保のようなベーシックなことをきっちり押さえた上で、デジタル社会の危うさに関することを、もっと真剣に出さないと切迫感に応えていることにならない。ベーシックなことを押さえた上で、より良くする話をするという順番である。
○地域生活圏の形成は、デジタルやDXありきではなく、各地域が安定的な雇用につながり、共助やコミュニティの仕組みがより良くなるように進めていくことが重要である。特に雇用については、リアルな地域の維持という観点からも最も重要である。
○リアルとバーチャルを分ける時代ではないが、リアルな距離感、地域特性、地域的な条件が軽視されないように進めていくべき。過疎地域をはじめとする条件不利地域を訪問すると、人材や組織とのコネクションやネットワークがないという方もたくさんいるので、人材や組織が知ることができる仕組みが必要である。実際は、支援する窓口が用意されているとは思うが、行政だけではなく、民間の方にも、わかりやすく伝えていくことが重要である。小規模自治体では取り組む人材がいないところが多いと思うので、国として具体的な人の手当や人材の育成も含めた方向性、支援を示していくことが、過疎地域をはじめとした条件不利地域や小規模自治体の不安を取り除く上では重要である。
○まちの姿や暮らし方など具体的にどのような地域生活圏を目指しているのか、そこに暮らす人々の年齢層、男女比、職種、地方に人が帰ってきているのであれば、それがUターンなのかIターンなのか、どんな施設があって、どんな交通形態なのか、そこでどんな生活をして幸せになっていくのかといったことがまだ見えてこない。2050年さらにその先を見据えつつ、概ね10年間の計画だと思うが、10年間で世の中は大きく変わるはずである。資料に載っている今の好事例が必ずしも10年後の理想であるとは限らない。
○既存サービスの裏側のデジタル化により効率化されるという観点は非常に重要だと思う。北海道北見市の書かない窓口はまさに裏側のデジタル化。今の課題を解決して良い社会、良い地域ができるということを、この計画で国民に示していくことが大切である。
○デジタルの徹底活用という趣旨は、何でもデジタル化すれば良いというものではなく、デジタルとリアルの融合における、それぞれの役割分担が大切である。人同士が会って話をすることが大切であることもあるし、デジタル化によって便利になることもある。
○デジタル田園都市国家構想も国土計画も、地域に人がいることで初めて成り立つものである。目指す国土の達成には地方にどのような人材が必要なのか、若い人や女性が必要なのであれば、例えば地方でも東京の仕事ができるようにしなければいけない、転職なき移住を進めなければいけないといったことを分かりやすく示していく必要がある。
○地域生活圏の形成と国土管理のいずれについても推進主体が誰なのかが気になる点である。官民連携というコンセプトはよい。ただ、人口減少の中でどう地方を維持していくのかが議論の発端であったところ、すでに共同して事業を行う体力がない地域はどうすればよいのか。ビジネスとして成り立つところは民間も自発的に事業をやってくれるが、そうでないところは誰が言い出して始めるのか。国や自治体が呼びかけるのか。また、国土管理について危機意識のない地域にどうアプローチしていくのか。具体的に実行する時にどう推進していくのかという点が気になる。
○地域生活圏のコンセプトは非常に重要である。特に中心市街地の空洞化、シャッター通りは何とかしないといけない。地域生活圏の中心市街地は非常に重要で、中心性や街の魅力が失われていくと若者も去っていくことになるので、このテーマを明確に位置付けられないか。具体的な方法論として、エリアリノベーションが有効ではないかと思う。事業の後継者を求めている人と新たに新規開業したい若者のマッチングを、面的に同時多発的に街全体のデザインも考えながら進めていくような方法論も含め打ち出せないか。デザイン系のまちづくり人材の育成が重要。従来型の製造業、工業化が中心の発展モデルでは立ち行かなくなっているので、この点も考えていくことが望ましい。
○地域生活圏と一口に言っても大都市圏、地方都市、農山村と多様であるので、整理が必要。
○国土の管理構想で一番重要なことは、人口減少下での未利用ストックの活用・マネジメントである。商店街のシャッター通りと耕作放棄地は、結局、跡継ぎがいないと放置されて未利用となる点で共通している。コーディネートと未利用ストックを活用することで経済の活性化・効率化、格差の是正、脱炭素というような効果があるといった視点も含めて、未利用ストックの活用というテーマを位置付けることが重要。
