第6回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

第6回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

1.日時
  令和元年6月21日(金)10:00~12:00

2.場所
  九段第2合同庁舎8 階地震予知連大会議室

3.出席者(五十音順、敬称略)
  石田東生、春日伸予、金山洋一、小林潔司、中川聡子、福和伸夫、藤野陽三、松尾亜紀子、山田正
  ゲストスピーカー:岩倉成志、森川高行

4.議事
(1)今回の課題テーマについての議論
  <課題テーマ>
   「新たなモビリティサービス(鉄道、バス、低速型モビリティ)」
(2)中間とりまとめのフォローアップ事項(2件)
   [1]グリーンインフラ
   [2]MaaS 等新たなモビリティサービス
(3)その他(今後のスケジュールについて)
 
5.議事次第
鉄道】
  • 鉄道の運行間隔の短縮に伴い列車本数が増えると、人手不足への対処や安全性が心配。混雑の原因には、駅での無理な乗車により傘や荷物がドアに挟まれ発車遅延する人的要因もある。
  • 人手不足対応については、鉄道の無人運転が進展すれば、トラブル時のための添乗員付きの自動運転といった運転士の運転免許のハードルを下げて補助的な役割とすれば、運手士不足に対応できるだろう。駅での無理な乗車は、列車の運行間隔が短くなることで混雑率が下がり、乗客が無理せず改善できるようになる。安全確保については、鉄道事業者の最重要事項であり、安全確保ができない技術導入はありえない。
  • 鉄道の自動運転は、自動車に比べると比較的容易に最大容量を確保した運行が実現可能と考えるがどうか。
  • 現在、停止時の余裕距離は列車間隔80mでシミュレーションしているが、25m程度まで縮めることは可能と考える。ただし、雪などトラブル発生時の安全を完全に担保することが必要である。
  • 日本において相対的に交通インフラが弱い現状を考えれば、誰が負担し、どうマネジメントすべきかは重要な問題。岩倉先生提案の再開発一体化などの協調整備は、武蔵小杉の鉄道駅混雑問題等現状を踏まえても重要な視点。
 
【低速モビリティ、自動運転】
  • 森川先生説明の自動運転の取組は、サイバー空間の利活用のフロンティアとして進めてほしい。
  • 鉄道には線路容量の問題があり、山手線、新幹線(東京・大宮間)などその対策が続けられてきている。速度と運行本数は相関があり、運行本数を増やすと線路上が渋滞し速度が低下する。道路には、渋滞対策のパラドックスもあり、自動運転における道路容量の問題にはどのようなことが言えるのか。
  • 自動運転により、車間距離がどれくらいであれば発進遅れがなくなり運べる容量が増やせるかと言う、今まで交通工学でやってきた理想的な状態を作ることが可能となる。
  • 自動運転の新しいシステムの導入を行った際、自動運転とそれ以外が混在する移行期間の安全性は大丈夫か。
  • 移行期間においては、自動運転と手動運転の混在をさけるための専用レーン等設置する必要があるのではないか。
  • 自動運転の進展した社会において、災害時の対応をどのように考えているのか。
  • 災害時を考慮し、運転手による手動運転へ切替えることができる機能を実装する必要がある。
  • 自動運転に関するパブリック・アクセプタンスのための取組はどうか。
  • 実際の高齢者をオペレータにして実証実験を行うことで、アクセプタンスはあがると考えている。しかし、事故が発生すると、一気にアクセプタンスが下がることに留意が必要。
  • 自動ブレーキの使い方が認識されておらず、自動運転に関する消費者センターへの相談が増えており、ユーザーの理解度を上げる必要がある。自動運転が高齢者を含め受容されるためにはどのようにすればいいのか。MaaSの期待は高いが、過疎化の場所で実現できるのか?人手と採算性は大丈夫か。
  • 新しいスキームを進めても、高齢者等利用者が技術についていけないのではないか。一度学ぶとその後長期にわたって使えるような仕組みをとりいれないといけない。ユーザーの意見を聞いているのか。 また、国交省、総務省や経産省だけでなく他の省庁と連携をとっているのか。
  • 自動運転レベル1から3では、オーナーカーでのミスユースが増えることが懸念されている。他方、MaaSで使う自動運転は、レベル4を目指すが、まずはプロまたは訓練を受けた人が運転席にいるレベル3を前提にしている。
  • 自動運転の取組について、省庁間の連携はとれているが、各省庁の思いが異なる事情はある。現状のMaaSはサプライヤーが中心になっているが、ユーザー視点は極めて重要。公共が担うべき役割を含めて、地に足をつけた議論を進め、システムとハード両方の整備をしっかりやっていきたい。
 
【その他】
  • 大都市で空いている空間は河川であり、堤防の中や上に道路、鉄道等の新しいシステムをいれてみてはどうか。国土交通省は道路や河川パトロールにて点検を行っている。実験的に自動運転で堤防の点検ができないか。また、地方予算の削減から、スクールバスと点検車を併用できないか。

ページの先頭に戻る