大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年1月29日(金) 11:03 ~ 11:26
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、1点報告があります。
本日の閣議におきまして、当省提出の2本の法律案が閣議決定されました。
1本目は、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案」です。
これは、大変厳しい経営状況に置かれております、JR北海道、JR四国及びJR貨物の経営基盤の強化を図るため、今年度末となっている支援の期限を令和12年度末まで延長しつつ、設備投資に対する新たな出資制度の創設など、前向きな視点に立った支援の拡充等の措置を講ずることにより、観光振興策などと一体となった地域公共交通の活性化を図るものです。
2本目は、「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律案」です。
この法案は、道路と鉄道の安全かつ円滑な交通の確保を図るため、1つ目は、踏切道の更なる改良と災害時における適確な管理を促進するとともに、2つ目として、近年頻発化・激甚化する災害を踏まえ、「道の駅」等を防災拠点として活用しやすくする制度や、鉄道事業者が鉄道施設に障害を及ぼす樹木の伐採等をできるようにする制度を創設するなど、道路と鉄道の防災機能を強化するものです。
2法案とも、詳細は後ほど資料を配付いたします。
このほか、私の方から2点報告があります。
1点目は、緊急治水対策プロジェクトの公表についてです。
本日、令和2年7月豪雨で甚大な被害が発生した最上(もがみ)(がわ)球磨(くま)(がわ)につきまして、「最上川中流・上流緊急治水対策プロジェクト」及び「球磨川水系緊急治水対策プロジェクト」をとりまとめました。
緊急治水対策プロジェクトにつきましては、一昨年の令和元年東日本台風後の阿武(あぶ)隈川(くまがわ)などの7水系に引き続いて策定することになりました。
このプロジェクトでは、令和2年7月豪雨と同規模の出水があっても、再度災害が生じないように、国、県、市町村等が連携しながら、ハード・ソフト一体となった対策をおおむね10年間で集中的に実施してまいります。
まず、最上川につきましては、決壊した支川の堤防整備や、新たな分水路の建設等の河川事業を約650億円の事業規模で行います。
さらに、氾濫域での対策として、自治体による住居の高床化を支援する事業等を実施していくこととしております。
次に、球磨川につきましては、河道掘削や遊水池等の河川事業を約1500億円の事業規模で行います。
こうした河川事業と鉄道の復旧やまちづくりと連携し、豪雨災害からの復興を加速させてまいります。
さらに、「新たな流水型のダム」の調査・検討を実施していくこととしております。
なお、両河川とも、昨年の災害を受け、脆弱になっています。
今年の出水期に対しても、一定の安全を確保することが急務です。
このため、浸水被害箇所等の堆積土砂の撤去や、タイムラインの改善等を緊急的に実施しているところです。
具体的な内容は、後ほど事務方から説明させていただきます。
2点目は、公共事業の円滑な施工確保についてです。昨日、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の初年度の対策などが盛り込まれた令和2年度第3次補正予算が成立いたしました。
激甚化・頻発化する自然災害から国民の皆さまの命と暮らしを守り抜くことは、最重要の使命であり、新型コロナウイルス感染症下においても、本補正予算で措置された公共事業予算の迅速な執行とともに、円滑な施工を確保することが重要です。
このため、感染症対策に係る費用をしっかり上乗せする柔軟な契約変更を徹底するなど、感染拡大防止に万全を期しつつ、市場実態を反映した適正な予定価格の設定や、適正な工期の設定、また、施工時期の平準化などについて、関係省庁や地方公共団体等と連携して取り組む必要があることから、本日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、私から関係閣僚に対し、協力をお願いしたところです。
詳細は、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上です。
 

質疑応答

(問)幹事社から1点質問させていただきます。
「Go To トラベル」の再開時期についてです。
西村大臣が、火曜日の記者会見で、再開時期について、「ステージ2)」になってから、との認識を示しました。
従来からの運用ルールかとは思いますが、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
また、Go To の6月末の期限を再延長するかどうかについても併せてお聞かせください。
(答)2月8日月曜日以降のGo To トラベル事業については、現在、西村担当大臣と専門家との間で、感染状況、今後の見通し、また、医療提供体制等について議論が連日なされているところであり、そうした議論の後に、政府としてまずは、緊急事態宣言の扱いを決める。
そして、その決定を受けて、Go To トラベル事業の取扱いについて、総理の下での関係閣僚会議において検討することになると思っています。
本事業の実施期間については、昨年12月に閣議決定された経済対策において、「少なくとも6月まで延長することを基本としつつ、感染状況を踏まえ、柔軟に対応する」とされております。
まずは政府を挙げて、感染状況を早期に収束させることを最優先にしたいと考えております。
現在、まだ具体的なことは決まっておりませんが、本事業を再開にするに当たりましては、その実施期間も含め、再開後の事業のあり方について、観光事業者、旅行者双方に混乱を招かないように、十分な周知のための期間を設けた上で、改めて正式に詳細を発表させていただきたいと考えております。
現時点ではそれだけです。
 
