大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年7月21日(火) 11:01 ~ 11:30
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件つきましては、私の方からの報告はございません。
このほか、1点御報告させていただきます。
「Go To トラベル事業」におけるキャンセル料の取扱い及び団体旅行の取扱いについてです。
これまでも御説明させていただいているとおりですが、Go Toトラベル事業につきましては、観光関連業界や地域の関係者の皆さまから、現下の死活的に厳しい状況に鑑み、本事業をできるだけ早く、特に、多客期である夏休みが支援の対象となるようにという切実な要望が多く寄せられたところです。
このため、開始時期につきましては、観光関連業界と旅行者の双方に十分な感染防止対策を講じることを求めつつ、7月22日水曜日以降に開始する旅行から、まず、旅行代金の割引につきまして、先行的に開始することを7月10日金曜日に発表させていただきました。
他方で、足下の感染症の拡大傾向を受けまして、16日木曜日の夕刻に、安倍総理、菅官房長官、西村大臣、そして私の4者にて検討した結果、当面、東京を発着する旅行を除いて、今月22日水曜日から事業を開始とする案を、新型コロナウイルス感染症対策分科会の専門家の方々に御説明することとなり、同日の分科会での御議論を経て、御了解いただいたところです。
その旨を7月17日金曜日の会見で発表させていただきました。
前回の会見の際には、Go To トラベル事業の対象から東京発着をひとまず除くことに伴うキャンセル料の取扱いにつきましては、緊急事態宣言の後の取扱いと同様に、旅行会社等と旅行者の当事者間で、自然体で処理されるものとの期待感より、国としてキャンセル料の補償は行わないと申し上げました。
それによりまして、旅行会社等がキャンセル料を取らないという判断をしたケースも多くあると報告がある一方、旅行会社等にも実損が生じることから、キャンセル料を請求せざるを得ないケースも出てきているとの報告もありました。
そこで、7月10日に開始時期の発表後、7月17日までの間に予約された方々に対し、キャンセル料の取扱いについての十分な周知がなされなかったと判断をいたしまして、東京都を目的地としている旅行と、東京都に居住されている方の旅行につきましては、7月10日以降17日までの間に予約された旅行者はキャンセル料を支払わないで良いこととし、その旨を旅行業者等に徹底することとします。
また、旅行業者等が既にキャンセル料を収受している場合には、旅行者に対して返金するものといたします。
さらに、これらによりまして、旅行業者等に実損が生じる場合には、事業者に対し実損相当分を補填することといたします。
以上がキャンセル料の取扱いです。
次に、団体旅行の取扱いについてでありますが、前回の会見で、16日に開催されました新型コロナウイルス感染症対策分科会における御指摘を踏まえ、感染リスクが高いと考えられる重症化しやすい高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行、そして若者の団体旅行は控えることが望ましいという旨を申し上げたところですが、これらを一律に対象外にするという主旨ではありません。
このうち若者の団体旅行について申し上げれば、このような旅行は、無症状であることを自覚しないままに3密が発生する状況が作られる蓋然性が高いため、1つの類型として申し上げたものです。
他方、修学旅行や教育旅行のように、指導・引率の先生方がいらっしゃるなど、一定の規律に基づいて適切に旅行が実施されることが想定されるものにつきましては、基本的には、控えるべき旅行には該当しないと考えています。
いずれにいたしましても、この点について、旅行会社等の判断の参考となる具体的事例等を改めて示していく予定です。
詳細は後ほど事務方から説明させていただきます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)Go To トラベルについてお伺いします。
当初補償しない方針を示されていましたが、補償する方針に転換されました。
この理由について改めてよろしくお願いします。
また、先ほど補償のあり方について実損分を補償するというお話がありましたけれども、事業者、旅行者それぞれに対し、どういう形で補償していくのか、具体的な補償の仕方について改めてよろしくお願いします。
(答)1つ目の回答につきましては、冒頭申し上げたこととほぼ重なりますが、前回の会見の際に、Go To トラベル事業の対象から東京発着をひとまず除くということを発表させていただき、それに伴うキャンセル料の取扱いにつきまして御質問いただきましたが、緊急事態宣言の後の取扱いと同様に、旅行会社等と旅行者の当事者間で自然体で処理されるものと、そうした期待感より、キャンセル料の補償は行わないと申し上げました。
しかし、そのことによって、現場では私どもが承知している限りでは、旅行会社等がキャンセル料を取らないという判断をしたケースも多くある。
そうした報告がある一方、大変な状況にある旅行会社等にも実損が生じることから、キャンセル料を請求せざるを得ないケースも出てきていることから改めて検討させていただきました。
そこで、7月10日に開始時期を発表した後に、東京を除外するという発表をした17日までの間に予約された方々に対して、キャンセル料の取扱いについて十分な周知がなされなかったと判断し、7月10日以降7月17日までの間に予約された東京都に居住している方の旅行、また、東京都を目的地としている旅行について、キャンセル料は支払わないで良いことを決定し、その旨を旅行業者等に徹底することとしました。
また、既に旅行業者等がキャンセル料を収受している場合には、旅行者に対して返金するよう指示いたします。
さらに、これらにより旅行業者等に実損が生じる場合には、事業者等に対して実損相当分を補填することといたします。
(問)補償のあり方についてですけれども、旅行者、いわゆる予約していた方に対しては、キャンセル料が全額、例えば旅行代金の10%のキャンセル料が発生していたとした場合、この10%分が返ってくると。
(答)支払った人に対して。
ですから、キャンセル料は掛からないと。
既に支払った方にそのまま戻してもらうということです。
国からではなく、キャンセル料を支払った旅行会社からです。
(問)実損分というのはどういうことでしょうか。
旅行会社に出た実損分というのは、具体的に何割くらいとか、どういった形で計算するのでしょうか。
(答)それは、様々なケースがあるかと思いますが、例えば予約が入ったことで、食材の手配ですとか、既に予約してしまったことよって生じる実損分について補填するなど、キャンセル手続きの事務的な経費ですとか、何割というより実損に対して、キャンセル料金全てではなく、キャンセル料の中で旅行業者等が生じてしまう実損分については国として補填するということです。
先ほどの説明で混乱するといけませんが、旅行者に対して国が直接補填するわけではありません。
旅行者に対しては支払いを受けた旅行業者等が返金をする。
また、今後取らないということです。
(問)実際には、旅行業者に対しては手配料であったり、食材の料金であったり、実際に実損が出た分を政府側から処置すると。
(答)そうです。
様々なケースがあるかと思いますので、細かいことは後ほど事務方から説明させます。
 
