大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年1月7日(火) 11:34 ~ 12:06
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件では私の方から報告するものはございませんが、閣議案件とは別に1点御報告させていただきます。
年末の海外出張の件です。
12月25日から31日にかけまして、インドネシア、ミャンマー及びシンガポールを訪問させていただきました。
インドネシアでは、バスキ・ハディムリヨノ公共事業・国民住宅大臣と、また、ブディ・カリヤ・スマディ運輸大臣と会談を行い、道路、水・防災、港湾、鉄道等における両国間の協力プロジェクトの現状認識や課題について議論を行い、また、両国間の協力関係を一層強化するために国土交通省とインドネシアの公共事業・国民住宅省間で社会資本整備に関する協力覚書を締結いたしました。
また、ジャカルタMRT、これは地下鉄ですが、に試乗するとともに、その1つの駅でODAプレートの除幕式も行わせていただいたところです。
ミャンマーでは、タン・スィン・マウン運輸・通信大臣、ハン・ゾウ建設大臣と会談し、鉄道、空港、港湾、都市開発、道路等について政策協議を行うとともに、両国間の協力関係を一層強化するため、日本国国土交通省とミャンマー連邦共和国運輸・通信省との間で、航空分野及び港湾分野に関する協力覚書の署名も行わせていただいたところです。
更に、住宅・都市開発分野に関しましては、日本から同行していただきました日本企業また団体の11社の皆さんの参加を得まして、ミャンマー連邦共和国建設省との意見交換会を開催するとともに、独立行政法人都市再生機構とミャンマー連邦共和国建設省の間での覚書の署名に立ち会わせていただきました。
また、ヤンゴンの都市開発や道路事業の現状、ティラワのSEZ及びそこに進出する日本企業の工場、ティラワ港等を視察したところです。
シンガポールでは、コー・ブンワン インフラ統括兼運輸大臣と会談を行い、港湾・航空分野をはじめとした国土交通分野における両国間の協力を引き続き進めていくことを確認させていただきました。
また、我が国においてIRの整備を進めていく上で参考とするために、IRの視察を行うとともに、我が国企業による自動運転バスの試験運行に試乗、また、PSAコーポレーションの説明によりましてパシルパンジャン港及びチャンギ空港第4ターミナルの視察も行ったところです。
今回の出張は国土交通大臣としての初めての海外出張でしたが、日本の「質の高いインフラ」について各国の大臣へのトップセールスを実施し、現地で活躍する日本企業の皆さんの高い評価と今後の協力拡大に対する高い期待を感じました。
特に我が国の支援ならではの技術移転と人材育成は他の国ではなかなかできないことでして、こうしたことをしっかりとこれからも訴えていこうと思っています。
併せて、シンガポールの港湾におけるICTを活用した担い手不足対策など、我が国において取り入れることが可能な取組について展望を広げることができたところです。
詳細は後ほど資料を配付させていただきます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)新年にあたりまして、今年力を入れていきたい施策、取組など抱負をお願いします。
(答)昨年9月に国土交通大臣に就任して以降、相次いで、自然災害、激甚災害への対応など、様々な課題に取り組んできました。
本年も国民の皆さまの命と暮らしを守るために、とりわけ以下の4本の柱を中心として諸課題に取り組んでいきたいと考えております。
第1の柱は、防災・減災が主流となる安全・安心な社会づくりです。
頻発化・激甚化する災害からの国民の皆さまの安全・安心の確保が重要です。
相次いだ自然災害からの復旧・復興の加速、また、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の着実な実行を図るとともに、この一連の災害の教訓や検証を踏まえた抜本的かつ総合的な防災・減災対策をしっかりと進めていきたいと考えております。
第2の柱は、観光による地方創生、また、それによって実現していくユニバーサルデザイン社会の実現です。
いよいよ本年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に国土交通省としても万全を期すとともに、これを契機として日本の魅力を強力に発信し、全国津々浦々にインバウンドの効果を波及させていきたいと思っています。
こうした取組を通じて、訪日外国人旅行者数4000万人、2030年6000万人等の目標達成に向け、観光先進国の実現に取り組んでいきます。
また、全ての人が共生する社会が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとなるよう、「心のバリアフリー」などのソフト対策の強化に向けたバリアフリー法の改正や、大量輸送を担っているJR各社の新幹線のバリアフリーについても顕著な改善を求めていく考えです。
第3の柱は、安全・安心な移動環境の整備です。
交通事故撲滅を掲げて、安全運転サポート車の普及促進など少子高齢化に対応した交通事故対策の推進、また、高齢者の移動の受け皿となる地域公共交通の維持確保に向けた取組の推進などに取り組んでいきたいと思っています。
第4の柱は、持続可能な地域社会と経済成長の実現です。
あらゆる方が安心し、活躍できる社会を目指して、スマートシティの更なる推進、所有者不明土地問題への対応、重点的・戦略的な社会資本の整備などに取り組んでいきたいと思っています。
国土交通省といたしましては、本年も「現場主義」を徹底して、国民の皆さまが安心して、豊かな生活を送ることができるよう、これらの諸課題について全力で取り組んでいきたいと思いますので、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