○地域生活圏については、地域の豊かさ、地域独自の魅力と都市の利便性を併せ持てるような環境を作れるかが勝負。リアルについては、社会的に弱い立場の方々に対するインクルーシブなサポートで地方自治体の役割は残ると思ので、行政区画が効いてくることになる。デジタルについては、行政区画というものはないので、デジタルのサポートサービスはスケールを広げることでサービスが高度化するし、これからはセキュリティのマネジメント管理ができない組織は担えなくなると思うのでセキュリティの面も強化されると、民の役割がかなり大きくなり行政区画を超えてサービスが新調していく姿が想定される。考えなければいけないのは、そういったことを前提にした官民のパートナーシップであり、従来の官民連携とかなり性格を異にするものである。連携の具体例としては、丸善書店が行っているhontoカードはリアル店舗での購入情報と、webサービスでの購入情報の両方の情報が入り、全体として情報が統合される。また、海外で今急速に成長したeスクーターのシェアリングビジネスは、リアルとデジタルがうまく融合して利便性の高いサービスができている。そういった具体的なイメージも持って進んでいく必要がある。このような融合したサービスを成長する公共セクターにする必要がある。現在は人口が減少する一方で社会から公共性のあるサービスに対するニーズはどんどん高まっていると思っている。一方で、狭い意味での官という公共セクターはシュリンクをしてきて、溝がすごく広がっていると認識をしている。成長する公共セクターのモデルは、ベネフィットコーポレーションのような枠組みを使い公共組織をつくることを大事にする必要がある。
○地域管理については、どの程度人口が減少するかを想定したインパクトのある思い切った省人化や自動化を導入しないと成り立たなくなるという認識が必要。その際はデジタルとAIの活用は欠かせないものであり、例えば洪水の予測など避難に関するプロセスがスムーズになる、省人化ができる、デジタルモニタリングをする、ドローンでチェックをする、そういったものをどれぐらいのインパクトで導入しないといけないのかということを認識して、国土計画のような長期計画を考える必要がある。
○地域生活圏について、構造化していくことが大事。デジタルとリアルが融合するという話と、融合したものがどういうサービスを実現できるかという話を書こうとしているが、各省がその分野でやりますと言っていることを並べているだけでは統一感がないのと、各省は今までやっていなかった新しい話が中心になるので、その地域が困っている切実な課題をこう解決しますという感じが出ていない。地域生活圏は、デジタルとリアルが融合してベーシックなサービスを変えていくが、サービスが変わると、その分野の本当に地域が今困っていることにどう応えられるということと、単にテクノロジーが新しくなって見たことのないサービスができるということとは違う話になるはずで、そういう工夫をされるといい。
○地域生活圏とデジタル田園都市国家構想は何が違って何が同じなのかは、整理をした方がいい。また、国土形成と国土利用・管理も分けるのが理解しづらい。地域生活圏の中でやっている国土利用や国土管理を取り込んで融合されるように工夫されないと伝わらないと思う。
○国の役割については、兼ねるみたいなことをやろうとすると、地域から見ると国の規制が色々あるので勝手にはできないということがあると思う。それは国が変えてあげないと地域ではできない。また、セキュリティの話は基本的には集権的にやらないと、それぞれの自治体でセキュリティ確保はできないので、政府が認証されているものを紹介するというふうにせざるを得ない。大きく言えば分権と集権であり、地域生活圏を作る上で何が自治体や地域の仕事で、何が中央でやらなければいけないかということはハッキリ言わないといけないと思う。
○国土の管理構想では、国から地域まで各レベルで取り組むことが示されているが、ミクロの地区レベルの取組が重要である。実際の土地の管理は自治会や福祉団体の現場の方々に丸投げになっていて、一区画の権利を誰が持っているか、相続する人は誰かということまで確認、調整して何とかその土地を活用したり、自分たちの活動の支障がないように管理したりしている状況がある。それを踏まえると、制度も当然重要であるが、まずは現場の取組を支援して、そこから国の制度として現場が立ち行くような解決策を見出して行く必要がある。そのような点から、地区レベルの取組の支援をぜひ強く打ち出していただきたい。
