副大臣・大臣政務官会見

大西副大臣会見要旨

2020年10月14日(水) 11:03 ~ 11:35
国土交通省会見室
大西 英男 副大臣 

質疑応答

(問)副大臣に御就任に当たり、優先的に取り組みたい政策など、抱負についてまずお聞かせください。
(答)皆さんおはようございます。
この度、国土交通副大臣を拝命しました大西英男です。
すごいですね、国土交通省というのは。
陳情も毎日、全国から数件ずつ受けておりますし、仕事も国民の皆さまの安全・安心の確保、持続的な経済成長の実現、豊かで活力のある地域づくりといった、大変重要かつ広範な、幅広い分野を担当しております。
今回、私は副大臣として、安全・危機管理及び海上保安、国土政策、都市、道路、住宅、海事、港湾、航空等の分野を担当することになっております。
正に、陸から海から空まで。
責任は極めて強いものと感じております。
その中で申し上げますと、まずは、安全・危機管理を担当する立場から、新型コロナウイルス感染症対策の徹底が重要です。
事業者における「感染拡大予防ガイドライン」の徹底と、公共交通の利用者や旅行者への「新しい生活様式」の定着に取り組んでまいります。
また、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が間もなく切れるわけですけれども、骨太の方針に基づき、中長期的な視点に立って、必要・十分な予算を確保した上で、防災・減災、インフラ老朽化対策などの国土強靱化や、地域活性化に直結する道路・港湾・空港等の社会資本の整備を戦略的に推進してまいります。
併せて、造船業などの海事産業の再構築を図り、安定的な海上輸送の確保にも取り組んでいきます。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大を契機とした働き方や住まい方の変化を踏まえ、二地域居住の推進や、3密の回避など「ニューノーマル」に対応したまちづくりなど、多核連携型の国づくりに向けてしっかりと取り組んでまいります。
加えて、近年増加する中国公船の領海侵入や外国漁船の違法操業など、厳しさを増す我が国周辺海域を取り巻く状況を踏まえ、海上保安体制を強化するなど、我が国の領土・領海の堅守に全力を挙げてまいります。
赤羽大臣は、国土交通省の直面する様々な課題に対し、現場第一主義で取り組む姿勢を重視されています。
私も、同じ姿勢で取り組み、国土交通行政がしっかりと前に進むように、国民の皆さまの信頼に応えられるように努力をしてまいりたいと思っております。

(問)もう1問お伺いいたします。
御担当されている航空分野についてですが、新型コロナの影響で、航空業界、大手からLCCを含めて、厳しい経営環境になっておりますが、現状の御認識と今後の必要な支援策をどう考えていらっしゃるかお聞かせください。
(答)御指摘のとおりです。
かつて我が国の歴史上、こんな時代はありませんでした。
航空会社については、便数・旅客数ともに対前年比で大幅に減少している状況が御指摘のように続いています。
厳しい経営環境にあると認識しておりまして、これまで政府では、航空会社に対し、着陸料や航空機燃料税等の支払い猶予や、日本政策投資銀行の危機対応融資等により資金繰りを支援しているほか、雇用調整助成金などの支援も講じてきているところです。
さらに、「Go To トラベル事業」を通じて、感染拡大防止対策を徹底しながら国内観光需要を回復させるとともに、水際対策を徹底しつつ、段階的に出入国規制を緩和することなどにより、経営環境の好転を図っているところです。
航空各社においては、経営効率化に向けた検討・取組を進めていると承知しており、国としても、国民の移動の基盤的なインフラである航空ネットワークを適切に維持する観点から、各社の意見を聞きながら、必要な対応を検討しているところです。
それこそ今、コロナによって様々な影響を受けておりますけれども、これまで人類は多くのウイルスとの闘いの中で、それを科学技術の結集によって乗り越えてきました。
私たちも、ポストコロナの時代、新しい時代が訪れることを期待していきたいと思っています。

