大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年7月9日(金) 10:53 ~ 11:21
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私の方から3点報告があります。
1点目は、千葉県八街市(やちまたし)における事故を受けた通学路の点検の実施についてです。
6月28日に千葉県八街市の通学路において発生した、5人の 児童が死傷する交通事故を受け、6月30日に開催されました関係閣僚会議において、通学路の点検を改めて行うよう、総理大臣から指示があり、文部科学省や警察庁と点検の実施方法について調整してきたところです。
本日付けで、国土交通省、文部科学省及び警察庁から、都道府県の道路管理者、教育委員会、警察本部等に対して、通学路の「合同点検」を実施した上で「対策必要箇所の抽出」を9月末までを目途に、連携して行うよう、それぞれワンボイスで要請しますので御報告します。
今回の合同点検においては、八街市の事故を踏まえて、幹線道路の抜け道など、車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所といった、これまでになかった新たな観点も追加し、危険性の高い箇所が適切に抽出されるよう、関係省庁と連携して取り組む方針です。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
2点目は、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」とりまとめについてです。
国土交通省では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、公共交通機関を利用する高齢者や障害者の方々への適切な接遇水準を全国的に確保するため、平成30年に「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」を策定し、既に公共交通機関の現場で実践されているところです。
一方、現在、公共交通事業者では、昨今の新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染防止対策を講じていただいておりますが、高齢者や障害当事者の方々が、今後とも安心して公共交通機関を利用していただくためには、当事者の方々の特性等を十分に踏まえ、コロナ禍にも配慮した接遇を確立していくことが重要です。
このため、国土交通省において、高齢者や障害当事者の方々をはじめとする関係者の御意見や、これまでの交通事業者の取組状況等を踏まえ、検討を進めてまいりましたが、昨日、学識経験者、当事者団体、交通事業者などの関係者からなる検討会を開催し、コロナ禍を踏まえた接遇ガイドラインをとりまとめましたので、本日公表することといたしました。
具体的には、コロナ禍の下では、声かけ等の支援を受けにくい、コミュニケーションが取りづらい等、当事者の方々が直面している困りごとや新たな課題を整理した上で、接遇の現場では、まず当事者の方々が求める支援内容を確認し、これから行おうとする支援内容等を適切に伝達した上で、感染症対策に即したコミュニケーションや支援を行う等の配慮が重要であること。
また、接遇上の具体的なポイントとして、飛沫防止に資する斜めからの声がけ、聴覚障害者に配慮したフェイスシールドの活用、車椅子使用者に配慮した消毒液や検温装置の異なる高さでの設置等、高齢者や障害者の皆さまがコロナ禍においても安心して公共交通機関を利用していただくための取組をまとめています。
本ガイドラインについては、交通事業者や障害当事者等の関係団体を通じた周知に加え、国土交通省から交通事業者向けの説明会を速やかに開催する等により、東京大会を目前に控える中で、公共交通機関の現場レベルの接遇に円滑かつ適切に反映されるよう、万全を期してまいります。
また、東京オリパラ大会開催後、交通事業者や当事者の皆さま等からの声を改めて伺い、必要に応じてガイドラインをブラッシュアップすることで、東京大会のレガシーとしたいと考えています。
詳細については、後ほど事務方から説明させます。
3点目は、青い羽根募金強調運動期間についてです。
本日の閣僚懇談会におきまして、本日から7月15日までの間、「青い羽根」を各閣僚に着用していただくよう、お願いしました。
「青い羽根募金」は、海で遭難した人々の救助活動を行う「海の救難ボランティア」の活動を支援するもので、昭和25年に開始されました。
事業主体の「公益社団法人日本水難救済会」は、7月と8月を「青い羽根募金強調運動期間」と定め、海上保安庁などの協力を得て、重点的に募金活動を展開します。
