大臣会見

繰り上げ赤羽大臣会見要旨

2019年12月23日(月) 10:22 ~ 10:40
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で私の方から1点御報告がございます。
既に資料をお配りしておりますが、本日の閣議で、令和2年1月7日付で海上保安庁長官に奥島高弘海上保安庁海上保安監を任命することについて、御承認をいただきました。
詳細は後ほど事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
このほか、私の方から4点報告があります。
1点目は、「海外出張の件」です。
12月25日から31日にかけてインドネシア、ミャンマー及びシンガポールを訪問します。
インドネシアでは、鉄道、港湾、道路、水・防災分野等について、政府要人との政策協議を行うとともに、国土交通省とインドネシア公共事業・国民住宅省との間で社会資本整備に関する協力覚書の署名式を行う予定です。
また、ジャカルタMRT事業におけるODAプレートの除幕を行うこととなっております。
ミャンマーでは、鉄道、空港、港湾、都市開発、道路分野等について政府要人との政策協議を行うとともに、両国間の協力関係を一層強化するため、国土交通省とミャンマー運輸・通信省との間で航空分野及び港湾分野に係る2つの協力覚書の署名式を行う予定です。
また、住宅・都市開発分野に関し、同行していただく日本企業とミャンマー建設省との意見交換会を開催するとともに、独立行政法人都市再生機構とミャンマー建設省との間の覚書の署名式に出席する予定です。
シンガポールでは、港湾、鉄道、航空分野、観光等について、政府要人との政策協議を行う予定です。
詳細は後ほど資料を配付します。
2点目は、「港湾の防災・減災対策」です。
本年の台風15号等で、私も視察をさせていただきましたが、横浜港の金沢地区福浦(ふくうら)をはじめ全国の港湾において、高波による工業団地等への大規模な浸水やコンテナの飛散が発生するなど、これまで必ずしも想定をしてこなかった新たな課題等が明らかになったわけでありますが、こうした再度災害防止の観点から、本年10月に有識者検討会を設置し検討を行ってまいりました。
この度、同検討会が「中間とりまとめ」をいたしましたので、本日、公表いたします。
この「中間とりまとめ」では、施設の設計に用いる波浪の更新や施設の嵩(かさ)上げ・補強等の実施、高潮・高波・暴風に対応した港湾における事業継続計画の策定などの具体的な対策が示されており、その中でも緊急性の高い内容については、補正予算も活用して、早急に対策を講じてまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
3点目は、「荒天時における走(そう)錨(びょう)事故防止対策」についてです。
昨年9月、台風の影響でタンカーが関西国際空港連絡橋に衝突した事故を受け、昨年10月、海上保安庁では有識者検討会を設置し、同種事故の全国的な再発防止策を検討いたしました。
具体的には、全国41箇所の重要施設を選定し、錨泊制限等の対策を順次講じ、そうした結果をもって、今年の台風ではその41の重要施設での事故は発生しませんでしたが、先ほど申し上げましたように、横浜港の南本牧地区については、本年の台風15号で、暴風で走錨した船舶の橋梁への衝突事故が発生したことから、この有識者検討会において更なる議論が行われたところであります。
本日公表される報告書では、湾外への避難の推奨や荷主への協力要請、国際戦略港湾の関連施設等の重要施設の追加、また、走錨事故を防止するためのガイドラインの作成・周知、施設補強など、ソフトとハード両面の対策を一体的に推進することが重要との提言がなされています。
これらの提言を踏まえ、走錨対策を強力に推進し、港湾の防災・減災対策とともに海上及び臨海部における台風等の強風による被害を防止し、安定した海上物流を実現するため、官民一体となって取り組むよう、港湾局・海事局・海上保安庁などの関係部局に指示したところです。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
最後に4点目は、「建設分野における特定技能外国人の適正な就労環境確保の取組」についてです。
国土交通省は、建設分野における特定技能外国人の受入れにあたり、本日、その適正な就労環境を確保するための取組みに関する通知を建設業界団体宛てに発出いたします。
建設分野での過去の外国人の受入れにおいては、外国人技能実習生の失踪が多い点や、国に認定を受けた雇用条件よりも低い条件で就労させるなど、賃金支払いに関する問題が多く見られました。
こうした問題を踏まえ、新しい制度の中では、直接本人に対して、国が認定した賃金と実際の賃金に食い違いがないかどうかの確認や、母国語相談窓口などの情報提供を目的とした講習の受講を義務付けることといたしました。
また、元請企業に対して、特定技能外国人が工事現場に入場する際に、その在留資格、就労場所、従事業務等の確認を行うことを原則化することとしました。
これにより、これまでの制度での失踪案件や不法就労等を抑制することを期待したものであります。
後ほど資料を配付いたします。
私からは以上です。