(問)Go To トラベルについてもう1点伺います。
報道各社の世論調査で6割から8割の人が事業に反対であるとか、時期尚早だと受け止めています。
全国知事会でも県内や近隣県から段階的に広げるべきだという意見が出ていますが、こうした声について大臣の受け止めをお聞かせください。
(答)これまでも、会見の場でも何回か御説明させていただいておりますが、Go To トラベル事業は、ウィズ・コロナの新たな生活様式における「安全・安心な新たな旅行」のあり方の確立と定着を目指すものです。
私も申し上げておりますが、分科会の尾身先生をはじめ、こうあるべきだと御指摘もいただいております。
そして、どこまでいっても安全第一でありますし、安全で安心な旅行を確立するためにも、今回、旅行業者及び旅行者の双方の皆さまに対して、十分な感染防止対策を講じることを求めておりまして、その上で、東京の感染拡大の傾向の中から東京発着の旅行をひとまず本事業の対象外として、22日から事業は開始させていただくという決定を、先ほど申し上げましたように、総理、官房長官、西村大臣、私の関係4大臣において協議を行った上で、16日夕刻の新型コロナウイルス感染症対策分科会の専門家の方々の御意見も聞いて、政府全体として判断したところです。
全国知事会については、7月17日金曜日の夕刻に要請を直接受けた際に、会長の徳島県の泉知事及び御担当の農林商工常任委員長である広島県の湯崎知事から、今回東京発着を対象から除くことは、昨今の東京での感染拡大に対する地方での不安から、残念なことだがやむを得ない決定だと御評価いただきました。
加えて、今後、感染症の状況を注視しながら、本事業の柔軟な運営を行っていただきたい等の御意見を賜り、22日からの事業の開始については御了解いただいたものと認識しております。
いずれにいたしましても、Go To トラベル事業につきましては、引き続き感染状況を注視しつつ、また、感染症専門家の皆さま方の御意見、そして政府全体の方針等を踏まえまして、適切に運用していきたいと考えております。
 
(問)先ほどのキャンセル料の件ですが、旅行会社に補填する分の財源というのは、Go To トラベルの事業費から出すのか、どういうところから財源を出すのでしょうか。
(答)Go To トラベル事業の事業費からということになろうかと思います。
 
