大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年9月29日(金) 11:18 ~ 11:44
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。

質疑応答

物流の2024年問題について(視察の感想及び総理発言を受けた今後の対応)

(記者)

物流業界の2024年問題について、お尋ねします。
昨日、岸田総理が緊急対策を来週まとめることや適切な運賃を受け取るための法整備について表明されました。
この件への国土交通省の対応をお願いします。
また、昨日、大臣、運送業者を視察されたと思いますが、感想も併せてお聞かせください。

(大臣)

昨日のトラック事業者の視察には私も参加しましたが、現場の荷役作業や運行管理の取組みを拝見し、事業者の安全確保の御努力を目の当たりにするとともに、実際の作業の手間を改めて認識しました。
また、現場のトラックドライバーが、私は今朝、3時半に起きて群馬から来て、ここで荷物を受けて、また関東一円に配っていくという生のドライバーの御声も聞いたところで、本当に大変だなと私自身も実感したところです。
車座対話では、物流を支える皆さんから、「2024年問題」への対応や、持続可能な物流の実現に向けた課題などについて、率直な御意見を伺いました。
また、その場において、総理から来週関係閣僚会議を開催し、「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめるとのご発言がありました。
国土交通省としては、再配達の削減、荷待ち時間の削減、適正な価格転嫁に関する荷主や消費者の理解と協力を得るための対策、賃上げや職場環境の改善などドライバーの確保対策、デジタルの活用や自動化・機械化による生産性向上、モーダルシフトの促進など、実効性のある具体策を盛り込むべく、スピード感を持って取り組んでいきます。
さらに、適正な運賃収受等に向けた規制的措置については、次期通常国会での法制化に向け検討を進めていきたいと思います。国土交通省としては、物流の停滞が生じないよう、さらには、物流産業が魅力あるものとなるよう、関係省庁と緊密に連携し、「2024年問題」に対応していきたいと思っています。
6月に関係閣僚会議で取りまとめられました。
それをさらに具体化するパッケージを来週取りまとめたいと思っています。
また、来年の通常国会に向けての一つのスタートにしたいと思っています。

物流の2024年問題について(運賃収受環境の現状と法制化への検討状況)

(記者)

今、質問のあった2024年問題について、1点お伺いします。
適切な運賃を受け取るための法整備。まず、これが必要な背景を改めてお伺いしたいのと、来年の通常国会でという話もありましたが、今の検討状況を、どのような内容になっているのかを今言える範囲でお伺いしたいと思います。

(大臣)

まず御質問がありました背景ですが、トラック運送業については、他の産業と比較して賃金が低いなど、労働条件の改善が課題となっており、賃金の引き上げの原資となる適正な運賃を収受できる環境を整備するため、令和2年4月に「標準的な運賃」制度を創設しました。
令和4年度末に国土交通省が実施したアンケート調査では、この「標準的な運賃」を参考として、荷主に対し運賃交渉を行った運送事業者が、前年度を上回る約7割となったとの結果が出ています。
一方、交渉の結果、荷主から一定の理解を得られたのは、このうち約6割にとどまっており、取組はまだ道半ばであると考えています。
「標準的な運賃」我々提示しましたが、それを使って少し運賃が上がったのは、0.7×0.6の全体で4割程度にとどまっていることが背景にあります。
こうした状況を踏まえ、本年7月には「トラックGメン」を設置し、適正取引を阻害する疑いのある荷主への監視体制を抜本的に強化するとともに、「標準的な運賃」の見直しについても年内に結論を得るべく検討を開始したところです。
さらに、今後は、賃上げの原資となる運賃の適正化に向け、多重下請構造の是正や契約条件の明確化などについて法制化を進めることとしており、昨日の総理のご発言も踏まえ、しっかりと対応していきたいと思っています。

改正地域交通法に基づく協議会制度施行について

(記者)

改正地域交通法が10月1日に施行されます。
既にJR西日本が芸備(げいび)(せん)備後(びんご)庄原(しょうばら)備中(びっちゅう)神代(こうじろ)間について、再構築協議会の設置を国に申請する方針を表明するなどの動きも出ていますが、改めて、施行にあたっての大臣の意気込みを伺います。
また、再構築協議会について、現時点でどの程度の利用を見込み、実際に国への申請があった場合、どのような手続きに沿って設置していくのか併せて伺います。

(大臣)

