大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2019年11月22日(金) 9:32 ~ 9:52
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件につきましては、特に私の方から報告するものはございませんが、別に2点報告させていただきます。
1点目は、台風19号による被害に対する緊急的な対策の推進に向けた出張所、新たな出張所の設置についてです。
国土交通省では、台風19号により甚大な被害を受けた河川、砂防、道路の災害復旧工事等を迅速に進めるため、本日、東北、関東、北陸の各地方整備局に合計6つの出張所を設置します。
具体的には、後ほど資料を配付させていただきますが、災害復旧工事等を専属で担当する組織として出張所を設置することによりまして、迅速な工事監督や関係機関調整等を可能とし、被災地の復旧・復興をより加速化してまいる、それが目的です。
2点目は、視察についてです。
昨日、菅官房長官から発表されましたが、24日日曜日、安倍総理が宮城県を訪問されることになりました。
その訪問に私も同行する予定です。
具体的には、宮城県気仙沼市にあります東日本大震災からの産業復興の重要な拠点である造船所と台風19号において甚大な被害を受けた大崎市吉田川周辺地区を視察する予定です。
併せて、岩手県一関市の一関遊水池を視察させていただきます。
私からは以上2点です。

質疑応答

(問)昨日、社会資本整備審議会と交通政策審議会の合同部会が開かれまして、社会資本整備重点計画と交通政策基本計画の見直しに向けた議論が今後本格化していくと思いますが、両計画の見直しにあたって大臣が重要だとお考えの点についてお聞かせください。
(答)今仰ったように、昨日、2つの審議会が合同で開催され、見直しに向けた議論を開始したところです。
まず、社会資本整備重点計画については、何度も繰り返しお話させていただいておりますが、気候変動の影響等を踏まえ、将来の降雨量の増加等を考慮した、ハード・ソフト一体となった新たな防災・減災対策、加速化するインフラの老朽化に対応したインフラの計画的な維持管理・更新、民間投資を促すストック効果の高い社会資本整備、安全で魅力あふれる地域社会の形成や新技術等を活用したスマートシティの取組といった観点から、社会資本整備重点計画については御議論いただきたいと考えております。
また、交通政策基本計画については、人口減少や高齢化が加速する中での交通サービスの維持・確保や、災害への対応力向上、技術革新やライフスタイルの多様化に対応した新たなモビリティの実現、物流や観光などヒト・モノのスムーズで効率的な移動といった観点から、交通政策基本計画について御議論いただきたいと考えております。
今後、令和2年度末までの両計画の策定を目標に、幅広く関係者、専門家の皆さんの御意見を伺いながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

(問)和歌山市のビルの看板のメンテナンス工事に関連してパイプが落下し、通行中の男性に当たりお亡くなりになる事案が発生しました。
この現場では4日前にも同様にパイプが落ちていたということがあり、ずさんな管理も疑われる状況ですけれども、この件の大臣の受け止めと国土交通省として対応すべき点があればお願いします。
(答)この事案は私も報道で知ったところですが、和歌山のビル改修工事の足場の撤去作業において、鉄パイプが落下し通行されていた男性が亡くなられる大変痛ましい事故が発生しました。
誠に遺憾であり、亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
工事中の落下物の防止については、建築基準法や建設工事公衆災害防止対策要綱などに基づいて安全対策を適切に講じることとされており、建設業者には工事現場における安全性の確保に万全を期していただくことが必要だということは言うまでもないことですが、こうした事が起こったことは大変遺憾に思います。
現在、当該事故については既に捜査当局において事故原因の究明が行われているところであり、現時点では今後の捜査状況を注視してまいりたいと思っています。
加えて、国土交通省では、建設工事の際の第三者への危害や迷惑を防止するため、建設業者等が遵守すべき建設工事公衆災害防止対策要綱を策定しております。
その中で、例えば、鉄の網を外して作業をせざるを得ない場合においては、危害が及ぶおそれのある範囲を通行止めにする等の措置を講じなければならないなど、要綱を見直して、本年9月2日に告示をしたところでして、こうしたことも建設業団体を通じて周知を図っているところです。
今回の事故において、捜査が終わった段階になりますが再発を防止しなければならないという観点で、更なる周知徹底など、必要な対応をしっかり進めてまいりたいと考えております。

