第11回計画部会 議事要旨

第11回計画部会 議事要旨

1 日時
 令和4年6月8日(月)10:00~11:54
 
2 場所
 合同庁舎2号館国際会議室
 
3 出席委員
 増田部会長、家田委員、畝本委員、海老原委員、小田切委員、風神委員、加藤委員、木場委員、久木元委員、桑原委員、坂田委員、地下委員、首藤委員、末松委員、瀬田委員、滝澤委員、高村委員、田澤委員、冨山委員、中出委員、西山委員、広井委員、藤沢委員、村上委員、諸富委員
 
4 議事
(1)中間とりまとめに向けた議論
(2)その他
  
5 資料の非公開理由
 資料2 国土審議会計画部会中間とりまとめ(案)については、これまでの計画部会での議論を事務局でとりまとめたものであり、各委員の意見が反映されたものではないため、国土審議会運営規則第5条1項により非公開とした。
 
(参考)国土審議会運営規則(抄)
(議事の公開)
第5条会議又は議事録は、速やかに公開するものとする。ただし、特段の理由があるときは、会議及び議事録を非公開とすることができる。
2 前項ただし書の場合においては、その理由を明示し、議事要旨を公開するものとする。
 
主な発言内容(委員発言順)
事務局より議事について説明を行ったのち、各委員から意見などの発言や事務局から回答を行った。各委員から出た意見や事務局の回答は以下のとおり。
 
○地域生活圏の実現について、ハードよりソフトの観点に多くのページを割いている点が印象的で、内容についても共感しており異存はない。しかし、地域生活圏とは具体的にどの地理的範囲を示すのかがわかりにくい。また、地域生活圏を支えるインフラなどのハード面はどのように整備するのかなど、国土審議会らしい議論がもう少し明確化してもいいのではと思う。
○巨大災害リスクの軽減やカーボンニュートラルの達成については、今後専門家による深掘りを行うべき。
○東京一極集中の是正は、そのあとの国土像がどうなるのかという点について、相反する議論が出てきているので理解が難しい。
○リニアを媒介とした巨大経済圏の創造とある一方で、各ブロックのシティリージョン的な議論をしており、相反するのでよくわからない。第4章2.(3)の大都市のところの日本地図に示すイメージを明確に言葉で説明する必要があるのでは。
○第3章共通して取り入れるべき課題解決の方策として4点記載があるが、これまでの国土計画になかった新たな内容だと思う。しかし、タイトルは「方策」となっているものの、文中に記載のある4点は視点や発想となっており、「方策」と比べ少し弱い印象を受けた。例えば4つの方策のうちのデジタルの発想であれば、発想自体が重要なのではなく、デジタルが取り入れられリアルとオンラインの融合によってどのような国土づくりとなるのか、課題解決に向けた視点が示されると良い。
○第4章の構成が少し読みにくいと感じた。より多くの方に読んでもらえるようもう少し整理いただきたい。階層を浅くできると良いのではないか。
○テレワークの定着・普及について第4章2.(1)の地域生活圏のところに記載いただいたが、今定着しているわけではなく、これからより普及が進まないといけないと思っている。単にテレワークがあるから地域が元気になるというだけでなく、地域を元気にするためのテレワークがどうあるべきか踏み込んで記載いただきたい。
○課題解決の4つの方策ということでまとめているが、これら4つはデジタルを軸に組み合わさって可能になるものだと思う。(3)はその結果で、(1)(2)(4)が組み合わさることで、(3)の利便性が実現されると思う。実際デジタル抜きで横串や官民共創を実現することは大変困難だと思う。
○今回の国土形成計画ではGXとDXが柱になっているが、GXの関係の政策としては広範なものを取り込んでいると思う。その中でも、その地域の価値の発信というのは、民の力を市場メカニズムで課題解決に向けるとともに、地域の投資を促す意味で重要な指摘だと考える。
○デジタルもしくはDXについては、施策としてデータ連携基盤が強調されているが、インフラとしては5Gや次世代のBeyond5Gの情報通信ネットワークが欠かせないので、インフラの形成を伝統的に大事にしてきた国土計画としては、そういう記述も必要ではないかと思う。全般的にデジタル関係の記述の幅が狭いのではないかという印象である。
○第4章2.(3)の大都市のところにイノベーションの創出関係があるが、地域の多様な人材の活躍という意味では、現在政府の中でも重要な施策として強調されている、地域におけるリカレント教育やリスキリングの機会の拡大といったものも規定してよいのではないかと思う。以前に自分が申し上げた新しい学習地域論の重要な要素でもある。
○今後の話として官民共創があるが、官民共創の手法としては、この夏政府として検討が打ち出されたアメリカなどにあるベネフィットコーポレーションのような組織フォーマットの導入といったものも同じものではないかと考える。