質疑応答

(問)今回の定例会見が今年最後になるかと思いますが、今年を振り返っての御所感をお願いいたします。
(答)9月11日に大臣就任以来100日を超えました。
この間、大変お世話になりましたことを心から感謝申し上げたいと思います。
就任直後から台風15号の上陸等々、激甚災害が続きまして、防災・減災対策、バリアフリー・観光対策、交通事故対策と公共交通の維持発展といった重要課題に取り組んできたわけであります。
まずは、気候変動による災害の激甚化と頻発化に伴う抜本的な防災・減災対策が挙げられます。
就任後からこの100日余りの中で、一連の激甚災害、21の道県の被災地域、また、沖縄の首里城の火災跡に足を運びました。
改めて気候変動による災害の激甚化、被害の甚大化を目の当たりにしたわけであります。
この中で、台風15号では屋根被害への支援拡大など、支援制度の不断の見直しの必要性を実感し、それを実行させていただきました。
また、改良復旧など抜本的な対策を早期に講じるため、11月から社会資本整備審議会に諮問をし、議論を開始しました。
また同時に、この一連の中で7百数十名を派遣させていただきましたTEC-FORCE等の防災・減災体制を強化するため、この度、地方整備局発足以来初めてとなる増員も実現しております。
国民の皆さまの命と暮らしを守るという最大の使命を、ハード対策にソフト対策も加えて、引き続き、全力で果たしていかなければいけないという責任を改めて痛感したところであります。
バリアフリー化についても、長年私自身が取り組んできたところでありますが、特に明年は、東京オリンピック・パラリンピックに向け、ユニバーサルデザインの共生社会を格段に進めなければいけない1年だと、レガシーとして残していかなければいけない1年だと思っておりまして、新幹線について、ソフト・ハード両面のバリアフリー対策を検討する検討会を、本日立ち上げました。
このバリアフリー化は、ハード面に加え「心のバリアフリー化」などソフト面の対策も強化してまいりまして、正にユニバーサル社会を大会のレガシーとしたいと考えておりますし、通常国会では法改正も予定しているところであります。
観光の推進につきましても、本年は、ラグビー・ワールドカップが開催されまして、大変多くの世界中の皆さまが訪れていただきました。
これまでなかなか実現してこなかった長期滞在といった新しい滞在、観光スタイルもあって、統計によると1人38万円もの支出をいただいたり、日本の各地で外国のお客様と国民の皆さまの新たな交流が生みだされたということは、大変素晴らしかったし、観光政策の本来の持つ価値が顕現されたものだと思っております。
また10月の末には、私が議長となり、G20観光大臣会合を北海道の倶知安(くっちゃん)で開催しまして、様々な観光政策の現状の認識の共有、また、これからあるべき姿といったものの議論が深められたことは、大変意味があったと思っております。
また、日韓関係でありますが、民間交流行事への出席や、G20の席上でも朴(ぱく)長官との率直な会談等を通じて、日韓の観光交流促進を図ってきました。
いずれにしましても、2020年、明年は、インバウンド4000万人、2030年6000万人という大変大きな目標を掲げておりますので、この目標達成に向けて取組を更に加速してまいりたいと思います。
最後に、交通事故の撲滅と公共交通の維持発展も大変大きな問題として取り組んでまいりました。
高齢ドライバーの事故やお子様たちが犠牲となる事故を撲滅するために、今回サポカー補助を導入するとともに、令和3年11月からは、世界で初めて自動ブレーキを義務化することといたしました。
また、免許を返納した高齢者の移動の受け皿となる地域公共交通の維持発展の取組をしっかりと推進していく決意であります。
明年につきましても、通常国会を控えて、所有者不明土地問題やバリアフリーの推進、また、地域公共交通の維持確保など、数々の重要課題が待ち構えておりますので、しっかりと国土交通省としての与えられた使命と責任を果たせるように、全力で取り組んでいきたいと決意しております。

