第5回計画部会 議事要旨

第5回計画部会 議事要旨

1 日時
 令和4年2月21日(月)16:00~18:00

2 場所
 合同庁舎2号館国際会議室

3 出席委員
 増田部会長、家田委員、畝本委員、小田切委員、風神委員、加藤委員、木場委員、久木元委員、桑原委員、坂田委員、地下委員、首藤委員、末松委員、瀬田委員、滝澤委員、高村委員、田澤委員、冨山委員、中村委員、西山委員、広井委員、福和委員、藤沢委員、諸富委員

4 議事
(1)前回までの議論を受けた整理
(2)ローカルの視点 ~様々な課題に共通する横断的な論点~
   [1]地方の人材の確保・育成(女性の活躍・関係人口との連携)
(3)その他

主な発言内容(委員発言順)
議事(1)は事務局より、議事(2)は事務局及び内閣府男女共同参画局の林局長より説明を行った後、各委員から意見などの発言があった。各委員から出た意見は以下のとおり。

○DXが非常に重要だと書いているが、オンライン診療やオンライン教育といったツールの話が多い。DXの根本はデータであり、そのツールを使用するにもデータは必要。生活圏を道具として扱うという記載も気になる。生活圏はベースであり、ツールではないと思う。データに基づいてトランスフォーメーションしていくことを強調すべきである。
○関係人口は素晴らしい取組みである。私どもは会津に200名移動したが、100%定住しているわけではなく、二拠点居住している。東京の不動産をすべて売却すると、東京のデベロッパーは大変なことになるため、東京の不動産価値を目減りさせず分散させる方法として、複数拠点居住が重要。
○DX人材は二種類あり、クラウドの中核やコンサルタントの中核にいるプロの他、現場のオペレーションのDX人材が重要である。オペレーション人材は女性が非常に向いており、我々も4年間会津大学で女性用のDX専門講座を開催し、毎年100名人材育成している。DX人材は女性の需要は高い。
○女性活躍について、当社は創業5年半のベンチャーであるが、フルリモートで120名が働いている。120名の内、外国人比率が4割、女性比率が6割であり、従業員の居住都道府県は20県程度ある。そういった組織においても、女性活躍における善意のアンコンシャス・バイアスが働くこともある。例えば、ワーキングマザーという理由で時短にすることや難しい仕事を振らない等の上司の気遣いが、成長の機会を奪い、責任ある仕事に就けないマミートラックを引き起こすこともある。
○採用時、男性従業員に最低給与はこれぐらい必要ではないかと声を掛けることもあるかと思うが、女性に対して同様の声掛けはない。会社は男性が家族を養うという配慮から給与を決めがちではあるが、シングルマザーも増えてきている。悪意はないだろうが、全員のこういった無意識が蔓延っている間は中々、女性活躍が推進されないかと思う。
○国土や地方を形成していくにあたっては、単にデジタル化するだけでなく、学校や医療をオンラインでつなげていくことが大事であり、それがなければ小さな単位での生活圏は成り立たないと思う。
○企業がテレワークをできるようになって、東京の企業を退職せずに地方に戻れるようになったということが、次の男女共同参画の話につながっていくと思う。就職時などに都心に出てみたいという思いを否定せず、都心に出ても地方に帰れる地域づくりや仕組みづくり、それに対する企業の連動などが大事かと思う。また、親となり子どもの小さいときは地方で暮らしたいが、進学時には都心に戻りたいというような生活の変化もあるため、就職の次は教育がネックになると思う。
○女性を優遇するがゆえに逆に女性が働きにくくなっているのではないか。
○地域生活圏を作るということは今までのピラミッド構造が変わるということ。地域生活圏には二つの側面があり、一つ目は、今までは基礎自治体の中に必要な機能が全部格納されていたものがバラけるということ。その裏腹としてそれが関係人口の話だと考える。関係人口も含めて、地域生活圏とどういう風に関係づけるかということははっきりしたほうがよい。二つ目は、地域生活圏は機能によって範囲が違うであるとか、実は関係人口もいるなどは、地域生活圏がどうしてマネージできるのかというと、広い意味でのデジタルの役割があり、それが整理されると、一つの像を結ぶと考える。
