第3回「観光経営マネジメント教育推進ワーキンググループ」開催報告
最終更新日:2011年3月4日
1.概要
観光庁では、平成18年度より「観光関係人材育成のための産学官連携検討会議」の開催等を通じて、産学官が連携した観光関連産業における人材育成の推進に努めており、その中でも「観光経営マネジメント教育」の更なる普及・推進について、ワーキンググループを開催して、具体的な課題の検討等を行っている。
3回目の開催となる今回のワーキンググループでは、平成23年度実施施策の方向性についての議論を進めるとともに、今年度の産学共同研究の成果を活用したケース教材の実証授業における課題報告と今後の活用法に関する意見交換、及び今年度の総括を行った。
2.開催日時・場所
平成23年3月1日(火)15:00~17:00(於:観光庁国際会議室)
3.出席者
4.主な議事
(1)観光経営マネジメント人材育成に関する産学官連携
観光経営マネジメント人材の拡大のためには、教材と教員の拡充や研究の高度化、教育方法の充実、産学官連携のあり方に関する議論の深化が必要となる。
そこで、平成23年度は、「研究の充実」「教育の充実」「成果の普及」を柱として、
・産学共同研究の拡充及びその研究成果の発表会
・多企業連続型インターンシップ、レベル別の実務者向けセミナー及び最先端の研究者による研究・教育者向けセミナー等
・カリキュラムモデルやケース教材の大学等への個別説明、観光立国実現に向けた人材育成施策の報告会
等を実施する。
また、来年度も今年度同様、ワーキンググループが中心となって産学官連携のあり方に関する議論を継続していくことに加え、「人材」及び「研究」に関する分科を新たに設置し、施策を具体化していく体制を作る。
(2)産学共同研究に基づく実証セミナーの実施成果と課題
今年度の産学共同研究の成果を活用したケース教材による学部生に対する実証セミナーを通じて、担当講師・参加学生・オブザーバーから得られたアンケート結果から抽出した成果と課題を報告した。
その中で、学部教育においてケース教材を使用することは有効であるが、基礎・理論についての事前講義やインターンシップなどの実務経験を組み合わせたカリキュラム構成、「観光」に興味を持たせるためのマインドづくり、議論を活発化させる講義運営の工夫が必要であること、研究者によってケース教材の作り方(情報量や構成等)にバラツキがあること等の意見が出された。
(全体を通じての主な意見)
・観光関連産業は、厳しい経営環境にある企業が多いため、事前に協力を得て、事業再生のコンサルを兼ねた共同研究を実施し、その成果を通じたリアルな教材を開発して、学生に観光関連産業の現状を見せることが必要になるのではないか。
・部外講師を招いた社内研修では、ケースで扱う事例が古いことが多い。
数年前と同じであることもあり、学びのモチベーションにつながらない。
モチベーションを高めるには、今回のケース教材のように、現在発生している事象、今後どうするかというような、新鮮な内容であることが重要である。
・ケース教材を使用した講義に、ビデオ・TV・写真などを用いた臨場感を持たせる工夫をすると、理解が深まり議論が活発になる。
・さらに、学生に興味を持たせるには、他で触れることができないそこだけでのデータや経験談の提供と、これまで概論などで学んできたことを実務の現場にどう落とし込めるかということを見せること、の2つが考えられる。
・議論の時間が短く、意見が出にくいという問題の解決には、まず自分でケースを読んで意見形成し、次に小グループでのディスカッションで違う視点での意見も聞いた後、本講義での全体ディスカッションに臨むという3段階で学習に取り組むという方法がある。
・学部生は興味があっても実務経験がないため、理論を補完する補助教材とケース、インターンシップ等の実務経験を組み合わせて、立体的に学ぶ環境を作る必要がある。
・学部生に対しては、全ての講義でケース教材による議論を行うのではなく、経営学の基礎講義、ケース教材での議論、実務者の講義や意見交換、というように授業計画の一環としてケース教材を活用することで、より高い教育効果をもたらすのではないか。
・ケース教材を作成するにあたっては、受講する学生を意識したが、レベルの設定に戸惑った。全国の大学に教材として展開するのであれば、様々な学生に同様な効果を期待できるかどうか検討する必要がある。
・大学にケース教材を使用した講義を普及するのであれば、大学の経営学部や商学部等に対して、経営の基礎をしっかりさせ、理論の理解を深める有効な手段となるという勧め方が受け入れられやすいのではないか。
・観光業界全体が活性化するためには、地方に点在する中小の事業者にまで、人材育成や研究の領域を広げていく必要がある。
・マネジメント人材の育成の目標とそれを実現しようとする期間によって、実務者へ教育を行うのか、大学でマネジメントスキルを教えるようにするのかなど、教育対象・内容の優先度を変える必要がある。
年限を区切った人材育成のロードマップが必要になるのではないか。
観光庁観光産業課
深見、西岡
代表 03-5253-8111(内線27-309)