○女性活躍の「若い世代から理解を得られる地域づくり」の項目に、直近では就職を控えた学生の意向を聴くということが記載さているが、これに加えて、UIJターンによって、大都市から地方に移り住んだ女性に対しても、その地方や地域を選んだ理由や移住先での暮らしの良さ、課題についても率直な意見を聞くということも記載していただきたい。大学進学、就職で大都市へ行って、大都市での暮らしを一定程度経験した上で、自身の今後の生き方を考えて、地方で暮らしたいと、そのように思った時、その障壁が低い、もしくは取り除いていくということが、今後重要と考えている。学生の意向を聴くことも、もちろん重要だが、実際に就職や出産、子育てを含む家族形成が現実的に目の前にある、もしくは経験した女性の声を踏まえて、選ばれる地域が、なぜ選ばれたのかを知って、そこから条件や課題を抽出する必要があると考える。
○地方移住した人々の声の中には、男女問わずワークライフバランスの観点、すなわち仕事だけでなく、家族や子どもとの時間をとれるということから、地方暮らしを選んだという声も少なくない。新しい時代の幸福のあり方を考える、追求するという今回の政策全体の前提を最優先に考えるということに基づいて、今後、具体的な政策やKPIの設定においては、本人の意向に反して仕事や就業のみにかり出されるというようなことに帰結しないように十分注意していただきたいということを希望する。
○将来にわたり暮らし続けることのできる地方を実現するというような、理念、思想ともいえるような方向性が示されているという点は非常に共感したところである。
○地方都市の特に中心部で空洞化・シャッター通りが生じていることが大きな問題だと考える。これは地域生活圏と深く関わる。課題として中心市街地のスポンジ化が記載されている点は非常に重要だと思う。その先に開かれる、より積極的な国土ビジョン、全体的なビジョンが残された課題であり、具体的なあるべき国土像をさらに明確にしていくことが議論していくべき点だと思う。一つの方向性として私が申してきた多極集中、あるいは他の委員がおっしゃられた多極集住といった、全体的な国土ビジョンをさらに深掘りしていることが課題である。いわゆる、札幌、仙台、広島、福岡といった地方都市は、特に福岡は、人口増加率も東京圏より大きい。また、地価の上昇率も東京圏を含めて軒並み下落している中で、これら地方四都市はむしろ上昇しており、一極集中というより、むしろ少極集中とでも言うような状況がある。ある程度集約的な都市や地域の構造になっている極がたくさん存在する多極を目指すというビジョンが考えられるのではないかと思う。
○若い世代がローカル志向や地域への関心を高めており、高度成長期とは違う流れが生じてきていると思う。これからの世代への支援や、あるいは「中間とりまとめ案」を誰に読んでもらうかというメッセージという意味でも、若い世代、これからの世代を意識した視点も大事だと考える。
○第4章1.重点的に取り組む分野の「人口減少に伴う国土の管理水準の更なる低下等が懸念される」について、ある程度は前提条件として対応しなければならないと思う。その上で、第4章2.(1)の地域生活圏のところの地域生活圏については様々な機能が必要だと書かれていて、サービス寄り、アプリケーション寄りである医療や福祉という言葉が多くあるが、やはりインフラの再整備や維持管理も地域に必要な諸機能だと思うので、デジタル基盤だけでなく、フィジカルなインフラの整備についても国土計画として必要なのではないか。
○効率的にメンテナンスを高度化していく観点において、人口規模について完全に各地域の実情に合わせて好きに決めていいと読めるところについては、今後の議論かと思う。画一的に進めるものではないという理念には賛同しつつも、ある程度、より効果的に実現できるような形で促し、進めていくような形を目指すものである、という書き方をするといいのではないか。
○第4章2.(1)の地域生活圏のところの「リアルでは機能を提供できなかったもの」について、リアルとデジタルの二元論で語るものでもないのではないか。デジタルの時代でも、実際はリアルとデジタルの融合によってサービスは提供されるので、従来においてリアルのみでは、という書き方が適切ではないか。
○第4章2.(2)の巨大災害リスク軽減のところのCO2の削減と危険地域の回避について、「官の大きく関与する取組を通じて同時達成が可能である」と書かれているが、可能かどうかというよりは、そういうような取り組みを進めていくというのは官の役目である、という書き方が適切ではないか。
○第4章2.(3)の大都市のところの検討事項について、「中小企業の生産性の低さの要因として、デジタル化の遅れが指摘されている」という記載があるが、中小企業の生産性の低さの要因の主たるところはデジタル化の遅れというよりも、元々あるような課題があり、デジタル化を進めることによって、それは一挙に解決する可能性がある、というような形でのデジタルの活用だと思うので、ことさら中小企業の生産性の低さの要因はデジタル化の遅れであるという趣旨の文章については不要なのではないか。
