大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2019年10月29日(火) 9:46 ~ 10:06
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件に関係しまして、私の方から1点御報告があります。
大規模災害復興法に関する閣議決定についてです。
本日、台風19号による災害を大規模災害復興法における非常災害に指定する閣議決定がなされました。
これによりまして、これまで御要望いただいていた長野県東御市の海野宿橋をはじめ、地方公共団体が管理する6箇所の道路について、国が代行して災害復旧事業を実施することといたします。
国土交通省では、これまでもTEC-FORCEによる現地調査等を進めてまいりましたが、本日より現地作業に着手させていただき、一日も早い復旧を目指し、引き続き全力を尽くしてまいります。
国が代行を予定している道路につきましては、後ほど資料として配付させていただきます。
このほかに、閣議とは別ですが、私の方から2点報告させていただきます。
1つは、G20観光大臣会合への出席についてです。
10月25日、26日に、我が国が議長国として北海道倶知安において開催した「G20観光大臣会合」に出席するため、出張してまいりました。
まず、30の国や国際機関等の参加を得て、観光大臣会合を、今回初めてG20の正式な関係大臣会合として開催できたことを嬉しく思います。
本会合では、各国が共有する課題である持続可能な観光を実現するための観光マネジメントや技術革新について、各国・国際機関の代表間で、率直に議論し、各国の最先端の知見を共有することができました。
会合の成果として、我が国は、議長国として、充実した内容のG20北海道倶知安観光大臣宣言をとりまとめました。
本宣言では、G20各国が協調して、観光の持続的な発展と観光を通じたSDGsへの貢献に取り組むため、各国において、観光の影響のモニタリングや、多様な主体と連携した観光地域作りを進めることで一致するとともに、災害対応能力向上や女性のエンパワーメントについても、G20で知見を共有しつつ取組を進めることで合意したところです。
また、各国の大臣等が我が国に来られるこの機会を最大限に活用し、フィリピン、サウジアラビア、スペイン、韓国、世界観光機関(UNWTO)、アドベンチャー・トラベル・トレード・アソシエーション(ATTA)の代表と精力的にバイ会談を行わせていただきました。
UNWTOとの会談では、UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムについて、ATTAとの会談では、アドベンチャートラベルワールドサミットについて、それぞれ日本で開催いただけるように働きかけを行ったところです。
今後、我が国としては、本会合で得られた知見も活用し、観光先進国の実現に向け取り組んでまいりたいと思っています。
2点目は、北海道胆振東部地震の被災地域の視察についてです。
10月27日日曜日、胆振東部地震から一年以上経ちましたが、現状の復旧・復興の状況を視察したいという思いから、厚真町の土砂災害箇所の視察及び応急仮設住宅入居者との懇談を行わせていただきました。
大規模な地すべりによる河道閉塞が発生し国直轄により砂防工事を進めている日高幌内川や、北海道が対策工事を進めている厚真町の富里地区などを視察し、被害の甚大さ、自然の猛威を痛感いたしました。
地域の皆さまが、一日でも早く元の生活に戻れるよう、大変難しい復旧・復興工事ではありますが、全力を挙げていきたいと決意を新たにしたところです。
また、応急仮設住宅入居者との懇談におきましては、避難生活での大変な御苦労話を伺いまして、被災者の皆さまに今まで以上に寄り添っていく必要性を痛感したところです。
また厚真町長から恒久的な住宅の整備等に向けた意欲を伺い、国土交通省としてもしっかり支援させていただくとお伝えしたところです。
国土交通省として被災地域の一日も早い復旧・復興に向け、地域の皆様の御期待に沿えるよう全力で取り組んでまいります。
以上です。