(問)JR北海道に対する国の支援に関して2点お尋ねします。
1点目ですが、JR支援の根拠となる国鉄債務処理法改正案が、本日、閣議決定されましたが、今後のJR北海道の支援に向けた大臣のお考えをお聞かせ願います。
2点目ですが、鈴木北海道知事は、大臣も参加された23日の関係者会議の場で、道内8区間の利用促進策として、観光列車を購入してJRに貸し出す意向を示しました。
総額数十億円にも及ぶ見通しであり、国も補助します。
従来以上に踏み込んだ支援策が示されたことについて、大臣のお考えをお聞かせ願います。
(答)「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案」は、冒頭に申し上げたとおり、JR北海道やJR四国に対する支援の継続を図っていくものです。
この法案は、先月25日に公表したJR北海道等に対する令和3年度以降の支援の前提となる法律です。
今現在行っている助成金の交付期限、これを令和12年度末まで延長するということ。
また、経営安定基金の下支え、青函トンネル・本四連絡橋のJR負担の切り離し。
これは、JR各社、大変負担が大きいということで、これを切り離します。
また、将来に向けての設備投資に対する出資制度などの前向きな視点に立った新たな支援措置を盛り込んでいるところです。
JR北海道への支援の中で、今お話がありましたように、北海道の第三セクターである「北海道高速鉄道開発」を活用した観光列車の導入について、国と地域が協力して進めることとしております。
このことについては、23日に、「第2回北海道の鉄道ネットワークに関する関係者会議」をリモートで開催し、北海道の鈴木知事、JR北海道の島田社長らと意見交換を行わせていただき、今後、北海道の第三セクターを活用した観光列車の導入について、国と地域が協力して進めることなどで一致したところです。
こうした、従来より踏み込んだ支援を決めたことは、地域の鉄道であることから、地域の協力なくしては再生できない。
一方、JR北海道にしても、JR四国にしても、大変な経営状況の中、コロナ禍でこれまで以上に負担も大きく、そうした中で、今後どうするのか大変大きな課題として、就任直後から抱えておりました。
出張する際にも、四国や北海道に行くたびに、毎回在来線を利用させていただくことによって、まずは自分自身が現場を知りながら、どう考えるかということを重ねてきたところです。
北海道について言えば、本州よりも圧倒的に面積が広いが、人口密度が大変低い中で、JRの鉄道ネットワークが貼り付いていたわけですが、どうしても利用客が少ないため、廃線せざるを得なかったということです。
今、いわゆる「黄線区」というものも残っておりますが、例えば、ものすごく長距離でもありますし、それを簡単に、他の地域と同じようにバスで代替ということは難しい。
私は、北海道の特殊性を考慮した中で、地域だけに任せるのではなく、国としても鉄道網という、ある意味では「宝」をどのように利用していくのかといった視点で考えなければならないということを実感したわけです。
加えて、北海道も四国もそうですが、特に北海道は、本州各地域と違って、広大な自然の中で、魅力的な観光資源が随分豊富でありますし、将来、観光立国を進めていく上で、北海道というのは大変大きな柱の地域になるということは間違いありません。
そのためにやりようは相当たくさんあるのではないか。
黄線区も、観光客にとってみれば非常に魅力のある鉄道網ですし、私も釧路から釧網(せんもう)(せん)に乗って、こういう所がまだ日本にあったのかと思うような、もう少し長期で滞在したいなと。
()(しゅう)()阿寒(あかん)()に向けて、歌の題名では全部知っていますが、私も行ったことは初めてであり、観ると聞くとでは全然違い、実際行ってみると大変素晴らしい観光の可能性があります。
ですから、その素晴らしい観光資源をどう活かしていくかということと同時に、地元住民の皆さんの生活の足として維持していくのは、国なのか地域なのかではなく、正に一体となってやっていかなければならないということで、これまで以上に踏み込んで支援をさせていただいたということです。
こうした想いを北海道知事はじめ、道内の各市町村町の皆さん、道議会の皆さん、各議会の皆さんともできるだけ意見交換をしてきたつもりでありますし、相当の御理解もいただきはじめていると思いますが、よりこの想いを伝えながら、北海道、JR北海道、JR四国も同様でありますけれども、しっかりと支えるというよりは一体となって、未来に向けたJR北海道、JR四国、JR貨物を再生していかなければならない。
そういう責任で取り組んでいきたいと思っております。
抽象的な答えになっているかもしれませんが。
 