(問)整備新幹線の関連で2点お伺いしたいのですけれども、来年度予算案で整備新幹線予算が2年連続で増加しましたけれども、工費が上振れしている中で、今後もまだ財源の課題があると思うのですが、JRの貸付料の増加なども含めて、今後どのように進めていかれるお考えかお聞かせください。
(答)整備新幹線につきまして、令和2年度予算については、北陸新幹線及び九州新幹線の建設費の増加への対応といたしまして、令和元年度の792億円に12億円を加えた国費804億円を計上いたしました。
800億円を超えたということでございます。
令和4年度までの3年間に措置すべき519億円の3分の1にあたる173億円分については措置したわけですが、残る346億円分については、令和4年度までの間に、国費・地方負担又は更なる貸付料財源の活用によりまして、確実に手当てすることとしておりますが、その中身につきましては、どのような工夫がありうるのかについても、引き続き、検討を行ってまいりたいと考えております。
(問)もう1点新幹線の関係で。佐賀県内の未着工部分のアセスの費用は予算案に盛り込まれなかったわけですけれども、来年どのように進めていかれるかお考えを併せてお教えてください。
(答)この環境アセスのことにつきましては、佐賀県知事と今年は2回お会いして、限られた時間でありますが、率直な議論をする中で、環境アセスについては佐賀県の了解なくして計上しないというお約束を守ったところです。
同時に、今後具体的な進め方について、2回目の会談の時に、しっかりとしたテーブルを作って事務的に確認作業を進めていきたいということを申し上げておりまして、そうしたことを速やかに開始して、この環境アセスのことも含めて、佐賀県の意向を踏まえつつ、しっかりと協議に入って進めていきたいと考えております。

(問)特定技能の関係ですが、今後、人手不足が建設業では言われておりまして、外国人材の期待というのは大きいと思いますけれど、改めまして、今回通達を発出したことに対する意義について、大臣からお願いします。
(答)建設業の分野だけでなくて、14業種で新しく外国人材を受け入れて、これまでの外国人の就労について少し抜本的な対策をとろうとしたのが、この4月から始まった制度だと承知をしておりますが、率直に言って14業種の中でそれぞれ分野ごとの状況も違いますし、初めての制度ですので、私、党のプロジェクトチームの座長もしてまして、法改正もして、実施をしながらそれぞれの制度の改善を進めていかなければならないと。
いきなり何十万人も入れてうまくいくということではなくて、少しずつ入ってきていただいて、現状を見ながら、来られる外国の方もハッピーで、受け入れる日本側もハッピーで、地域においても様々な問題が起こらないように、丁寧に進めていくべきだと考えています。
今回、建設業界が過去の事例を振り返って、先ほど言いました失踪の問題とか、本当は就労条件が違うとか、新しい制度にふさわしくないことなので、業界として良い人材を入れて、育てて、我が国の建設業界のためにもなるし、それが行く行くは相手国との関係も維持発展できるという意味では、大変大きな新しい対策だと思いますので、余計な事ですけれども、他の14業種もこのことを参考事例にしていただければありがたいと思っております。
国土交通大臣の枠を超えるような話ですけれども、元々プロジェクトチームとしてやっていた思いからの感想です。

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