質疑応答

(問)先週、千葉では1か月分の雨量が半日で降るなど、各地で豪雨災害がまた発生しました。
台風の被災地でもまた土砂災害、浸水被害等も起こっています。
この災害について、国土交通省で今把握している被害状況と今後の対応についてお聞かせください。
(答)低気圧と台風第21号周辺の湿った空気が流れ込んだ影響で、関東地方や東北地方の太平洋側を中心に大雨となり、大変甚大な被害が発生いたしました。
まず、この災害によりお亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されたすべての皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
被害状況ですが、この大雨によりまして、千葉県や福島県などの県管理河川34河川で堤防からの越水等による浸水被害が確認されており、土砂災害も人的被害を含む19件が確認されました。
道路につきましては、一時、高速道路等の幹線道路で通行止めとなりましたが、昨日28日朝までに全ての区間で通行止めが解消されました。
一方、鉄道は、千葉県内を中心に2事業者2路線が、施設被害により、現在も運転を見合わせております。
国土交通省の対応ですが、海上保安庁では、26日に福島県災害対策本部より相馬市内における行方不明者1名、また、27日に千葉県災害対策本部より茂原市内における行方不明者1名の海上での捜索依頼をそれぞれ受けて、巡視船艇等により沿岸部の捜索を行っております。
また、浸水被害が発生しました福島県相馬市、千葉県茂原市・佐倉市などの11市町で、TEC-FORCEが事前配備していた排水ポンプ車による排水活動を24時間体制で行い、27日までに家屋の浸水が概ね解消され、田畑の浸水も解消されつつあります。
また、地方自治体が早期に災害復旧事業に着手できるよう、地方整備局の防災ヘリやTEC-FORCEにより、被災状況調査を実施しているところです。
今回の大雨を機に、台風第15号及び19号の被災者の皆さまには、再び被災するのではないかとの不安が高まっていると思いますし、台風15号、19号に被災された皆さまにとっては二重三重の被災で、大変ショックも大きいことと思いますので、一日も早い安全・安心を確保するため、インフラの早期復旧に全力を尽くしますとともに、被災地・被災者に寄り添った生活再建に向けての対応に努めてまいりたいと思っています。

(問)昨日、九州新幹線西九州ルートについて、大臣が佐賀県知事と会談されました。
大臣からどのようなお話をされて、どのような議論があったのか。
また、佐賀県内の区間の今後の整備について、今後どのように取組を進めるお考えかお聞かせください。
(答)佐賀県の山口知事とは、先日、六角川の災害対応の件でお会いいたしましたが、この新幹線のルートについての話は初めてでして、私は、就任の時の官邸での記者会見でも、事情が私自身もよくわかっていないし、当事者の佐賀県知事のお話を直接聞くことがまず大事だと思って、お会いしました。
これまでの経緯とか佐賀県の思いというのは伺わせていただきましたが、短時間でもありましたし、私の方からはそれ以上あの場で具体的なやりとりをしたわけではありません。
知事からも、大臣と直接率直に話し合えるような機会は大事なので、それはお互いに今後も継続しながらやっていきましょう、ということで終わりました。

(問)28日からタクシーの事前確定運賃の制度が始まりましたけれども、現状の効果ですとか、今後の期待についての御所見をお願いします。
(答)タクシーに乗車する前に運賃が確定する事前確定運賃について、今お話がありましたように、10月25日付けで認可を行い、昨日28日以降、準備が整った地域から順次サービスがスタートしております。
28日時点でサービスを開始している地域は、札幌・1社・167両、千歳・1社・12両、東京・97社・1万139両です。
このサービスによりまして、利用者にとって、タクシーに乗車する前に運賃が確定するため、渋滞やメーターを気にせず、タクシーを安心して利用できるようになると思っています。
また、特に訪日外国人の皆さまにとりましては、事前に運賃を確定して予約できるようになることによって、タクシーを利用した円滑、安心な旅行ができるようになると考えております。
今後も利用者利便の向上に向けて、新たな運賃サービスの検討を更に進めてまいりたいと考えております。