○第4章2.(3)の大都市のところの検討事項として、「GX等の取組によって増進される」というような記載があるが、この文書全体を通じてGXという単語はここにしか出てこないので、少し唐突感がある。表現の問題かもしれないが、全体を通してどこかで議論しているのを受けたような記載ぶりにするとよいのではないか。
○中間とりまとめのタイミングから各地方で広域地方計画を立て、より具体のこと、あるいはその地域特有のことを書くことになる。その基本的な指針になるという意味では、ほぼ達成していて、大局的にはいいと思う。
○2050年に向けての夢はもちろんなくてはならないが、一方でこの20年の低迷や、内外の危機を踏まえての危機感を乗り越えるという、固い決意が根本になければならない。今までの国土計画というのは、悪く言うとビジョンであったり方針であって、それだけの話という面があった。だが、今申し上げたような危機感からすると、それを乗り越えなきゃいけないというところを、ぜひ書いていただきたい。
○1ページの序文か、もしくは「はじめに」の部分でも良いが、「転換点を迎えている」の部分について、一言書いていただきたいことがある。東日本大震災では2万人以上の犠牲者が出て、国民を挙げて復興をしてきた。しかし、福島第一原発の汚染土壌の中間貯蔵施設については、あと20年で別の施設に貯蔵することがペンディングにされている。大量の処理水についても、政府が一生懸命やろうとしていて、国民的に乗り越えなければならない。東日本大震災、特に福島の復興はまだ終わっていないので、国土計画の重要課題としてやはり言及するべきではないか。それを乗り越えて、初めて次の2050年の夢に向かっていくことができるというメッセージを、長く書く必要はないが、ぜひ書いていただきたい。
○今までの国土計画というのは、はっきり言えば国内のことしか見てない。インバウンドに関する国際空港や、国際港湾についての例外はあるが、基本的には外国のことは見ていない。今、我々の国が置かれている環境は全くそうでない。「はじめに」のところに、中間とりまとめ以降の検討事項について書かれているが、エネルギーや食料安定、交通ネットワークなどの後に、地政学的環境が大幅に転換していく状況の中で、国土におけるセキュリティとして、国防の在り方、あるいは国防という視点から見た国土のあり方について国民的な関心が高まっていると、検討はしていないがひとこと言うべきではないか。特に、北海道や南鳥島、沖ノ鳥島、沖縄等は、そんなことなしに考えてはいけないエリアである。
○地域生活圏はすごく重要な提案事項になっているが、あまり明瞭に打ち出していないようにも見える。今までの計画部会における議論を要約すると、交通整備等によって人々の暮らしが従来の小さなエリアだけでなく、より広域に広がっている実態を踏まえ、その実態に基づいて豊かな国土を形成して行くことが重要であり、その根拠は地域生活圏である、というのが大きなメッセージだったので、そのことについて言っていただき、その際には、国民の生活のみならず、国土の管理やインフラの管理等についても地域生活圏を念頭に置きながら進めていくのがいろんな意味でいいことである、と「はじめに」のところにおいて言及しても良いのではないか。
○他の委員から、東京圏だけでなく三大都市圏や地方大都市圏が地方経済を引っ張っていくという多極的な発想が必要だという指摘があった。第4章2.(3)の大都市のところの日本地図で、こういうイメージ像を具体的にどう広げていくかは極めて重要で、イメージ図にいろんなことを盛り込む、ないしは、テレワーク含めたデジタルで地図を飛び越えて行けるような発想をうまく国民にアピールできないだろうかと思う。
○東京一極集中の裏返しとして、関西経済連合会などが複眼的な国土づくりを去年提言されたと思うが、その複眼化というものを具体的なイメージに広げていただきたいと思う。
○国土管理のところで、都市圏や経済圏と離れた中山間地域を含めた国土の管理について、世界的な課題のカーボンニュートラルの対策や、国土管理に生物多様性をうまく活用しようと書いている。おそらく我が国の経済界がグローバルで求められているのは、カーボンニュートラルと生物多様性なので、日本のいいところをうまく活用して国際的な役割を果たしているということをさらに強調してもいいのではないかと思う。
○第4章2.(1)の地域生活圏のところについて、当事者は費用便益をどう考えたら良いのかという点や、地域生活圏が何を考えるための単位なのかという点がわかりにくい。
○第4章2.(3)の大都市のところの大都市の国際競争力の向上については、冒頭がイノベーションや地方の中小企業の生産性から述べられているので混乱する。
○第4章2.(3)の大都市のところの都市圏と地域圏を有機的に連携するとはどういうことか。具体的に書くか、今後検討していくのであれば、実行に移せるような検討をしていくべき。
○第1回計画部会でも申し上げたが、「国土形成計画」というと土地に関する議題のように捉えられがちだが、内容はモノの整備の側面よりも人の活動に係る分野に重きを置いている。今回の資料は冒頭から人の生活に根ざした議論であることが読み取りやすい。
