大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年12月26日(火) 10:56 ~ 11:19
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)沖縄防衛局からの埋立変更承認申請について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1件報告があります。
沖縄防衛局からの埋立変更承認申請について、沖縄県知事は、今月20日の福岡高裁那覇支部の判決に従わず、期限とされた25日までに承認しませんでした。
このため、公有水面埋立法の所管大臣として、地方自治法第245条の8第8項後段の規定に基づき、沖縄県知事に対し、28日に沖縄県知事に代わって承認を行う旨を記載した通知を先ほど発送しました。この通知の文書は明日午後、沖縄県庁に届く予定ですので、詳細については、事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

沖縄県知事コメントへの受け止めについて

(記者)

今の冒頭の代執行の通知に関してですが、昨日沖縄県は判決に問題があるとし、政府に工事の中止を求めて、その上で真摯な対話に応じていただきたいということも話していますが、これについて受け止めをお願いできますか。

(大臣)

知事コメントへの受け止めについては、これまでも、公有水面埋立法の所管大臣として、必要に応じて、法律に基づき手続を進めてきたところです。
お尋ねの、沖縄県との対話についての知事コメントは、普天間(ふてんま)飛行場代替施設建設事業に関してなされたものであると認識しています。
この事業は、防衛省の所管事業ですので、国土交通大臣としてお答えは控えさせていただきたいと思います。

沖縄県が上告した場合の対応について

(記者)

もう1問お願いします。
沖縄県ですが、上告も検討する方向だと話していますが、仮に上告があった場合に、今回通知された代執行を止めるというお考えはあるのかお願いできますか。

(大臣)

沖縄県が上告した場合の対応については、地方自治法第245条の8第10項には、最高裁への上告は執行停止の効力を有しないと規定されています。
このため、最高裁で係争中であっても、代執行が可能となる制度となっていますので、今般、28日に代執行を行う旨の通知を発送したところです。

令和6年度予算案について

(記者)

新年度の当初予算がこの程閣議決定されました。
このことを踏まえて大臣の受け止めと、特に力を入れた部分、意識した部分があればお伺いします。

(大臣)

先週閣議決定された、令和6年度予算案において、国土交通省関係では、国費総額5兆9537億円、このうち公共事業関係費5兆2901億円を計上しました。
具体的には、就任以来、三つの柱を言い続けています。
「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」の3点を柱とし、具体的には、防災・減災、国土強靱化、GX・DXや、持続可能な観光の推進、物流や建設業における「2024年問題」への対応、住宅セーフティネット機能の強化などに、特に重点を置いたものと考えています。
また、私が財務大臣と折衝して認めていただいた、「上下水道一体効率化・基盤強化推進事業」の創設に、30億円を計上しています。
来年度より水道行政が国土交通省に移管されることを踏まえ、上下水道一体として相乗効果が発揮できるよう取り組んでいきたいと思っています。
この予算案については、今後、国会で御審議いただくことになりますが、予算成立後、迅速かつ着実な事業の実施を図り、今年度補正予算からの切れ目ない執行を行うことにより、経済の底上げも含め、地方への配慮も含め、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

今年1年を振り返っての大臣所感について

(記者)

今日で年内最後の大臣会見かと思われますが、1年振り返られての大臣の御所感ありましたらお願いいたします。

(大臣)

この1年間、先ほど申し上げたように、就任以来申し上げてきた三つの柱を根底に施策を進めてきました。
具体的には、大雨・台風など自然災害への対応、(しれ)(とこ)遊覧船事故を受けた旅客船の安全・安心対策の実施、新たな観光立国推進基本計画の策定、地域公共交通のリ・デザインのための新たな仕組みの構築、国土形成計画の策定、G7広島サミットにあわせた三重・伊勢(いせ)志摩(しま)交通大臣会合と、香川・高松都市大臣会合の開催、などに取り組んできました。
9月の国土交通大臣留任の後も、物価高対策や、「2024年問題」の解決等に向けた、物流の革新、持続可能な建設業の実現に向けた対応など、喫緊の課題解決に取り組んできたところです。
来たる令和6年においても、現場の声にしっかりと耳を傾けながら、国土交通省の総合力を最大限発揮し、全力で臨みたいと考えています。

「新たな高速道路料金に関する基本方針」、「近畿圏の高速道路料金についての具体方針」 の改定への考え方と本四架橋高速の割引措置の期限について

(記者)