(問)先ほど質問のあったGo To トラベルの再開について、2点ほど伺います。
感染状況にもよると思うのですけれども、どの地域から再開するかということですが、全国一斉に止めているわけで、全国一斉に再開するというのが自然な形なのかと思いますが、その辺りの大臣のお考えをお聞かせください。
もう1点。
これもGo To なのですが、どこかのタイミングで平日と休日の平準化策や、制度の修正をすると仰っていましたが、そのタイミングについて、再開するときなのか、年度の切れ目なのか、それとも6月下旬までは変えないのか、その辺りの今のお考えを教えていただけますでしょうか。
(答)結論的には、両方ともまだ何も決まっておりません。
元々、年末年始の移動自粛や、緊急事態宣言というものがない状況であった当初は、1月31日まで同様のフルスペックが続いた後、2月は大変閑散期であるので、フルスペックを続けて、3月、4月というのは春休みを兼ねて、観光の繁忙期でありますので、この時期位からソフトランディングをしていただきたいというのが事業者側からの相当強い意見でありましたし、平日への需要の平準化も配慮してもらいたいとか、地域公共交通機関がなかなか利用されずにマイカーで来られている方も多いので、少し公共交通機関への利用促進も入れていただけないかとか、地域共通クーポンがこれまでにない新しい取組であり、その効果は大変大きく、観光地全体に裨益されているので維持していただきたい等の様々な御意見を聞かせていただき、そうした検討を始めておりましたけれども、この一連の状況の中で、まずは感染拡大防止、収束ということで、緊急事態宣言を出したということでありますので、緊急事態宣言の発出の重みを国土交通省としても受け止めて、今、それに全力を尽くしているということです。
それに尽きるので、それ以外のことは現時点で何も決めていることはありません。
今、総理を先頭に、我々も呼吸を合わせて、感染拡大防止のために国土交通省としてできることをしっかりと当面は行っていきたいと思います。
再開できる時にどうするのか、頭の中でトレーニングし、来たるべき時に準備しておくべきことは進めていかなければいけないと思っておりますが、現状、御報告できることはそれだけです。
 
(問)先ほど御発言の球磨川の緊急治水対策プロジェクトについてお尋ねします。
1点確認ですが、1500億円の事業規模の御発言の中で、流水型ダムの調査・検討に触れられたと思いますけれども、この1500億円の中に、流水型ダムの調査・検討が含まれるのかどうかの確認が1点と、おおむね期間は10年ということですけれども、今年の出水期における不安の声、今年も水害が起きるのではないかという不安の声も住民には根強いのですが、取り組めるところに限りはあると思いますけれども、改めてこのプロジェクトが決まった意義と、今後の意気込み等をお聞かせください。
(答)冒頭で申し上げましたように、球磨川だけでなく、最上川も含めた2つの流域は、昨年の災害で地域として相当脆弱になっており、今年の出水期に合わせて対応することは急務だと思っておりますので、浸水被害箇所の堆積した土砂の撤去や、ソフト面でタイムラインの改善等を緊急的に実施しているところです。
そうした意味で、補正予算が昨日成立したことは大変有り難いことで、こうしたことを部分的に実施させていただきながら、今年の出水期までにできる限り再度災害防止に努めなければいけないと思っております。
調査・検討費については、事務方からお願いします。
(事務方)流水型ダムの調査・検討費については含まれておりません。
 
(問)Go To が再開するスケジュールとワクチン接種のスケジュールが重なっていきそうだという中で、ワクチンの接種に対する抵抗感が国民の中で強いという問題が懸念されています。
ある専門家から、「ワクチンの接種をした人がGo To  を利用できるというようなインセンティブも1つの考え方ではないか」という意見があるのですけれども、率直にそういった意見に対してどのように受け止められているか教えていただけますか。
(答)ワクチンの日程自体もまだ定まっておりませんし、1億数千万人の全国民が2回接種を受けることは大変大きな試みというか、取組なので、それを待ってということと連携することは考えておりません。
専門家と称する方はたくさん居られ、いろいろなことに私たちも非常に戸惑いがありますが、我々は基本的に、政府の対策本部の分科会における議論と提言を御指導として仰ぐことだと思っております。
これは私見になるかもしれませんが、新型コロナウイルスの正体が解明できていないため、様々な予見や可能性を指摘される専門家がいらっしゃいますが、そうしたことに1つ1つ影響されることは、私はリスクコミュニケーションとしては正しくないと思っておりますので、政府の対策本部の下での分科会の真摯な議論の上で出された提言を、我々はしっかり受け止めて対応するということです。
その提言の中で、ワクチンと絡めて行うべきだという話はないと思っております。
ただ、再開するに当たって、これまでどおりのGo To トラベルのやり方でよいのかどうか、感染拡大防止の観点から、予防的なことを条件にしなければいけないのではないかということは、省内での検討項目の1つですけれども、我々だけではなく、分科会の専門家会議の皆さんと相談していかなければいけないと思っています。
ただ、これは、俎上にも載っていない頭のトレーニングの段階ですので、具体的に行わなければいけない我々のプログラムとして、そういったものが存在するというわけではありません。
今は再開に向けてではなく、感染拡大防止に向けて、しっかり対応しなくてはいけないということに尽きます。
 
 

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