(問)キャンセル料の補償、実費の補填についてですが、実際支払った、今後支払う可能性のあるキャンセル料の多寡に関わらず、そことは関係なく掛かった実費分を補填する、そういう主旨でよろしいでしょうか。
(答)今日の発表をもって、キャンセル料を取らないということですし、既に支払った分についてもお返ししてもらって、キャンセル料を旅行者は負担しないということです。
(問)つまり、国が旅行業者に今後補填するお金というのは、今まで支払われたキャンセル料や今後支払う可能性があったキャンセル料、そこの多寡とは全く関係ない、掛かった食材費や人件費などそういう部分の実費のところを補填する、そういう枠組みですか。
(答)キャンセル料丸々ではなくて。
(問)ですから、そこの多寡とは関係ない別のところの部分を補填する、そこの部分で掛かった実費を補填する内容でよいのでしょうか。
そこの部分が分かりにくかったので教えてください。
(答)キャンセル料の内の実損部分です。
(問)そこが上限になるということですね。
わかりました。
業者の登録についてですが、説明会も今日から始まりますし、当初の予定では旅行業者1万者、ホテル・旅館5万者を登録する予定だと思いますが、今日の時点での登録状況を教えていただきたいのと、今後、自分が登録できているかどうかわからない上での見切り発車になる部分もあるのかと思いますが、業者が登録されたかどうかというのは、申請段階で登録されるのか、それとも申請日と登録の確認日が別になる可能性があるのか、どのように登録され、割引対象となるのでしょうか。
(答)正確には事務方から答弁させていただきますけれども、前回の私の会見で申し上げたのは、22日から26日まで当初の何日間はシステムが間に合わないので、該当した場合は割引分を直ちに送金するという仕組みを申し上げました。
その際に、今言われたように泊まった旅館やホテルがこの事業に該当するかわからないので、対象外であればそれができませんけれども、対象となれば還元させていただきますということは、旅行者への告知を徹底してまいります。
ですから、現実的には、そのホテル、宿泊利用者が後付けで対象となるかどうか分かるということも実態としてはあると思います。
(問)つまり、申請を22日までにしていれば、その業者は22日からの宿泊が対象になる可能性があるということですか。
(事務方)後ほど記者ブリーフィングの場で御説明させていただきますが、事業者の公募に関しましては、本日公募を始めております。
その募集要領、事業者の要件等も、後ほど記者の皆さまに紙を配付しまして詳しく御説明させていただきます。
(問)結局どっちになるのですか。
(事務方)登録申請につきましては、本日から登録申請を受け付けますので、例えば、明日の時点で登録が完了していなくても、後日登録が完了しましたら、旅行代の割引分の還付の対象となります。
(問)申請日ベースになるということですか。
(事務方)申請時から遡ってということになります。
 
(問)Go To の関係で先般の豪雨被災地の観光支援についてお伺いしますが、施設そのものが被災しただけではなく、周辺の道路や鉄道が使えない影響もあって、Go To トラベルが明日から始まるにしても、その効果が期待できないという指摘もありますが、先日、大臣から踏み込んだ対策をされるというお話がありましたけれども、もう少し具体的にどのような対応をされるのかお考えをお聞かせください。
(答)今回の令和2年7月豪雨災害で被災された観光地は、既に新型コロナウイルス禍によって多大な影響を受けた上、更に豪雨災害ということで、まず、九州地方では110の宿泊施設が被災したほか、多くの施設が臨時休業の状態となっていて、岐阜県や長野県でも甚大な影響が発生しているものと承知しております。
国土交通省としましては、九州、北陸信越及び中部運輸局に今般の豪雨に対応する特別相談窓口を設置するなど、被災事業者にしっかり寄り添いながら支援を行うべく取り組んでいるところです。
私自身も、先週15日に九州の被災地を訪問し、被災された方々の声を伺う中で、宿泊事業者をはじめとする観光事業者の皆さまが非常に厳しい状況にあることを改めて確認させていただきました。
それを踏まえ、今般の豪雨への対応といたしましては、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に向けた対策パッケージのとりまとめ、これは総理から指示が出ておりますので、関係省庁等と連携し、宿泊事業者の方々への支援策をしっかりと盛り込むよう指示をしております。
検討を進めているところでありますが、グループ補助金の活用など、1日も早く事業を再開できるように、そして、御指摘のように旅館やホテルだけが再開してもなかなか難しいので、アクセス、道路、鉄道等の復旧・復興に全省を挙げて全力で取り組んでまいります。
Go To トラベル事業につきましては、こうした被災地においては、直ちに活用できないケースも多々あると承知をしておりますので、状況が落ち着き次第、被災地の皆さまにも、このGo To トラベル事業の効果がしっかり届けられるように適切に執行管理を行ってまいります。
ですから、この間に全ての予算がなくなって、今回被災された地域がGo To トラベル事業の効果を裨益することができないということがないように、しっかりと対応していく、これはお約束をしたいと思います。
 