国民の皆さま方の御理解・御協力を改めてよろしくお願いします。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

 (問)新型コロナの関係でお伺いしますが、東京で8月22日まで緊急事態宣言が発令され、また、沖縄で緊急事態宣言が延長され、神奈川や大阪ではまん延防止等重点措置が延長されることになりました。
夏休みの観光シーズンに都民を含めた移動が抑制されることになると思いますが、都内だけでなく地方の観光や宿泊事業者、また、交通事業者にも影響が及んで厳しい環境が続くことになりましたが、こうした業界に対する支援のあり方について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)昨日開催された「新型コロナウイルス感染症政府対策本部」において、東京都について7月12日から8月22日までの間、緊急事態宣言が発令されること等が決定されました。
この8月22日までの間は、今、御指摘のように夏休み等のいわゆる繁忙期に再び緊急事態宣言が発令されたということは、観光・交通関連事業者にとっては大変厳しい状況となるものと重く受け止めて、しっかりと適時適切に対応していかなければならないと考えております。
一方、この緊急事態宣言下、政府を挙げて感染状況を早期に収束させるために、政府としては決定打であるワクチン接種を加速することが、観光・交通関連事業者にとってもプラスであるということは、既にそのような現象も出ているようです。
ワクチン接種をしっかり加速し、1日も早く国民の皆さまが安心して観光を楽しめる状況を作り出す必要があると考えておりますし、そうしたことがしっかりできると認識しているところです。
それまでの当面の間、既に発表しておりますが、観光庁において、「宿泊事業者による感染防止対策等への支援」として、既に全国36都道府県に交付決定を行っており、そのうち18都府県では事業が開始されております。
東京都では6月24日より公募を開始しており、まず、この支援をしっかり御活用いただけるよう事業者への周知の徹底などに一層強力に取り組んでまいります。
この支援策については現場の皆さんから大変ありがたいとのお話をいただいているところです。
また、同じ地域観光事業支援の中で、感染状況が落ち着いている地域による、同一県内旅行の需要喚起策として、既に22県に交付決定を行い、15県で事業が実施されています。
残る地域においても、感染状況、首長の判断が最優先されますが、早期に事業を開始いただけるよう、しっかりと周知の徹底をはじめ、強力に働きかけていきたいと考えています。
また、移動需要の減少の影響を受ける公共交通事業者に対する支援として、地域の鉄道、バス、離島航路等の運行維持や、感染症防止対策の強化等にこれまでにない手厚い予算を計上しているほか、特に甚大な影響が長期化している航空業界に対して着陸料や航空機燃料税等の大規模な、1200億円規模の減免を行うなど、踏み込んだ支援を実施しているところです。
そのほか、観光・交通関連事業者の事業継続と雇用の維持のため、多くの事業者が活用している雇用調整助成金の特例措置についても今回の緊急事態宣言の発令等に合わせ9月末まで延長されることが決定されたほか、実質無利子無担保融資制度の延長などの支援策を講じられているところです。
今後も引き続き、観光・交通関連事業者の皆さまの状況を観光庁や全国の各地方運輸局を通じ、しっかりと連携を取りながら、適時適切な対応を実施してまいります。
私は、必ず観光の反転攻勢が出来る時期が来るし、それだけの観光立国としての力はあるのだと信じているので、しっかり、関連事業者の皆さんにお応えできるよう、支援策を講じていきたいと考えております。
 
(問)伊豆山(いずさん)で発生した土石流による災害についてですが、昨日、大臣が被災現場などを視察に行かれました。
それで実際の被災状況を御覧になった上での、今回の災害に対する大臣の所感と、先日御発言のあった盛土の総点検について、進め方など、なにか進捗があればお聞かせください。
(答)改めて、今回の豪雨によりお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、全ての被災された皆さまに対しまして、心からお見舞い申し上げます。
また、現場では行方不明の方もまだ多数いらっしゃいますので、1日も早い捜索、救助活動の結果が出ればと心よりお祈り申し上げます。
昨日、静岡県の難波(なんば)副知事や齊藤(さいとう)熱海市長とともに、熱海市の(あい)初川(ぞめかわ)の土砂崩落のあった渓流の、起点といわれている最上流部や捜索活動現場、500名を超える被災者の避難先となっている熱海ニューフジヤホテル等を視察させていただき、その後、熱海市役所で、難波副知事、齊藤市長からの御要望を承りました。
