大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年10月19日(金) 10:45 ~ 11:06
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から報告するものはございません。
以上であります。

質疑応答

(問)先日、カヤバ工業、現在のKYBのダンパーで検査データの不正が見つかりました。
影響がかなり広範囲に及んでいますけれども、大臣の受け止めと、国土交通省としての今後の対応について教えてください。
(答)KYB株式会社及びカヤバシステムマシナリー株式会社が建築基準法に基づく国土交通大臣認定や顧客との契約内容に適合しない免震・制震オイルダンパーを出荷していたことが、同社からの報告により明らかとなりました。
大臣認定等の内容に適合しない製品について、検査データを書き換えて出荷したことは、所有者や使用者等に不安を与え、かつ、建築物の安全・安心に対する国民の信頼を揺るがす行為であり、極めて遺憾であります。
国土交通省といたしましては、所有者等関係者への丁寧な説明、構造安全性の確認、交換の迅速な実施、徹底した原因究明及び再発防止策の報告、出荷製品の品質確保、相談窓口の設置を10月16日に指示したところであります。
引き続き、同社を指導いたしまして、所有者等の安心の確保と、再発防止の徹底について、厳正に対処してまいります。
更に、今回の不適合事案の原因究明結果等を踏まえまして、国土交通省として、今後、同様の事案の発生を防止するため必要な対策を検討してまいります。

(問)この事案が16日に発表されまして、その時点から現在に至るまで、個々の物件、どの物件に採用されているのかということが公表されていないということから、自治体ですとか、所有者の方々の間で不安の声が広がっていますが、これに関する大臣のお考えをお願いします。
(答)国土交通省としましては、所有者等関係者に対しまして、今回の事案について丁寧に説明するよう、KYB株式会社及びカヤバシステムマシナリー株式会社に10月16日に指示し、更に、不特定多数の者が利用する庁舎、病院等の施設については、早急に所有者の同意を得て、公表するよう、両社を指導してまいりました。
両社は、本日の午後の段階で、不特定多数の者が利用する物件のうち、所有者の同意が得られたものについて、公表を予定していると聞いております。
引き続き、適切な情報提供が行われるよう、両社を指導してまいりたいと考えています。

(問)今の質問に関連して2点伺いします。
2015年の東洋ゴムの不適切事案を受けて大臣認定制度が厳格化されておりますけれども、今回改めてこのような不適切事案が発生したことについての大臣の受け止めと、今後の対応についてお聞かせいただきたい。
これが1点です。
(答)国土交通省におきましては、平成27年3月の免震ゴムに係る不適切事案を踏まえまして、免震材料の大臣認定に必要な性能評価において、「製造部門から独立した品質管理推進責任者が選任されていること」など、品質管理に関する基準の適合を求めるとともに、事業者が大臣認定取得後に市場に出荷する製品については、平成27年以降、免震ダンパーについてもサンプル調査を実施してまいりました。
ただ、カヤバシステムマシナリーについては、今後の調査対象ということで、これまでは未実施の状況でありました。
今回の事案を事前に把握できなかったことを踏まえまして、国土交通省といたしましては、大臣認定を取得した全ての免震材料供給事業者の品質管理体制に関する実態調査を実施するとともに、今後のサンプル調査において免震オイルダンパー等について重点的にチェックするなど、当面の再発防止策の徹底を図ることとしております。

(問)もう1点は、今回このような事案が発生しておりますけれども、近年、自動車メーカーの問題や鉄道車両にも波及した神戸製鋼の問題など、品質に関わる問題が相次いでおります。
これに関する大臣の御見解をお聞かせください。
(答)これまでの日産自動車やスバル、また神戸製鋼所等の不適切事案に続き、今回、KYBが大臣認定及び顧客との契約内容に基づかない製品を出荷したことは、大変遺憾であります。
いずれの事案におきましても、国土交通省といたしましては、まずは安全性に問題がないかしっかり確認することが重要であると考えておりますが、これらの不適切な事案を起こした企業においては、一日も早い信頼回復に向けて、再発防止の取組を進めていただきたいと考えております。
国土交通省としましても、自動車の型式指定制度におきましては、不正防止のための勧告制度を創設するとともに、効果的なチェックのための無通告監査を行うなどの対応を講じたところであります。
その他の不適切事案につきましても、同様の事案の発生を防止するために、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