(問)国土政策と都市政策についてお願いいたします。
今ほど、コロナの件で触れておられましたけれども、新型コロナウイルス感染拡大が進む中で、ポストコロナ時代における国土政策と都市政策の方針について御所見をお願いいたします。
(答)新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、テレワークが進展しているということ、新しい生活様式が始まっていることだと思います。
住まい方や働き方、ライフスタイルに大きな変化がもたらされており、こうした変化を踏まえ、ポストコロナ時代の都市政策や国土政策を進めていく必要があると考えています。
都市政策については、例えば、職住近接のニーズに対応したまちづくりの推進、ゆとりある緑とオープンスペースの充実、リアルタイムデータ等を活用した過密を避けるような人の行動の誘導など、都市の持つ集積のメリットは活かしつつ、「三つの密」の回避など、「ニューノーマル」に対応した都市政策を進める必要があると考えております。
また、国土政策について、例えば、テレワークやオンライン会議の拡大等のデジタル化の推進による接触機会の軽減、二地域居住やワーケーションによる豊かで健康的な新しい暮らし方や働き方の推進、豊かな自然、特色ある産業、固有の歴史・文化・伝統など、我が国が本来強みとして有する個性ある地域づくりなど、将来世代を含めて誰もが安全で豊かさを実感できる持続可能な国土政策を進めていく必要があると考えております。
このため、有識者会議において、今後目指すべきまちづくりの方向性や、これを実現するための都市政策について検討を進め、今後の施策につなげていくとともに、国土審議会において、これからの国土のあり方についての議論を進め、新たな国土形成計画の策定にもつなげてまいります。
私も4人の子供がおりまして、それぞれ連れ合いがおります。
そして、我が家では3世帯住宅で暮らしておりまして、息子夫婦、共稼ぎですけれども生活実態がよくわかります。
テレワークが週4日間くらい進められているのではないかと思います。
それによって、昼休みの子供との触れ合いとか、あるいは夜の団らんとか、様々な効果が家庭に現れてきているのではないかと思います。
ですから、是非マスコミの皆さまにお願いしたいのは、私、総務大臣政務官の時代にテレワークの担当でもありました。和歌山の施設や地域をいろいろ視察しましたけれども、実に充実した仕事を皆さん、東京から離れてやってますよね。
朝早くに起きて海岸をマラソンする。
そして夕方は仕事を終えてから泳いだり、釣りに出たりしている。そして、仕事はしっかりとテレワークで東京の本社と連絡を取りながらやっている。
こういうような生活様式を実現していくために、国土交通省も努力をしていかなくてはいけないと思いますし、ある意味では地方創生です。
それによって和歌山の地方都市は大変賑わっています。
住民税をその地域で払うことによって、地方の財源を増やす意味でも大きな役割を果たしているわけでして、コロナに恐れることなく、怯えることなく、アフターコロナの世界の中で、より私たちが充実した生活が送れるような流れを作っていかなければいけないと思っております。

