副大臣・大臣政務官会見

御法川副大臣会見要旨

2019年10月2日(水) 10:00 ~ 10:22
国土交通省会見室
御法川 信英 副大臣 

質疑応答

(問)副大臣として優先的に取り組む政策等、副大臣就任にあたっての抱負をまずお願いします。
(答)国土交通省は、被災地の復旧・復興、社会資本の整備、交通政策の推進、観光先進国の実現、そして領土・領海の堅守など、重要かつ幅広い分野を所掌しております。
今回、私は副大臣として、災害対策、建設産業、鉄道、自動車、観光等を担当することになっております。
その中で申し上げますと、国民の安心・安全を守る「防災・減災」や「国土強靱化」の推進が重要だと考えております。
災害の発生を未然に防止するため、昨年12月にとりまとめた「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」について、ソフト・ハードの両面から集中的に対策を進めてまいります。
また、東日本大震災など、近年頻発する自然災害からの復旧・復興についてもしっかりと取り組んでまいります。
次に、観光はわが国の地方創生や成長戦略の柱です。
来年、2020年訪日外国人旅行者数4000万人等の目標達成に向け、「観光先進国の実現」のための取組をしっかりと進めてまいります。
さらに、わが国は世界が経験したことのないような人口減少、超高齢化社会を迎えています。建設業や自動車運送業など、国民生活やわが国の経済を支える重要な産業において、担い手の確保に向けた働き方改革や生産性向上の取組を進めてまいります。
赤羽大臣が重視されている国民の安全・安心の確保をはじめ、わが国の持続的な経済成長や豊かな国民生活の実現に向けて、私も全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

(問)インフラ整備と維持管理・老朽化対策について、所管される水管理・国土保全分野の方針、お考えをお聞かせください。
(答)今年の8月の佐賀県六角川の水害、昨年の西日本豪雨、一昨年の九州北部豪雨等、近年、毎年のように全国各地で激甚な水害・土砂災害が発生しています。
今後、さらに地球温暖化による気候変動の進行が懸念されていることなども踏まえると、一層スピード感を持って治水対策をはじめとしたインフラ整備を進めていく必要があると考えております。
このため、岡山県の小田川等の被災河川における河川改修等を短期集中で完了させる等、復旧・復興を進めてまいります。
また、河道掘削や堤防強化等の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を着実に進めてまいります。
さらに、災害の発生を未然に防止する「事前防災対策」を着実に進めていくことが重要であることから、引き続き、河川改修やダム建設等の対策等も進めてまいります。
また、高度成長期以降に整備された社会資本について、建設後50年以上経過する施設の割合が急速に上昇しており、「予防保全」への転換や、新技術の開発・導入等によるトータルコストの縮減・平準化を図りつつ、維持管理・更新に取り組んでまいります。
特に、これまでに整備された水門等の大規模施設は、高度経済成長を支える地域の基幹インフラとして機能してきましたが、今後、順次耐用年数を迎えることから、状態監視を踏まえつつ、計画的に更新を進めてまいります。
維持管理を確実に実施しながら、国民の安全・安心の確保や経済成長に資するインフラ整備を、国土交通省の「現場力」を最大限活用し、取り組んでまいりたいと考えております。

(問)観光関係ですが、政府目標の2020年訪日客4000万人、消費額8兆円の目標が前年に控えておりますけれども、この現状認識と韓国市場の需要回復策などを含めた今後の取組についてお願いします。
(答)観光というのは、成長戦略の柱であり、地方創生の切り札です。
昨年わが国を訪れた外国人旅行者数は、3119万人、消費額は4.5兆円となり、この6年間を見ると、旅行者数は3.7倍、消費額は4.2倍と大きく伸びています。
また、本年も、8月までの訪日外国人旅行者数が2214万人、6月までの訪日外国人旅行者消費額が2.4兆円と、いずれも過去最高を記録しています。
一方、本年8月の訪日韓国人旅行者数は、団体旅行のキャンセルに加えて個人旅行の訪日控え等により、対前年同月比でマイナス48%の30.9万人となりました。
日韓間に様々な問題はありますが、人的交流は両国の相互理解の基盤です。
観光交流を通じて相互理解が進むよう、日本政府観光局によるホームページ、SNSでの情報発信や韓国の旅行会社等との連携を継続するとともに、今後の現地の状況に応じて、プロモーションを強化してまいります。
2020年4000万人等の目標達成に向けて、多言語対応や無料Wi-Fiなど受入環境の整備、コト消費を伸ばしていくための体験型ツアーなど地域の観光コンテンツの充実、日本政府観光局による戦略的な情報発信等、政府全体でスピード感を持って進めてまいります。