(問)2問質問させていただきたいのですけれども、まずは先ほどの質問に関連して、こういった不祥事が相次いでいる中で、国土交通省としてはやはり見逃しているということになってしまうのですけれども、責任が感じられるかということをまずお伺いしたいのですが。
(答)このような不適切事案を事前に把握できなかったことは、私どもとしても残念に思っております。
国土交通省としては、同様の事案の再発防止の徹底をしっかりと図っていくということが、国土交通省としての責任だというふうに考えております。

(問)もう1問なのですけれども、こういった改ざんなどのような不祥事が行われているということは、国が定めた基準値が非現実的だという捉え方もできるのですけれども、それについて御所感をお伺いしたいです。
(答)全てのメーカーがこういった不適切事案を起こしているわけではありません。
きちんと国の基準を守っているメーカーもあるわけですから、不適切事案を起こしたメーカーの極めて遺憾な事態であるというふうに考えております。

(問)普天間飛行場の辺野古移設に関して2点お伺いします。
防衛省沖縄防衛局が、先日、県が行った埋立承認撤回に対する審査請求と、撤回の執行停止の申立、これを国土交通大臣に行いました。
これに対する大臣の御所感と、国土交通省の今後の御対応をお聞かせください。
(答)8月31日に沖縄県が行いました埋立承認の撤回を不服としまして、10月17日に沖縄防衛局から、行政不服審査法に基づく審査請求及び執行停止の申立がありました。
これを受けまして、行政不服審査法に基づき、処分庁である沖縄県から、執行停止の申立に対する意見を書面により聴取する手続きなどに入ったところであります。
今後、まずは執行停止するかどうかについて判断することになりますが、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出された書面の内容を検討しまして、法令の規定に基づき適切に対応してまいりたいと考えています。

(問)もう1点関連して、今回のこの防衛省の対応について、沖縄県は政府機関が行政不服審査法に基づいて審査請求するということが、そもそも行政不服審査法は国民の権利保護を目的とするものであって、法の趣旨に反するという、そういう批判を県がしていたりだとか、仮に国土交通省が審査請求や撤回の申立を認めることになれば、内閣の自作自演だという批判もしています。
こうした指摘については大臣はどのようにお考えでしょうか。
お聞かせください。
(答)国土交通省は行政不服審査法の審査庁という立場でございますから、法の規定に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)今の点に関連して1点お伺いいたします。
前回、承認の取消しに関して同様の審査がなされた際、2015年に、大臣は閣議後会見で、内閣の一員として辺野古移設を推進する立場であるとお答えになっておりますが、大臣自身のお考え方として、今もお変わりはございませんでしょうか。
(答)一般的に、内閣の一員で辺野古移設の立場ということと、今、行政不服審査法に基づく審査庁の立場ということは、自ずから異なるわけでありまして、審査庁の立場からすれば、今後の審査の内容に関わることなので、コメントは控えたいと思います。

(問)関連で伺います。
前回2015年の際には、申し立てから執行停止の決定まで約2週間だったと思いますが、今回もスケジュール感としては、この2週間が大体目安になるとお考えでしょうか。
(答)行政不服審査法第25条第7項におきましては、「執行停止の申し立てがあった時、審査庁は速やかに執行停止するかどうかを決定しなければならない」とされております。
具体的な期限は法令上定められておりませんけれども、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出された書面の内容を検討しまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)同じく辺野古移設の問題なんですけれども、こうした形で執行停止を申し立てる前に、例えば、防衛大臣と話し合うだとか、閣内で何か話し合いをするなど、そういったことは今回はなかったのでしょうか。
(答)国土交通省は、申し立てする立場ではなくて、申立を審査をする立場でありますから、あくまでも行政不服審査法に基づいて、申し立てられた申立について審査を行っていくということでございます。

(問)もう1点、公明党の山口代表も、沖縄の方がどういう気持ちで投票されたか真摯に受け止める、というような発言も昨日されていて、大臣も公明党の一員としても、例えば、こういった話し合いの機会をもうちょっと丁寧に持つべきだったとか、そういうふうに感じられることはございますでしょうか。
(答)私は公明党を代表する立場ではありませんし、ただいま、国土交通大臣として答弁させていただいておりますので、今まで答弁してきたとおりであります。