(問)リニア中央新幹線についてお尋ねいたします。
今日、相模原市の神奈川県駅、仮称ですけれども、その起工式が行われます。
リニアの中間駅としては初めての着工ということになりますけれども、改めてリニア計画の重要性などに関して大臣の御所見をお聞かせください。
併せて、静岡工区を巡っては、東京・名古屋間の開業時期への影響を懸念する声が出ておりますが、協議推進に向け、国土交通省としての対応方針などもお教えください。
(答)本日22日、リニア中央新幹線の中間駅としては初となる神奈川県駅の起工式が行われます。
リニア中央新幹線は、改めて申し上げるまでもないわけですが、最速で東京・名古屋間を40分程度、また、やがては東京・大阪間を1時間強で結ぶことになります。
三大都市圏間の人の流れを劇的に変え、国民生活や経済活動にも大きなインパクトをもたらすことになると考えております。
加えて、三大都市圏を結ぶ大動脈の多重系化により、災害対応としても重要であると考えているところです。
また、リニアの建設工事につきましては、環境影響評価法や全国新幹線鉄道整備法に基づく手続きを経て進められているところでありますが、今お尋ねの静岡工区につきましては、静岡県が権限を有する許認可の手続きを進めるにあたって、JR東海と静岡県、この当事者同士の間の議論が必ずしもかみ合っていない状況が見られております。
このため、国が議論を整理する立場で、鉄道局が中心となって、調整してきているところです。
いずれにしても、リニア中央新幹線は国民生活や経済活動に大きなインパクトをもたらす重要な事業でありますし、予定どおりの開業への期待も大きいことから、国土交通省としましても、本件工事を含む事業全体が円滑に進むよう、引き続き必要な調整や協力を行ってまいりたいと考えています。

(問)リニアの件で重ねてお願いします。
改めてなのですが、今週、静岡県の川勝知事が記者会見で、協議に農林水産省を参加させるように新たに求めています。
川勝知事は、以前、水管理・国土保全局や環境省の参加を求めた際、大臣は鉄道局を中心にと仰いました。
この件について、もう一度、農林水産省を入れるかどうかという点と、もう1点、リニアの南アルプスの工事というのは3大難関工事の1つと言われ、JR東海の金子社長は、5月以降、このままでは2027年開業に懸念を示しております。
川勝知事や地元が懸念する大井川の流量減少、流域の地下水の減少については、JR東海が、有識者による調査で技術的に問題ないことを示してはいるのですけれども、静岡県側が受け入れずに、技術的に本質的な議論に入ることはできていない状況です。
この協議にさえ入れない状況について、今後、何か打開策はないのでしょうか。
その2点について教えてください。

(答)これはよく御存知だと思いますが、そもそも論はJR東海と静岡県の間での問題だと思っておりまして、静岡県内の流域市町から表流水や地下水への影響についての御懸念がありまして、また、JR東海の地元への説明のあり方への疑問、不満があったと承知しております。
ですから、こうした流域市町の皆さまの抱えていらっしゃる御懸念や御不満を建設主体であるJR東海が受け止めて、両者の意思疎通がしっかりと図られることが大事なので、それがなかなか十分になされていないので、国土交通省は、行司役と言ってよいかわかりませんが、引き続き、必要な調整や協力等を行ってまいりたいと思っております。
ですから、国土交通省として、先ほど申し上げましたとおり、中心は鉄道局がそれをやっておりますので、その中で、川勝知事が環境省や農林水産省ということを言われるのは、ちょっといかがなものなのかなと思っております。
開業の遅れということを当事者のJR東海も心配されているのであれば、まずは両者間で懸念をしっかりと議論してクリアしていただくと。
そのために、国土交通省、鉄道局は、サポートできることは支援していく、こういうことだと思っています。