(問)冒頭の抱負でも少し述べられておりましたが、建設産業における生産性向上や働き方改革について御所見を伺います。
(答)御案内のとおりですが、建設業は国土づくりの担い手であると同時に、地域の経済や雇用を支え、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担うなど、「地域の守り手」として、国民生活や社会経済を支える役割を担っております。
私の地元は秋田ですが、毎年、除雪という大変大きな作業があります。
こういう担い手としても極めて大事な部分を担っていただいている皆さまという認識をしております。
一方、建設業では現場の高齢化が進んでおり、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれているため、担い手の確保が極めて重要な課題であります。
そのため、働き方改革や生産性向上を図るため、先の国会において成立した新・担い手3法の適切な運用を通じ、適正工期による契約の締結や施工時期の平準化等の取組を推進してまいりたいと考えております。
また、建設現場の生産性向上に向けて、i-Constructionの取組を引き続き推進するとともに、技能者、職人の皆さんの技能や経験がしっかりと評価される仕組み作り等にも取り組んでまいります。
国土交通省としては、「給料がよく、休暇がとれ、希望が持てる」新3Kと言っておりますけど、そういう魅力的な産業となるよう、取組をさらに加速化させていきたいと考えております。

(問)不動産分野についてお伺いします。
この10月から不動産業界向けにIT重説の新たな社会実験がスタートしましたが、不動産業界における新たなテクノロジーの活用に向けてお考えをお聞かせください。
(答)不動産取引におけるAI、IoT等の新技術の活用は、消費者サービスの拡大や業務効率化につながり、ひいては生産性の向上に寄与するものと期待しております。
遠隔地での取引の効率化が期待される、テレビ会議などITを活用した重要事項説明、いわゆるIT重説については、平成29年10月より、賃貸取引における本格運用を開始しており、消費者からは、不動産会社への来店回数が減る。
あるいは時間と交通費の節約につながる、等のメリットが報告されております。
さらに、昨日より、個人を含む売買契約におけるIT重説及び賃貸取引における重要事項説明書等の電子交付の社会実験を開始したところです。
引き続き、不動産取引時の重要事項説明のIT化を進めるとともに、中小不動産業者による新技術を活用した不動産取引の促進等に取り組んでまいります。

(問)先ほど建設業の人手不足のことを仰られましたけれども、物流産業も人手不足が深刻です。
その対応と働き方改革の推進についての取組をお聞かせください。
(答)物流業に関して御質問ですけれども、トラック運送業等は、国民生活やわが国の経済を支える重要な産業ですが、御案内のとおり、近年はドライバー不足が大きな課題となっており、担い手の確保等について働き方改革を進めることが不可欠だという認識です。
このため、国土交通省では、昨年5月に政府としてとりまとめた「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」に基づき、労働生産性の向上、多様な人材の確保・育成、取引環境の適正化を柱として取組を進めております。
具体的には、取引環境の適正化に向けた荷主への呼びかけを行う「ホワイト物流」推進運動を展開し、本年10月以降、全国10ブロックで荷主・運送事業者向けのセミナーを開催するなど、荷主等と一体となった取組を進めてまいります。
また、昨年末、議員立法で改正された貨物自動車運送事業法に基づき、標準的な運賃の告示、荷主への働きかけ等を行い、荷主対策の深度化等に取り組んでまいります。
国土交通省としては、5年後の時間外労働の上限規制の適用を踏まえ、引き続き、関係省庁等とも連携しながら、トラック運送業の働き方改革に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

(問)自動運転についてお伺いいたします。
この実現に向けた車両の技術開発と安全対策、また社会受容性、受け入れられるための課題克服が必要かと思いますが、現状認識と今後の取組をお教えください。
(答)自動運転は、交通事故の削減、あるいは物流分野での生産性向上等、わが国が抱える様々な社会課題の解決に大きな役割を果たすことが期待される一方で、社会への導入にあたっては、安全性の確保、あるいは社会的受容性の向上が必要と考えております。
このため、国土交通省では、「自動運転戦略本部」を設置いたしまして、全省的に自動運転の実現に向けた基準や制度等の環境整備、技術の開発・普及促進、実証実験・社会実装のために必要な施策に取り組んでいるところでございます。
このうち、環境整備については、レベル3及び4の自動運転車の安全確保を図るため、本年5月に「道路運送車両法の一部を改正する法律」が成立いたしまして、国が定める安全基準の対象装置に「自動運行装置」が追加をされたところでございますが、今後は、本改正法の施行に向けて、この安全基準の策定に取り組んでまいります。
また、物流生産性向上に資する「トラック隊列走行」、あるいは高齢者等の移動手段確保に資する「ラストマイル自動運転」などの公道実証実験に引き続き取り組んでまいりまして、技術開発を進めるとともに、社会的受容性の向上を図ってまいります。
国土交通省といたしましては、引き続き、安全確保を最優先としつつ、関係省庁とも連携をして、省を挙げて自動運転の早期実現に向けた取組を加速してまいります。