(問)土砂災害警戒区域についてお尋ねします。
台風19号も含めて、今回の災害では警戒区域以外の場所で発災して、お亡くなりになる方もでました。
指定は県の仕事ですけれども、国の定めている土砂災害防止法の施行令等で、斜度が30度であるとかそういった基準がありますが、それに該当していない箇所でも、つまり警戒区域になっていませんけれども、発災したことの受け止めを。
ただ、広げるだけでは土地利用の規制であったりとか、今、住んでいる方のバランスとか難しい点もあると思いますけれども、大臣どのように受け止めてらっしゃって、対応について考えがあれば教えてください。
(答)30度以下の急傾斜地についても土砂災害が発生した事案はあると思っておりますが、反論するという意味ではなく、そうした地域については、急傾斜地の崩壊であるのか、地滑りであるのか、土石流なのか、一つ一つ丁寧な検証が必要だということをまず申し上げておきたいと思います。
加えて、何度も申し上げておりますが、一連の激甚災害というのは気候変動によるもので、災害が激甚化、頻発化しておりますし、その結果、被害も相当深刻に甚大化しているということも事実ですので、こうした気候変動にあわせて、これまで取っている我が国の防災・減災対策がこれで良いのかどうかということは、しっかり見直していかなければならないと思っています。
今回、一連の土砂災害警戒区域について発生した状況等をしっかり検証しながら、国民の皆さまの命と暮らしを守るのが我々の最大の使命だと思っていますので、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
あえて申し上げるなら、ハード面だけでは難しい部分もありますので、ハード・ソフト面、官民合わせて、加えて言うならば「自助・共助・公助」、国民の皆さんの防災意識を高めながら、防災・減災が社会の主流になるような政策を進めていかなければならないと思っています。
簡単にすぐ答えが出せるものではないので、しっかり腰を据えて精力的に取り組んでいきたいと考えております。
(問)しっかり検証というのはそのとおりだと思いまして、その結果如何によっては、例えば、施行令の改正や基準の考え方を見直す可能性はあり得るということですか。
(答)そういうことも想定しなければいけないのではないかと。
今、結論めいたことは言えませんけれども、そうしたことをしないという前提での議論ではないということです。

(問)サマランチ7代目IOC会長の個人秘書をしました私としましては、今回のIOCの決定に心を痛めております。
同時に、1つの例ですけれども、私の娘婿がアメリカのオリンピック選手で、1980年のモスクワオリンピックが中止になって、行けなくなりました。
札幌でとする強引なIOCの対応に対して、日本としては断ってということも考えられるのではないかと思いますがいかがでしょうか。
(答)私は、IOCの決定とか、国際オリンピック委員会の決定はどうなされたのか、事実を掌握しておりませんので、ましてや直接の所掌でもないので、お答えできる立場ではありません。
(問)都知事の記者会見でもこの意見は申し上げたいと思っておりますが、公明党としても、その点は札幌開催に反対だと聞いておりますので。
(答)私はそれは承知しておりません。
強いて個人的な感想を申し上げると、アスリートファーストということが大事であって、そこは大変重要な視点なのではないかと思います。
そういった前提でそれぞれの関係者が知恵を出して、素晴らしい東京オリンピック・パラリンピックにしていただきたいと思います。

(問)九州新幹線西九州ルートのことなのですけれども、先日の佐賀県知事との会談で、佐賀県知事は4者協議のあり方について、フル規格を前提にしたものであれば厳しいというふうにおっしゃいましたけれども、その4者協議の枠組み・あり方をどのように考えてらっしゃるかということと、今後どういうプロセスを踏んで国土交通省として判断していかれるお考えか教えてください。
(答)少なくとも、昨日、4者会議うんぬんという話は全くしていません。
それが事実です。
ですから、まだそういったことの具体的な議論は行っていません。
昨日は、あくまで、初めてこの件についてお会いして、当事者の責任者としての知事ですから、そのお話を聞かせていただいて、私は具体的なことは全く申し上げませんでしたし、私から申し上げたのは、国土交通省としては、高規格にネットワークを張っていくというのは、国民の利便増強のために大事なことだという原則があって、加えて私がお願いしたのは、佐賀県知事として長期に渡って地元の皆さんのことも考えて、お互いいい知恵を出していきましょうという程度でして、具体的な4者協議うんぬんということは昨日の会談では全く話は出ませんでした。
(問)追加なのですけれども、与党PTの方針と佐賀県知事の今の考え方が相反する部分があると思うのですけれども、今後、国土交通省としてどのようにうまく結論に導いていくのでしょうか。
(答)私は昨日話を聞いた段階ですから。
佐賀県知事は断定的なこと言われたわけではありませんし、知事と私でこうした場ができたのはよかったと思うし、今後もしっかり腹を割って話していきましょうということですから、昨日の会合で、何かについてこれは駄目とか、そうしたことを決めたようなやり取りは全くありませんでした。

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