(問)KYBについて、お話が戻るのですけれども、先程、実態調査を事業者に行っていくということだったのですけれども、これは、ヒアリングとか向こうから書面における回答ということではなく、立入検査というようなことも含めたものである、という認識でよろしいのでしょうか。
(事務方)基本的には、報告を求めることになってございますので、報告書をいただくということを考えてございます。

(問)関連でもう1点なんですけれども、今回、16日に担当局から行政指導の指示を出されたと思うのですけれども、今後、彼らも、社内調査と外部調査委員会共に調査をしていく、年内を目途に出していくということなんですけれども、それについて、それを踏まえてということもあると思うのですけれども、更なる立入検査だとか、行政処分等についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)国土交通省は、KYBに対しまして、建築物の安全性確保のために、全責任を持って、オイルダンパーの交換その他必要な対策を、最後の1棟、1本まで速やかに遂行するという姿勢に基づいて、先程の指示をしたところであります。
現在、交換用の製品を含めて、これから出荷する、今はもう出荷しているかもしれませんが、ダンパーが大臣認定等に規定された性能を有しているものかどうかについて、性能確認試験を第三者による全数立ち会いの下で行わさせております。
この性能確認試験が適正に行われていることを確認するために、10月10日にカヤバシステムマシナリーの三重工場に職員を派遣して、立入検査を行っております。
これは、今後の確認試験がきちんと行われるかどうかの確認であります。
まずは、KYBに対して、検証、交換等を通じた所有者等の安心の確保に全力を挙げて取り組まさせまして、また、原因究明及び再発防止策の報告等を含む今回の指示に対する対応の状況を踏まえて、今後必要な措置について、判断してまいりたいと考えております。

(問)KYBについて引き続き伺います。
既設のダンパーの安全性についてですが、KYBの方は、ある程度のサンプル調査で安全性は確保されているという立場なのですが、国土交通省としては、既設の、特に不正があったものについて、安全性、どんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。
あともう1つ、既設のものに関しては、安全性にもし問題があるという認識であるならば、先ほど確認していくというお話でしたけど、なかなか既設だと交換以外に確認する術はないのかなと思うのですが、交換以外に確認する術なり何かお考えがあれば教えてください。
(答)確認の仕方で交換ですか。

(問)既設のものについては、なかなか確認というのは難しいと思うのですけども。
交換する以外に。既にできているものなので。
(答)構造計算で震度6強や震度7の揺れに対しても、直ちに倒壊するというおそれはないという検証を行ったと聞いておりますけども、しかし、それにしても、所有者等から、あるいは大臣認定で求められている水準には達していない訳ですから、不適合な部品については、基本は交換をするということでございます。

(問)最初の質問なのですけれども、安全性については、そこは確認してあるので、基本的には震度6強、7が来ても倒れないという安全性については確保されているというカヤバの認識ですが、国土交通省としても基本的にそういう認識だということでよいですか。
安全性について。
(答)安全性と言いますか、建物全体の地震に対する強度については、直ちに所有者や利用者の皆様が不安に思う必要はないというふうに思っておりますが、その製品については、求められている水準を満たしていない訳ですから、不適合品については、仮に震度6強、7で倒壊しなかったとしても、交換する必要があるというふうに考えております。

(問)九州とか北陸などで建設中の新幹線の件なのですけれども、16日の財政制度等審議会分科会で、財務省がJRに貸付料、いわゆる負担増をする必要があると指摘しています。
これについて大臣の御見解をお願いします。
(答)財政審の答申に対する見解ですか。

(問)JRに対して負担をもうちょっと増やしてくださいと言っていることに対する見解です。
(答)整備新幹線の建設費については、労務単価の上昇や消費税率の改定による増額、また東日本大震災を踏まえた耐震設計基準の改定、関係機関との協議などによりまして、北陸新幹線の金沢-敦賀間で約2260億円、九州新幹線の武雄温泉-長崎間で約1200億円の増加が見込まれております。
国土交通省としては、今般の建設費の増加への対応については、年末までの予算編成過程において、平成27年1月の政府・与党申合わせにおけます完成・開業予定年次を確実に実現するために必要となる財源の確保に取り組んでまいる考えであります。
現在、必要となる財源の確保に向けた方策を幅広く検討しているところであります。
報道の個別具体の内容については、お答えは控えさせていただきたいと思います。

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