○資料内容では、第3章を置いていただき非常にありがたく思う。前回の議論で、「4つの方策」という考え方を全てのテーマに適用できないかという意見が出たが、第3章にこの点がまとめられている。この計画を初めて読む人にもどういった視点で計画を捉えるべきなのか、わかりやすいヒントになると思われる。
○4つの方策のうち、「[2]デジタルの発想」は表現が少し弱いかと考える。語呂が悪くなるかもしれないが、「発想」だけで無くデジタルを積極的に活用する観点、少子高齢化社会をデジタルで支える観点、最先端技術で社会を引っ張る観点を内容に盛り込むべきではないか。
○広報的な立場から申し上げると、資料内での難しい単語への注釈や表の計算方法がわかりやすく整理されており、良いと思う。第1回計画部会でも提起いただいた「中高生にもわかりやすく」という心懸けを重視し、読む側の視点を忘れないようにしていただきたい。
○新しい資本主義との整合性をもって政策に落としているのが良い。経済安全保障にフォーカスをおいた議論は、エネルギーと食料の安定供給の部分で長期的な展望だが、この点を今後詰めていく必要があると思う。イノベーションの重要性や、多様性、スタートアップのエコシステムの促進等、国交省としてサポートしていくということをもう少し掘り下げることが必要。民の力を最大限に利用するという点で、民間の投資を呼び水として国交省がどう政策に落とせるのかを、今後もう少し踏み入ったところまで議論していくのが良いと思う。
○第3章に書いてあることは、全体を貫く基本原理を書いていると思うので、それをより強調することもできると思うし、4つの原理のお互いの関係をもう少し上手く表現するということはできる気がする。
○第3章は基本的な原理を書いているとすると、その具体策の中で今回の最大のアピールである地域生活は比較的分かりやすいが、他の項目は少し関連が弱いと思う。例えば、大都市はかなりイノベーションの話を書いており、イノベーションに力点を置いて書くのであれば、もっと第3章に書いてある4つの原理と結び付けて、どうやったらイノベーションの力が高まるかをよりダイレクトに書けると思う。そうすると読んでいる側から見て、色んなことがこの4つの原理から説き起こされているということが分かりやすくなると思う。防災もこの4つの原理から何か語れることがある気がするので、工夫される余地はあるように思う。
○横串とあるが、人口減少地域の実態を踏まえると、今まで縦に割っていたものを兼ね合わせることが必要になると思う。単純に官と民を分けるだけではなく、ベネフィットコーポレーションのように公的な役割も果たしながら、利も追求するみたいなものを作るとか、それの応用例として、ローカルマネージメント法人のようないくつかのサービスを一つの法人の中で兼ねることができるような仕組みを整備・発展させ、今までであれば縦に割っていた資格、この業務はこの人しかできないと言われていたものが、地方の実態を考えると、同じ人が複数の役割は兼ねやすくするということをしていかないといけないと考える。
○昔はハードが最初に決まって、その上にソフトが規定されたが、現在は逆になりつつある。ただ、当然ハードがいらなくなるわけではないので、ソフトが重視されるようになった時に、どういうふうにハードの在り方を決めていくのかと言うこと自体が一番大きなことである。地域生活圏を前提にした時に、そこでのソフトが決まったら、そこでのインフラはどういうふうに作るかがまさに国土構造だと思う。同じ文章の中に地域生活圏とハードを並行的に書くと関係が良くわからなくなるので、かつての国土計画と比較すると、ハードがソフトを規定する、ということから、ソフトがハードを規定するように変わってきていて、国土計画の仕組み自体がそれを今取り組もうとしている、吸収していこうとしているという事を書かれると、一番伝わるような気がするし、軸線もはっきりすると思う。難しいことかもしれないが、法律を変えない範囲で多分工夫があるはずだと思う。
○取り組みに関しての4つの方策のうち、官民共創の部分にインパクトの計測の重要性という記載があってもいいのではないかと思う。今回の新しい資本主義の中に民間も公的役割を担う社会の実現という項目があり、今後はリスク・リターンに加えてインパクトを測定という言葉が入っていた。国交省の形成計画の中でもりインパクト、つまり効果の検証の必要性を言語化して入れていただきたいと思う。ベネフィットコーポレーションの重要性を上げている委員が何人かいらっしゃるが、これもインパクトの掲載を計測があって初めて成り立つものである。