(問)リニア中央新幹線について伺います。
静岡県の大井川流量減少対策を巡ってJR東海と静岡県の協議が続いていますが、現状の御認識と今後の国土交通省の対応方針についてお聞かせください。
(答)リニア中央新幹線の静岡工区につきましては、科学的知見等に基づきながら検討が進められることが重要だと考えておりまして、国土交通省は、静岡県及びJR東海と、今後の当面の議論の進め方について確認を行い、本年8月に3者で合意したところでございます。
この3者合意を受けて先月開催されました関係者間の会議には、立ち会いとして鉄道局の幹部が出席しておるところでございます。
このように、3者合意に基づいた手続きが着実に進んで、科学的知見等からの議論が進められているものと理解しております。
国土交通省としましては、3者合意を踏まえて、専門部会への出席などを通じながら、関係者による検討が円滑かつ迅速に進められるよう、環境整備等に努めてまいります。

(問)現状日本では認められていない自家用車のライドシェアについて、お考えというか、合法化の可能性などについてお聞かせください。
(答)これはヨーロッパなどではかなり活用しておりますし、日本でも普及はしておりませんが、実験的にやっていらっしゃる会社もあるように私は伺っております。
この後の経済状況、あるいは人口等々の国の基本的な環境の中でライドシェアというものがどのように受け入れられるかということは、しっかりと見ていかなければならないと思っております。
予断を持たずに、そういうあり方というものを国土交通省としましても見ていかなくてはならないと考えております。

(問)自動車の自賠責保険の財務省からの繰り戻しについてお伺いしたいのですけれども、平成6年、7年に自動車安全特別会計から一般会計に1兆1200億円という巨額を繰り入れていますが、まだ6000億以上が戻ってきていないと。
特に、14年間全く返済されずに一昨年、昨年ようやく返済されましたが、数十億という利息にも満たない額だと。
それで財務省の方に少し伺っていますと、来年度も非常に厳しい姿勢を見せていると。
ただこの社会情勢として、これだけ高齢者の事故の問題だとかあるいは副大臣先ほど仰いました人口減少で労働力が不足している中で、自動車の高度障害者をいかに治療するかというのは非常に重要な問題、それに対する6000億は非常に大きな財源かと思いますが、この繰り戻しに対してどういう姿勢で臨んでいかれたいか教えてください。
(答)今御質問の中でも御指摘があったとおりでございまして、平成6年度そして7年度に1兆1200億を一般会計に繰り入れられて、いまだ6000億円が繰り戻されていないという状況でございますけれども、やはり今これもお話にございましたけれども、自動車事故が後を絶たないという中で、これらの事業を安定的、そして継続的に行うためにも、一般会計からの繰り戻しは極めて重要だと認識しておるところでございます。
毎年度の一般会計からの繰戻額については、平成29年の国土交通大臣と財務大臣との合意におきまして、「被害者等のニーズに応じて被害者保護増進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ」、協議の上決定するとされております。
被害者及びその御家族の皆さまからの不安の声大変多くございますのでしっかりと応え、今後も着実に繰戻しがなされるよう、合意に基づいて、令和2年度の予算要求においても財務省とよく協議してまいりたいと考えておるところでございます。

(問)IRについて基本的なお考えを聞かせてください。
現在、法にのっとって着々と準備が進んでいると思いますけれども、今後、国土交通省としてはパブコメが明日終わり、今度は内閣府の方でカジノ管理委員会の設置等が行われると思います。
その後地方を舞台に業者の選定などが行われ、最終的に3カ所最大決定されるわけですけれども、御法川副大臣のIRに対する基本的なお考えを聞かせてください。
(答)日本型IRと呼びますけれども、国際会議場、あるいは家族で楽しむことのできるエンターテインメント施設等、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体に運営されることによって、これまでにないスケールとクオリティを有する総合的なリゾート施設を整備して、国際競争力の高い魅力のある滞在型観光の実現を目指しているものだと理解しているところでございます。
国といたしましては、出来るだけ早期にIRの整備による効果が実現できるよう、基本方針の策定等、所要の準備を着実に進めることとしております。
他方、カジノ設置につきましては、依存症の問題など様々な懸念があるということもありますので、入場回数制限、あるいは本人・家族の申出による利用制限などIR整備法の中で万全の対策を講じるつもりでございます。
こうした取組をしっかりと進めて国民の御理解をいただけるように努めてまいります。

ページの先頭に戻る