○女性参画は極めて重要。日本の状況は先進国からあまりにも遅れているため、地方だけで取組むレベルではなく、国全体で取り組むべきものと考えたとき、国土形成計画としては、国家の最上位の計画ではないため、空間、場所、居住に関する事項について、何をする必要があるのか、あるいはどういった方向性にもっていくべきかを述べることが本命だと思う。
○地域生活圏と関係人口は中間報告において重要な要素である。ただし、単なる運動論に終わっているようでは、国土形成計画として甚だ足りない。例えば、ふるさと納税という制度は少なくとも色々な人が色々な地域に関心を持つことを促進している意味において政策になっている。今取り組んでいる関係人口を紹介するだけでは政策とは言えない。関係人口や地域生活圏についても制度化されるような政策のところまで持っていかないと単なる運動論に終わる。これから議論を深めたい。
○関係人口は極めて重要な概念であるが、経緯として、定住人口や交流人口だけではないということで関係人口という言葉を使用している。ただし、国民にとって関係人口という言葉は非常にインパクトがない。「新たな交流人口」等の温かみや意思を感じる言葉をもう一回練り直すことも考えた方がいい。
○女性活躍に関するデータについて疑問がある。特にアンコンシャス・バイアスや女性の社会参加(性別役割分業意識、女性労働力率)に関する地域差について、政治分野以外のデータが精査されているのか気になった。女性労働力率は地方の方が高く、専業主婦としての生き方は都市部の方で比率が高くなっている実態がある。地方の中でも多様で、北陸であれば女性の活躍が多い地域もあり、また近年の教育の効果もあって都市の若い層では意識もずいぶん変わってきていると思う。
○大都市と地方いずれでもジェンダーバイアスやアンコンシャス・バイアスをなくそうとする取り組みは必要だが、この会議での取り上げられ方によって、地方・田舎の方が女性差別的な価値観や性別役割分業が強いかのようなステレオタイプを流布、強化するような効果があっては逆効果である。そのため、取り上げ方、メッセージの発信の仕方に工夫が必要ではないかと感じる。また、地方で女性が活躍できる分野にフォーカスする必要があるのではないか。
○資料に女性がやりたい仕事、質の高い仕事を地方において広める必要とあるが、その具体像がわからない。資料6-2にインタビュー結果が引用されているが、営業職を希望する女性は全体の中でも多いのか、やや疑問である。中高生に話を聞くというのも良いが、むしろ東京のような大都市圏から地方に移住した人の声を丁寧に分析して、政策に反映すべきではないか。ジェンダーバイアスへの考え方もあると思うが、地方移住の良さとして子供や家族との時間が増えて幸せになったということを挙げる人も少なくない。シビアに聞いたときに、移住したが都市部と比べて改善してほしい点として、例えば子育て世代にとっては高校や大学などの高等教育の機会への懸念があるとも聞いている。中高生にアプローチするということであれば、地方でも実際には多様な働き方がありうるという具体的なイメージが沸くような知識の提供やコミュニケーションをもう少し進めて行ければ良いと考える。
○具体的な像として「DX人材」を挙げることについて同感である。DX人材を地方で拡充していくということは十分に可能性があると考えるので、それを女性活躍と掛け合わせたときに、政策としてどう連結させていくのかクリアになればよいと思う。
○国土計画の観点から女性活躍を考えると、どうやったら地域に女性が残ってくれるのか、この1点について議論すべきと考えている。その際残る利点を考えていくと、女性のライフスタイルの中で出産は大きなことであり、生まれ育った町で働くと両親が子供を預かってくれるという非常に大きなメリットがあるかと思う。私の場合は、両親含め千葉県に住んでいるが、待機児童150人待ちが10年以上続くような状況であったため、両親がいなかったら仕事を続けていけなかったと思う。地域に残って仕事をする利点を、よりアピールしていく必要があるのではないか。