○デジタルの発想の部分が、課題解決の生産性や効率性を高めるためのデジタルの活用、中小企業の生産性を上げるためのデジタルの活用というような表現が多いが、今はデジタルがインフラになり産業そのものが変わらなければいけない状況にある。デジタルを活用して今のプロセスを改善したからといって、世の中にはもう必要のない事業や産業があるので、この発想の中に事業そのものがデジタル時代で変容しなくてはいけない、ということを記載すると同時に、その中小企業や地域が変容して行くためのサポートをするというのが、サプライチェーンを持っている大企業であり、地域金融機関であり、またそのスタートアップの存在、イノベーションを起こすスタートアップの存在であるというつながりを書き、ただデジタル入れて生産性を良くするだけでは、実はそれでも置いていかれるということが記載されると良いと思う。
○関係人口のところの小菅村の例で、場を作るときに民の資金の活用をということを加えたことはありがたいが、やはり民の資金を呼び込むために公の資金が存在しており、その重要性をあえて入れて頂いた方が良い。その上で官民が協働するので、こういった場づくり仕組みづくりをする際には、インパクトを計測することが重要であるというのを重ねて、ここでも指摘をしたらいいのではないかと考える。
○Web3.0の世界について申し上げてきたが、中間とりまとめはDX止まりである。中間とりまとめに盛り込む必要はないが、今後の最終とりまとめではWeb3.0の世界についても反映していただきたい。昨日、政府の骨太の方針と、新しい資本主義の実行計画の両方にWeb3.0の推進が明記され、閣議決定された。
○今、私たちはリアル世界に生きていて、オンライン会議をしている。そういった世界がこのDXも含めた世界なのかなと思う。Web3.0の世界はまたもう一歩進んだ概念で、メタバースというパラレルワールドは、リアルとはもう一つ違う世界を生きるような感覚になる。国土計画というのはリアルの世界のことだから関係ないかというと、そんなことはない。例えば仮想通貨先進地であるマイアミ州知事はそれを宣言し、優秀な起業家や資本家が全米や全世界からマイアミに集まっている。日本でWeb3.0で起業しようとすると税制がネックになる。よって現在、多くの起業家が日本を脱出しシンガポールやオーストラリア、マイアミに行っている。よって、国土にとってすごく大事であり、日本の国にとってすごく大事なことである。
○エルサルバドルは国の法定通貨にビットコインを採用しており、Web3.0の世界ではDAOという株式会社に変わる新しい仕組みも登場している。株式会社は会社法や株式市場があるが、それに代わってブロックチェーン技術で多くの人との信頼感を担保するものである。こういった世界観は、今後の国土政策、日本の方向性に大きく影響を与えると思うので、ぜひ最終とりまとめに向けては、これらの概念を盛り込んでいただきたい。
○最終とりまとめに向けて、基本設計思想が今転換しようとしている。国土を設計する基本的な構造が大きく変わり、国民の住まい方、暮らし方、働き方、生き方あるいは旅の仕方、人生生活のありようが先にありきで、ソフトサイドがあって、ソフトサイドの変化に基づいて国土をどう考えていくのかという構造で今回書こうとしていると思う。基本設計思想が変わりつつあるということを総論的に明確に提示すると、このメニューがより立体的かつ分かりやすくなると思う。
○Web3.0になると、さらにソフトウェアの主導性が高まるはずで、その事の主導性、あるいはソフトウェアの主導性、あるいは人間の主導性みたいなものが高まるので、こういう議論をしていかないと国土計画を導けないというのは基本的なところだと思う。よって、そこは是非とも後半戦に向けて、割とストレートに分かりやすく、前面に出していいと思う。
○どういう生き方をしているのか、住まい方をしているのか、人生を送っていくのかなど、問題が中核にくるので、それをどれだけこの国土に住まう人々とシンクロできるかというのが、この計画自体の実効性をかなり決めると思う。特に一般の人とのコミュニケーションが大切で、現実問題として、内閣府のURLの話があったが、昨日の骨太にしても、資本主義の提言にしても、ほとんどの若い人は新聞を読んでいないし、普通のテレビニュースを見ていない。だからweb空間でコミュニケーションしていく世代にとって、残念ながら今のところ政府のウェブサイトは人気がない。若い人にどう伝えていくかということも、大きなテーマになると思うので、その辺の工夫も後半戦にかけて議論できればなと思っている。
○第10回計画部会で多くの委員から意見があった、食料・エネルギーを新たな国土形成計画に正面から位置づけることの必要性について、最終とりまとめで提示するよう今後議論していくと記していただいたのは大変良いと思っている。問題は、それをどのように、この場で議論していくべきかというところである。エネルギーについてもそうだが、特に食料については、生産基盤の強化という議論になりがちで、それはそれで大変重要だが、一方では、市民参加というような、市民が食料生産に参加することによって、安定的に農業・食料に関わっていくということが大変重要になってくると思う。例えば市民農園、あるいは農作業支援という形で関わっていくといった市民参加など、少し幅広く議論するのが国土形成計画らしいのではないかと思う。