改めて現場に立たせていただき、今回の被災地の極めて深刻な被害状況を目の当たりにし、今回の豪雨災害の甚大さ、深刻さ、恐ろしさを身を持って痛感しました。
副知事や市長からも1日も早い復旧・復興に向けて、これは相当狭い急傾斜の地域であり、技術的にも復旧・復興が大変難しい状況ですので、引き続き、国からの技術的支援等の御要望を伺ったところです。
また、避難先で不自由な思いをされている被災者の皆さまから、今後の住まいへの不安などの声を伺いました。
国土交通省としましては、発災当初から、人命救助を最優先に、海上保安庁による、捜索・救助活動にあたってまいりました。
引き続き全力であたってまいります。
土砂流入で通行止めとなっていた国道135号については、交差する市道からの土砂流入、がれき撤去作業の影響などから、緊急車両の通行に今しばらく時間を要する見込みです。
他方、「熱海ビーチライン」という有料道路の仮復旧が完了したことから、昨日8日から、緊急車両及び地域住民の皆さまの利用が可能となりました。
副知事、熱海市長から、有料道路である熱海ビーチラインのしばらくの間の無料化及び原付バイクの走行を認めてほしいとの御要望承りましたので、現在その実現に向けて調整しているところです。
上り線が通行止めとなっております東名高速道路の裾野(すその)ICから沼津(ぬまづ)ICについては、本日7月9日金曜日18時頃に、上り線2車線のうち1車線の一般開放ができる見込みです。
加えて、渓流の源頭部付近に盛土が残っているという指摘もありますので、土砂災害の二次災害の防止のための監視体制の強化や被災地のニーズ等の把握のため、昨日もTEC(テック)-FORCE(フォース)計49名を熱海市に派遣し、当該渓流の源頭部付近に照明車、監視カメラ、センサーによる探知機など設置し、再度災害に備えているところです。
引き続き、被災自治体の皆さまに寄り添いながら、現場からの要望や御意見などを丁寧に把握のうえしっかりと対応してまいります。
また、発災直後に土砂災害の専門家を派遣し、現地の状況を調査の上、県知事、副市長等にその調査の報告をしたところですが、副知事、熱海市長より、改めて、土石流メカニズムの分析や今後の復旧・復興に関するまちづくりについて、技術的・財政的な支援の御要望があったところであり、国としても重く受けとめ、責任をもって対応してまいりたいとお答えしました。
さらに、公営住宅や民間賃貸住宅などを活用した被災者の今後の住まいの確保に向けて、関係する省庁や団体と連携してしっかりと取り組んでまいります。
災害対応には国土交通省の総力を挙げる必要があると考えております。
引き続き、被災自治体・被災者の皆さんに寄り添いながら、現場力を最大限に発揮し、全力で対応してまいります。
次に、3日に熱海市で発生した土石流災害を踏まえた全国的な盛土の総点検についてです。
繰り返しになりますが、昨日の視察で、悲惨な被災地の状況を目の当たりにし、危険な盛土の点検の必要性を改めて認識したところです。
現在、静岡県において今回の土石流と盛土の関係について調査中と認識しておりますが、国土交通省としましては、このような危険なエリアに存在するものも含めて、まずは盛土が現在全国のどこにどのくらいあるのかを把握する作業から始める予定です。
このような盛土の把握にあたっては、国土交通省で所有するデジタルマップを使用することが有効です。
まずは、整備済みのデジタルマップを利用した全国における概略的な盛土箇所の抽出を、約1か月を目途に実施するよう事務方に指示したところです。
他方、全国の総点検の実施については、今後、環境省、農林水産省、経済産業省、総務省など関係省庁と連携しながら進めてまいりたいと考えております。
この点の詳細については、後ほど事務方より説明させていただきます。
 
(問)アイヌ文化の復興拠点「民族共生象徴空間ウポポイ」が北海道白老町(しらおいちょう)で開業してから1年になります。
来館者数などこの1年間の実績に対する評価と、2年目以降の課題や期待についてお聞かせ願います。
(答)アイヌ文化の復興・創造等の拠点であるウポポイは、昨年7月12日の開業以来、「3密」の回避のため1日当たりの入場者数を制限し、また、本年6月1日から20日までの間、北海道における緊急事態措置の延長に伴って臨時休業するなど、新型コロナウイルス感染症防止対策を徹底する中での開業でした。
そのような中、道内外の教育旅行による児童生徒約5万7千名を含め、令和3年7月7日までに約25万5千名の方々に御来場いただいております。
このようなコロナ禍にもかかわらず御来場いただいた皆さまからは、「アイヌ文化について新しいことを知ることができて良かった」などの満足の声が多数寄せられており、ウポポイやアイヌ文化に対する関心の高さを示すものと評価しております。