(問)キャンセル料の問題に戻るのですが、キャンペーン自体は、需要を喚起する大義があったと思うのですけれども、こういう国の方針転換によってキャンセル料が生じてしまって、それを予算で使うことに対して大臣としてどのように思われますか。
(答)もう一度質問していただけますか。
(問)もともとGo To キャンペーンは需要喚起策だったと思うのですが、この予算を方針転換によって生じたキャンセル料金に充てるということについてはどのように思われますか。
(答)方針転換とおっしゃられますけども、感染症拡大の中で、専門家の先生方からの御助言で、東京の発着については除外するのが妥当だろうと、そうした御指導をいただいて、政府として決定をしたということです。
全国知事会からも感染状況の推移を注視しながら柔軟に対応をしてほしいと、そうしたことを受けた一般的な措置だと思います。
そうした中で、東京在住の多くの方がこの期間の旅行を楽しみにしておられ、逆に東京の観光事業者が、多くの方に来ていただくことを期待されていた中で、対象から外れるということに対して一定の対応をするということは、それはやるべきだということで今日の発表に至ったということです。
ですからそのことについて、感染症の状況を見ながら今後も適切に運用していくということですので、それはキャンセル料についてもその一環だと思っていますし、これは全体としてGo To トラベル事業を円滑に進めていくための必要な費用だったのではないかと思っています。
 
(問)JR北海道の経営問題についてお聞きしたいのですが、JR北海道に監督命令を出してから27日でちょうど2年になるのですけれども、この間の経営改善をどのように見ているのか、評価できる点、改善すべき点などをお聞きかせください。
また、先日の北海道視察でも北海道知事などから国の支援について要望があったと思うのですが、今回の新型コロナウイルスの影響も踏まえた今後の支援方針についてお聞かせください。
(答)国土交通省は、2年前の平成30年7月にJR北海道に対しまして経営改善に向けた取組を着実に進めるよう、監督命令を発出いたしました。
これに基づき同社は昨年4月に長期経営ビジョン、中期経営計画及び事業計画、アクションプランを策定し、公表されたところです。
先日私もJR北海道の社長とお話をして、様々意見交換をさせていただきましたが、現在同社では、これらのビジョン等に基づいて、例えば新千歳空港アクセス輸送の強化ですとか、昨年10月に実施された運賃の値上げ等で増収策を図っていらっしゃいます。
また、資材調達コストの低減等のコスト削減策にも取り組んでおられることを確認させていただきました。
国土交通省といたしましても、四半期ごとにこれらの取組の実施状況の検証を行っており、JR北海道が本年2月に公表した令和元年度の連結通期業績予測では、新型コロナウイルスの影響が顕在化する前のものでありますが、経常損失は108億円となって、計画比では赤字が4億円縮減されると見込まれるところです。
残念ながら、その後の新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、JR北海道の旅客数が大幅に減少しておりまして、今、大変厳しい状況に直面しているわけです。
今後、JR北海道の経営自立に向けた構造的な課題につきましては、こうした新型コロナウイルス禍の影響や北海道の特殊的な事情、こうしたことも踏まえてしっかり腰を据えて議論を行っていく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、JR北海道に対する支援の期限は現行法上、令和2年度末までとなっております。
国土交通省としては、新型コロナウイルス感染拡大による影響もしっかり踏まえつつ、また、JR北海道による経営改善に向けた取組状況を評価した上で、令和3年度以降の支援の継続等、必要な対応を検討してまいりたいと思っています。
大変広大な面積で、人口密度も低い中で、しかし、住民の皆さんにとっては、また、観光にとっても重要な路線であることは私も十分理解しているつもりでありますので、JR北海道、関係者、国土交通省、しっかりと意見交換をしながらあるべき姿の支援を行っていく、そういう決意です。

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