(問)ゴーン被告が関空からプライベートジェットで出国したとされていることについて、現時点での事実関係と受け止めについて、まず教えてください。
(答)ゴーン氏に関することにつきましては、関係当局において捜査や調査が行われていると承知しておりますので、直接お答えすることは控えさせていただきたいと思います。
航空保安検査につきましては、航空機の運航の安全を確保するために、爆発物、凶器等の危険物が持ち込まれないかを確認する観点から実施しています。
ただ、プライベートジェットにつきましては、機体全体が個人の部屋であるように使用されるものであることから、いわゆる一般の商用機のような不特定多数の旅客の安全性の確保が求められているものではないということから、機長が必要性があると判断した場合に限り、保安検査を実施しているというのが現状です。
国際的に見ましても、プライベートジェットの保安検査について明記した国際ルールはなく、主要国においても商用機並みの検査が義務付けられているという実態にはなっていないと承知しております。
一方で、一昨日1月5日に、出入国在留管理庁より国土交通省に対しまして、厳格な保安検査の実施について協力依頼があったことも踏まえまして、国土交通省として、羽田空港、成田空港、関西空港、中部空港の4空港にあるプライベートジェット専用施設において、全ての大きな荷物の保安検査を義務化することとし、昨日1月6日より実施しているところです。
また、一般空港におきましても、国際線プライベートジェットについて、大きな荷物に対しては、特に注意した保安検査の実施を徹底するよう指示しているところです。
今後、航空保安検査において不審な点があった場合は、検査実施者より出国管理担当者等に情報提供するなど、適正な出国管理に協力していきたいと思っております。
(問)今仰られていた保安検査というのは、開披やX線等いろいろあると思うのですけれども、今回X線検査が関西空港では行われていなかったのではないかと指摘されていることについてはどうですか。
X線検査も義務付けるお考えでしょうか。
(答)今申し上げましたように、これまでは機長が必要性があると判断した場合に限り保安検査を実施しているということです。
その保安検査には、X線検査や開披検査も含まれているということです。
(問)もう1点ですが、これまで国としてはプライベートジェットの受入れを推進してきたと思うのですけれども、保安検査の実施によって、今まで説明していた利便性が一部損なわれるのではないかと思うのですが、それも踏まえた上で、影響はいかがでしょうか。
(答)必ずしもそうは考えておりませんが、まずプライベートジェットにつきましても航空保安検査を今回強化することによって、より安全な運航を確保する。
しかし、一方で、出入国の円滑化や利用可能枠の拡大など、プライベートジェットを受け入れることはしっかりと推進していきたいと考えております。

(問)中東情勢についてお伺いします。
アメリカ軍がイランの精鋭部隊の司令官を殺害して、イラン周辺で両国の衝突への懸念が高まっている状況です。
国土交通省として対応があればお伺いできればと思います。
(答)我が国の輸入原油の8割以上が中東に依存しており、この海域を航行する船舶の安全確保は大変重要な問題だと考えています。
国土交通省としては、この一連の中東情勢に関してここ数日来報道されている事態を受けまして、1月4日及び6日に運航事業者に対しまして、現地の情報提供と安全航行にかかる注意喚起等を行っているところです。
今後も引き続きまして、昨年12月27日の閣議決定の趣旨を踏まえて、関係省庁とも連携しながら、海運業界に対しては、迅速に正確な情報を提供する、また適時適切な注意喚起を行うなどによりまして、航行の安全確保に努めてまいりたいと考えています。

(問)ゴーンさんの件に関連して質問したいのですけれども、今回、逃亡のいろいろな詳細が明らかになる中で、10箇所ほどいろいろな空港を視察した上で関空から逃げることを決めたという報道も出ているのですけれども、関西空港の保安や警備に何かしらの脆弱性があると認識されているのか、もしそうだとしたら、どのように改善していくのかという点をお伺いしたいです。
(答)様々な報道は承知していますけれども、先ほど申し上げましたが、具体的な事実関係についてこの場でお答えすることは差し控えたいと思います。
ただ、一連のこうしたこともあり、先ほど申し上げましたように、これまでは機長の判断で、機長が必要性があると判断した場合に限り保安検査を実施するというルールでやっていましたが、重ねてになりますが、今回1月6日から、羽田空港、成田空港、関西国際空港、中部国際空港の4空港にあるプライベートジェット専用施設において、全ての大きな荷物の保安検査を義務化することを始めたところです。
一般空港におきましても、特に注意した保安検査の実施を徹底するよう指示しております。