他方で、コロナ禍による影響を受けたとはいえ、目標としていた年間100万人の来場者数に到達しなかったことは大変残念であり、真摯に受け止めなければいけないと考えております。
「アイヌ文化を更に深く学びたい」といった声や、ソーシャルディスタンスの確保のため「体験プログラムの定員が少ない」などの声も寄せられており、今後の課題としては、こうした声を受けて、更なるコンテンツの充実や周辺の観光資源からの誘客戦略の強化等に取り組んでいくことが必要と考えております。
国土交通省としては、引き続き、感染防止対策を徹底しながら、ウポポイの適切な運営に努めるとともに、目標達成に向けた誘客戦略をしっかりと構築して、広報活動やコンテンツの充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 
(問)盛土の全国的なマップを活用しての場所の抽出を始められるというお話でしたけれども、抽出の対象となる盛土の条件、例えば面積ですとか高さですとか、そういった具体的なことというのは、今の時点で決まっているのでしょうか。
(答)標高差プラス5メートル以上の箇所を抽出しているということですが、詳しくは事務方より説明させていただきます。
 
(問)ガードレールというか通学路点検なんですけれども、点検して抽出まではわかるんですが、御案内のとおり自治体お金が無いよと。
あるいは物理的に道が狭くてですね、歩行者スペースを側道に設けられないだとか、色んな問題があって、別に自治体も手をこまねいていたわけではないと。
残念な事故ではあったんですが、その点検の先ですよね。
マイルストーンはこれから引くのかもしれないですけど、どのようにそうやって歩行者保護をやっていくのか見通しがあれば。
それから恐らくこれやるのは相当時間がかかってしまう話で、整理が済むまでの過渡的に、例えば規制当局と連携してトラックを侵入させないだとか、あるいは最高速度をもっと落とすとか、経過措置とその先のマイルストーンで見通しがあれば教えてください。
(答)まず、通学路の総点検は一度相当行ったのですけれども、今回の事故を受けて、前回の総点検の観点が欠けていたと先ほど申し上げたとおりでして、そうしたことを踏まえて行います。
文部科学省と警察庁と連携しながらしっかりとやろうということではありますが、結論としては市町村の自治体の予算が無いから何の手立ても講じられなかったということはないようにしなければならない。
もちろんガードレールをしっかり敷くというのが一番強力な対策だと思いますが、全国に全部敷き詰めるのは時間もかかりますし、今御指摘のようにそれまでの過渡的な対策、少しでもリスクを減らせられるようにとか、そういったことはやらなければならないと思いますし、規制当局については、恐らく警察庁と少し打ち合わせしなければならないと思います。
あと今回はそれとは別で、先ほど触れていませんが飲酒運転がそもそもの原因ですから、飲酒があってはいけないわけで、非営業用のトラックにおける飲酒運転対策につきましても、警察庁と協議して、何か対策を講じなければならないという問題意識を持って取り組んでいきたいと思っております。
 
(問)盛土の抽出やその後の点検に当たって、何か新法とか法改正が必要になってくるのか、あるいは現行の制度でなのか、現段階でわかっているものがあれば教えてください。
(答)恐らく全国の盛土が全て法律に定められているわけではないと思います。
副知事といろいろ話しました。
副知事も発災直後から現場に入られていて、元々土木の専門家ですので、いろいろ話をさせていただきましたが、例えば宅地造成のところにつきましては宅地造成等規制法という国土交通省の法律に定められているので、静岡県内の中でもそういった宅地造成等規制法によるところの盛土は、そんなに問題は無いと認識をしていると。
他方で、法律の網にかかっていない盛土が存在するのも事実なので、それをどう点検していくのか、対応していくのかというのは問題意識として共有したところです。
国土交通省だけではなく、環境省や、山林ですと農林水産省、また、指摘もいただいておりますが経済産業省がメガソーラーの設置について等、各省の範囲の中で漏れがないのかということが1つと、各省の狭間になっているところで、法律の穴が無いのかというところも総点検していかなければならないと思っています。
政府全体はまだ具体的に申し上げられませんけれども、それぞれの大臣にはお話しさせていただいておりますし、少し政府の中でもどう進めていくのかというのは検討しなければならないのですが、現地の災害対応等々で追われておりますので、並行しながらその作業は進めていこうと思っています。

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