○国土像を先送りしたようになっているが、むしろ「中間とりまとめ案」の熟議の中から取り出していく、そういったことが意図されていると思う。今までの議論の中では、機能補完・機能分散型国土構造(仮称)、あるいは私が申し上げたデュアルモード型国土が出てきた。「中間とりまとめ案」をキーワード検索すると、隠れたキーワードとして「多様」なしは「多様性」という言葉が浮かび上がってくる。そういう意味では、「中間とりまとめ案」の一つの考え方がここにあるのだろうというように考えている。それで注目される文章が、都市であれ地方であり、国民が様々な場所で多様な暮らし方や働き方ができること、人と地域の多様性を生み出し、社会に活力を創出するである。これを私なりにまとめれば、多様性は、暮らし方、働き方、人と国土との関係性の多様性、多様な場所であり、この多様性を確保していくということが非常に重要なポイントとして、あるいは国土像として出てくると考えている。
○多極に分散という議論があり、これはほとんど合意事項であると思う。分散後の姿は地域生活圏をつくっていくことだと考えており、あるいはそのような議論であったと理解している。議論の中で分散集中や分散集住という意見があったが、私は、やはり分散居住ということも選択肢の中で考えるべきだと思っている。従来のコンパクト+ネットワークは、都市機能をコンパクトにすると同時に、ネットワークで周辺部と結ぶという考え方であり、もちろんそれに対して交通や物流の効率性という議論もあり得ると思うが、少なくとも、例えば、活発に移住者が入り込んでいるような農村居住自体を選択肢として狭めるものではないと考えている。多様性がある国土形成という論点で今後議論してきたいと思っている。
○今回の中間とりまとめは今までの議論が多岐にわたって盛り込まれており、読んでいて楽しいものである。図表も良いものを取り入れていただき、一般の方がこれをご覧になって分かりやすいかと思う。ただ、若い世代の方が、これにどうアクセスするのか、あるいはどうこちらからアプローチしていくのかということは、これから考えていかなくてはいけないことなのかと思う。
○地域生活圏という縦に一貫して通っているものがあると考えると、分かりやすく捉えられると思う。ただ、横串の部分は、官民と一般の市民の方の横串はもちろん大事だが、官の中でも他省庁との繋がりはとても大事である。例えば、規制改革に関しては、横の繋がりがないとどういう規制があって、どう動いていいのかがわからないところがあると思う。また、国土計画の中では、例えば医療に関して医師の分布などを考えても、そのリソースを決めているのは厚生労働省や文部科学省であり複数の省庁が担当している。とりまとめの中に盛り込むのが難しいかもしれないが、横串という考え方の中にもう少し突っ込んだ内容を入れていただきたい。
○デジタルを基本とする計画を立てていくにあたり、今回カーボンニュートラルの記載もあるが、エナジーリソースの問題はずっとついて回るものであり、こちらについては触れていただきたい。
○第4章2.(1)の地域生活圏のところで、地方で人々が安心して暮らし続けていくために必要な機能として、[2]生活のための所得を確保するために産業機能が重要とあるが、どうやって所得を増加させるのかについては、デジタル化、イノベーションの創出など記載はあるものの、やや抽象的な印象を受けた。とりまとめの中ではデジタルの実装の重要性が強調されているが、生産性においては分母の最適化に重きを置いているように思えたので、具体的な政策に関する議論が今後されていく必要があると思う。
○「男女共同参画政策の取り入れ」に関して、男性による家事・育児への参加等により女性の多様な生活・働き方が選択できなければ、更なる出産・育児も望めないという表現があるが、全体の文脈の中で見れば、決して誤った表記ではないと思われるが、少し誤解を招く表現になっているのではないかと思う。地域ブロック別の育児負担の大きさやその要因を見た先行研究などを参照すると、育児の経済的負担や将来への不安感というのが、特に地方圏において高い割合で挙げられているという指摘がある。男性が家事や育児に参加するということがもちろん全国的には大切なことだが、それによって、地方の世帯単位での収入の低下や将来への不安が増すというようなことがないよう、今後、具体的な政策化、KPIの設定に関係してくることかと思うので、十分注意していただきたい。
○この委員を拝命するまで国土形成計画の存在すら知らなかった。そういった立場からすると、中間とりまとめの大きな方向性に全く異論はないが、もう少し分かりやすく、読みやすいものにならないかと思う。特に、カタカナの外来語やその領域の方には当たり前でもあるが一般の方には分かりにくい用語、さらに外国語そのままのものやアルファベットの略語などがたくさんあり、その道に詳しい方でないと、理解が進まないのではないかと危惧している。もう少し、外来語やカタカナ語は適切な日本語に訳す、あるいは可能であれば、Well-beingと英単語で書かれているものは適切な日本語に訳すなど対応していただけるとありがたい。