(問)先ほどの保安検査の件について、大型の手荷物というのはどういうものを指すのかということと、昨日から運用を変えているということですが、これは通達等を出しているものなのか、それとも今後省令改正等をしていくものなのか、その辺りの枠組みを教えてください。
(答)具体的な大きさを公開しますと、それに伴って同様のことが起こることもあるので、それは今ここではっきりとは申し上げられません。
もう1つについては、昨日通達を発出したところです。
(問)通達はどこに発出したのでしょうか。運輸局にでしょうか。
(事務方)空港の管理者宛に通達を発出したところです。
(問)ある程度大型の荷物については、一定のレベルはあるけれども言えないということでよろしいでしょうか。
(答)はい。

(問)海外視察についてお話がありましたけれども、シンガポールでIRの関連施設の視察を行われたということですが、本日7日付けでカジノ管理委員会が発足しています。
今後、基本計画案がまとまっていったりとか、国土交通省・観光庁の方で整備されていくと思うのですが、視察でどんな点を御覧になったのか、大臣はどのように受け止められたのかというところを教えていただけますか。
(答)今回のシンガポールでのIR関係の視察に当たって、私自身の留意点として、今回の日本のIRの参入に向けた事業者とのそうした関連の意見交換や先方の要望というのは一切お受けしないと。
時間も極めて限られたものでしたので、IR施設の視察のみ、現状だけを担当の方に説明をいただいたということであります。
具体的には、国会の中でも一連のいろいろな議論がありました、カジノに関する有害影響の排除対策がどのように行われているのかということが1つ。
もう1つは、IR施設は初めてであり、特にMICEの施設ですとか、日本にはないようなスケールの施設がどう運用されているのかといったことについて、限られた時間でしたが、現場視察をさせていただきました。
実際には2箇所視察しましたが、いずれのIRも大規模で国際競争力の高いMICE施設、ちょうどニューイヤーを迎えるということで、すごく大がかりなイベントの準備中でありまして、そうしたことを認識させていただいたのと、予想以上にアジア周辺各国からの家族連れで楽しんでいるエンターテイメント施設が大変充実しておりました。
また、有害影響排除対策についても、本人確認の徹底やカジノ施設スタッフによるアンバサダーが決められて、多くの人間が巡回をして二重三重の管理が徹底されているという感想を持ったところです。
今回のIR視察で学んだことを、今後の区域整備計画の認定を公平・公正に行う上での参考にしていきたいと考えております。

(問)関連してカジノ管理委員会についてですが、今日、カジノ管理委員会が設置されました。
この受け止めをまずお願いしたいのと、IRを巡っては、今、汚職事件の捜査等が行われていますけれども、改めて今日カジノ管理委員会が設置されて、今後のスケジュールは予定どおりなのか、この辺りの見通しもお願いします。
(答)本日7日、カジノ管理委員会が発足いたしました。
これは御承知のとおり、カジノ管理委員会の担当は武田大臣となっておりますけれども、今後、IR整備法に基づいて、カジノ事業の監督を厳正かつ公正に行っていただくものと期待しております。
また、後段の質問につきましては、これまで法律などで議論を積み重ねてきたIR整備法の趣旨と、今回の事件というのは別に考えていかなければいけないと思っております。
IR整備法に基づき必要な準備を進めていくに当たっては、我々も説明責任が求められるわけでありますので、公平性と透明性を確保しつつ、丁寧に取り組んでいきたいと考えています。
スケジュールについては、現在、手を挙げている地方自治体がそれぞれ申請に向けて準備も進捗していると承知をしていますので、今の時点で変更うんぬんということは考えておりません。