(問)所管なさる道路、港湾、空港についてのインフラの整備、または老朽化対策について御所見をお聞かせください。
(答)私、副大臣に就任して以来、1日に数件、あるいは朝から夕方まで陳情に追われるくらい、多くの全国の方々から要望をいただいています。
私どもは、道路のインフラ整備は、激甚化・頻発化する自然災害、本当に異常気象です。
今これは、そんなにすぐに解決できるものではないと思うのです。
これから、あるいはコロナよりも長く、こういった気候変動による激甚災害は増えていくと思うのです。
これに対してしっかりとしたインフラ整備をしていかなければならないと思っているわけです。
防災・減災・国土強靱化の観点で言えば、災害時においても道路交通を途絶させない、たとえ途絶することがあっても速やかに機能を回復することが、本当に求められています。
国土交通省としては、ミッシングリンクの解消や、高速道路の4車線化を推進するとともに、主要な都市間を結ぶ区間については、高速道路と並行する直轄国道が連携して機能するよう、整備を進めていきたいと思っています。
老朽化、これは本当に大きな課題です。
道路の老朽化対策については、施設の高齢化が急速に進む中で、待ったなしの課題です。
2018年度までの1巡目点検により、5年以内に修繕等が必要と確認された橋が、なんと7万橋もあるというのです。
特に、地方公共団体の管理する約6万3000橋については、約7割が修繕等に未着手です。
一方、5年前におおむね健全とされた橋梁の5%が、今回の2巡目点検において、修繕等が必要な状態へと変わっています。
時間の経過とともに修繕等の必要な橋梁が増えることが確認されたことから、老朽化対策の取組を更に加速させる必要があると、深く認識しております。
国土交通省としては、予防保全へ早期に移行することを目指して、今年度創設した「道路メンテナンス事業補助」制度を活用するなど、必要な予算を確保し、財政的な支援に努めるとともに、新技術の活用促進等、技術的な支援等により、地方公共団体における老朽化対策が着実に推進されるよう支援してまいります。
インフラの中で、今、道路や橋を中心に語りましたけれども、それだけではなく、港湾もしかり、航空分野もそうです。
港湾分野のインフラ整備、老朽化対策については、港湾のインフラ整備は「国民の安全・安心の確保」、「持続可能な経済成長の実現」や「豊かで暮らしやすい多核連携型の国づくり」に不可欠なものと考えています。
国民の安全・安心の確保の観点からは、頻発化・激甚化する自然災害や大規模地震・津波等に屈しない強靱な国土づくりを推進するため、3か年緊急対策後も中長期的な視点に立った計画的な取組を行っております。
さらに、航空分野については、「明日の日本を支える観光ビジョン」が定める、訪日外国人旅行者2030年6000万人等の目標を設定しているわけで、これを達成するために、基盤整備として大変重要なものと認識しております。
まず、首都圏空港においては、年間100万回の発着容量の実現に向け、取組を進めていきます。具体的には、成田空港の第3滑走路の整備等に関し、空港会社が目指す2028年度末の供用に向け、地元自治体等の関係者と連携して、最大限努力してまいります。
地方空港においては、ゲートウェイ機能を発揮していくため、福岡空港の滑走路増設事業、那覇空港のターミナル地域の機能強化等に引き続き取り組んでまいります。
また、航空分野の老朽化対策については、航空機の安全運航に支障を及ぼさないよう、予防保全的な考え方の下、計画的な空港施設の点検や修繕の実施、新技術を活用した効率的な維持管理の推進、国が有する維持管理ノウハウを地方空港管理者等と共有するための会議の定期的な開催などに、引き続き取り組んでいきたいと思います。

(問)住宅分野について伺います。
先程来、「ニューノーマル」への対応ですとか、新しい「住まい方」についても御発言されていますけれども、それ以外にも「住生活基本計画」の見直し、これは5年ごとのものが、来年3月を目安に、今、正に議論の大詰めを迎えているところで、中長期的な住宅政策というものが議論されているところだと思うのですけれども、コロナとそれ以前からのものも含めて、課題ですとか、今後、重点的に取り組まれていきたいとお考えになっているテーマについて、お聞かせいただけますでしょうか。
(答)住宅政策の基本的指針となる住生活基本計画、御指摘のとおりです。
国民1人1人が豊かさを実感できる住生活の実現に向けて、来年3月を目途に計画を見直すこととしております。
今後の住宅政策においては、若年・子育て世代や高齢者も含めた多様な居住ニーズに応える環境づくり、さらには、住宅ストックの有効活用に向けた既存住宅流通・リフォーム市場の活性化と、増加する空き家の利活用、新型コロナウイルス感染症を契機とした「新たな日常」や、激甚化・頻発化する災害等に対応した安全な住まいの実現等に重点的に取り組み、住生活基本計画の見直しに向けた議論を、しっかりと進めてまいりたいと思います。

(問)港湾分野についてお聞きしたいのですけれども、今後の国際コンテナ戦略港湾政策や、インバウンド再開に向けたクルーズの対策等について、何かお考えがあればお願いします。
(答)来年度概算要求を踏まえて、3点申し上げたいと思います。
1点目は、国民の安全・安心の確保です。東日本大震災や令和2年7月豪雨などの大規模自然災害からの復旧・復興を推進します。
また、頻発化・激甚化する自然災害や大規模地震・津波等に屈しない強靱な国土づくりを推進するため、3か年緊急対策後も中長期的な視点に立った計画的な取組を行うとともに、施設の老朽化に対応するため、新技術やデータの利活用による戦略的な維持管理を推進するなど、引き続き、ハード・ソフトを総動員した防災・減災、国土強靱化を推進してまいります。
2点目は経済成長の実現です。
必要なハードの整備に加え、「ヒトを支援するAIターミナル」の実現や、港湾関連データ連携基盤を活用した安全・効率的かつ非接触型の物流システムの構築などにより、国際コンテナ戦略港湾及び国際バルク戦略港湾の機能強化等によるサプライチェーンの強靱化を推進してまいります。
また、クルーズ船については、先月9月18日に「クルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめ」を公表し、同時に、国内クルーズに係るガイドラインが関係業界から公表されたところです。
早ければ10月の末、11月からはクルーズ船の運行が開始されると聞いております。
国際クルーズについては、国内外の感染状況、我が国を含む諸外国の水際対策の動向等を踏まえつつ、引き続き安全対策について検討を進め、安心して楽しめる環境づくりに取り組んでまいります。
3点目は豊かで暮らしやすい多核連携型の地域づくりです。
地域の基幹産業の競争力強化のための港湾整備、産地・港湾の連携による農林水産物、食品の更なる輸出促進、「みなと」を核とする魅力ある地域づくり、離島の生活の安定確保など多様なニーズに対応するとともに、再生可能エネルギーの利用促進に資する港湾空間の形成、脱炭素化への取組など、持続可能な社会の形成を推進してまいりたいと思います。