○第3章(2)デジタルの発想のところで、デジタル技術をたくさん活用することによって、「一人一人の状況に合わせた効果的な防災行動を実現することができる」と書かれているが、防災の中でも特に人間行動を専門にしている私からすると、人の行動を簡単に変えるのは難しいと思っている。効果的な防災行動を「実現できる」というのは、さすがに言い過ぎで、「実現に寄与することができる」、あるいは「防災行動を支援することができる」といった程度の表現にしていただきたい。
○この中間とりまとめ及び国土形成計画(全国計画)では地域生活圏が大きなテーマになっている。この場では、国土形成計画(全国計画)について検討しているが、そろそろ各地方ブロックでは広域地方計画が検討され始めるところだと伺っている。そこで、今日の議論にあったハードがソフトに先を行かれるという点や、パラレルワールドの話などを国土形成計画(全国計画)として最終的にしっかり示すには、地域生活圏とはどういうものなのか、どのような要素を取り入れる必要があるのか示さないと、広域地方計画を作成する側は困ってしまうと感じている。
○第4章2.(1)の地域生活圏のところで、圏域というとこれまでは地理的空間的な圏域であったが、今回そうではないとすると、具体的にはどういうものになるのか、確定的に描く必要はないが例示はすべきだと思う。また、「地域生活圏としての取組例」の例示があるが、圏域が具体的にどういうものかはわからない。これだけ見ると、広域地方計画として具体化していく側は困ってしまうと思う。この点は、事務局だけでなく、我々も含め、今後引き続き検討が必要となる点だと思う。
○地域生活圏に関しては、今後、広域地方計画で具体的な作業をしていくなかで、各地方整備局が都道府県等とタッグを組むときに具体的に示せるようなものにしてほしいと意見を申し上げているところであるが、ハードの部分をどういう考えで進めていくのかというところの書き込みが少し弱いように感じている。今後、東北の広域地方計画の立案の手伝いをする予定であるが、東北地方整備局では、10年以上も東北発コンパクトシティ推進研究会を続けており、その考え方はまさに地域生活圏的な考え方である。広域地方計画の地域生活圏のところへ今回の国土形成計画の考えを反映しようとする際に、どのように投影できるのか、地方整備局目線で考えられるようになれば、非常に良いと思った。
○管理構想については、よく書いていただいているが、災害リスクの話と混ざっていて、メッセージとして伝わりにくい部分がある。国土管理の方針として国土の管理構想が発表されており、それに基づいてコミュニティが地域管理構想を作るということをもう少し記載すると都道府県や基礎自治体へのメッセージになると思う。
○地域生活圏と管理構想は実は連動している。地域管理構想は地域生活圏よりも小さな単位でボトムアップで策定されるものであるが、それの積み重ねで全体として一つの地域生活圏がうまくサステナブルになるかが見えてくると思うので、そのあたりのメカニズムについても広域地方計画で反映できるように配慮していただけると良い。
○ボトムアップや、ライフスタイルに応じて自由に選択ができる、地域の実情に応じて主体的に考える等、自分ごとに感じられる言葉が大変多く、柔軟な印象で時代にも合っている。
○国民をまとめて統合するようなワードをもう少し入れるべきだと思った。例えば、国民、一人ひとりが国を作っていて、これからもそうなんだ、というメッセージや、若い世代を意識したメッセージだと、若い世代を応援して多世代で共に創っていくんだ、国民総ぐるみで未来を創造していくんだ、2050年を作っていくんだなど、統合するような言葉も入ると非常に熱が上がって伝わるのではないか。
○今後、地方でも中間とりまとめをもとに広域地方計画を作っていくことを踏まえると、地方の役割や、どういう方向性でまとめていくのか、計画をつくっていくのかということが、大変わかりやすくなっていると地方の立場からも思っている。
○多様な人材を活用していくというソフト対策について、今までの若者や女性、高齢者以外に外国人人材についての観点も加えていただいているところに対し、外国人が多い都市として本当にありがたく思っている。
○地域生活圏についても詳しく書き込んであり、国土形成計画でありながらも地方のことをこれだけ光を当ててまとめていただいたということは、あまり今までなかったのかなと思っている。これにもとづいて今後、地方でもしっかりと頑張って行けるようなものになっている。
○第4章の重点的に取り組む分野の記載順について、原案では、最初に「地方」、次に「産業配置」、三番目に「大都市」、の順で記載されている。しかしながら、順番としては、まず「地方」を述べた後に、次はやはり地方を牽引する役割を持つ「大都市」を述べ、最後に地方と大都市を包含する課題としての「産業配置」とした方が、違和感なく人々の頭に入ると思う。