○地域生活圏について、官民協力やデジタル化も当然重要であるが、本質は、複数の市町村で取り組むことにある。都道府県や市町村が住民に種々の政策や行政サービスを提供するのが基本的な日本の行政制度であるが、そうではなく複数の市町村やエリアで、官民で協力していくということが、地域生活圏の意義、重要性であり、そこを強調しないと地域生活圏を訴える意義もなくなる。例えば、公共施設を共同で運営することによってスケールメリットを達成することや、都市部と農村部で異なる性質を持つ自治体同士がロールシェアを行うことや、あるいは条例など行政界でルールの行き違いが出ないよう共通化を行うことや、さらには隣接する自治体で規制が緩くコンパクトシティに積極的に取り組んでいる自治体に良くない影響が及ぶことを避ける調整を行うことなど、市町村を越えて対応を考えないといけないことはたくさんあるということをもう少し強く打ち出したほうが良い。固定的な圏域を示すのではなく重層的な圏域を形成すると打ち出しているので、複数の市町村で行うことの意義を認識してもらわないと官民連携も行政界の単位で行われてしまう。自治体だけでの対応には限界があると書かれているが、もう少し意義や重要性を強調すべき。
○地域生活圏の形成に資する具体的な取組をどう地域の中に展開していくかわかるようにする必要がある。地域には中核となる拠点エリア、地域の中心エリア、集落エリア、その外側にまた散在して人々がいるという状況の中で、どう施策を組み合わせて1つの地域生活圏を形成していくかということが具体的に構造化されてわかるようにしていただくと良い。
○定住自立圏構想と比較して、地域生活圏はデジタルとの融合といった点や重層的なエリア構造の考え方という点など、いくつか秀でたところがある。定住自立圏と相反するものではないが、国土形成を進めていくにあたっては、地域生活圏の積み上げが大事だというメッセージになると思う。
○地域管理構想は令和3年まで5年間、国土管理専門委員会で議論した内容であるが、地域管理構想を作ることとなった背景は人口減少・高齢化等による国土の管理水準の悪化である。この点は現行の国土形成計画の策定時にも言われ始めており、当時はあまり切迫感がなかったが、いよいよ切迫感を持って取り組まなくてはならない段階であり、これがまさに議論の出発点であるということをしっかり捉えていただきたい。
○地域管理構想の推進体制のところで、国の部分が関係省庁と国土交通省で一体となっていない点が気になる。国全体として取り組む、とりまとめは国土交通省が担うという認識を強めておかないと、結局政策が縦割りのまま進んでしまうのではないか。
○地域生活圏を具体的に展開するためには国土利用計画の中で主たる取組となる管理構想がうまく位置づけられなければならない。それによって、国土利用計画と国土形成計画が表裏一体のものとして展開できるようになる
○デジタルとリアルが融合した地域生活圏、国土利用・管理ともに、コーディネート力が非常に重要であると感じる。好事例をどのように国民に伝えるかが肝心である。それぞれの地域生活圏によって求められるデジタルサービスも異なり、「さりげないデジタル」のようなものが必要になる時もある。地域が直面する課題毎に事例を体系化し整理するのはどうだろうか。合併の弊害や高齢化といった、地域が直面している課題について各自治体が自らチェックし、それに関する事例を見られるようにすれば、よりわかりやすくなる。
○国土管理については、人口減少の中で利活用できる土地は活かすべきだが、維持する必要が無い土地についても選抜せざるを得ない。そこに住んでいた方々に関しては、全省庁が連携してきめ細かくコーディネートする必要がある。
○国土管理の中で気候変動についてはあまり触れられていなかったが、昨今の異常気象が日本固有の土地や地形に与える影響に関しても考慮すべきではないか。洪水や山崩れで居住地域が無くなることも想定されるため、土地管理の観点から、気候変動における危機についての内容があってもいい。
○地域生活圏について、最初からこうだと決めて押しつけるのではなく、色々な取組や活動が行われていく中で自然にできあがっていくものだというイメージを持つことができた。そういった形で地域生活圏の形成を図る考え方に非常に共感する。ただ、推進主体や推進体制について、ボトムアップで取り組んでいくことが大事だということは理解できるが、小さな市町村でボトムアップの取組ができるか心配に思う。地域生活圏は都道府県、市町村の枠を越えた取組も多くなると思うので、都道府県や市町村任せでは難しいのでないか。国が伴走者となる、または積極的にけん引役を果たして行くことを期待する。
○安全・安心の観点からの国土利用・管理の取組の強化については、流域治水が全面に出ているが、地震、津波や火山災害といった他の自然災害も含め全体的な見方で対策を推進する必要がある。治水、水災害に限らず、様々な自然災害も含め対策を推進していくという概念を入れてはどうか。