○男性における育児休暇の取得率が非常に低いと感じている。やっと去年の段階で1割に到達したかと思う。制度ができても、会社の風土が変わらなければ育児休暇を取得しづらく、このあたりの意識改革が重要だと思う。
○資料5-1の13ページ(1)の内容について、非常に良いことが記載されていると感じている。「女性の少なかった職場ほど生産性が向上する。イノベーションが生まれる。」の部分については、ぜひ具体的に良いことがおきたということを利点も含めもっと社会で共有できるようにしていただきたい。
○「このようなことをやりましょう」というような旗を掲げるだけでなく、仕組みにして制度化しなければ意味がないかと思う。
○関係人口について、資料で紹介された取組みは、いずれも地方に対して高い興味を抱いている人が、各省庁のHPに自らアクセスすることではじめて分かるようになっている。まず興味を持っている人に発信することも必要ではあるが、各種制度やDXなどを用いてあまり興味がない人をいかに巻き込むかが今後重要になるのではないか。
○新しい時代における地方に生まれる仕事で、どうやって生産性を上げられるのか、その中でどれだけ多くの人が包括的な形で活躍できるのか、そのための国土計画という議論が大事だと考える。
○地方(実は東京も)での雇用の中心はサービス産業型、現場技能型の仕事が圧倒的である。DX人材として求められるのはDXツールを使い倒してオペレーショナルな効率やマーケティング上の改善改良につなげる「借り物上手」の人材である。つまり、生産性の向上に必要な人材こそが求められ、男女関係なくデジタルネイティブな世代が主役となると思う。東京においても、今後、大企業ホワイトカラーサラリーマンの雇用は減少していくこととなり、雇用の中心は圧倒的にサービス業が多い。これは医療、介護、物流などであり、これらの産業は、アンコンシャス・バイアスが一番関係のない産業である。
○資料2-2の「2050年の趨勢は推測できる」という記載について、少なくとも大規模地震の発生や気候変動については確実に発生するが、その時の国土のあり方で被害は全く違うということを明確にすると、国土形成計画の意義というものが大きくなるかと思う。そのため、「2050年の趨勢は推測できる。けれども、我々の対応で全く違ったものとなる」というように追記したらいいと思う。
○関係人口関連でいうと、これは定住人口にもいえることであるが、移動人口の多くは転勤族であり、名古屋の中心街は転勤族が多く占めている。ただ、転勤族の内訳が最近変わってきており、ラインが多くなってきており、スタッフが減っているという印象を受ける。ラインだけしかいないと比較的男性が多く、スタッフの中に女性が増えていると思う。
○転勤をさせる支店が故郷のエリアの支店となってくれれば、家族は故郷側に住むという選択肢が増え、ある意味現代版の「参勤交代制」ともなり、一気に定住人口に代わるという面もあるので、このような産業界の支店と本店との異動の考え方は、地域のシンクタンク的な人を増やすということではプラスかと思う。
○現在自分の研究室の修士2年生4名は全員女性であり、自分の子供2名も女性である。その6名の就職先を見たときに、3名は東京で3名は名古屋に勤務しており、東京に勤務している人はほとんどスタッフとして働きたい傾向にあり、名古屋で勤務している人はラインとして働きたい傾向にあった。シンクタンク的な場が地方にあれば、相当多くの女性が名古屋に残ってくれたのではないかという印象があり、同じ会社でも職種の問題をどう考えるかがポイントであると感じている。今の企業は考える部門を東京に集中してしまっているが、諸外国でもそうだが、本来シンクタンクは地方でじっくり考えるというのが一般的かと思うので、この辺りが国土構造に関連するのではないかと考える。