(問)ゴーン被告の出国に関して、先ほど御説明のありました、4空港での大型手荷物検査のことで内容の理解を深めるために確認をしたいのですが、先ほど冒頭で、機長が必要性があると判断した場合に限りということでこれまではやっていたと。
今回義務化をするということは、機長がやらなくていいと言っても、現場の保安検査員は実行できるということになると思うのですけれども、現状、航空法に基づいて航空会社がやっていることになっていますが、現場を見ると、実際は警備会社が委託を受けて民間の警備会社の方々が手荷物検査をやっていると伺っております。
その場合に、警備会社の方々が機長の意向に逆らってそういうことができる権限か何かを国土交通省として今後お与えになる御予定があるということなのでしょうか。
それとも、もう既にそういう何かお墨付きみたいなものを与えているということなのでしょうか。
その辺りもう少しクリアに説明していただけますか。
(事務方)今回はプライベートジェット専用施設における検査を行うということで、航空法47条の2に基づく空港保安管理規程の運用において検査を行うということで、施設の管理者側が改めて警備会社に委託するという形で検査を行うことになります。
(問)管理者側というのは、航空会社という意味ですか。
(事務方)施設の管理者になります。
(問)関空エアポートとかそういうことですか。
(事務方)施設の管理者側が警備会社等に委託をして検査を行うという運用になります。
(問)今後義務化するというのは、ビフォーがどうでそれがどうなるということなのでしょうか。
(事務方)機長が検査をいらないと言ったとしても、空港管理者側が検査を行うという形になります。
(問)海外の報道で、カルロス・ゴーン被告が8日にレバノンで記者会見を行うようで、そこで政府関係者の方々が自分の逮捕に関与したというような話を暴露するようなことを仰っているようなのですが、国土交通省には関係ないのかも知れませんが、その辺りの見解が何かあればお答えいただきたいと思います。
(答)その報道も承知しておりませんから、コメントはありません。

(問)カジノ、IRで先ほど仰っていた答弁の主旨を教えていただきたいのですが、今後のスケジュールは予定どおりかという質問に対して、自治体の申請に向けた準備も進捗しているので今の時点では変更は考えていないと仰られたのですが、これは区域整備計画の申請期間のこと等を指していると理解して差し支えないでしょうか。
(答)それもそうですが、基本方針の出すタイミングということです。
(問)明言をされておられたかどうか覚えていないのですが、近々と認識しておりますけれども、それは変わりなく、基本方針案の案が取れて基本方針にされるというおつもりだということですか。
(答)基本的にはそうです。
(問)国会も始まりますけれども、例えばそれを見据えたタイミング、そう遠くない時期とか。
(答)先ほど申し上げました、現段階では考えている想定のとおりで進めていかなければならないと思っています。
(問)野党も先ほど追及本部をやっていて、ちょっとのぞいてきたのですけど、スケジュールを一旦見合わせるべきだとか、全容解明にしてからにすべきだとの声が一部あったのですが、それは変わりなく、遅滞なく進めるということでよろしいですか。
(答)野党の皆さんの主張もまだ全然聞いていませんし、予算委員会が始まったりしますので、先のこと、仮定のことなので、現時点では状況としては、先ほど申し上げた一連の起こっている事案とはリンクはしていないと承知しておりますので、現状は、地方自治体も準備を進めている中では、予定どおり進める、基本的にそうするべきではないかと考えております。

(問)先ほど出たIR汚職事件の関連ですけれども、一部報道で、秋元元副大臣が在任中に空港の開設について航空局に働きかけをしたという話がありましたけれども、その事実関係と当時の対応などについて伺えればと思います。
(答)秋元議員が副大臣在任の時に空港担当部署を紹介したとの報道があったことは承知をしておりますが、捜査中の事案に関わる可能性があるので、この場では回答を差し控えさせていただきたいと思います。

(問)羽田空港の機能強化に関し、1月に港区の会場や六本木ヒルズの会場で低空飛行による羽田空港の増便計画を懸念する会合が開かれますが、他方で、大使館からは、問題は起こっていないのに、なぜ羽田がどんどん拡張したり乗り入れ便が多くなったりすることについて足を引っ張るような運動を起こすのだろうかという声があるわけです。
(答)お答えになっているか分からないのですが、羽田空港における新飛行経路の運用等の首都圏空港としての機能強化は、これから行われる東京オリンピック・パラリンピックの成功ですとか、首都圏の国際競争力の強化、増大している訪日外国人旅行者のスムーズな受入れという意味で大変重要だと思っています。
ただ、そのことに伴って様々な御心配があるというのは、そうした住民の方がいらっしゃるというのは、よく承知をしておりますので、これまでに丁寧な住民説明会を開始しておりまして、今6巡目となる住民説明会を開催しながら説明させていただいておりますが、今後とも様々な機会を捉えて丁寧な説明を行って、できるだけ多くの方々の理解を得られるように、引き続き取り組んでいかなければいけないと思っています。
(問)大使館の半分がある港区の大使館からの声としては、海外から来るお客さんの中で日本として一番丁重にもてなさなければならないのは外交関係だと。
その人たちが騒音だとか落下物に苦情をだしていないのに、なぜ何年間も続いているのかという意見があるわけです。
(答)そういった御意見があることは承知しました。
ありがとうございます。

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