JR西日本から、改正地域交通法の施行後、再構築協議会設置の要請を行い、地域交通の在り方について議論を行いたい旨、表明があったと承知しています。
要請がありましたら、法で定められた手続きに従って、適切に対応していきます。
これまでも申し上げているとおり、国土交通省としては、本年を「地域公共交通再構築元年」とすべく、制度面・予算面において、ローカル鉄道の再構築に向けた関係者の取組みを支援する仕組みを整えました。
各地域において、自治体や事業者等の関係者が、こうした新たな仕組みを積極的に活用し、一つでも多くのローカル鉄道において再構築の取組みが進むことを期待しています。
国土交通省としても、事業者任せ、地域任せにするのではなく、「地域公共交通はなくしてはならない」という強い思いで取り組んでいく覚悟です。
地方自治体・事業者の皆さんと国が今の状況を把握、正確な情報を共有して、地域公共交通は移動の自由の観点からもなくしてはいけないものですので、どうしたら地域公共交通を守っていけるのかを真剣に話し合う、そして、必要であれば国も財政的な、制度的な支援もしたいと、こういう制度を今年の通常国会で作りましたので、是非、その仕組みで地域公共交通再構築を成し遂げていきたいと思っています。
御質問の後半ですが、どのような手続きを行うのかという御質問がありました。
鉄道事業者または自治体から要請を受けた場合、国は要請があった区間について、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況にあるか、関係者相互間の連携と協働の促進が特に必要かの2点を確認し、いずれにも該当する場合は、再構築協議会を設置することとしています。
もちろん再構築協議会を設置する際には、あらかじめ沿線自治体から意見を聴取することとしています。
 

(記者)

先ほどの質問にもあったかと思いますが、現在の段階で設置の申請の動きがある線区はどちらの方があると国土交通省として把握されていますでしょうか。

(大臣)

全国の各地域の事業者においては、今後、改正法の施行に伴って様々な検討がされていくものと考えていますが、現時点で具体的な見込みをお答えすることは困難です。
この点、御理解をいただきたいと思います。
全国でそういう議論が盛り上がってくることを期待しています。

ウポポイ来場者数の目標を大幅に下回る現状への受け止めと今後の取組について

(記者)

北海道白老(しらおい)町の民族共生象徴空間、ウポポイが本日、2020年の開業以来、累計入場者数が100万人を達成することになりました。
政府は年100万人の入場を目標に掲げていますが、コロナ禍もあって目標を大幅に下回る状況が続いています。
現状の受け止めと今後の国土交通省としての取り組みについてお伺いしたいと思います。

(大臣)

まず、ウポポイの来場者数の件についてお答えします。
アイヌ文化の復興・創造等の拠点であるウポポイは、令和2年7月の開業から昨日までの3年余りでおよそ100万人の方々にお越しいただきました。
ウポポイを所管する国土交通省として、国民の皆さまにアイヌ文化への理解を深めていただいたことは、大変意義深いことであると考えています。
一方、令和4年度の年間来場者数は約37万人となっており、令和元年に閣議決定された年間来場者数100万人の目標との間にまだ隔たりがあるため、誘客の取組を強化する必要があると認識しています。
この状況を踏まえ、年間来場者数100万人の目標達成に向けて、具体的な誘客戦略を策定すべきとの考え方の下、有識者検討会を設置することとしました。
10月4日に開催される第1回検討会を皮切りに、より一層のコンテンツの充実や広報活動等、効果的な誘客施策について、議論を進めていきたいと思っています。
私も行ってきましたが、大変いろいろな意味で勉強になりました。
こういう意味でも多くの方に行っていただきたいと思います。
今年は昨年より減少傾向にあるということで、なぜですかと聞いたら、昨年まではいわゆるコロナの関係で道内の修学旅行の方が道外に出ないということで、たくさんウポポイに来られたが、今年になって修学旅行の方が道外に出られるようになり、その分が減ってきたということで、そういうことも含め、どうしたら若い世代も含めて多くの方にウポポイを見ていただけるかも考えていきたいという意味で、今回有識者検討会を設けて検討していきたい、目標達成に向けて頑張っていきたいと思っています。

ウポポイ慰霊施設の遺骨が恵庭アイヌ協会に返還されることについて

(記者)

また、昨日発表がありましたが、ウポポイの慰霊施設で保管するアイヌ遺骨の恵庭アイヌ協会への返還について発表がありましたが、この件についても大臣の御見解をお願いいたします。

(大臣)

それから2点目の遺骨の問題です。
アイヌの方々の御遺骨等は、これまで人類学等の分野での研究対象とされたものなどが、大学や博物館等に保管されていました。
現在、政府としては、令和元年に閣議決定された方針に基づき、御遺骨等のアイヌの方々への返還を進めるとともに、直ちに返還できない御遺骨等については、ウポポイの慰霊施設に集約し、アイヌの方々による尊厳ある慰霊の実現を図るとともに、アイヌの方々による受入体制が整うまでの間、国土交通省において適切に管理しているところです。
私も管理施設を見てきました。
ウポポイに集約された御遺骨等については、関係省庁で定めたガイドラインを踏まえ、出土地域のアイヌの方々からの返還申請に基づいて、返還手続きを進めることとしていますが、今般、恵庭(えにわ)アイヌ協会から、恵庭市を出土地域とする9体の御遺骨の返還申請があり、10月2日に返還することとなりました。
ウポポイで保管する御遺骨の返還は初めてのことであり、大変意義深いことと認識しています。国土交通省としては、今後とも、ウポポイにおいて御遺骨等を適切に管理するとともに、返還申請があった場合には適切に対応していきたいと考えています。

総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備について

(記者)

防衛力強化の目的で拡充する空港や港といった公共インフラ整備についてお伺いします。
現在の検討状況や地元との調整状況についてお伺いできればと思います。

(大臣)