国土交通省は先週22日に、「新たな高速道路料金に関する基本方針」を改定し、2014年に導入した本四架橋3ルートへの割引継続、阪神高速の上限引き上げなどを盛り込みました。
こうした改訂に至った考え方と、今回明示されていない本四高速の割引措置の期限について今後どのように決めるのかを併せて伺います。

(大臣)

先週22日に、ネクスコや本四高速の高速道路料金についての基本方針、阪神高速を含む近畿圏の高速道路料金についての具体方針(案)を改定しました。
このうち、本四高速については、平成26年(2014年)4月に開始し、今年度末に期限を迎える、料金水準の引き下げ措置について、料金引き下げで、本州・四国間の一層の交流促進が図られることによる地域経済への効果、フェリーなど他の交通機関への影響などを総合的に考慮した結果、来年度以降も当面継続することとしているところです。
また、阪神高速については、公平な料金体系である対距離制を更に前進させるため、上限料金を見直すとともに、都心部の渋滞緩和を目的とする、都心迂回割引の導入などを実施することとしています。
なお、前回改定時に「10年間」とされていた本四高速の料金水準の引き下げ措置の継続期間についてですが、更新事業や四車線化などその他の事業の規模と併せて精査した上で、今年度末までに決定をしたいと思っています。
詳細は、事務方にお問い合わせください。

ストライキが続くジェットスター・ジャパンの欠航について

(記者)

航空会社ジェットスター・ジャパンで、一部の便で乗員繰りを理由に欠航する事態が起き始めています。
労働組合が22日から指名ストライキを始めているところであり、その影響だとも指摘されているところですけれども、受け止めをお聞かせください。
また、ストライキの規模は、ますます大きくなっているという状況で、年末年始にかけて影響が広がることも懸念されますけれども、国土交通省として何か対策を取られる考えはありますでしょうか。

(大臣)

ジェットスター・ジャパンにおいては、24日及び25日に、国内線で計4便が欠航となったと承知しています。
ジェットスター・ジャパンからは、今回の欠航は、乗務員の体調不良が発生し、その代替乗務員を確保できなかったため、と聞いています。
国土交通省からは、ジェットスター・ジャパンに対し、代替乗務員の確保等により、運航へ影響が生じるような事態を防止し、または最小限にすること、欠航が生じた際には、振替便の確保等、旅客への対応に万全を期すこと、などを指示しており、会社において適切に対応していただきたいと考えています。
また、今後の見通しについても、国土交通省として、引き続き、航空便の運航への影響を含め、状況を注視してまいりたいと思っています。
2点目の、こういう状況に対して、何か国土交通省として対応するのかとの御質問ですが、個別企業における労使関係に関わる問題です。
このことから、現時点で、国土交通省として、コメント、もしくは何らかの対応をする状況にはないと考えています。

(記者)

確認ですけれど、今回の欠航は間接的にも直接的にも指名ストライキの影響ではないと国土交通省は理解しているということでよろしいでしょうか。

(大臣)

いえ、乗務員の体調不良が発生し、その代替乗務員が確保できなかったと聞いていますが、普通、体調不良で欠員が出たときに、その補充を会社としてする訳ですが、その補充がうまくいかなかったということなのでしょうから、今回のストライキがまったく影響していないということは考えられないなと思います。

交通量の少ない「しまなみ街道」を本四架橋一括りにして措置する妥当性について

(記者)