○自身が関わったAIによるコロナ禍後の日本の未来シミュレーションでは、持続可能な社会となるシナリオとして、都市・地方共存型社会になるシナリオが最も望ましいとの結果が出た。そのシナリオになるための重要な要因として、女性の賃金上昇や男女の役割分担の柔軟化といった、女性活躍に関する要因が上位として挙げられた。東京圏より地方圏の方が女性の就業率・出生率が高いが、仕事内容に満足出来ていない地方圏の女性が多くなっている。しかし、そういった層が東京圏に出てきても、仕事と家庭の両立が出来ない環境となっているため出生率が下がるという、一種の悪循環が生じている。その是正に当たっては、女性活躍が鍵となるので、シミュレーションの分析結果でも都市部と地方圏のwin-winの関係を築く上で、女性活躍の要因が重要であるという結果が得られたのだと考える。
○関係人口は極めて重要な観念なのだが、今ひとつ不明瞭であると思う。関係人口にはデジタルや、若い世代のローカル志向、観光であれば滞在型・体験型といった、様々な異なる視点が込められており複雑化しているので、もう少し切り分けられないかと思う。また、一般の方からみると交流人口との違いが分かりづらいので、よりクリアでメッセージ性の高い表現考えられないかとも思う。
○かつて国土計画で地域格差是正が進められたころは、ふるさとへの仕送りのような感覚だという話もあったが、生まれも育ちも東京の人が多くなり、そのような感覚をもつ人が少なくなっている。今後、第2のふるさとづくりの取組は非常に重要で、例えば、ふるさと納税は返礼品のことばかり注目されがちであったが、本当に地域とのつながりを持ちたい人がモチベーションを高められる、あるいは、優遇を受けられる制度を、地域生活圏で構築できるとよいのではないか。
○女性の場合は、配偶者について転勤すると以前と同じような仕事に就職できなくなるということがあるかと思うが、女性に限らず、空間的に移動しても同じような職業につけるといった流動性が保たれる、あるいは、高められる社会ができれば、大都市と地方で行き来しやくなると思う。ただ、それを実現するようなジョブ型雇用の拡大を図ることは簡単にできることではないので、中長期的な政策として考える必要がある。
○女性活躍、地域での魅力的な仕事の創出、デジタル田園都市構想の議論に際しての共通点は、情報系人材が地域に少ないということ。仕事が大都市に集中しているだけでなく、教育リソースも大都市に集中していることが課題。対応策として、情報デジタル分野における専門教育の強化が必要。東京の大学などがオンラインで教育用のデータを全国的に提供するようなことが解決策ではないかと考える。
○東京大学では、情報分野の教育が現在急速に拡大している。教育に占める座学の割合は非常に小さく、プログラムを書いたり、データを扱うような自らの手を動かす作業の経験が大事である。しがたって、教育の発信元と受け手が離れていっても全く問題はなく、地域を選ばない。女性の学生が多い地域の大学や専門学校で取組むことができれば、普及が進むのではないか考えている。
○関係人口について、例えば今年度地域づくり表彰を受賞された佐賀県の嬉野市の例では、歴史ある木造校舎を再生して交流拠点として整備し、耕作放棄地を茶飲み農園として復活した。こういったものを促進するような仕組みが考えられるのではないか。
○国土形成計画の中に女性活躍の視点をいれてもらうのはありがたい。地方それぞれが頑張って育児や保育環境を整えてきており、大都市よりも暮らしやすい、育てやすい環境は整いつつあると思っている。ただ、「女性参画は地方にとってのラストチャンス」という記載は少しショッキングだった。地方はもう少しポジティブに捉えていると思っているので、そのあたりはまた議論していきたい。
○外国人についても同様の課題が今後出てくると思うので、そこも今後議論出来ればと思う。
○保育園の近くにテレワーク拠点を整備し、女性が働く場の選択肢を増やそうと着手している。
○私自身も小さい子を二人抱える若年層の女性で、かつ地方の首長という珍しい存在であるが、河川災害やコロナ対応などに全力で向き合い、ジェンダーを超越したような気持ちで職務に当たっている。こういったことができるのも、近くにどちらの両親も居るからであり、核家族では自分の体がもたなかったと思う。
