大臣会見

石井大臣会見要旨

2019年4月26日(金) 9:01 ~ 9:23
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から報告するものはございません。
このほか、私の方から1点報告がございます。
「海外出張の件」についてであります。
5月1日から5日にかけまして香港、マカオ、ブルネイを訪問いたします。
香港では、双方向交流の拡大を進めているため、また、日本企業の受注を促し日本の質の高いインフラのトップセールスを行うため、政府要人との政策協議を行う予定であります。
マカオでは、近年、大規模なIRが数多く整備されていることから、わが国におけますIR区域整備の推進に向けた参考とするため、視察を行う予定であります。
ブルネイでは、今後の両国の双方向交流人口の一層の拡大に向けた効果を高めるため、政府要人との政策協議を行う予定であります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)平成最後の会見になると思いますので、その関連で2点お伺いします。
まず1点目は、平成は災害が多発した時代でしたけど国土交通省の防災・減災のための取組を振り返っての御所感と評価をお願いします。
(答)平成の時代は、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった大規模な地震、昨年の西日本豪雨といった激甚化する水害・土砂災害など、地域に深刻な影響を与える大きな自然災害が相次ぎ、私自身、被災現場を視察いたしまして、自然災害の猛威を改めて実感をしたところであります。
平成7年の阪神・淡路大震災では、旧耐震基準の建物の倒壊や市街地火災による大きな被害が発生いたしました。
このことを踏まえまして、耐震改修促進法の制定等による建築物の耐震化や、密集市街地の整備改善等に取り組んでまいりました。
平成23年の東日本大震災では、広範囲に渡って沿岸部を巨大な津波が襲い、甚大な被害が発生をしたことから、津波防災地域づくりの推進や復興道路・復興支援道路の整備等により、被災地への支援を現在も続けているところであります。
また、水害につきましては、平成26年の広島県の土砂災害を踏まえまして、土砂災害防止法を改正するとともに、平成27年の関東・東北豪雨等を教訓に「施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生する」との考え方に立ちまして、社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」を再構築する取組をスタートさせました。
これらの取組により、土砂災害警戒区域等の基礎調査結果の公表による危険性の周知や、関係機関が連携しまして、各主体における災害時の防災行動を時系列で整理をし、共有するタイムラインの作成等が全国的に進捗したところであり、平成29年の九州北部豪雨や昨年の西日本豪雨を踏まえまして、取組を加速させてまいります。
更に、平成20年に緊急災害対策派遣隊、いわゆるテックフォースを創設いたしまして、これまで、東日本大震災や昨年の西日本豪雨など、全国の93の災害に対しまして、のべ約8万人の隊員を派遣いたしまして、被災状況の早期把握や道路啓開、浸水解消に向けた緊急排水、防災気象情報の解説など、被災自治体の支援にあたってまいりました。
わが国は、切迫する南海トラフ巨大地震や首都直下地震、気候変動による水災害の頻発・激甚化など、自然災害の更なる脅威に直面をしており、本年1月に改定いたしました各種対策計画等に基づきまして、今後も、道路、港湾、空港、鉄道等のインフラの耐震化、避難路・避難場所の整備、ゼロメートル地帯の堤防の強化といった事前防災のためのハード対策、災害時に一人一人が主体的に行動できるよう、個人の避難計画作成といった住民主体のソフト対策、テックフォース活動の円滑化・迅速化を図るための体制・機能の拡充・強化等に取り組んでまいります。
引き続き、災害から国民の命と暮らしを守るため、災害リスクに関する知識と心構えを社会全体で共有をし、様々な災害に備える「防災意識社会」への転換を図り、国土交通省の現場力を最大限活用いたしまして、整備効果の高いハード対策と住民主体のソフト対策を総動員しまして、防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。

(問)2点目ですけれども、令和時代を迎えるにあったて、省全体として注力していく課題や政策について大臣のお考えを伺います。
(答)令和には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められていると聞いております。
令和という新しい時代が、このような希望に満ち溢れた時代となるよう、国土交通省としましては、引き続き、安全・安心の確保、持続的な経済成長や豊かな国民生活の実現といった本来の任務に一層注力してまいりたいと考えております。
具体的には、まず、自然災害等からの国民の安全・安心の確保であります。
気候変動の影響により自然災害の更なる頻発・激甚化が懸念されております。
昨年12月にとりまとめました「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を踏まえまして、ハード対策とソフト対策を総動員してまいります。
続いて、豊かさや成長を実感できる生産性革命の徹底であります。
AIやIoTを活用したスマートシティや次世代モビリティの推進、i-Constructionによるインフラの整備・維持管理等の高度化、各種データの幅広い利活用を可能にする国土交通データプラットフォームの構築など、新たな取組を進めてまいります。
更に、我が国の成長戦略・地方創生の柱であります観光につきまして、2020年訪日外国人旅行者数4000万人等の目標達成に向け戦略的に観光施策を展開していくとともに、魅力ある地域づくりを進め、地域の活性化に努めてまいります。
新しい令和の時代の下、国民の皆さまとともに、豊かな国土づくりに力強く取り組んでまいりたいと考えております。