○災害リスクは自然災害だけではない。木造密集地域のように、人の営み自体がリスクであることもあるので、自然現象によるリスクだけではなく、社会活動によるリスクも考慮したほうが良い。
○地域生活圏の主体を重層的にどのようにつなげていくのか今後の検討のポイントかと思う。その他、自治体の立場からで見た際に、類似の計画と受け取られるであろうデジタル田園都市国家構想や定住自立圏との違いなどを明確にしていくことも必要であると感じた。
 
(チャットによるコメント)
○デジタル田園都市国家構想、スマートシティなど、様々な政府の施策があり、自治体では対応が煩雑となっていると思われる。明確な整理をお願いする。デジタル田園都市国家構想は、自治体の境界を超えた連携も前提とされているため、官民連携を前提にした場合でも、異なる自治体の調整に苦労するケースが出てくると思われるので、実際に国からの支援を得る際には、すべての関連自治体ではなく、参画自治体が1つでも了解していることを最低条件にしたら進みやすくなると思われる。
○地域生活圏について、10万人と1時間が一人歩きする可能性がある。それは必須ではないとの話があったが、北海道など広域かつ散らばって生活されている方が多い地域における地域生活圏の考え方の提示も必要であると考える。
○空き家や空き地についてのフレッシュな情報が最も入手しやすい存在として、地域金融機関がある。現在、地域金融機関は不動産の取り扱いができない。地域の不動産会社との連携を十分に配慮した上での、地域金融機関の不動産取り扱いの方策を進めるべきではないか。
○安全・安心な国土管理において、衛星の活用を追記してはいかがか。現在、小型衛星のコンステレーションなどの技術を利用して、リアルタイムでの国土管理が可能となっている。
○地域生活圏に関連する取組事例が、どのような条件の地域であれば応用できそうかを整理すると地域の主体が考えやすくなるかと思う。
○「デジタル田園都市国家構想」コンセプトを国土計画の文脈の中で積極的かつ批判的に十分に咀嚼した上で、長期計画として入れるべきものは入れる作業が不可欠と感じる。
 
(事務局からの回答)
○本日のテーマであった地域生活圏と国土利用・管理については、テーマ毎に分けて説明したが、それぞれが独立したテーマとは思っておらず、計画を作成する上で、これら以外のテーマも含めた関連性を踏まえて、わかりやすく整理をしていきたい。
○地域生活圏に関しては、大きくはリアルの地域での実際の活動にどうつなげていくか、地域経営の実践的な手法をどう考えるかという観点から様々にご意見をいただいた。国土計画はリアルの地域空間を対象にするものであり、デジタルを手段として活用しながら質的な向上を図るもの。リアルの部分でやるべきこととデジタルの活用により利便性を高めるものを整理していきたい。デジタル活用については、これまでできなかった新しいことを進めるだけでなく、地域の切迫した課題への地道なアプローチも含めて考えていきたい。主体の役割分担についてもご意見いただいたが、ベースとなる市町村と民間の関係だけでなく、県の役割や、民間でも大学や地域人材の育成といったこと、また、国と地方の役割分担についても、地方のボトムアップに任せるだけでなく、国としてやるべきことも、伴走というだけでないことも含めて整理していきたい。また、対象となる地域についても、広域性の重視や中心性の強調、中山間地域を含んだ広い範囲の中で、受け取り手がよりイメージが持てるようになるよう意識して考えていきたい。また、生活圏を考える上では人がベースとなるものであり、雇用の創出の重要性についてもご意見をいただいたが、ローカルサービスの効率化・無人化による生産性の向上や、スタートアップ、テレワークなどに関するご意見も含めて、複合的に取り組んでまいりたい。
○国土管理に関しては、その背景となる状況が時代の局面としてより深刻化しているということを踏まえて、推進体制をどう全体で構築していくかについて様々なご意見をいただいた。個別の論点としても、情報提供の重要性について、行政からの情報や、民間の地域金融機関も含め持っている情報など、情報をオープン化しながら有効活用できる環境をつくっていくこと、未利用ストックのマネジメントやコーディネートを含めた仕掛けをどう強化していくのか、デジタルによる省力化・自動化、地区レベルでの取組を進める上での負担の軽減、また、安全・安心面での様々なご意見をいただいたので、計画を作成する上でしっかりと受け止めて対応していきたい。
 
(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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