○「大都市の国際競争力の向上」中のリニア開業による巨大経済圏を述べた部分について、現行の形成計画でスーパー・メガリージョンとして打ち出した部分であるが、5Gの全国展開によってデジタルが生活に欠かせないものとなる、リニアの開業、更には自動運転の実現で物流も大きく変わるなど、経済だけでなく多様な自然、歴史、文化を重層的に内包する非常に特色のある世界でただ一つの大都市圏となる期待感があるかと思う。ぜひ世界唯一の新たな大都市圏としての魅力や意義を改めて整理して記述すべきである。スーパー・メガリージョンという言葉は、どうしても大きな経済の規模感だけが受け取られてしまうと思うので、その中身をもう少し丁寧に記載しておく必要がある。
○抽象的な言い方になってしまうが、全体をとおして、もっと国土計画らしさを出して欲しいということである。第5回の議論などで人々の活動に焦点を当てることもいまの国土計画では重要だという議論はしたが、「国土」というものを真正面から捉えるのは、政府で作っている他の基本方針や基本計画などにはないことなので、「国土」の捉え方、意義づけや切り口についてはこれまでの各委員からのご発言も踏まえもうひと息工夫をしてほしい。
 
(チャットによるコメント)
○計画の先にある国土・社会のビジョンをより明確にすること、本とりまとめに記載の各方向性を実現する具体的な施策、方策のさらなる検討を急ぎ進めていくことが必要と考える。
○「骨太の方針2022」でも、テレワークは、「多様な働き方」「女性活躍」「関係人口拡大」の3点で記載があり、連動いただいており嬉しく思う。
○昨日、政府の「骨太の方針」と「新しい資本主義の実行計画」の両方に「Web3.0の推進」が明記 & 閣議決定されました。Web3やデジタル化への政府の強いコミットメントを感じる内容です。
○若い世代の取り込みや参加は重要。ただ、表現やデバイスを工夫すれば彼らがアプローチしてくれるとはなかなか考えにくいように思う。難しいから読まないわけではない。今後の広域地方計画策定のステージで、若い人たちの参画を前提にした何らかのアクティビティをビルトインするといった方法しかないのでは。
○第4章2.(3)の大都市のところに「インクルーシブな国土」という言葉があり、これが本計画の目標像として一つのキーワードであると考える。ここでの包摂は、多様な生活の仕方や価値観を包摂するとの意味に読めるが、それに加えて、「国土を広く使う」、すなわち、国土のどこにいても生活を充実でき、個人や組織が力を発揮できるという意味での包摂性にまで拡張してもよいのではないかと考える。
○設計思想上の最上位レイヤーとなる、住まい方、暮らし方として、大宗の流れとしての「多極集住」論は、私自身は、今後も機会があれば言い続けるつもりである。現代の自動車などの機動性と農地や漁港の大型化トレンドを前提にすると農村居住も漁村居住も集住論とは矛盾しないと考えている。ものすごい山奥の限界集落を無理やり切り拓き、無理やり維持することをやめるということはやはり必要だ。政治論的にはそれをやめるとは言えないだろうが、私はそのような主張をしていきたい。私が思っているのは、欧州の豊かな農村地帯における集住、素朴だけど素敵な地元飲み屋やお店や教会も少しあり、泊まって散歩するとナイスな村や町のイメージである。まさにニッポンの田舎の南紀白浜で私たちが目指しているのもそういうモデルである。田植えなどの農作業や漁港の手伝いなどは、ワーケーションの大人気コンテンツだが、やはり「町」程度の集積がないとなかなか成り立たたない。
○「はじめに」の末尾の文章は、「国民が一体となって総力を挙げて国土作りをしていかない限り我が国の将来はない」というような積極的な表現にしても良いかと思う。
○用語等についてはネットで調べた言葉もある。一般に、国民が読む文書であっても、基本的に読みにくいものが多いので少しご検討いただきたい。
○この書き物の問題ではなく、コミュニケーションチャネルと方法の多元化が鍵だと思う。人々の生活空間も、世代やグループによって、まさに多層化、多元化が進んでいるので、国民全体への浸透を行うには、マルチで展開して、それぞれの空間で閾値に達するところまで、言語も使い分けて展開することが大事だと思う。
○国土計画が持つ多様な国民生活に対する「包摂性」が大事だと思う。新しい資本主義もそうだが、変化と多様性、多元性が進む中で、それが不幸な格差にならないようにする包摂性はこれからの国造りの通底的なテーマだと思う。
 
(事務局からの回答)
○今回取り上げた4つのテーマについても、制度的な枠組みを考えなければならないと思っている。長期展望でも指摘されたが、実効性に繋がる形で政策化を図りたい。また、「国土交通省の国土形成計画」ではなく「政府全体の国土形成計画」という意識でご意見を今後も賜れればと思う。
 
(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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