(問)先日発表もありましたが、衝突被害軽減ブレーキの普及促進に向けて、性能認定結果の公表ですとかロゴマークを作るといった取組を進められていらっしゃいますが、交通事故は悲惨なものが続いておりますが、こうした取組に期待するところ、大臣の御所感をお願いします。
(答)国土交通省では、高齢運転者による交通事故を防止するため、関係省庁と連携いたしまして、衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全技術を搭載いたしました「安全運転サポート車」(サポカーS)の普及促進に取り組んでおります。
この衝突被害軽減ブレーキの新車乗用車搭載率につきましては、2017年では77.8%でありますが、2020年までに9割以上とする目標を設定いたしまして、普及啓発に取り組むこととしております。
また、普及促進の一環といたしまして昨年創設した、自動車メーカー等の求めに応じ、衝突被害軽減ブレーキが一定の性能を有していることを国が確認し、その結果を公表する「性能認定制度」に基づきまして、今月23日に、自動車メーカー8社67車種、152型式について認定結果を公表したところであります。
更に、衝突被害軽減ブレーキの普及促進に向けました広報活動で活用できますロゴマークも作成しまして、併せて公表いたしました。
国土交通省といたしましては、このような取組が「安全運転サポート車」の更なる普及を促進し、悲惨な交通事故の抑止につながることを期待しております。

(問)2つお願いします。
1つは、今の説明に関連して、普及促進のために例えば減税とか、あるいは補助金を出すだとか、そういったことを考える可能性というのはございますでしょうか。
(答)自動車の税については、国土交通省は基本的に商用車を所管し、普通車自体はどちらかというと経済産業省がメインにやっておりますので、今後、関係省庁と議論していきたいというふうに思っております。

(問)2つ目は、「完成検査の改善・合理化に向けた検討会」が、去る24日にキックオフされました。
これに関連して、その目的と、最近自動車の事故も起きておりますし、完成検査不正も実際に日産、スバル、スズキと来ているわけで、このあたりについて、今後の国土交通省の取組を教えてください。
(答)自動車メーカーが型式指定車について行う完成検査は、国に代わって自動車の保安基準適合性を確認するものでありまして、厳に適切に実施することが必要であるにもかかわらず、平成29年の秋以降、複数の自動車メーカーにおいて不適切事案が判明し、コンプライアンス上の不適切な事案が続発しているということは、極めて遺憾であります。
このような一連の完成検査の不適切事案の再発を防止するためには、自動車メーカー各社において、経営層が公的責任を自覚し、強いリーダーシップを発揮することによりまして、不適切事案に繋がるリスクや要因にまで目を向けつつ、現場業務の把握管理を徹底するとともに、コンプライアンス重視を浸透させ、信頼回復に向けて取り組んでいただくことが必要と考えております。
国土交通省としましても、適切な完成検査を確保するためのタスクフォースの中間とりまとめにおきまして、より効果的な対応について検討を継続するべきであるとされたことを踏まえまして、自動車メーカーに対する是正措置命令を創設するほか、虚偽報告等をした場合の罰則を強化します道路運送車両法の改正案を今国会に提出しておりますので、速やかな成立を期待しているところであります。
また、併せまして自動車メーカーに対して効果的な立入検査の実施等の取組を講じることによりまして、適切な完成検査の確保に努めてまいりたいと考えています。

(問)マカオの出張、IRの視察ですが、具体的にどのような点を視察されるか教えていただけたらと思います。
(答)マカオにつきましては、近年かつてのカジノのイメージとは異なる大規模なIRが整備されておりまして、世界有数のIRの集積地となっております。
わが国におきましては、現在IR整備法に基づき、カジノ管理委員会の設立や基本方針の策定等の所要の準備を進めているところでありますが、IR区域の整備による効果を最大限に発現させていくためには、国際競争力の高い魅力あるMICE施設、宿泊施設、エンターテイメント施設等が設置・運営されることが不可欠であります。
今回、マカオのIRを視察するにあたりましては、特にどのようなMICE施設や宿泊施設、エンターテイメント施設等を設けることで魅力的な観光拠点となっているのかという点を実際に視察いたしまして、わが国におけるIR区域整備の推進にあたって参考にしてまいりたいと考えております。