(問)本日の一部報道で、財政投融資が来月にもまとまる経済対策に入ってくるという報道があったのですが、財政投融資の中で、成田空港の新滑走路ですとか、なにわ筋線、新名神高速道路の6車線化というのが検討されているようですけれども、国土交通省としての要望状況や、今後の状況、現状でどのように検討しているのか教えてください。
(答)成田空港については、11月7日に成田空港会社より、航空法に基づく空港施設の変更許可申請が提出されたところでありまして、その中には、滑走路の延伸や新設を内容として、成田空港の更なる機能強化が内容として盛られております。
この具体的な整備計画や資金計画については、今、当事者の成田空港会社において検討しているところでありまして、それを踏まえて国の支援のあり方も含めて検討中ですので、現時点で具体的なことをコメントするような状況ではないので、控えさせていただきたいと思っています。
また他方で、11月8日の閣議において、総理から、「災害からの復旧・復興と安全・安心の確保」、「経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援」、「未来ヘの投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持向上」を柱として、新たな経済対策を策定するよう指示がありました。
この総理の指示を踏まえまして、国土交通省として必要な施策をしっかりと検討してまいりたいと考えております。

(問)リニア中央新幹線について、先ほどから出ているように、静岡県の工事などが非常に厳しい状況の中で、今、大臣の認識として2027年のリニア開業、これはまだ可能だという認識なのか、もう既に赤信号だというような声が、地元の静岡県からとかも上がっているのですが、これは赤信号・青信号・黄信号のいずれですか。
(答)静岡県から上がっているのですか。
(問)静岡県というか、地元です。
地元では2027年というのは無理だということが。
(答)静岡県から赤信号的なことが言われているというのは、釈然としないのですが、いずれにしても、工期の遅れ等について具体的な検討をする状況にないと承知しておりますので、先ほど申し上げたように、今成すべきことをしっかり着実にやると、問題をクリアするように当事者間で努力していただくと、国土交通省としても第三者的でありますけれども、出来ることはしっかりと支援をしていくという基本姿勢で臨んでいきたいと思っております。
(問)まだ2027年開業というのは望みがあるとお考えでしょうか。
(答)全くそう思っております。

(問)先日、IRの認定の申請について、期間が2021年の1月から7月と示されました。
この時期に期間の幅を持たせて設定した理由と、その後、どれだけ手挙げするかという不確定要因もあると思いますが、現状考えている日程や開業のスケジュール、想定しているものについて教えていただけますか。
(答)IR整備法に基づく認定の申請期間については、これまでも御報告申し上げてまいりましたが、観光庁において、認定申請を予定または検討している8地域の自治体よりヒアリングを行ってまいりました。
その結果を踏まえての今回の発表でございますが、自治体が実施方針の策定をし、民間事業者の選定をしたり、区域整備計画の作成をして、自治体は認定の申請をするわけでありますけれども、その申請をする際に、それぞれの議会の議決を経ることが義務付けられております。
そうしたプロセスのかかる期間を考慮し、また自治体における議会の会期等も考慮して、7か月間の申請期間を設けることが妥当であると考えてそうしたことを考慮したところでございます。
(問)期間だけではなく、その後のスケジュール感は。
(答)その後のスケジュール感はまだ決まっておりません。
今決めていることは、申請期間を2021年1月から7月までとする、審査に必要な期間は、実際に申請を行う自治体の数により左右されるため、認定時間をあらかじめ確定させることはできないので、その後の認定時期をどうするのかという方針を決めたわけではございません。

(問)認定の時期は、出そろった状況を踏まえて判断されるという、かなり後にならないと、例えば締切りをした後ではないと見極められないという御趣旨でよろしいでしょうか。
(答)今は、決めていることはまだないということです。
早く申請した方が有利だとかではなく、それぞれの出そろったところで、有識者による審査委員会を設置して、公平かつ公正な審査を行うことにしております。
現時点で報道にあるようなことはまだ何も決まっていないということです。
決まり次第また御報告させていただきます。

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