○首長に手を挙げた時に、小さな子どもが居るのにかわいそうだという厳しい声はたくさんあったが、女性も当然リーダーになる時代になっていくから、いつかご理解いただけるだろうと長い目で思うようにしてきた。
○関係人口を形式的に捉えると「人と国土との関係性」と捉えることができると考える。関係人口が現行の国土形成計画にはない言葉ということを踏まえると、次期国土形成計画の中では一つの大きな要素となることは間違いないと思う。ただ、エビデンスベースであることが重要であるので、昨年度国土交通省で行った調査を継続的に実施するべきだと思う。
○関係人口を原理的に考えると、居住だけで住民性を規定するのではなく、関わり・コミットメントで住民性を規定することになると考える。つまり「居住性」と「関わり」のマトリックスの中で、従来2つだったものを、3つに増やすという概念だと理解できる。そうであれば制度的な仕組みが重要であり、「ふるさと住民票」と言われる、例えば資料の事例にある小菅村の「2分の1住民」のような概念が長期的には検討素材となってくると思う。関係人口というのは多様であり、ふるさと住民票という概念によって一つのプラットフォームに乗せてしまおうという考え方である。これは参政権や納税という非常に大きな問題にもつながってしまうが、長期的な検討を行う国土形成計画らしい議論になると思う。
○さらに形式的に考えると、人の動きであれば、観光、関係人口、移住を連続的、シームレスに捉えることができる。地方自治体の中にもこの3つの窓口を一体化するところが出てきている。横割り、シームレスで捉えるということは、場合によってはデジタルの考え方にフィットするものと考えるので深掘りをしてほしい。
○関係人口ついて、昨年、ワーケーションの実証実験を行い、参加メンバーが自分の所属の職員を、関係する自治体に行かせた。そこでの意見は、地方で単なるウェブ会議に参加しても仕方なく、地域で交流するとか、地域でのイノベーションのネタ探しということが重要であるとの内容であった。地域生活圏においても、交流の場づくりが必要だと考える。
○関係人口、女性活躍は非常に重要な課題であるのは理解しているが、関係省庁で、既に検討努力がなされている。この場で議論すべきは、関係人口、女性活躍も含めて、今、我が国が抱えている重要な課題を解決するような施策を国土形成計画によって、どのようにサポートできるかということだと考える。国土交通省だからこそできることに、少し絞っていかないと非常にもったいない気がしている。
○地域生活圏の議論にもう一度立ち戻ってみることや、国土交通省が持っている地方都市部を含めたインフラから取れるデータを収集分析して、メタバースを活用してシュミレーションしながら思索を試していくなど、国土交通省にしかできないことという観点で、ハード・ソフト含めた議論をできたら良い。

(チャットによるコメント)
○DXはオンラインが大前提であり、オンライン化のベースとなるのはデータである。2050の絵姿が見えないからこそ、日々のデータ化を進め、必要な時にデータに基づいて政策決定できるようにしておくことが重要である。
○女性の社会参加を含めて「労働」は極めて重要なイシューだと思う。ただその検討にあたっては、知的で創造的な仕事ばかりでなく、極めて多数を占める看護師や建設業、運輸業といったエッセンシャルワーカーの処遇向上や、外国人労働力をどう捉えるかといった事柄を一体として考える必要があるのではないか。
○内閣府の説明の中で、政治分野の女性進出について、「90年代は諸外国も日本と同様の状況であったが、現在は女性進出が大きく進み、結果として日本が立ち後れている」という趣旨の説明があったが、諸外国では、この30年間どのような対応・施策をとった結果、政治分野における女性進出が進んだのか教えてほしい。また、その方法を日本に導入することはできないのかについても教えてほしい。
○女性の処遇を含めた「働き方改革」は重要だが、将来の活力向上を考えると、「働きがい改革」もあわせて重要ではないか。