(問)二輪車の駐車場整備についてです。
昨年、駐車場年報によりますと、東京都は純増で60台しか駐車場増えておりません。
路上駐車場についても、東京都の交通企画課が先導して特区的に進めようとしましたが、全くできておりません。
国土交通省は毎年のように促進を呼びかけておりますが、この点について御所見をお願いいたします。
(答)国土交通省ではこれまでも、平成18年に駐車場法を改正し、地方公共団体による自動二輪車駐車場の附置義務を可能とする仕組みの導入、既存の自転車駐車場等における自動二輪車用駐車スペース確保について地方公共団体へ要請を行う、自動二輪車駐車場の整備を行う地方公共団体への財政的支援の実施といった取組を進めてまいりました。
東京都に対しましては、打合せ等を通じた直接的な働きかけを行っておりまして、東京都も管下の市区町村を対象に、自動二輪車等の駐車場整備に関する会議を開催されて、直近では本年の2月に開催したと伺っております。
昨年度には自動二輪車の駐車問題に関する実態調査を実施していると、こういった対応を取り、自動二輪車の駐車問題に取り組んでいらっしゃると承知しております。
自動二輪車の駐車問題は各都市における路上駐車の状況等の駐車需給の状況等を考慮する必要がございますため、一義的には地方公共団体が主体となって対応すべき問題でありますが、国土交通省としても、自動二輪車の駐車スペースの確保は重要な課題と認識をしておりまして、今後も地方公共団体と連携しつつ、自動二輪車駐車場の拡大に取り組んでまいりたいと考えています。

(問)そこでですが、足下の状況でこういうことが続いていることが解消されないということで、義務化も必要であるという意見が出ております。
大臣、この辺についてはどうお考えでしょうか。
(答)東京都も先ほど申し上げましたように、独自の御努力をされているということでございますので、まずは各地方自治体の取組を我々も注視し、引き続き連携をしながら、自動二輪車の駐車場の拡大に取り組んでいきたいと考えています。

(問)23日に山形空港であったフジドリームエアラインズの事故についてお聞きします。
滑走路も乾いた状態でこうした離陸時の逸脱が起こることは珍しいと思うのですが、過去に同様の事例があれば教えてください。
また、現在把握している調査状況も併せて教えてください。
(事務方)小型機の事故は、離陸時にそれるというような事案はありますけれども、大型機については、過去10年、20年ございません。

(問)併せて調査状況もお願いします。
(答)4月23日16時45分頃、山形空港発、名古屋飛行場行きのフジドリームエアラインズ386便が離陸滑走中、滑走路を逸脱する事案が発生しました。なお、乗員・乗客64名に怪我はありませんでした。
本件は、重大インシデントに該当することから、運輸安全委員会が調査官4名を指名し、原因調査を行っております。
なお、同社が乗員から聞き取ったところによると、当該機は離陸滑走後、進行方向に対して左に偏った、偏向したため、乗員が方向の修正を試みたところ、回復しなかったことから離陸を中止したとのことであります。
国土交通省では、フジドリームエアラインズに対しまして、運輸安全委員会の調査の進捗に応じた必要な措置を講じるとともに、その進捗を待たずして、想定し得る原因を考慮して当面の再発防止策を検討し、実施するよう指示をいたしました。
また、原因調査等のために当該機が使用できず欠航が生じる場合には、旅客に対して十分な情報提供を行うなど、丁寧な対応を行うよう併せて指示をしております。
航空輸送におきまして安全は大前提でございますので、同社の再発防止に向けた取組を確認するとともに、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

(問)空き家についてお尋ねします。
今日、総務省の方で、住宅・土地統計調査が5年に1回のものですけれども、公表になります。
前回ですと、13%の空き家率、7戸に1戸が空き家というような数字になってまして、詳細の数字はまだ明らかじゃないですけれども、市場動向などを勘案すると恐らくまだ多くの空き家がでているということになると思うので、住宅行政のあり方もまた焦点に当たるのかと思っております。
平成27年には、特別措置法ができたりとかそういうこともありましたが、これまでの総括と、今後の対応方針についてお尋ねします。
(答)本日午後、総務省より平成30年の住宅・土地統計調査の結果が公表され、最新の空き家数等が明らかになるものと承知しております。
空き家の総数だけではなく、平成37年、令和7年時点に、400万戸程度に抑えるとの目標を掲げている「その他空き家」、賃貸・売却用等以外の空き家ですね。
「その他空き家」の数がどうなるかについて、注視しているところであります。国土交通省としては、これまでも目標の達成に向けまして、空家対策特別措置法に基づく措置や空き家の除却・活用等の取組に積極的に取り組んできているところであり、今年度においても空き家対策総合事業の要件の緩和、相続された空き家に係る税制上の特例措置の拡充等の措置を講じてきております。
本日公表される数値も踏まえながら、空き家の抑制に向けまして、より一層の取組を進めてまいりたいと考えています。

(問)中古の住宅の活用がもう少し伸びないかな、というところも専門家の意見としてあるのですけれども、その辺についてはいかがですか。
(答)中古の住宅については、住宅で活用する、あるいは他の用途で活用する等々色々な活用の方法がありますので、そういった方面も、より一層の取組を進めていきたいと思っております。

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