航空

日本エアシステムで発生した重大インシデント調査結果の概要について

平成12年4月28日公表
1.東京国際空港における誤認着陸(2月28日発生)

(1)概 要

 2月28日、JAS346便(北九州発羽田行)ダグラス式DC-9型機が、16時10分、東京国際空港の供用開始前の新B滑走路(3月23日に供用開始)に誤着陸した。
搭乗者(計99人)の負傷、機体の損傷等はなく、他便への影響等はなかった。

(2)航空局の調査結果(原因等)

機長及び副操縦士は、出発前及び着陸前のブリーフィング時に、新B滑走路の誤認防止について再確認を行わないまま、

進入路指示灯の現B滑走路への指示コースから逸脱し、また、新B滑走路の進入灯の橋脚を現B滑走路のものと誤認し、滑走路に正対した後も、誤認に気づくことなく進入を継続したことによるものと推定。

更に、機長は、当該機の運航状況全般を監視しながら、副操縦士の操縦を指導監督すべき立場にあったが、副操縦士の操縦操作に対する指導に集中してしまい、誤認に気がつかなかったものと推定。

(3)航空局の対応等
航空局では、新B滑走路への誤認着陸防止のため、

(i)現B滑走路において、進入灯を常時点灯(通常は視界不良時、夜間時のみ点灯)するという対策、及び
(ii)工事中の新滑走路に禁止標識「×印」を設置するという対策を講じていた。

 また、誤認着陸防止対策の内容については、乗員が確認する義務のある航空情報により、平成11年1月から新B滑走路供用開始までの間、周知していた。

重大インシデント発生後、新B滑走路供用開始までの間、航空管制官が着陸許可を発出する際には、現B滑走路への着陸を再確認するよう乗員に注意喚起を行った。


2.青森空港におけるオーバーラン(3月9日発生)

(1)概 要
 3月9日、JAS751便(大阪発青森行)ダグラス式DC-9型機が、10時17分、青森空港(滑走路長2,500m)に着陸後、滑走路末端から約145メートル オーバーランして停止した。
搭乗者(計159人)の負傷はなかったが、機体の一部を損傷した。

(2)航空局の調査結果(原因等)
機長が、機体を接地させる直前には、エンジン推力を絞るべきところ、エンジン推力を絞りきらない状態で、機体の引き起こし操作を行ったため、機体が接地せず、浮揚を続けたものと推定。
 その後、右方向に偏向し始めた機体を修正しようとして、一時的にエンジン推力を再度増加させたため、接地点が更に延びることになったものと推定。

本事案は、着陸の際、接地点が大幅に延びそうな場合には躊躇せず直ちに着陸復行をすべきところ、これを行わずに着陸した結果、オーバーランしたものと推定。


3.上記に対する再発防止策

 航空局は、日本エアシステムにおいて、乗員の操縦操作が関与したインシデントが3件(重大インシデント以外1件を含む)発生したことにかんがみ、3月9日、同社に対し、厳重注意を行うとともに、再発防止策を講じるよう指示した。
これを受けて、同社は、3月31日、航空局に対し、再発防止策について回答を行った。その概要は以下のとおり。

○重要な航空情報の確認の再徹底
全乗員に対し、重要な航空情報を自ら確認するのみならず、乗員相互に確認すること等を再徹底させた。

○冬期運航における基本操作の再徹底及び乗員の技量点検
全乗員に対し、接地点が延びた場合は躊躇せず着陸復行する等の基本操作及び冬期運航に関する知識を再徹底し、また、冬期運航のみならず基本操作・手順についても、実機による点検・確認を現在実施中。

○模擬飛行装置(シミュレーター)による着陸訓練の実施
再発防止のため雪氷滑走路の着陸訓練を本年3月からDC-9型機の全機長に対して実施中。また、他機種においても、今後、模擬飛行装置による定期訓練の機会を捉えて、雪氷滑走路の着陸訓練を全機長に対して実施予定。

○乗員の技量の日常的確認
各乗員の操縦操作の日常的な傾向を飛行データ記録装置により分析し技量の向上を図る予定。(来年度より順次機体を改修し実施する予定)

○クルー・リソース・マネジメント(CRM)訓練の充実・強化
現在、全乗員を対象として毎年1回実施しているCRM訓練(注)について、今後充実・強化を図っていく予定。

(注)安全で効率的な運航を達成するため、通常状態、緊急事態等における乗員の対応能力を向上させるための訓練。



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