総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備については、国家安全保障戦略に基づき、民生利用のニーズに加え、防衛省、海上保安庁のニーズを反映できるよう、先日8月25日に、関係閣僚会議を開催し、閣僚間で認識の共有を図ったところです。
これを受け、現在、国土交通省としても関係省庁と連携して検討を進めているところです。
関係する地方公共団体に対しても、関係省庁と連携して、順次調整を始めています。
その上で、具体的な内容・場所等については、検討・調整を丁寧に進めていく必要があることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

辺野古埋立事業について

(記者)

沖縄県の()()()の工事の承認の関連でお尋ねします。一昨日が大臣から知事への勧告の期限で、沖縄県の玉城(たまき)知事、勧告の期限内の承認が困難だということを回答されました。一方で大臣は昨日、勧告の次の指示を発出されたと思いますが、県の承認が困難だと言うことをどのように受け止めて今回の指示に至ったのかコメントをお願いします。

(大臣)

先日27日付で沖縄県知事から「勧告の期限までに承認を行うことは困難である」旨の回答がありました。本件については、皆さまもご存じのとおり、昨年4月28日付けで、変更承認申請を承認するよう、是正の指示をしています。この是正の指示については、国地方係争処理委員会、高裁を経て、今月4日の最高裁判決において、その適法性が確定しています。それでもなお、知事は承認をしないため、先週19日から地方自治法に基づく代執行を念頭においた手続きに入ったのが今の状態です。昨年4月からの経緯を踏まえると、先般の勧告、今般の指示、いずれも適切な対応であると考えています。期限までに承認を行うことは困難ということですが、先ほど申し上げたとおり昨年4月からの経緯がありますということを申し上げたいと思います。

(記者)

知事の困難だということへの受け止めがあればお願いできますか。
(大臣)
先ほど申し上げたとおり、昨年4月からの経緯、国地方係争処理委員会、高裁を経て、今月4日の最高裁判決において、その適法性が確定している。この4月からの経緯を踏まえると、先般の勧告、今般の指示、いずれも適切な対応であると考えているところです。
 

(記者)

今の質問の関連なのですけれども、大臣が発せられた指示について、今後の見通しといいますか、いつ頃までに、期限の設定もされているかと思うのですけれども、期限の設定の期日と、代執行に手続きを移されるのであれば、代執行を高裁に提起するタイミングはいつ頃なのか、代執行を具体的にやる日付として、いつ頃を想定されているのかというところをいただければと思います。

(大臣)

現時点で何ら決定していることはありません。従いまして、お答えすることは困難であるということで御理解いただきたいと思います。

(記者)

もう1点お伺いしたいのですけれども、先ほどの知事の判断への所感といいますか、いずれも適切な対応だとお考えだということで、大臣は述べられたと思うのですけれども、要するに昨年4月からの経緯ということでおっしゃっていたのですけれども、時間的な猶予を与えたから、その点を考慮してほしいという意味合いになるのでしょうか。

(大臣)

県知事からの御回答が勧告の期限までに承認を行うことは困難ということですので、先ほど申し上げたように昨年4月からの経緯を踏まえますと、今回の勧告また指示、いずれも適切な対応であったと考えています。

物流の2024年問題について(職種横断的な人手不足対策について)

(記者)

2024問題に絡んでなのですが、マガジンXでも長らくトラック運転手さんの悲哀は書き続けているわけです。
残業のキャップが960というのもいい加減まだまだ多いなと思っています。それはそれで対策していただく必要があるのですが、国土交通省マターとしていうと、現業職の方々の人手不足というのは何もトラックだけじゃないよねと、バスもタクシーもメカニックも、たくさんの方々が人手不足だということで、各々役所部署がやっている。国土交通省以外の他の役所でも例えば厚生労働省関係でも現業者の人手不足というのは深刻だと。
2024問題でトラックを何とかしようというのはその通りで、荷役をトラック運転手から外す、荷待ちをやらせない、運送料金を上げてそれを中小零細の運転手さんにお金が行き渡るようにする、これをやってもらわなければいけないのですが、もっと職種横断的、役所横断的に現業者の人手不足を解決するような取組なり、検討会を作るとかそういうことを大臣がリーダーシップ取っておやりになるのはいかがでしょうか。

(大臣)

今回特に物流関係、それから建設関係が2024年問題の大きな対象になる、なおかつこの2業種については、他産業に比べて長時間労働であるのにも関わらず、他産業に比べて収入が少ない、平均にも至っていない、これは何とか改善しなくてはいけないし、2業種ともにいわゆるエッセンシャルワーカーといわれる社会が存在する根底を担ってくださっている業種の方々です。
そういう意味では、しっかり若い人材が集まってくるような業界にしなくてはいけないということで、特に物流業界、建設業界について国土交通省では2024年問題という課題があるからこそ、対応を行っています。
今の御提案は全業種にかけて、現業の人たちの待遇改善に向けてやるべきではないかということですが、まずは今課題になっている先ほど申し上げた業種の方々に対して、特に2024年問題という問題を抱えているからこそ、しっかり対応していきたいと思います。
全般的には同じような問題意識を持っています。

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