本四架橋、特にしまなみ街道についてであります。
道路局の事務方にも、今月上旬から取材をしているのですが、本四架橋と一括りにしてお話をされるのはおやめになった方がよいと思います。
しまなみ街道と他の2橋、淡路(あわじ)ルートと児島(こじま)坂出(さかいで)ルート、これ別々に物を考えないとどうしても目が曇ってしまう。
なぜなら、淡路と児島・坂出は、ほどほど通過車両は増えているのですね。2万2000くらいの平均でしょうか。数字はちょっといい加減ですけど。
ところがしまなみは相変わらず低空飛行のままです。
1日7000台規模。他の2橋と比べて圧倒的に車が走っていない。
そういう状況で一括りにして、通行料金を引下げ、維持をする。
それから今お話があった、本来3本目の橋というのは政治判断があったことは年寄りは大体知っているのですが、政治判断の前提に愛媛、広島、他の関連市町が一定程度、地元負担をするんだという前提で誘致をして、成功して橋が通ったという状況がある。
国でいうと2019年11月に前任の赤羽さんが、令和6年度に当然、通行料金を検討すると明言されています。
それから、近々で言うと2022年9月に当時の石井副大臣が負担のあり方を検討すると。
検討する検討するとよくおっしゃる。
斉藤さんにも1年前に「しまなみ走っていませんよね」と言ったら、いや、自転車が走っているだろうと。
自転車で行く時、車で乗っていくだろうと、覚えていらっしゃるかどうか、そういうお答えをされているということです。
検討する検討するというのを呪文のように唱えられても、やはり説得力がない。
結果的に料金を引き下げた影響が誰に行くのかというと、全国プール制にいって、全国の車ユーザーが通行料金で支払う。
中々、プールされている限り、国の債務が減らない。
総合的に考えて、是非本四架橋という3本まとめた言い方をやめて、淡路ルートはどうだと、児島・坂出はどうだと、しまなみはどうだと考えて、しまなみの通行量増に対して本気で取り組むと。
何度も何度も、取り組む、取り組む、検討する、検討する、見直す、見直す、とこんな言葉ばかり聞いていても車ユーザーは納得しない。
どうお考えかというのを年末最後に教えてください。

(大臣)

もう一度同じことを申し上げるかもしれませんが、今回の料金水準の引き下げ措置については、本州・四国間の一層の交流促進が図られることによる地域経済への効果、フェリーなど他の交通機関への影響などを考慮した結果、来年度以降も当面継続する、これが基本的な考え方です。
まず今回、海峡部等特別区間については伊勢湾岸道路、アクアライン、本四高速海峡部、本四高速明石(あかし)海峡部の水準を最も低い伊勢湾岸道路のレベルまで引き下げるということです。
最も高い建設費から割り出される交通料金よりも、最も大きな引き下げになっているのは実は本四高速明石海峡部分です。
しまなみ海道部分ではありません。
それから本四高速道路会社として、三つのルートを総合的に軽減しているわけで、それらについて統一的な運賃にすることも一定の合理性があると思っています。
そしてなによりも引き下げを行った10年前、トータルの収入は、一旦やはり料金を引き下げたので、下がったのです。
でも翌年から安くなったということなのでしょう、利用が増えて、前よりもトータルの収入は同じレベルかもしくは超える段階でずっと推移してきました。
コロナになってまた下がった、それは別問題にして、料金を引き下げたけれど経営的にはしっかりとした料金が入るようになってきたことも考えて、今回のような措置になったのだと思います。
そういう意味では是非、今回の措置を御理解賜りたいと思う次第です。

旅客船等へのスライダー付き救命いかだの搭載義務化延長といかだ開発状況について

(記者)

北海道知床半島沖で発生したKAZU(カズ)1)(ワン)の沈没事故の再発防止策として、2024年度から予定していた水温が低い地域で運行する旅客船、遊漁船へのすべり台付き救命いかだの搭載義務化を延期することとなりました。
この件について、いかだの開発の現状をお聞かせください。
また国土交通省として何か企業に働きかけるといった対応は検討していますでしょうか。
大臣の受け止めと併せて、お聞かせください。

(大臣)

お尋ねの、一定の水温を下回る海域・時期における改良型救命いかだ等の搭載義務化については、旅客船については、令和6年4月1日から、遊漁船事業者等については、令和7年4月1日から実施することでこれまで進めてきました。
しかしながら、いかだ等の開発の遅れや、パブリックコメントにおける「事業者が検討・準備するための期間が不十分」といった意見等を踏まえ、今般、いかだ等の搭載義務化について、当面の間、延期することとしました。
いかだ等の開発状況については、現在、開発された製品から順に販売が開始されているものの、事業者等からの需要が多いと考えられる一部製品については、未だ開発中であり、これらについては、年明けには、仕様・規格が決まるものと聞いています。
また、特に遊漁船事業者からは、業務実態を踏まえた特例の追加検討を求める意見など、様々な意見が出ているものと承知しています。
今後、水産庁とも連携して、丁寧かつ十分な説明が必要と認識しています。
国土交通省としては、メーカーの開発を促しつつ、引き続き、事業者に対し丁寧な説明を行うなど、いかだ等の円滑な搭載義務化に向けて、取り組んでまいりたいと決意しています。

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