(問)海事分野についてお伺いします。
造船業など不況になっていますが、今、コロナ対策で船員の交代もできない状況になっており、課題も山積しているところですが、注力したい海事分野での施策についてお伺いできればと思います。
(答)貿易立国日本、海洋国家日本ですから、海事政策は本当に大事だと思っております。
海事産業の再構築プランについては、四面を海に囲まれた我が国において海上輸送は重要な経済インフラです。
ともすると、アジア地域で日本の海事政策の遅れが指摘される分野もあるわけです。
近年、造船分野では、中国・韓国の自国産業支援の影響、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う造船の新規受注や荷動量の減少等により、我が国海運業・造船業等の海事産業は大変厳しい状況と承知をしております。
そこで、海事産業の再構築を図り、安定的な海上輸送を確保することが最重要課題となってきております。
このため、海運業と、その物的基盤である造船業及び人的基盤である船員のそれぞれの分野に対して、総合的かつ一体的に必要な施策を進めてまいりたいと考えております。
今後、法改正も含めた支援制度の構築等を通じて、海運業の競争力強化、造船業の競争基盤の強化、船員の労働環境整備等に取り組んでまいります。

(問)先ほど抱負の中でも触れられましたけれども、昨日もそうですが、中国の海警局の船が尖閣周辺に頻繁に出てきていますが、今の動きについての副大臣の御認識と、今後の対応についてお聞かせください。
(答)これは全国民が中国側の動向に対して不断に注意をしていかなければならない、日本の安全保障上の大事な問題だと思っております。
10月11日午前10時47分頃から、中国公船2隻が尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、13日午後8時26分頃まで、57時間30分超、尖閣諸島付近にとどまっていたわけです。
そして中国は尖閣に対するこうした行為を強めてきています。
海上保安庁では、領海に侵入した中国公船に対して、領海からの退去要求を繰り返し行うとともに、日本漁船の周囲に巡視船を配備して、安全確保をするなど適切な措置を講じています。
中国公船の動静に関する中国側の活動の意図について、私は申し上げる立場にはありませんが、本年に入り、我が国の領海内で日本漁船への接近事案が繰り返し発生していることに加え、長時間に渡って中国公船が我が国領海に侵入していることは、極めて深刻です。
是非、マスコミの皆さまから、それぞれの機関を通じて国民に知らしめていただきたいと思っております。
いずれにしても、海上保安庁としては、今後とも我が国の領土・領海を断固として守り抜くという方針の下で、関係機関と連携し、事態をエスカレートさせないよう冷静に、かつ、毅然として対応を続けるとともに、領海警備に万全を期していかなければならないと思っております。
海上保安庁が自衛隊と共同して海賊対策にアフリカに赴いているという事実は御存じですか。
これは過酷です。
今、コロナ禍の中、1日も下船できずに半年間ずっと海賊対策を続けています。
私は、こうした私たちが知り得ないところで、海上保安庁の職員が本当に身命を賭して我が国の安全、アフリカの航路というのは、日本は貿易立国ですから、あそこで石油を止められ、輸入資源が止められたら日本国は立ち行かないことになってしまうわけで、こういう所で頑張っていることも、是非皆さんの方で、アフリカに行ってもらってもよいですが、報道していただくと心強いと思っております。

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