○地方の人口構成は極端な逆ピラミッドである。対面型のサービス産業であるエッセンシャルワーカーは慢性的に人手不足である。人口減少時代に仕事の量を絶定量の増減で見るのは間違いであり、需給の相対関係でみるべき。その意味で地方に仕事はたくさんあり、ほとんどが男女による性格の違いがまったくない職種である。
○問題の本質はその仕事の労働生産性が低く、賃金も待遇も悪いことである。国土形成政策においても、産業政策においても、個別企業の経営においても、DXや経営力を駆使して、労働生産性を高めるように働きかけることが大事。地方の中堅中小企業のDXレベルは甚だしく低いため、生産性向上の余地は大きい。例えばそこで女性も活躍できるし、生産性が上がったメリットを現場で働く女性が享受する可能性は極めて大きい。この次元のDX人材の強化は十分に可能である。
○ワーケーションにおいて大事なことは、ワーケーションによって生産性が高い仕事をしている人々が地方で生活をしてくれること以上に、その関連で高付加価値型のローカルなサービス業、飲食宿泊、生活サービスが生まれることである。生産性の向上にとってもっともストレートに効くのは付加価値のアップである。
○他の委員からもあるように、女性活躍に関するデータについて、今一度データを精査して、そこから何が言えるのかを再整理することが必要かと思う。
○資料2-2の中央右側にある太枠「方向性を打ち出す」の左側にある文章は、a)「現在取り組むべき政策」と「将来に向けた政策」の方向性を打ち出すb)「現在取り組むべき政策」と「将来に向けた政策の方向性」を打ち出すの2通りに読めるが、どちらであるか教えてほしい。
○女性参画に関しては、地方の生活圏にも仕事はたくさんあり、むしろ人手不足とのこと、そこに、残念ながら、’やりがいがない’という固定観念というか、隣の芝は青いというように、都市に就職先を求めるという状況があるかと思う。’やりがいのある仕事’については、今後30年の間に様々に変わって行くと思う。ますますデジタルで可能となる仕事の中で、コミュニケーションも、ほぼ対面に近いようになる技術が出来てくると思うので、国土計画の中で、そこをアピールして地方に残る、あるいは戻っていただければと思う。木場委員がご指摘になった、子育て世代に関しても、保育のシステムがいかに素晴らしくても、親御さんにとって負担もあるかもしれないが親御さんの力は大きいので、故郷で育てられることは魅力だと思う。また、大切なのは、女性に優しい仕組みは、男性にも優しい、ということだと考えている。最近の若い医療者は、職場を選ぶにあたって、むしろ男性の方が、’育休を取れる職場か’と確認されたりしている。
○ステークホルダーとしての、有名なIT企業などが地方に拠点を移す、というのも、20代、30代の女性を惹き付ける方法のようにも思う。
○若者(若い女性を含めて)が憧れるような都会の仕事(給与水準や職種を含めて)のイメージに偏っているように感じたというのが本日の印象であった。東京的な働き方やライフコースを前提にそれに追いつこうというような形では限界があると思う。他の委員の指摘のとおり、産業構造も労働の在り方も全く違うので、それは一つの比較軸で優劣がつけられるものではないと思う。「東京のように女性が憧れる仕事を地方にも」という選択肢の拡充のみならず、現状でも実現されている地方(田舎)の仕事をより生産性高くしていくこと、そのためのインフラ・政策には何が必要なのかという視点がもう少し前面に出ると良いと思う。
○地方における女性の活躍に関して、資源配分の観点では、就業時の転出について、都市部の生産性の高い企業に(女性に限らず)地方の人材が移動することが、経済全体に悪影響を及ぼすとは計測上捉えない。地方に生産性の高い企業を立地させること、あるいは十分な賃金(長期間実質値で測って地方で十分生活ができるような賃金)を支払えるように地方の企業の生産性を向上させることが優先されるべきと考える。

(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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